第1部 第2章 構造改革特区と地域経済の活性化
[第2章の要約]
1.急ピッチで進む構造改革特区の議論
2002年春に議論が開始された構造改革特区は、地域を限定した規制改革を行い、その成功事例を示すことで全国的な規制改革を進めようというものであり、各地域がその特性を活かして個性ある発展を遂げるという「自助と自立の精神」を求めるものでもある。
2.構造改革特区を通じた地域経済の活性化
地理的条件や自然条件、市場条件や産業構造、住民の選好等の差異に対応した規制の特例を導入することは、地域特性を活かした産業の集積を促進する可能性がある。地方公共団体においては、対象分野の明確化、グローバルな観点の重視、マーケティングの重視等、特区の制度を活かす取り組みが求められる。
2002年に入り、地域を限定して規制の緩和・撤廃等を行う、構造改革特区の考え方が浮上してきた。90年代以降長期停滞状態にある我が国経済を活性化させるため、抜本的な規制改革の推進が急務となっているが、様々な理由によりその進展が妨げられている分野も多い。そこで、可能な地域から規制の改革を進め、その成果を全国に広げるという方策が検討されるようになった。同時に、地域の自発的な取り組みを最大限尊重することで、各地域の特性を発揮する規制改革が行われ、ひいては地域の活性化につながるとの効果も期待されている。
本章では、これまでの構造改革特区の議論を整理した上で、構造改革特区の経済効果及び構造改革特区を地域経済の活性化に結び付けるための方策について考察することとする。