『地域の経済2018』の公表にあたって
内閣府経済財政分析担当では、年1回、「地域の経済」と題して、地域経済に関する報告書を公表しています。今回の「地域の経済2018」は、地域経済に大きな変化をもたらしつつある「人手不足問題」と「インバウンド需要の拡大」に焦点を当てて分析を行っています。
日本経済が抱える供給面の最大の課題の一つである人手不足問題は、高齢化の急速な進展や若年者の人口移動の影響もあり、地域経済にとっては、より深刻な問題となっています。第1章では、地域ごとの人手不足の状況及びその要因や影響を多角的に分析するとともに、地域経済の「新たな力」となる潜在的な労働力の活躍の状況、生産性向上の地域差について分析をしています。
他方、人口減少に伴う需要減を補う方途として、訪日外国人旅行者による消費(インバウンド需要)が日本経済の新たな需要の一つとして期待されています。第2章では、一部の地域に偏っているインバウンド需要の現状を整理するとともに、インバウンド需要のすそ野をいかに全国各地に拡げていくかについての分析を行っています。拡大する世界の旅行需要を取り込むために、まだ十分に知られていない地域の「新たな魅力」を伝えるためにはどうすればよいか、様々なデータを基にその方策を探っています。
加えて第3章において、この1年程度の各地域の経済動向を、景気ウォッチャー調査からみる景況感や生産、消費といった切り口から振り返っています。
本報告が地域経済の現状に関する理解を深め、地域の新たな魅力、新たな力を引き出し、地域を活性化させる一助となれば幸いです。
最後に、本報告の作成にあたって、企業や地方自治体、関係省庁などの皆様にヒアリングやデータ提供等を通じてご協力を賜りました。この場を借りて深く感謝を申し上げます。
2018年11月
内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
増島 稔