補論 景気ウォッチャー調査の分析
1.景気ウォッチャー調査の業種別のDIと販売額等の動向について
景気ウォッチャー調査は景況感について2,050名の景気ウォッチャーから毎月月末に報告を受けDIとして集計している。特に家計動向関連のウォッチャーは販売の現場から毎月の統計データの速報を個々のレベルで報告していることとなり、集計されたウォッチャーDIは各種統計等の予測値となることが考えられ、両者は一定の相関を持つことが考えられる。
このことを確認するため、業種別の現状判断DIと各種統計等との相関がどの程度あるかをみる。ここでは現状判断DIは水準そのものではなく、現状判断DIの前年差を用い、各種統計等の前年比との相関関係をみる(第3−1(1)(2)(3)図)。
ここでは一つの目安として相関係数がおおむね0.5以上のものをみると、乗用車販売店DI、家電量販店DI、旅行関連DIが該当することとなった。これらのDIが一定の相関を示す理由、及び他の業種別DIの相関が高くない理由については引き続き検証する必要があるが、比較的高額の消費については予測力が高いことがうかがえる。
2.景気ウォッチャー調査の先行き判断DIによる現状判断DIの予測
2012年1月以降の期間において、現状判断DIの動きを、先行き判断DIの1か月、2か月、3か月のラグを取ったものと比較すると、1、2か月のラグを取った場合の当てはまりがよい(第3−2(1)(2)(3)図)。
また、景気ウォッチャー調査開始時からのデータを用いて計量分析により、現状判断DIの動きを先行き判断DIで回帰すると、1か月のラグで最も説明力が高くなり、推計値と実績値はおおむね適合する(第3−3図)。
3.景気ウォッチャー調査のコメントからのDIの再現
景気ウォッチャー調査における景況感の判断理由から、現状判断DIや先行き判断DIが再現可能か否かの検証を行った1。
先ず、景気ウォッチャー調査のコメントから、言語解析技術により景気動向に関連する特徴的な表現(単語)を抽出・分類し、登場頻度等を数値化しデータベース化した。次に本データベースを用いて、各コメントから景況感に関する5段階評価を機械学習エンジンにより判別(推計)し、集計を行ってDIを算出した。
機械学習エンジンによる学習期間を東日本大震災を含む期間の2010年~2012年とし、2013年の12か月間の現状判断DIと先行き判断DIをコメントから推計すると、推計結果は実際のDIよりも低い値であるものの、毎月の変化の方向がおおむね整合的であることから、テキスト情報からDIの大まかな傾向が予測可能であることが確認できた(第3−4(1)(2)図)。