第1章第3節
3.生産の動向
(生産は足元では下げ止まっており、東海、北陸で持ち直しの動き)
生産の動向を概観するために、2012年10~12月期を100とした地域別鉱工業生産指数の動きをみると、まず2013年前半においては輸送機械の生産が東海と中国等で大きく増加し、スマートフォン向け需要を受けて電子部品・デバイスの生産が東海、九州等で増加した。一般機械(はん用・生産用・業務用機械)及び電気機械に関しては北陸等で増加し、化学については医薬品が増加している北陸に加え、中国等でも増加したが、2013年前半は生産の増加は東海、北陸、中国等一部の地域にとどまった(第1−3−1図、「地域の経済2013」P6-7)。
2013年後半においては、輸送機械が関東、東海、中国等で増加し、スマートフォン向け需要を受けて 電子部品・デバイスの生産が東海等で増加し、医薬品等の需要を受け化学が北陸及び四国で増加した。また一般機械及び電気機械については東北、関東、北陸、九州等で増加した。総じてみると、前半に比べて関東や東北でも増加がみられるものの、近畿、四国、九州では横ばいで推移するなど、引き続き地域間でのばらつきがみられる(第1−3−2図)。
2014年1~3月期においては、駆け込み需要等により全地域で生産が拡大し、輸送機械が九州を含め各地域で増加し、電子部品・デバイスが東北、東海、四国等で増加し、一般機械及び電気機械も東海、北陸、近畿、四国等ほぼ全地域で増加した。
2014年4~6月期以降は、駆け込み需要の反動等により輸送機械や化学のマイナスの寄与が多くの地域にみられ、生産は総じて減少した。しかしながら同7~9月期及び10月においては、電子部品・デバイスは東海、北陸と近畿等において増加しており、化学が北陸等で増加していることなどから、東海、北陸では持ち直しの動きがみられ、近畿は横ばい圏内の動きとなるなど、足元では地域間のばらつきがみられる。
なお、今次回復局面を過去の回復局面と比較すると、駆け込み需要とその反動の影響を含めても、生産活動は過去の回復局面と各地域ともにおおむね同様の推移をたどっている(コラム1参照)。
(設備投資は足元はおおむね横ばいであるものの、増加していく見込み)
財務省「法人企業統計調査」より本社所在地別に設備投資の実績をみると、今回の景気回復においては、2013年4~6月期から2014年1~3月期にかけて、関東、近畿、東海等で設備投資の回復がみられた(第1−3−3図)。また輸送用機械の生産の好調を受けて九州の設備投資も増加がみられた。2014年4~6月期においては関東と九州が前年比でマイナスに転じたが、同7~9月期においては再びプラスに転じるなど、おおむね横ばいとなっている。
一方で、日本政策投資銀行「設備投資計画調査」により2013年度の実績と2014年度の計画をみると、2013年度は東北においては電力や鉄鋼等が減少し、北関東においては電力や一般機械等が減少したことから同地域の設備投資が減少したものの、その他の地域はおおむね緩やかな増加となった。
2014年度の計画をみると、製造業においては輸送用機械、化学、鉄鋼、電気機械がおおむね全地域でプラスの寄与を示している。一方で非製造業においては、南関東は運輸、不動産、卸売・小売がプラスの寄与を示し、北陸は電力がプラスの寄与を示していることにより、他の地域より高い伸びを示している。総じてみると、各地域ともおおむね二桁の設備投資の増加が計画されており、設備需要の全国的な波及が見込まれるところである(第1−3−4図)。