『地域の経済2022-地方への新たな人の流れと地方のデジタル化の現状と課題-』の公表にあたって

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内閣府経済財政分析担当では、「地域の経済」と題して、地域経済に関する調査分析報告を公表しています。今回の報告書は、第1章「地方への新たな人の流れと地方のデジタル化の現状と課題」、第2章「2021~2022年にかけての地域別にみた経済動向」の2章立てとしています。

第1章では、感染症をきっかけに生じた地方への新たな人の流れ(地方移住)や日常の様々な場面におけるデジタル化について、最初の感染拡大から3年近くを経た現状および課題を分析しています。

まず、地方移住に関しては、感染症直後にみられた新たな人の流れに一部感染症前に回帰する動きもみられるところ、その状況を整理したうえで、感染症によって広がったテレワークや副業といった働き方の多様化について見えてきた課題を示しています。次に、地方での暮らしに有益なデジタル化については、オンライン消費をはじめ、暮らしの様々な場面において一層の活用余地があります。さらに、地方移住への関心は高い一方で、移住が進む条件として、「仕事や収入」が得られることが必要です。地方の生産性と賃金を高めることは重要な課題であり、それに向けたデジタル技術の活用についても取り上げています。

第2章では、2021年から2022年にかけての地域経済動向を概観しています。ウィズコロナの考え方の下で経済社会活動の正常化が進められていることから、感染動向が経済へ与える影響は緩和しているとみられる一方で、原材料や部品の供給不足や物価上昇が経済へ与える影響が高まっています。こうした点について、景気ウォッチャー調査による景況感の推移や、地域別の消費・観光、生産、雇用のデータを基に動向を分析しています。

本報告が地域経済の現状に関する理解を深めるとともに、地域経済の活性化に向けた取組を検討する際の一助となれば幸いです。

最後に、本報告の作成にあたって、企業や地方自治体、関係省庁などの皆様にヒアリングやデータ提供等を通じてご協力を賜りました。この場を借りて深く感謝を申し上げます。

2023年1月

内閣府政策統括官(経済財政分析担当)

村山 裕

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