『地域の経済2010 ―地域にアジアの活力を―』の公表にあたって
内閣府経済財政分析担当では、年1回、「地域の経済」として、地域経済に関する報告書を公表しています。今年の報告書は、我が国の景気が持ち直しから足踏み状態に移行する中で、地域経済がどのような動向を示したのかについて分析をしています。その上で、各地域が、高い経済成長を実現し、G20やAPEC等の場でも世界の注目を集めるようになっているアジアと、どのような経済的関係にあるのか、また、そのアジアの活力を地域に取り込むためにはどうすればよいのかについて分析をしています。こうしたことから、今回の報告書の副題も「地域にアジアの活力を」としました。
今回の報告書は、以下の2章から構成されています。
第1章の「輸出と政策の影響を受けた地域経済」では、最近1年間の地域経済の動向について分析をしています。2009年春頃から、輸出の回復や経済対策の影響により、地域経済にも持ち直しの動きがみられましたが、2010年夏以降、輸出の弱さが明確になり、それに急激な円高、猛暑効果の反動、エコカー補助金の終了といった要因が加わって、多くの地域で足踏み状態となっています。本章では、このような地域経済の動向を、企業、消費、雇用の分野ごとに分析をしています。
第2章の「深まる地域経済とアジアとの関係」では、アジアとの関係を「人の流れ」と「物の流れ」の面から分析しています。具体的には「人の流れ」として訪日観光客を、また「物の流れ」として対アジア輸出を取り上げ、その現状を分析するとともに、今後、アジアからの訪日観光客やアジアへの輸出の増加に向けて、各地域が取組を進めるに当たって参考となるようなポイントについて整理をしています。
本報告が、地域経済の現状についての理解を深めるとともに、各地域がそれぞれの特色を活かしながら持続的な成長を図っていく上での一助となれば幸いです。
最後に、本報告の作成にあたって、地方自治体、企業、大学等の皆様にヒアリング等を通じてご協力を賜りました。この場を借りて深く感謝を申し上げます。
2010年12月
内閣府 政策統括官(経済財政分析担当)
齋藤 潤