『地域の経済2009 ―環境と農業を再生の原動力に―』 の公表にあたって
内閣府経済財政分析担当では、年1回、「地域の経済」として、地域経済に関する分析を公表しています。今回の報告書では、景気が急速な悪化から持ち直しへと大きく変動をみせる中で、地域経済がどのような状況にあったのかという分析と、厳しい状況にありながら、各地域で動き出している持続的な成長に向けた取組について分析を行っています。特に後者については、「環境」と「農業」を中心に分析をしたのが特徴です。
第1章の「自律性に乏しい持ち直しの動き」では、最近1年間の地域経済の動向について分析しています。リーマンショック以降における世界的な金融危機や景気悪化は、短期間のうちに全ての地域において生産を大幅に減少させるなど、地域経済に大きな影響を及ぼすこととなりました。2009年春頃から、アジア向けを中心とした輸出の回復や経済対策の影響により、持ち直しの動きがみられる地域が広がりつつありますが、雇用情勢をはじめとして、厳しい状況にある地域が少なくありません。本章では、そうした地域経済の動向を、企業、雇用、消費の各分野について分析しています。
第2章の「未来への投資につながる地域発の動き」では、地域資源を地域の持続的な成長につなげようとする取組について分析しています。地域経済を取り巻く状況には厳しいものがありますが、地域資源の持つ潜在価値を見出し、異業種間の連携や広域的な地域間の連携を積極的に進めながら、知恵・技術・資金等を出し合い、地域資源を磨き上げ、新たな付加価値を創造させようとする動きが各地域で始まりつつあります。本章では、こうした取組について、需要拡大が期待される「環境」と「農業」の分野を中心に分析しています。
本報告が、地域経済の現状についての理解を深めるとともに、各地域がその特色を活かしながら持続的な成長に向けて取り組む際の一助となれば幸いです。
最後に、本報告の作成にあたって、地方自治体、企業、大学等の皆様にヒアリング等を通じたご協力を賜りました。この場を借りて深く感謝申し上げます。
2009年12月
内閣府 政策統括官(経済財政分析担当)
齋藤 潤