第3章 (1)各地域の経済動向
前章までの分析を踏まえて、地域ごとの経済動向について総括する。
(消費は、物価上昇や天候要因の影響を受けながらも、各地域共に持ち直しの動き)
消費について各地域で共通して言えることは、物価上昇が引き続き消費の下押しリスクとなっていることである。物価上昇が続く中で2025年初から実質賃金の伸びが鈍化した。その後は、徐々に対前年比マイナス幅が縮小し、南関東、北陸、沖縄ではプラスに転じる動きもみられ、各地域の消費が持ち直す動きがみられた。ただし、2026年初は、寒波や大雪といった天候要因により一時的に消費活動が下押しされたとみられる。
(輸出・生産は2025年夏頃にかけて一旦落ち込む地域があったが、その後は持ち直しの動き)
米国による相互関税が発表された2025年4月以降、地域によっては米国向け輸出が対前年比で押下げに寄与し、特に、大手自動車メーカーの工場が立地する北関東と中国地方において押下げ寄与が大きかった。その後は、徐々に米国向け輸出の押下げ寄与が縮小し、持ち直しの動きがみられた。
次に、生産については、こうした輸出の動きも背景に、北関東、南関東、東海、中国地方では輸送用機械を中心に2025年春頃から夏頃にかけて減少する動きがみられた。その後は、多くの地域で対前年比マイナスが徐々に縮小し、プラスに転じる地域もみられる。
(今後の設備投資の動向に注意が必要)
日銀短観の経常利益計画をみると、北関東、東海、中国地方の大企業・製造業で2025年3月調査からの下方修正率が大きい。また、設備投資は、米国の関税引上げ後、製造業において設備投資が大きく変動するなど変調を来したような動きはみられないが、日銀短観の設備投資計画をみると、2025年度は、北関東において当初計画から大きく下方修正される動きがみられる。北関東には米国を主要輸出先とする自動車メーカーの工場が存在しているが、米国の関税引上げが企業収益に影響を及ぼす動きもみられ、ひいては設備投資の慎重姿勢につながらないか注意が必要である。
(雇用の基調が変わるような動きはみられないが、人手不足が継続)
完全失業率や求人の動きをみると、米国の通商政策に対する不透明感により、2025年夏頃にかけて新たな採用を控えていた可能性があるが、その後は多くの地域で求人は増加に転じており、各地域で雇用の基調が変わるような動きはみられない。ただし、製造業・非製造業にかかわらず、各地域共に厳しい人手不足が続いている。
(各地域共に物価上昇の影響を懸念しつつも、総じて持ち直しが続いている)
以上を踏まえて、地域ごとの経済動向について総括すると、各地域共に物価上昇の影響を懸念しつつも、総じて持ち直しが続いていると評価できる。ただし、北関東など製造業シェアの高い地域における関税引上げの影響、また、近畿など観光業のシェアの高い地域における訪日外国人減少の影響など、最近の環境変化や事象の発生に伴う影響を受けている地域・業種もあることから、今後も地域経済の動向を観察するに当たってこれらの影響に注意する必要がある。