月例経済報告（平成18年9月）
―景気は、回復している。―
先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
平成18年9月15日
内閣府
総論
（我が国経済の基調判断）
景気は、回復している。
- 企業収益は改善し、設備投資は増加している。
- 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
- 個人消費は、このところ伸びが鈍化している。
- 輸出は、横ばいとなっている。生産は、緩やかに増加している。
先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
（政策の基本的態度）
政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に基づき、構造改革を加速・深化する。
重点強化期間内に物価の安定基調を確実なものとし、物価の安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、政府・日本銀行は一体となった取組を行う。
各論
１．消費・投資などの需要動向
個人消費は、このところ伸びが鈍化している。
個人消費は、消費者マインドがおおむね横ばいで推移し、所得が緩やかに増加しているなかで、梅雨明けが遅れたことなどの一時的な要因もあって、このところ伸びが鈍化している。需要側統計（「家計調査」等）と供給側統計（鉱工業出荷指数等）を合成した消費総合指数は、７月は前月に比べて減少し、このところ伸びが鈍化している。
個別の指標について７月の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月から減少した。販売側の統計をみると、小売業販売額は、前月に比べて減少した。新車販売台数は、７月減少した後、８月は増加した。旅行は、国内旅行は前年を下回ったものの、海外旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢の改善が家計の所得改善につながっていることから、個人消費の増加基調が続くことが期待される。
設備投資は、増加している。
設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、2006年４－６月期は製造業・非製造業ともに増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、緩やかに増加している。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの需要側統計、供給側統計を合成した設備投資総合指数は、緩やかに増加している。
「日銀短観」によれば、2006年度設備投資計画は４年連続で増加している。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は改善傾向にある。先行指標をみると、機械受注は緩やかに増加している。建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。
住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。持家、貸家、分譲住宅の着工はおおむね横ばいとなっている。総戸数は、７月は前月比5.7％減の年率120.9万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。
公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資の関連予算をみると、平成18年度予算では、公共投資関係費について、前年度比4.8％減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。また、平成18年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.2％減（規模是正後は、19.2％減）としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2006年４－６月期は、公共工事受注額、大手50社受注額及び公共工事請負金額は前期に引き続き、前年を下回った。
７－９月期の公共投資については、７月の公共工事請負金額などは前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。
輸出は横ばいとなっている。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。
輸出は、電気機器や自動車が横ばいとなり、全体として横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器が持ち直し、全体として緩やかに増加している。アメリカ向け輸出は、横ばいとなっている。ＥＵ向け輸出は、一般機械が増加し、全体として緩やかに増加している。先行きについては、アメリカ経済の今後の動向等に留意する必要がある。
輸入は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジア、アメリカ、ＥＵからの輸入は、横ばいとなっている。
国際収支をみると、輸出数量、輸入数量ともに横ばいとなっており、貿易収支の黒字幅は縮小している。また、サービス収支の赤字幅は拡大している。そのため、貿易・サービス収支の黒字は減少している。
２．企業活動と雇用情勢
生産は、緩やかに増加している。
鉱工業生産は、一部の分野で在庫調整の動きもみられるものの、全体としては設備投資の増加などに支えられて、緩やかに増加している。
先行きについては、設備投資の増加などにより生産の緩やかな増加は続くものと見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、８月は増加、９月は減少が見込まれている。
また、第３次産業活動は、緩やかに増加している。
企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2006年４－６月期の経常利益は、売上高が増加したこと等により前年同期比10.1％増となり、16四半期連続で増益となった。業種別にみると、石油・石炭、サービス業等で減益となったものの、情報通信機械、一般機械、情報通信業等で増益となり、製造業が11.4％、非製造業が9.1％の増益となっている。「日銀短観」によると、2006年度の売上高は４年連続の増収、経常利益は５年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、緩やかに改善している。鉄鋼、化学等で悪化したものの、一般機械、電気機械等で改善し、大企業製造業の業況判断は２四半期ぶりの改善となった。大企業非製造業の業況判断は３四半期連続の改善となった。
また、企業倒産は、おおむね横ばいとなっている。７月の倒産件数は1,100件程度と前年同月比で増加したが、低水準で推移している。
雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
完全失業率は、７月は前月比0.1％ポイント低下し4.1％となった。非自発的離職者等の減少により完全失業者数が減少した。15～24歳層の完全失業率は低下傾向にあるものの、高水準で推移している。
新規求人数は増加傾向となっている。有効求人倍率は上昇している。また、雇用者数は増加傾向となっている。製造業の残業時間は増加傾向となっている。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は横ばいで推移している。
賃金の動きをみると、定期給与は横ばい圏内で推移している。現金給与総額はならしてみると緩やかに増加している。なお、６－７月計でみたボーナスを含む特別給与は前年を上回っている。
３．物価と金融情勢
国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。
国内企業物価は、上昇している。最近の動きを類別にみると、これまでの原油価格の上昇等を反映して、石油製品、化学製品が上昇している。輸入物価（円ベース）は、国際商品市況の上昇を反映して、上昇している。
企業向けサービス価格は、前年比で小幅な下落が続いている。
消費者物価は横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品、一般サービスは、おおむね横ばいとなっている。公共料金は、たばこ税の増税により、上昇している。（消費者物価指数は平成17年基準への改定が実施され、平成18年１－７月平均でみると、新基準指数の前年比は旧基準指数に比べ、生鮮食品を除く総合で▲0.5ポイント下方改定された。）
なお、消費者物価の前年比は上昇しているものの、石油製品、その他特殊要因を除くとゼロ近傍で推移している。
ただし、海外経済の動向などが今後の物価動向に与える影響については注視していく必要がある。
株価は、15,600円（日経平均株価）台から16,300円台まで上昇した後、15,700円台まで下落している。長期金利は、1.9％付近から1.7％台前半まで低下している。
株価は、アメリカ株価の上昇や好調な企業業績等を背景に、15,600円（日経平均株価）台から16,300円台まで上昇した後、アメリカの利上げ懸念や国内経済指標の市場予想比下振れ等を受けて15,700円台まで下落している。対米ドル円レートは、115円台から117円台で推移している。
短期金利についてみると、無担保コールレート（オーバーナイト物）は、0.25％付近で推移している。ユーロ円金利（３ヶ月物）は、0.4％台前半で推移している。長期金利は、アメリカの長期金利の低下や国内の追加利上げ観測の後退等を背景に、1.9％付近から1.7％台前半まで低下している。企業金融については、企業の資金繰り状況は改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは総じて低水準で推移している。
マネタリーベースは、日銀当座預金残高が前年比で減少したことから、前年比マイナス20％程度の伸びとなっている。Ｍ２＋ＣＤは、前年比0.5％の伸びとなっている。
４．海外経済
世界の景気は着実に回復している。
アメリカでは、個人消費等の伸びは緩やかになっているものの、景気は拡大している。
2006年４－６月期では、消費が前期比年率2.6％増、設備投資が同4.7％増と伸びが鈍化したことや、住宅投資が同9.8％減となったことなどから、ＧＤＰ成長率は同2.9％増となった。物価面ではコア物価上昇率は緩やかに上昇している。
８月８日に開催されたＦＯＭＣでは、金融政策の累積的効果、その他総需要を抑制する複数の要因などから、インフレ圧力はいずれ落ち着く可能性が高いとし、2004年５月以来２年３ヶ月ぶりに政策金利は据え置きとされた。
アジアでは、中国等で景気は拡大が続いている。
中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資は、高い伸びが続いている。台湾、シンガポールでは、外需を中心に景気は拡大している。マレーシアでは、内需を中心に景気は拡大している。タイでは、景気の拡大は緩やかになっている。韓国では、景気は緩やかに拡大している。
ユーロ圏及び英国では、景気は回復している。
ユーロ圏では景気は回復している。ドイツでは、輸出や生産が増加するなど、企業部門を中心に回復している。フランスでは、消費や輸出が増加するなど、回復している。
英国では、景気は回復している。
国際金融情勢等
金融情勢をみると、世界の主要な株価は上昇した。主要国の長期金利は低下した。ドルは名目実効為替レートで横ばいで推移した。原油価格は下落している。
（注）
＜個人消費＞
消費総合指数(内閣府試算値)は、６月季節調整済前月比0.4％減の後、７月は同1.0％減となった。なお、消費総合指数は「四半期別ＧＤＰ速報」（ＱＥ）の推計方法の変更に伴い、2005年２月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
（https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
「家計調査」の実質消費支出は、６月季節調整済前月比0.9％減の後、７月は同1.7％減(前年同月比1.3％減)となった。
「家計調査」の実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、７月は季節調整済前月比1.3％減（前年同月比2.2％減）となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、７月は実質前年同月比0.5％減となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、６月季節調整済前月比0.1％減の後、７月は同1.7％減（前年同月比0.2％減)となった。また、百貨店販売額は、７月は前年同月比1.4％減(既存店)(季節調整済前月比0.0％(全店))となった。スーパー販売額は、７月は前年同月比2.0％減（既存店）(季節調整済前月比2.9％減(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、７月前年同月比5.2％減（既存店）、同2.4％減（全店）となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、７月季節調整済前月比8.7％減の後、８月(速報値)は同6.0％増となった。なお、最新月はナンバーベース（特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する）によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース（特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない）によるものであり、両者は厳密には一致しない。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は６月前年同月比4.1％減の後、７月は同3.9％減となった。海外旅行は６月前年同月比7.2％増の後、７月は同6.1％増となった。
外食（日本フードサービス協会調べ）は、６月前年同月比3.4％増（全店）の後、７月は同2.9％増（全店）となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、３月前期差0.3ポイント改善の後、６月は同2.0ポイント悪化となった。消費者態度指数（原数値）は、７月前月差1.4ポイント改善の後、８月は同1.0ポイント悪化となった。
＜設備投資＞
設備投資総合指数(内閣府試算値)は、６月（確報値）季節調整済前月比0.8％減の後、７月（速報値）は同0.1％減となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照（https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html）。
2006年４－６月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」（全規模全産業、ソフトウェアを除く）でみると、季節調整済前期比5.7％増（前年同期比18.4％増）となっており、うち製造業では同3.2％増（同15.2％増）、非製造業では同7.1％増（同20.1％増）となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比14.4％増、非製造業で同6.1％増となっており、全産業では同9.0％増となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷（除く輸送機械）をみると、６月（確報値）は季節調整済前月比4.5％増（前年同月比11.4％増）の後、７月（速報値）は同0.8％増（同10.9％増）となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（６月調査）により設備投資の動向をみると、大企業の2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比16.4％増、非製造業で同8.9％増となっており、全産業では同11.6％増となっている。また、中小企業では製造業で同1.3％減、非製造業で同14.6％減となっており、全産業では同11.0％減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、６月（確報値）は前年同月比8.3％増の後、７月（速報値）は同6.1％増となっている。
機械受注（船舶・電力除く民需）は、６月は季節調整済前月比8.5％増（前年同月比17.7％増）の後、７月は同16.7％減（同1.2％減）となっている。なお、2006年７－９月期（見通し、６月調査時点）の機械受注（船舶・電力除く民需）は、季節調整済前期比4.9％増（前年同期比16.5％増）と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物（民間）の工事費予定額をみると、６月は季節調整済前月比8.0％減（前年同月比9.5％減）の後、７月は同6.9％増（同2.8％増）となっている。
＜住宅建設＞
国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数（季節調整済前期比）は、2006年１－３月期は0.0％増、４－６月期は2.6％増、５月は3.1％減、６月は0.9％減、７月は5.7％減となった。内訳をみると、持家の着工（同）は、2006年１－３月期は2.3％減、４－６月期は0.9％増、５月は4.4％増、６月は3.1％減、７月は3.8％減となり、貸家の着工（同）は、2006年１－３月期は5.1％増、４－６月期は4.1％減、５月は1.4％減、６月は1.3％減、７月は3.9％増となり、共同建分譲住宅の着工（同）は、2006年１－３月期は3.1％減、４－６月期は21.6％増、５月は25.5％減、６月は5.2％増、７月は34.8％減となった。また、新設住宅着工床面積（同）は、2006年１－３月期は2.3％減、４－６月期は3.7％増、５月は1.7％減、６月は0.5％減、７月は7.0％減となった。
＜公共投資＞
国の平成18年度一般会計予算（当初予算）をみると、公共投資関係費は、前年度比4.8％減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野に重点化している。
地方の予算をみると、平成18年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.2％減（規模是正後は、19.2％減）と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」等に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの１件500万円以上の建設工事受注額（「建設工事受注動態統計調査」）は、前年同月比で６月は16.4％減の後、７月は24.5％減となった。大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で６月は2.6％減の後、７月は51.4％減となった。公共工事請負金額（「公共工事前払金保証統計」）は、前年同月比で６月は13.2％減の後、７月は4.3％減となった。公共工事出来高（「建設総合統計」）は、前年同月比で５月は9.5％減の後、６月は12.7％減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で５月は5.7％減の後、６月は2.8％減となった。
＜輸出・輸入・国際収支＞
通関輸出（数量ベース、季節調整値）は、前月比で2006年６月0.4％増の後、７月0.1％減（前年同月比5.9％増）となった。また、前期比で１－３月期は4.3％増の後、４－６月期は0.4％減（前年同期比8.7％増）となっている。
通関輸入（数量ベース、季節調整値）は、前月比で2006年６月3.3％増の後、７月1.2％減少（前年同月比4.0％増）となった。また、前期比で１－３月期は4.1％増の後、４－６月期は0.9％増（前年同期比4.5％増）となっている。
貿易・サービス収支（季節調整値）の黒字は、2006年５月は7,151億円の後、６月は4,197億円、通関収支差（季節調整値）は、2006年６月は6,753億円の後、７月は8,150億円となった。
＜生産・出荷・在庫＞
７月の鉱工業生産指数（季節調整値、速報）は、電子部品・デバイス、化学等の増加があったものの、一般機械、輸送機械等の減少により、前月比0.9％減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、８月は電子部品・デバイスや輸送機械等が増加することにより4.2％増の後、９月は輸送機械や一般機械等の減少により1.4％減になると見込まれている。
７月の鉱工業生産者製品在庫指数（季節調整値、速報）は、前月比1.0％減となった。また、７月の鉱工業生産者製品在庫率指数（季節調整値、速報）は101.4となっている。
第３次産業活動指数（季節調整値）は、６月（速報）前月比0.6％減となった。また、４－６月の平均（３カ月移動平均値）による対３ヶ月前比（同１－３月平均対比）をみると0.6％増となっている。
＜企業＞
財務省「法人企業統計季報」によると、2006年４－６月期の経常利益は、全産業で前年同期比10.1％増、製造業は11.4％増、非製造業は9.1％増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（６月調査）によると、2006年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比1.4％の減益、下期は3.9％の増益、通期では前年比1.5％の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（６月調査、業況水準について「良い」－「悪い」）をみると、大企業は横ばいの20％ポイント、中小企業は１％ポイント改善してマイナス２％ポイント、全規模合計では１％ポイント改善して６％ポイントとなった。
＜倒産＞
企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、７月の企業倒産件数（負債額1,000万円以上）は1,051件（前年同月比2.6％増）、負債総額3,099億円（同35.2％減）となっている。また、大型倒産（負債額10億円以上）は、59件（同0.0％）となっており、㈱クリスタルリンクスゴルフクラブ（ゴルフ場経営、負債178億円）、㈱ハートランド（ゴルフ場経営、負債148億円）、ローレル開発㈱（ゴルフ場経営、負債140億円）など（東京商工リサーチ調べ）。
＜雇用情勢＞
総務省「労働力調査」によると、７月の完全失業率（季節調整値）は、男女計で前月比0.1％ポイント低下し4.1％となった。また、15～24歳層の完全失業率（原数値）は7.8％となった。完全失業者数（季節調整値）は、男女計で前月差11万人減の269万人となった。
「労働力調査」により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数（季節調整値）は、７月の非自発的な離職による者は、前月差８万人減の83万人、自発的な離職による者は、前月差２万人増の104万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、６月季節調整済前月比0.5％減の後、７月は同0.9％減（前年同月比4.5％増）となった。有効求人数は、６月同0.8％増の後、７月は同1.2％増（同7.3％増）となった。新規求職件数は、６月同1.6％増の後、７月は同2.8％増（同0.0％減）となった。有効求職者数は、６月同0.3％減の後、７月は同0.3％増（同5.1％減）となった。新規求人倍率（季節調整値）は６月1.62倍の後、７月1.56倍となった。有効求人倍率（季節調整値）は、６月1.08倍の後、７月1.09倍となった。
「労働力調査」によると、雇用者数（季節調整値）は、男女計で６月は前月比0.1％増の後、７月は同0.7％減の5,449万人となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用指数（労働者計）は、事業所規模５人以上では６月は季節調整済前月比0.1％増（前年同月比1.0％増）の後、７月は同0.1％増（同1.1％増）（速報値）となった。
「毎月勤労統計調査」によると、所定外労働時間（製造業）は、事業所規模５人以上では６月は季節調整済前月比0.7％増(前年同月比3.2％増）の後、７月は同1.2％増（同5.0％増）（速報値）となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計で１－３月期の12％から４－６月期は12％となった。
「毎月勤労統計調査」によると、きまって支給する給与は、事業所規模５人以上では６月季節調整済前月比0.0％（前年同月比0.0％）の後、７月は同0.2％減（同0.0％）（速報値）となった。現金給与総額は、事業所規模５人以上では６月季節調整済前月比0.6％増（前年同月比1.0％増）の後、７月は同1.7％減（同0.1％減）（速報値）となった。７月の特別に支払われた給与は、事業所規模５人以上では前年同月比0.4％減（速報値）、６月と７月の合計は前年同期比1.3％増（速報試算値）となった。
＜物価＞
日本銀行「企業物価指数」の輸出物価（円ベース）は、2006年８月（速報値）は前月比0.7％の上昇（前年同月比5.7％の上昇）、３ヶ月前比は3.8％の上昇となった。輸入物価（円ベース）は、８月（速報値）は前月比2.1％の上昇（前年同月比18.5％の上昇）、３ヶ月前比は7.1％の上昇となった。また、国内企業物価は、８月（速報値）は前月比0.2％の上昇（前年同月比3.4％の上昇）、３ヶ月前比は0.9％の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の７月（速報値）の企業向けサービス価格は前年同月比0.1％の下落（前月比0.0％）となった。
総務省「消費者物価指数」（全国）の生鮮食品を除く総合は、７月は前年同月比0.2％の上昇（季節調整済前月比0.0％）、５－７月平均の前年同期比は0.2％の上昇となった。一般サービスは、７月は前年同月比0.1％の下落、５－７月平均の前年同期比は0.1％の下落となった。一般商品は、７月は前年同月比0.3％の上昇、５－７月平均の前年同期比は0.1％の上昇となった。公共料金は、７月は前年同月比0.6％の上昇、５－７月平均の前年同期比は0.4％の上昇となった。また、「消費者物価指数」（東京都区部、中旬速報値）の生鮮食品を除く総合は、2006年８月は前年同月比0.0％（季節調整済前月比0.0％）、６－８月平均の前年同期比は0.0％となった。
＜金融＞
無担保コールオーバーナイトレートは、８月月中は、0.216％～0.266％で推移した。３ヶ月物ユーロ円ＴＩＢＯＲは、８月は0.43％台で推移した。新発10年国債流通利回りは、８月は、1.6％～1.9％台で推移した。
東証株価指数（ＴＯＰＩＸ）は、８月末は1,634ポイントとなった。日経平均株価は、８月末は16,140円となった。
対米ドル円レート（インターバンク直物中心レート）は、８月末は117.32円となった。対ユーロ円レート（インターバンク17時時点）は、８月末は150.68円となった。
マネタリーベース（月中平均残高）は、８月は前年同月比20.2％減となった。８月の日銀当座預金平均残高は9.1兆円となった。
Ｍ２＋ＣＤ（月中平均残高）は、前年同月比0.5％増となった（８月速報）。広義流動性は、８月（速報）は前年同月比2.0％増となった。金融機関(全国銀行)の貸出（月中平均残高）は、８月（速報）は前年同月比1.9％増（貸出債権流動化・償却要因等調整後2.7％増）となった。８月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行（国内市場発行分）は40億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、5,820億円（銀行起債の普通社債は500億円）となった。国内銀行の貸出約定平均金利（新規実行分）は、７月は前月比で短期は0.097％ポイント上昇し、長期は0.104％ポイント上昇したことから、総合では0.097％ポイント上昇し1.545％となった。
＜景気ウォッチャー調査＞
内閣府「景気ウォッチャー調査」の８月の現状判断ＤＩは、前月を1.8ポイント上回り、50.2となった。先行き判断ＤＩは、前月を1.7ポイント上回り、51.5となった。