マルチステークホルダーの考え方

 “持続可能な発展”への道のりは、決して平坦なものではありません。

 それは、人々の価値観やライフスタイルの変革、経済構造の転換、科学的知見への理解、さらには民主主義や平等の考え方の浸透、市民社会の成熟など、社会のあらゆる側面の変革を要する、壮大なプロセスです。私たち人類の全存在が試されていると言っても過言ではありません。

 この壮大なプロセスは、決して政府の政策だけで完結するものではありません。企業や消費者、投資家、労働者、NPOなど、社会の様々な立場にある組織や個人が、プロセスに参加し、学び、協力し、それぞれの役割を果たすことが不可欠なのです。

 このような課題解決の鍵を握る組織や個人を“ステークホルダー”と呼びます。そして、多種多様なステークホルダーが対等な立場で参加し、協働して課題解決にあたる合意形成の枠組みを、“マルチステークホルダー・プロセス”と言います。

 マルチステークホルダー・プロセスは、持続可能な発展を支える新しいガバナンスのモデルとして、地域の環境政策やコミュニティ政策、企業と市民セクターの共同事業、発展途上国の開発事業や資源管理、さらには国際的な基準策定プロセスなど、様々なプロジェクトに応用できます。