月例経済報告(平成19年11月)

―景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、回復している。―

先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。
一方、サブプライム住宅ローン問題を背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

平成19年11月27日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、回復している。

  • 企業収益は、改善している。設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みがみられる。
  • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
  • 住宅建設は、このところ減少している。
  • 輸出は、増加している。生産は、持ち直している。

先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、サブプライム住宅ローン問題を背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政改革の基本方針2007」に基づき、改革への取組を加速・深化する。
民間需要主導の持続的な成長を図るとともに、これと両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

2007年7-9月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間住宅がマイナスに寄与したものの、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)、民間企業設備、民間最終消費支出がプラスに寄与したことから、前期比で0.6%増(年率2.6%増)となった(2四半期ぶりのプラス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.3%増となった(2四半期ぶりのプラス)。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。消費者マインドは弱い動きとなっており、所得はおおむね横ばいで推移している。需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、9月は前月に比べ減少し、おおむね横ばいとなっている。
個別の指標について、9月の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月から増加した。販売側の統計をみると、小売業販売額は前月に比べて減少した。新車販売台数は、9月減少した後、10月は増加した。旅行は、海外旅行は前年を下回ったものの、国内旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢が改善傾向にあることから、所得の伸びが改善すれば、個人消費は増加していくものと期待される。

設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。

設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、2007年4-6月期は製造業は増加したものの、非製造業は減少している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、緩やかに増加している。ソフトウェア投資は、おおむね横ばいとなっている。
「日銀短観」によれば、2007年度設備投資計画は全規模全産業で5年連続の増加が見込まれている。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は横ばいとなっている。先行指標をみると、機械受注は、おおむね横ばいとなっている。建築工事費予定額は、減少している。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、このところ減少している。

住宅建設は、このところ減少している。持家、貸家、分譲住宅の着工は、ともに減少している。総戸数は、改正建築基準法施行の影響もあって、9月は前月比1.2%減の年率72.0万戸となった。総床面積は、前月比3.2%増となったが、これは持家が増加し、貸家が減少したため、1戸当たり床面積が増加したことによる。先行きについては、改正建築基準法施行の影響が当面続くものの、雇用情勢が改善傾向にあることに加え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資の関連予算をみると、平成19年度予算では、公共事業関係費について、前年度比3.5%減としつつ、地域の自立・活性化、成長力強化などへ重点化している。また、平成19年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.0%減(かい離是正後は、14.9%減)としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2007年7-9月期の公共投資については、公共工事受注額、大手50社受注額及び公共工事請負金額は前年を下回った。
10-12月期の公共投資については、10月の公共工事請負金額は前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

輸出は、増加している。輸入は、緩やかに減少している。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。

輸出は、増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、増加している。アメリカ向け輸出は、輸送用機器が増加し、全体として緩やかに増加している。EU向け輸出は、一般機械が増加し、全体として緩やかに増加している。先行きについては、アメリカ経済の今後の動向等に留意する必要がある。
輸入は、緩やかに減少している。地域別にみると、アジアからの輸入は、緩やかに減少している。アメリカからの輸入は、横ばいとなっている。EUからの輸入は、機械機器が減少し、全体として緩やかに減少している。
国際収支をみると、輸出金額が増加し、輸入金額が横ばいとなっており、貿易収支の黒字幅は増加している。また、サービス収支の赤字幅は横ばいとなっている。そのため、貿易・サービス収支の黒字は増加している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、持ち直している。

鉱工業生産は、情報化関連生産財の在庫調整の進捗などを受けて、持ち直している。
先行きについては、設備投資の増加などにより生産は緩やかに増加していくものと見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、10月は増加、11月は減少が見込まれている。
また、第3次産業活動は、横ばいとなっている。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、大企業製造業では横ばいとなっているものの、全体としては慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2007年4-6月期の経常利益は、売上高が増加したこと等により前年同期比12.0%増となり、20四半期連続で増益となった。業種別にみると、製造業が17.3%、非製造業が8.0%の増益となっている。「日銀短観」によると、2007年度の売上高は5年連続の増収、経常利益は6年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、大企業製造業では横ばいとなっているものの、全体としては慎重さがみられる。大企業製造業の業況判断は2四半期連続の横ばい、大企業非製造業の業況判断は19四半期ぶりの悪化となった。中小企業製造業の業況判断は3四半期連続、中小企業非製造業の業況判断は2四半期連続の悪化となった。
また、企業倒産は、緩やかな増加傾向にある。倒産件数は、9月1,047件の後、10月は1,260件となった。負債総額は、9月4,606億円の後、10月は4,612億円となった。

雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みがみられる。

雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みがみられる。
完全失業率は、低下傾向で推移してきたが、このところ足踏みがみられ、9月は前月比0.2%ポイント上昇し4.0%となった。就業者数は減少し、完全失業者数は増加した。15~24歳層の完全失業率は高水準ながら低下傾向で推移している。
新規求人数は減少している。有効求人倍率は低下傾向となっている。雇用者数は増加傾向で推移してきたが、9月は減少した。製造業の残業時間は減少している。
賃金の動きをみると、定期給与は横ばい圏内で推移している。現金給与総額は弱含みで推移している。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。

国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。10月の国内企業物価は、石油製品、非鉄金属(銅関連)が上昇し、前月比で上昇した。輸入物価を3ヶ月前比でみると、国際商品市況の上昇を反映して契約通貨ベースで上昇しているものの、為替の影響により円ベースでは横ばいとなっている。
企業向けサービス価格は、基調として前年比で小幅な上昇が続いている。
消費者物価は、横ばいとなっている。9月の消費者物価(生鮮食品を除く総合、前年比)の前月からの動きを類別にみると、一般商品では、一般食料工業製品や石油製品が下落に転じたことにより下落幅が拡大した。一般サービス、公共料金では、おおむね横ばいとなった。
なお、石油製品、その他特殊要因を除く消費者物価の前年比は、ゼロ近傍で推移している。
ただし、海外経済の動向などが今後の物価動向に与える影響については注視していく必要がある。

株価は、16,800円(日経平均株価)台まで上昇した後、14,800円台まで下落している。対米ドル円レートは、115円台から108円台まで円高方向で推移している。

株価は、16,800円(日経平均株価)台まで上昇した後、アメリカにおけるサブプライム住宅ローン問題への懸念や株価の下落等を背景に、14,800円台まで下落している。対米ドル円レートは、115円台から108円台まで円高方向で推移している。
短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.5%付近で推移している。ユーロ円金利(3ヶ月物)は、0.8%台で推移している。長期金利は、アメリカの長期金利の動き等を背景に、1.6%台後半まで上昇した後、1.4%台前半まで低下している。企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられず、民間債と国債との流通利回りスプレッドは総じて横ばいとなっている。
マネタリーベースは、前年比0.5%の伸びとなっている。M2+CDは、前年比1.9%の伸びとなっている。

4.海外経済

世界の景気は回復している。

アメリカでは、住宅建設の減少等により、引き続き景気回復は緩やかなものとなっている。先行きについては、金融資本市場の変動等により不透明感がみられる。

2007年7-9月期は、住宅建設が減少しているものの、消費や外需の増加などからGDP成長率は前期比年率3.9%増となった。
消費は緩やかに増加している。設備投資は増加している。住宅建設は減少している。
生産は底堅く推移している。雇用面では、雇用者数の増加は緩やかになっている。物価面では、エネルギー価格等が上昇しているものの、コア物価は落ち着きがみられる。
10月30・31日に開催されたFOMCでは、フェデラル・ファンド・レート(FF金利)の誘導目標水準を0.25%引き下げ、4.50%とすることが決定された。

アジアでは、中国等で景気は拡大が続いている。

中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資は高い伸びが続いている。シンガポール、マレーシアでは、景気は拡大している。韓国、台湾では、景気は緩やかに拡大している。タイでは、内需の停滞により景気は弱い動きとなっている。

ユーロ圏及び英国では、景気は回復している。

ユーロ圏では景気は回復している。ドイツでは、設備投資が増加するなど、企業部門を中心に回復している。フランスでは、消費が増加するなど、回復している。
英国では、景気は回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は10月下旬に上昇した後、11月に入り下落した。主要国の長期金利は低下した。ドルは名目実効レートで、10月下旬から11月上旬にかけて減価した後、増価した。原油価格は90ドル台後半まで上昇している。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、8月季節調整済前月比1.5%増の後、9月は同0.3%減となった。なお、消費総合指数は「四半期別GDP速報」(QE)の推計方法の変更に伴い、2005年2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
「家計調査」の実質消費支出は、8月季節調整済前月比0.4%増の後、9月は同0.7%増(前年同月比3.2%増)となった。
「家計調査」の実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、9月は季節調整済前月比0.5%減(前年同月比1.7%増)となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、9月は実質前年同月比1.7%増となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、8月季節調整済前月比3.9%増の後、9月は同1.5%減(前年同月比0.5%増)となった。また、百貨店販売額は、9月は前年同月比2.7%減(既存店)(季節調整済前月比2.8%減(全店))となった。スーパー販売額は、9月は前年同月比1.5%減(既存店)(季節調整済前月比1.0%減(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、9月前年同月比0.0%(既存店)、同2.1%増(全店)となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、9月季節調整済前月比3.9%減の後、10月(速報値)は同6.4%増となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は8月前年同月比5.7%増の後、9月は同5.9%増となった。海外旅行は8月前年同月比3.5%減の後、9月は同2.9%減となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、8月前年同月比5.1%増(全店)の後、9月は同6.4%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差2.4ポイント悪化の後、9月は同0.4ポイント悪化となった。消費者態度指数(原数値)は、9月前月差0.1ポイント改善の後、10月は1.3ポイント悪化となった。

<設備投資>

2007年4-6月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比10.2%減(前年同期比5.7%減)となっており、うち製造業では同1.1%増(同10.7%増)、非製造業では同16.4%減(同14.0%減)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2007年度設備投資計画は、製造業で前年度比5.6%増、非製造業で同5.0%減となっており、全産業では同1.0%減となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、8月(確報値)は季節調整済前月比1.3%増(前年同月比6.0%増)の後、9月(確報値)は同7.5%減(同0.6%減)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2007年度設備投資計画は、製造業で前年度比12.1%増、非製造業で同6.7%増となっており、全産業では同8.7%増となっている。また、中小企業では製造業で同13.6%減、非製造業で同8.9%減となっており、全産業では同10.5%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、8月(確報値)は前年同月比3.1%増の後、9月(確報値)は同2.2%減となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、8月は季節調整済前月比7.7%減(前年同月比2.6%減)の後、9月は同7.6%減(同7.0%減)となっている。なお、2007年10-12月期(見通し、9月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比3.1%増(前年同期比2.5%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事費予定額をみると、8月は季節調整済前月比26.7%減(前年同月比39.0%減)の後、9月は同18.0%減(同47.5%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、2007年4-6月期は2.0%増、7-9月期は37.6%減、7月は30.1%減、8月は23.0%減、9月は1.2%減となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、2007年4-6月期は3.6%減、7-9月期は18.0%減、7月は22.6%減、8月は1.1%増、9月は10.1%増となり、貸家の着工(同)は、2007年4-6月期は5.7%増、7-9月期は42.0%減、7月は32.8%減、8月は30.4%減、9月は7.8%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、2007年4-6月期は7.4%増、7-9月期は61.5%減、7月は54.3%減、8月は31.7%減、9月は33.1%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、2007年4-6月期は0.1%減、7-9月期は33.3%減、7月は29.8%減、8月は17.0%減、9月は3.2%増となった。

<公共投資>

国の平成19年度一般会計予算(当初予算)をみると、公共事業関係費について、前年度比3.5%減としつつ、地域の自立・活性化、成長力強化などへの重点化をしている。
地方の予算をみると、平成19年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.0%減(かい離是正後は、14.9%減)と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(「建設工事受注動態統計調査」)は、前年同月比で8月は9.1%減の後、9月は11.8%減となった。大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で8月は20.1%減の後、9月は34.4%減となった。公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)は、前年同月比で9月は12.1%減の後、10月は3.2%減となった。公共工事出来高(「建設総合統計」)は、前年同月比で8月は2.0%減の後、9月は 3.5%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で8月は0.7%減の後、9月は1.4%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2007年9月0.8%増の後、10月1.4%増(前年同月比14.9%増)となった。また、前期比で2007年4-6月期は1.9%増の後、7-9月期は3.6%増(前年同期比5.6%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2007年9月2.3%増の後、10月2.1%減(前年同月比2.4%減)となった。また、前期比で2007年4-6月期は0.4%減の後、7-9月期は0.8%減(前年同期比4.8%減)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2007年8月は12,118億円、9月は9,158億円、通関収支差(季節調整値)は、2007年9月は10,068億円、10月は10,728億円となった。

<生産・出荷・在庫>

9月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、電子部品・デバイスや精密機械等の増加があったものの、一般機械や輸送機械等の減少により、前月比1.4%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、10月は輸送機械や一般機械等が増加することにより3.8%増の後、11月は輸送機械や一般機械等の減少により0.7%減になると見込まれている。
9月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比1.1%増となった。また、9月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は103.8となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、9月(速報)前月比1.6%減となった。また、7-9月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同4-6月平均対比)をみると0.1%減となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2007年4-6月期の経常利益は、全産業で前年同期比12.0%増、製造業は17.3%増、非製造業は8.0%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)によると、2007年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比0.9%の減益、下期は1.9%の増益、通期では前年比0.5%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は1%ポイント悪化して21%ポイント、中小企業は3%ポイント悪化してマイナス5%ポイント、全規模合計では3%ポイント悪化して4%ポイントとなった。
企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は9月1,047件(前年同月比1.6%増)の後、10月は1,260件(同8.0%増)となった。負債総額は9月4,606億円(同57.3%増)の後、10月は4,612億円(同25.2%減)となった。また、10月の大型倒産(負債額10億円以上)は、66件(同4.3%減)となっており、㈱ノヴァ(語学スクール経営、負債439億円)、㈱成田ゴルフ倶楽部(ゴルフ場経営、負債431億円)、㈱トウワトラスト(債務保証業、負債267億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、9月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%ポイント上昇し4.0%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は8.7%となった。
「労働力調査」によると、完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差17万人増の269万人となった。また、求職理由別完全失業者のうち、9月の非自発的離職者数(季節調整値)は前月差6万人増の83万人、自発的離職者数(季節調整値)は、前月差10万人増の106万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、8月季節調整済前月比0.3%減の後、9月は同2.3%減(前年同月比13.2%減)となった。有効求人数は、8月同0.7%減の後、9月は同1.6%減(同8.0%減)となった。新規求職者数は、8月同2.1%減の後、9月は同5.1%増(同9.6%減)となった。有効求職者数は、8月同0.3%減の後、9月は同0.0%(同4.5%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は8月1.58倍の後、9月1.47倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、8月1.06倍の後、9月1.05倍となった。
「労働力調査」によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で8月は前月差15万人増の後、9月は同38万人減の5,491万人となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用指数(労働者計)は、事業所規模5人以上では8月は季節調整済前月比0.0%(前年同月比1.6%増)の後、9月は同0.3%増(同1.7%増)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では8月は季節調整済前月比1.0%減(前年同月比1.8%減)の後、9月は同0.5%増(同1.7%減)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では8月季節調整済前月比0.0%(前年同月比0.0%)の後、9月は同0.1%減(同0.3%減)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では8月季節調整済前月比1.0%増(前年同月比0.6%増)の後、9月は同0.1%増(同0.6%減)となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、2007年10月(速報値)は、前月比0.8%の上昇(前年同月比0.1%の下落)、3ヶ月前比は3.4%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、10月(速報値)は前月比3.9%の上昇(前年同月比7.5%の上昇)、3ヶ月前比は0.3%の上昇となった。また、国内企業物価は、10月(速報値)は前月比0.3%の上昇(前年同月比2.4%の上昇)、3ヶ月前比は0.2%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の2007年9月(速報値)の企業向けサービス価格は前年同月比1.4%の上昇(前月比0.7%の上昇)となった。
総務省「消費者物価指数」(全国)の生鮮食品を除く総合は、2007年9月は前年同月比0.1%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落、連鎖基準の前年同月比0.2%の下落)、7-9月平均の前年同期比は0.1%の下落(連鎖基準の前年同期比0.2%の下落)となった。一般サービスは、9月は前年同月比0.1%の上昇、7-9月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般商品は、9月は前年同月比0.6%の下落、7-9月平均の前年同期比は0.5%の下落となった。公共料金は、9月は前年同月比0.5%の上昇、7-9月平均の前年同期比は0.5%の上昇となった。また、「消費者物価指数」(東京都区部、中旬速報値)の生鮮食品を除く総合は、2007年10月は前年同月比0.0%(季節調整済前月比0.2%の上昇)、8-10月平均の前年同期比は0.0%となった。
(特に断りがない場合は、ラスパイレス固定基準による値。)

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、10月月中は、0.488%~0.548%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、10月月中は0.84%台で推移した。新発10年国債流通利回りは、10月は、1.5%~1.7%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、10月末は1,620ポイントとなった。日経平均株価は、10月末は16,737円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、10月末は114.75円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、10月末は165.89円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、10月は前年同月比0.5%増となった。10月の日銀当座預金平均残高は8.3兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.9%増となった(10月速報)。広義流動性は、10月(速報)は前年同月比3.6%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、10月(速報)は前年同月比0.7%増(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.4%増)となった。10月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、10月の国内公募事業債の起債実績は、11,350億円(銀行起債の普通社債は2,850億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、8月は前月比で短期は0.151%ポイント低下し、長期は0.114%ポイント低下したことから、総合では0.133%ポイント低下し1.693%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の10月の現状判断DIは、前月を1.4ポイント下回り、41.5となった。先行き判断DIは、前月を2.9ポイント下回り、43.1となった。