第1章 自律性に乏しい持ち直しの動き

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2008年9月のリーマンショック以降における世界的な金融危機や景気悪化は、地域経済にも大きな影響を及ぼすこととなった。これまで輸出にけん引され、比較的景況感の良かった東海や南関東でも、生産が極めて大幅に減少し、それに伴う非正規労働者を中心とする雇用調整の実施等により、厳しい状況が広がった。2009年に入っても、一層の減産が実施され、雇用情勢の悪化のテンポが速まるなど、景気が急速に悪化する地域が拡大した。

しかし、2009年春頃以降、在庫調整の進展や、アジアを中心に広がった世界経済の持ち直しの動きによる輸出の回復に支えられて、地域経済において、生産に持ち直しの動きが出てきた。また、環境対応車の購入に対する減税・補助金、グリーン家電の購入に係るエコポイント付与等の経済対策の影響も加わり、個人消費にも持ち直しの動きが広がってきた。さらに、雇用面でも依然として厳しい状況にあるものの、下げ止まりつつある地域もみられるようになってきた。こうして足元では、景気に持ち直しの動きがみられる地域が増えてきている(第1-0―1図)。

以下では、2009年の地域経済の動きを、大きく企業、雇用、消費の3つの分野に分け、その変化をみてみることとする。

第1-0-1図 各地域の景気判断(内閣府「地域経済動向」)

第1-0-1図

(備考) 1. 内閣府「地域経済動向」により作成。
2. 内閣府「地域経済動向」は、各地域の鉱工業生産、消費、雇用等の指標及び各種の情報を基に、四半期に1度、各地域の景気動向を取りまとめたもの。

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