13 オーストラリア Commonwealth of Australia
<2003/2004年度>
<2004年の経済>
2004年の経済成長率は、3.5%程度となる見込みである(民間機関25社の平均3.6%(2004年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2004年4月時点3.7%)に比べて下方修正されている。2004年前半は、豪ドル高の影響や原油価格の高騰に加え、消費者の輸入品購入意欲が高まったことなどを背景に輸入が大幅に増加した一方、輸出の伸びが小さかったことからGDP成長率は1〜3月期前期比0.5%、4〜6月期同0.6%と伸びが鈍化した。しかし、失業率が90年以来の水準まで低下するなど雇用情勢の改善がみられたことや、良好な消費者マインド等から個人消費を中心として内需が堅調に増加し、成長を支えた。
<2005年の経済見通し>
2005年の経済成長率は、3%程度となる見込みである(政府見通し3.75%(2004/2005年度)、民間機関25社の平均3.1%(2004年10月時点))。
成長を支える要因としては、好調な企業活動を背景に、さらなる雇用情勢の改善が見込まれることや、好調な住宅市場により消費者マインドが依然高い水準を保っていることから、今後も消費の堅調な伸びが期待されることが挙げられる。
下方リスクとしては、原油価格高騰による経済への悪影響や、公定歩合の追加引上げが懸念されることから、その場合に住宅市場に及ぶ影響を通じて内需の拡大がやや緩やかなものになるおそれなどが挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政収支は9.8億豪ドル(GDP比0.1%)の赤字となった2001/2002年度を除いて97/98年度以降黒字を達成している。2003/2004年度は良好な経済環境から税収が増加、当初見込み額を大幅に上回る46億豪ドル(GDP比0.6%)の黒字となった。2004/2005年度については、24億豪ドル(GDP比0.3%)の黒字を見込んでいる。
2004/2005年度の予算案の特徴としては、個人所得税減税策、家族支援策等が盛り込まれている点が挙げられる。2003/2004年度に実施された個人所得税減税策では全納税者を対象としたものであったが、今回は課税対象所得ごとに五段階に分かれている所得税率のうち、税率の高い47、及び42%層に関して、税率自体は不変ながらも課税対象所得額を引き上げることにより減税を行う。減税規模は今後4年間で総額147億豪ドルに上る見通しである。減税策の主要ターゲットが中・高所得者となる一方で、家族支援策は中・低所得者を対象としている。2004年7月1日以降に出産した女性に新生児一人当たり一律3,000豪ドルの出産手当が支給されるなど、今後5年間で192億豪ドルが家族支援策に充てられる見込みである。
金融政策については、オーストラリア連邦準備銀行が、2003年11、12月と2か月連続でキャッシュレートの誘導目標水準を0.25%ポイントずつ引き上げたが、住宅市場が減速傾向にあることなどからこれ以降5.25%に据え置いている。2004年4〜6月期の消費者物価上昇率は前年同期比2.5%と原油高の影響から1〜3月期の2%から上昇したものの、インフレターゲットとして設定されている2〜3%の範囲内には収まっている。同行は2004、2005年の消費者物価上昇率をそれぞれ2、2.5%と予想している。