昭和37年

年次経済報告

景気循環の変ぼう

経済企画庁


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昭和36年度の日本経済

建設

今後の建設活動と建設業

 建設活動への景気調整の影響は36年度末に至ってようやく建築部門に着工面積の減少という形で現れ、民間発注の産業用建築を中心として、活動の縮小がみられつつある。しかしながら37年度の国の公共事業関係予算の規模拡大にみられるように、経済成長の基礎としての道路、港湾などのいわゆる産業基盤をはじめとして生活環境施設、国土保全などの社会資本の充実が長期的な見通しの上にたって着実な伸展をみせており、また、個人消費の堅調と生活水準の向上から個人住宅投資需要も当分衰えることはないと考えられる。

 従って短期的には産業用建築活動の後退があっても、公共投資と個人住宅投資需要に支えられて長期的な上昇すう勢はなお続くであろう。

 一方このような建設活動を担う建設業に目を移すならば、ここには、先にみたような問題点が山積しており、かつ、これらの問題点は景気後退の時にこそその影響が顕在化してくるとみられるから、ここしばらくは長年ブームを謳歌した建設業にとって初めての試練の時となることも予想されよう。


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