『地域の経済2006』の公表にあたって

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<自らの魅力を惹き出すための舞台づくり>

日本経済は、長い停滞のトンネルを抜け出し、デフレからの脱却が視野に入るなど、これまでの改革の成果が現れ、未来への明るい展望が開けてきております。06年晩秋現在、企業部門から家計部門への景気回復の波及がやや弱まっておりますが、景気がこのまま腰折れしてしまうリスクは極めて小さいと見ています。

ひるがえって地域経済をみると、全体的として回復に向かっておりますが、より目を凝らして分析すると、力強く回復している地域がある一方で、未だに回復に遅れのみられる地域や業種があり、ばらつきが解消されておりません。構造改革を旗印にして5年余、改革の芽が育ちつつある中で、その歪みを指摘する声も高くなってきています。

こうした中、本報告書では、使用可能な最新のデータを用いて、地域経済を今一度振り返って詳細な分析を施し、地域経済活性化のための処方箋を導こうとしております。もちろん、解答は1つだけではなく、地域ごとの特性に応じた方策が必要でしょう。ただし、全国津々浦々の都道府県市町村をつぶさに観察していて感じることは、行政に頼っている限り活性化は望めず、お金をかけたからといって活性化するわけではない、ということです。言い換えれば、地域経済の主役は行政ではなく、あくまでその地域に根ざす住民や企業であって、重要なのはお金の総額ではなく、お金をいかに上手く使うかなのです。そのためには、人々の熱意と知恵が欠かせません。そして、行政は地域の自主性を重んじながら、それをさらに引き出すような枠組み作り、つまりあくまで黒子役に徹するべきと考えております。

地域経済全体の底上げを図り、どのような地域に住んでいたとしても、どのような仕事についていたとしても、すべからく経済成長を実感できるような社会を形成するために、この報告書が一助となれば、幸いです。

2006年12月15日

内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
高橋 進

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