『地域の経済2007』の公表にあたって

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日本経済は、2002年初め以降、景気回復を続けています。今後についても、現在の企業部門の好調さが持続するとともに、それが家計部門にも波及していけば、民間需要主導の回復が続くことが期待されます。しかし、他方で、07年夏以降、アメリカのサブプライム住宅ローン問題を発端に金融資本市場が変動し、原油価格も記録的な上昇をみせるなど、景気の先行きについて留意すべき点も顕在化しています。また、地域経済をみると、地域によって回復の度合いにばらつきが見られており、回復の実感がないという声も聞かれます。地域経済のこうした現状を克服することは、景気回復の恩恵を国民が広く享受するために重要であることは言うまでもありませんが、同時に景気回復を持続させるためにも必要だと考えます。

ところで、地域において回復にばらつきがみられるのは、今回の景気回復が公的支出に頼らない回復であったために、地域経済の自立度の違いが表れた結果であるとみることもできます。そこで、今回の報告書では、「地域経済の自立」をテーマに、様々な角度から地域経済を分析してみました。地域経済が自立するためには、公的支出に依存した産業構造から脱却することが必要ですが、そのためには、民間の力で地域の特色を伸ばしていくことが不可欠だと考えられます。しかし、その地域の特色を見定めることは難しいことでもあります。地域経済がまだその特色に気づかず、持てる潜在力を発揮していないところも多いかと思います。地域の潜在力を活かすにはどうすればよいのか。この報告書では、地域経済の活性化のヒントとなるような情報をできるだけ集めてみました。様々な取り組みの歯車が上手くかみ合えば、どの地域からも、全国に注目されるようなメガヒットが生まれる可能性はあると考えています。

地域経済がその特色を活かしながら成長し、すべての地域が景気回復を実感できるようになるために、この報告書が一助となれば幸いです。

2007年11月30日

内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
齋藤 潤

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