月例経済報告(平成17年2月)

―景気は、一部に弱い動きが続いており、回復が緩やかになっている。―

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

平成17年2月22日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、一部に弱い動きが続いており、回復が緩やかになっている。

  • 企業収益は大幅に改善し、設備投資は増加している。
  • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
  • 輸出、生産は弱含んでいる。

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の早期具体化により、構造改革の取組を加速・拡大する。1月21日、「平成17年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」及び「構造改革と経済財政の中期展望-2004年度改定」を閣議決定し、平成17年度予算案を国会に提出した。

政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行うとともに、集中調整期間終了後におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政策努力を更に強化する。

各論

1.消費・投資などの需要動向

平成16年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間企業設備がプラスに寄与したものの、民間最終消費支出、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がマイナスに寄与したことなどから、前期比で0.1%減(年率0.5%減)となった。また、名目GDP成長率は前期比で0.0%となった。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。

個人消費は、高めで推移した気温等の一時的な要因もあっておおむね横ばいとなっている。所得面については底堅く推移し、また消費者マインドは改善が続いている。需要側統計(家計調査)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、このところおおむね横ばいとなっている。
個別の指標について12月の動きをみると、家計調査では、実質消費支出は前月に比べて減少した。一方、販売側の統計をみると、小売業販売額は、前月に比べて減少したものの、均してみるとおおむね横ばいとなっている。百貨店販売額やチェーンストア販売額では、中旬まで続いた高い気温による季節衣料の不振等から、前年を下回った。家電販売金額は、パソコンや暖房器具は不振だったものの、DVDレコーダーや薄型テレビなどの売れ行きは引き続き好調なことから、前年並みとなった。新車販売台数は、新型車の販売が好調だったこともあり、前月を上回った。旅行は、国内、海外旅行ともに前年を下回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢の改善が家計の所得改善につながれば、個人消費は増加していくものと期待される。

設備投資は、増加している。

設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、増加している。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの統計を合成した設備投資総合指数は、増加している。
日銀短観によれば2004年度設備投資計画は2年連続で増加となり、12月調査としては、大企業製造業では1989年以来、中小企業製造業では1990年以来の高い伸びとなっている。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は横ばいとなっている。先行指標をみると、機械受注は、製造業が2ヶ月連続して増加するなど、持ち直している。建築工事予定額はおおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。これは、持家の着工が弱含みとなっているが、貸家、分譲住宅が底堅く推移していることによる。総戸数は、12月は、前月比2.9%増の年率118.5万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。なお、平成16年の住宅建設は、持家がやや減少したものの、貸家、分譲住宅が増加したことから前年比2.5%増の118.9万戸となり、2年連続の増加となった。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などが回復していけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。ただし、年度末に向けて補正予算等による影響も見込まれる。
平成16年度の公共投資の関連予算をみると、国の当初予算では、公共投資関係費を前年度比3.3%減としていたところ、平成17年2月1日に成立した平成16年度補正予算において、災害復旧等事業費を含め、計1.2兆円の公共事業等を追加するなどの予算措置を講じることとしたため、補正後の平成16年度公共投資関係費は、前年度比8.2%増となった。また、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比9.5%減としつつ、重点的な配分を行うとしている。
平成16年10-12月期は、公共工事受注額、公共工事請負金額及び大手50社受注額は、前期に引き続き、前年を下回った。
平成17年1-3月期の公共投資については、1月の公共工事請負金額は前年を下回るなど、基調としては減少傾向にあると考えられるが、年度末に向けて補正予算等による影響で一時的な増加も見込まれる。

輸出は、弱含みとなっている。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、弱含みとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器が横ばいとなり、全体としても横ばいとなっている。アメリカ向け輸出は、電気機器が弱含むものの、輸送用機器や一般機械が底堅く推移し、全体として横ばいとなっている。EU向け輸出は、弱含みとなっている。先行きについては、世界の景気は着実に回復していることに伴って、緩やかに増加していくものと考えられるものの、為替レートの動向には引き続き留意する必要がある。
輸入は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、機械機器などが増加したものの鉱物性燃料、繊維製品などが減少し横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、化学製品などが増加したものの機械機器などが減少し横ばいとなっている。EUからの輸入は、機械機器が増加したものの全体としては横ばいとなっている。
国際収支をみると、輸出数量は弱含み、輸入数量は横ばいとなっており、貿易収支の黒字幅はおおむね横ばいとなっている。一方、サービス収支の赤字幅はおおむね横ばいとなっていることから、貿易・サービス収支の黒字はおおむね横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、弱含んでいる。

鉱工業生産は、情報化関連生産財で生産を調整する動きが強まっていることに加え、輸出が弱含んでいることなどから、弱含んでいる。在庫は、全体としては低水準で推移しているものの、情報化関連生産財では増加基調にある。
先行きについては、世界の景気は着実に回復しているものの、情報化関連生産財の生産調整が続いていることから、当面、生産の伸びは低くなることが見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、1月は増加、2月は減少が見込まれている。
また、第3次産業活動は、緩やかに増加している。

企業収益は、大幅に改善している。また、企業の業況判断は、改善に一服感がみられる。倒産件数は、減少している。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2004年7-9月期の経常利益は、売上高の増加等により前年同期比37.8%と2000年4-6月期以降、最も高い増益率となり、9四半期連続で増益となった。なお業種別にみると、製造業が35.6%、非製造業が39.3%の増益となっている。「日銀短観」によると、2004年度は、製造業、非製造業ともに3年連続の増益計画になっている。上期は、上方修正されたが、下期は、下方修正された。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、改善に一服感がみられる。大企業製造業の業況判断は、7四半期ぶりに前回を下回ったものの、高水準にある。
また、企業倒産は、減少している。倒産件数は1,100件を下回り、これは1月としては1995年以来の低い水準となっている。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
完全失業率は、12月は前月比0.1%ポイント低下し4.4%となった。完全失業者が減少し、就業者が増加した。一方、15~24歳層の完全失業率が高水準となっているなど、厳しい状況もみられる。
新規求人数は増加傾向となっている。有効求人倍率は上昇している。また、雇用者数は、このところ伸び悩んでいる。製造業の残業時間は弱含んでいる。
賃金の動きをみると、所定外給与の伸びが鈍化していることから定期給与はやや弱い動きとなっている。なお、11-12月計でみたボーナスを含む特別給与は前年を上回っている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価、消費者物価は、ともに横ばいとなっている。

国内企業物価は、これまで上昇が続いていたが、このところ横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、鉄鋼などが上昇している一方、電気機器が下落しているほか、これまで国内企業物価の上昇に寄与してきた石油製品が下落している。輸入物価(円ベース)は、原油市況の軟化や円高を反映して、下落している。
企業向けサービス価格は、前年比で小幅な下落が続いている。
消費者物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、おおむね横ばいで推移する中で、石油製品は上昇が一服している一方、米類は下落している。一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいとなっている。
なお、消費者物価は前年比では小幅な下落基調が続いているなど、物価の動向を総合してみると、物価は緩やかなデフレ状況にある。

為替レートは、対米ドルで102円台から円安方向に動き、このところ105円付近で推移している。長期金利は、1.2%台まで低下した後、このところ1.4%台で推移している。

株価は、米国株価の下落等を背景に下落した後、円安が好感されたことなどから11,600円(日経平均株価)程度まで上昇している。対米ドル円レートは、米国の経常・財政赤字への懸念の後退や米国の金利先高観の強まり等から、102円台から円安方向に動き、このところ105円付近で推移している。
短期金利は落ち着いている。長期金利は、景気先行き不透明感や金融機関による国債運用姿勢の強まり等から1.2%台まで低下した後、株価上昇等を背景に上昇し、このところ1.4%台で推移している。企業金融については、企業の資金繰り状況はおおむね改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは低水準で推移している。
マネタリーベースの伸びは、低下している。M2+CDの伸びは、昨年9月以降、横ばいとなっている。

4.海外経済

世界の景気は着実に回復している。

アメリカでは、景気は拡大している。

2004年10-12月期は、個人消費が前期比年率4.6%、設備投資が同10.3%の伸びとなったことにより、GDP成長率は同3.1%となった。この結果2004年全体では4.4%の高成長となった。
この拡大傾向は今後も続き、2005年は、潜在成長率を上回る3%台半ばの成長が見込まれている。
2月上旬に行われた予算教書演説においては、2005会計年度の財政収支赤字が4266億ドルと過去最大となる一方、2009会計年度までの5年間で赤字幅を半減させる方針が示された。

アジアでは、中国、タイ等で景気は拡大が続いている。

中国では、固定資産投資は伸びに低下の動きがみられるものの拡大が続き、景気は拡大が続いている。タイでは、消費や投資を中心に景気は拡大している。マレーシア、シンガポールでは、消費が増加するなど、景気は拡大している。台湾では、景気は拡大している。韓国では、景気は回復を続けているものの、輸出や生産に弱い動きがみられる。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しており、英国の景気は堅調に回復している。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。ドイツでは、景気の回復は緩やかになっている。フランスでは、消費は増加傾向にあるなど、景気は回復している。
英国では、輸出が緩やかに増加するなど、景気は堅調に回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は1月下旬以降上昇している。主要国の長期金利は横ばいで推移している。ドルは2月上旬に主要通貨に対して増価した。
原油価格は、1月に上昇した後、40ドル台後半で推移している。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、11月季節調整済前月比0.0%減の後、12月(速報値)は同0.2%増となった。なお、消費総合指数は四半期別GDP速報(QE)の推計方法の変更に伴い、今月より改訂を実施した。作成・改訂方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
家計調査の全世帯実質消費支出は、11月季節調整済前月比0.8%増の後、12月(速報値)は同2.5%減(前年同月比3.5%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、12月(速報値)は季節調整済前月比2.9%減(前年同月比4.3%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、11月季節調整済前月比0.8%減の後、12月は同0.8%減(前年同月比1.0%減)となった。また、百貨店販売額は、12月は前年同月比2.8%減(既存店)(季節調整済前月比1.1%減(全店))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、11月前年同月比4.8%減(既存店)の後、12月は同5.3%減(既存店)(季節調整済前月比3.0%減(全店))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、12月季節調整済前月比1.9%増の後、1月(速報値)は同1.6%増となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、11月前年同月比5.5%減の後、12月は同0.3%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は11月前年同月比5.7%減の後、12月は同4.4%減となった。海外旅行は11月前年同月比20.8%増の後、12月は同4.6%減となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、11月前年同月比2.8%減(全店)の後、12月は同0.7%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、9月前期差2.3ポイント改善の後、12月は同0.2ポイント悪化となった。消費者態度指数(原数値)は、12月前月差4.0ポイント悪化の後、1月は前月差3.4ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、11月(速報値)季節調整済前月比3.4%増の後、12月(速報値)は同3.4%増となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2004年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比2.4%増(前年同期比13.9%増)となっており、うち製造業では同6.2%増(同15.6%増)、非製造業では同0.7%増(同13.1%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2004年度設備投資計画は、製造業で前年度比15.9%増、非製造業で同0.8%減となっており、全産業では同4.4%増となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、11月(確報値)は季節調整済前月比1.9%増(前年同月比13.3%増)の後、12月(確報値)は同11.3%増(同23.2%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2004年度設備投資計画は、製造業で前年度比23.4%増、非製造業で同1.1%増となっており、全産業では同7.7%増となっている。また、中小企業では製造業で同18.0%増、非製造業で同5.4%減となっており、全産業では同0.3%増となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、11月(確報値)は前年同月比3.6%増の後、12月(速報値)は同3.4%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、11月は季節調整済前月比19.9%増(前年同月比15.1%増)の後、12月は同8.8%減(同0.9%減)となっている。なお、2005年1-3月期(見通し、12月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比9.9%増(前年同期比17.5%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、11月は季節調整済前月比10.3%減(前年同月比4.9%増)の後、12月は同2.7%増(同6.3%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成16年7-9月期は7.0%増、10-12月期は3.7%減、10月は4.8%減、11月は2.9%減、12月は2.9%増となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、平成16年7-9月期は10.3%増、10-12月期は11.6%減、10月は5.9%減、11月は3.8%減、12月は2.5%増となり、貸家の着工(同)は、平成16年7-9月期は7.0%増、10-12月期は0.7%増、10月は1.9%減、11月は1.8%減、12月は4.9%増となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、平成16年7-9月期は9.1%増、10-12月期は9.6%減、10月は17.3%減、11月は7.3%減、12月は2.1%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成16年7-9月期は9.9%増、10-12月期は8.3%減、10月は7.5%減、11月は4.1%減、12月は2.1%増となった。

<公共投資>

平成16年度の国の一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、公共投資関係費は、前年度比8.2%増となっている。なお、平成17年度一般会計予算案では、公共投資関係費について、前年度比4.0%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比6.9%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比7.8%減、6.8%減となっている。なお、平成17年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比8.2%減と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」等に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で11月は5.3%減の後、12月は17.0%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で11月は9.6%増の後、12月は18.2%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で12月は14.6%減の後、1月は12.6%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で11月は11.2%減の後、12月は11.1%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で11月は1.4%増の後、12月は0.4%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で平成16年11月0.0%減の後、12月1.3%減(前年同月比2.8%増)となった。また、前期比で7-9月期は2.4%減の後、10-12月期は0.3%減(前年同期比4.4%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で平成16年11月0.4%増の後、12月5.0%減(前年同月比2.7%増)となった。また、前期比で7-9月期は0.5%減の後、10-12月期は1.3%増(前年同期比5.8%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成16年11月は6,896億円の後、12月は8,565億円、通関収支差(季節調整値)は、平成16年11月は9,754億円の後、12月は8,922億円となった。

<生産・出荷・在庫>

12月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、電子部品・デバイス、情報通信機械等が減少したことから、前月比0.8%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、1月は輸送機械や電子部品・デバイス等の増加により2.8%増の後、2月は鉄鋼や化学等の減少により1.2%減になると見込まれている。
12月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比2.0%減となった。また、12月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は94.2となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、11月(速報)前月比0.4%増となった。また、9-11月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同6-8月平均対比)をみると0.3%増となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2004年7-9月期の経常利益は、全産業で前年同期比37.8%増、製造業は35.6%増、非製造業は39.3%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、2004年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比32.2%の増益、下期は2.8%の増益、通期では前年比15.3%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント悪化して16%ポイント、中小企業は2%ポイント改善してマイナス7%ポイント、全規模合計では1%ポイント悪化して1%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、1月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,022件(前年同月比13.4%減)、負債総額6,217億円(同35.3%増)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,039件(同13.8%減)、負債総額は5,984億円(同32.0%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、79件(同11.2%増)となっており、(株)富士エクセレント倶楽部(ゴルフ場経営、負債958億円)、(株)ニノミヤ(家電小売、負債279億円)、(株)平野町開発(不動産賃貸、負債270億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、12月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.1%ポイント低下し4.4%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は7.5%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差6万人減の293万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、11月の非自発的な離職による者は、前月差3万人減の106万人、自発的な離職による者は、前月差1万人増の107万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、11月季節調整済前月比16.3%増の後、12月は同6.8%減(前年同月比10.3%増)となった。有効求人数は、11月同7.8%増の後、12月は同0.2%増(同15.0%増)となった。新規求職件数は、11月同22.2%増の後、12月は同11.0%減(同7.1%減)となった。有効求職者数は、11月同2.4%増の後、12月は同1.5%減(同6.1%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は11月1.38倍の後、12月1.45倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、11月0.92倍の後、12月0.94倍となった。
労働力調査によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で11月は前月比0.3%減の後、12月は前月比0.0%減の5,334万人となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では11月季節調整済前月比0.6%増(前年同月比3.1%増)の後、12月は同1.7%減(同0.5%増)となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では11月季節調整済前月比0.1%増(前年同月比0.4%減)の後、12月は同0.0%(同0.3%減)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では12月前年同月比0.5%減となった。特別に支払われた給与は、事業所規模5人以上では12月前年同月比0.5%減、11月と12月の合計は前年同期比1.3%増となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成17年1月(速報値)は前月比0.5%の下落(前年同月比0.7%の上昇)、3ヶ月前比は3.0%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、1月(速報値)は前月比0.8%の下落(前年同月比5.7%の上昇)、3ヶ月前比は3.4%の下落となった。また、国内企業物価は、1月(速報値)は前月比0.3%の下落(前年同月比1.3%の上昇)、3ヶ月前比は0.3%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の12月の企業向けサービス価格は前年同月比0.4%の下落(前月比0.2%の下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、12月は前年同月比0.2%の下落(季節調整済前月比保合い)、10-12月平均の前年同期比は0.2%の下落となった。一般サービスは、12月は前年同月比保合い、10-12月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、12月は前年同月比保合い、10-12月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。公共料金は、12月は前年同月比1.3%の下落、10-12月平均の前年同期比は1.1%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、1月は前年同月比0.5%の下落(季節調整済前月比0.3%の下落)、11-1月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、1月月中は、0.001%~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、1月は、0.09%台~0.10%台で推移した。10年物国債流通利回り(公社債店頭売買参考統計値)は、1月は、1.3%台~1.4%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、1月末は1,146ポイントとなった。日経平均株価は、1月末は11,387円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、1月末は103.60円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、1月末は134.84円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、1月は前年同月比3.9%増となった。1月の日銀当座預金平均残高は33.4兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比2.0%増となった(1月速報)。広義流動性は、1月(速報)は前年同月比3.7%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、1月(速報)は前年同月比3.0%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.0%減)となった。1月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、3,200億円(銀行起債の普通社債は1,850億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、12月は前月比で短期は0.006%ポイント減少し、長期は0.172%ポイント上昇したことから、総合では0.071%ポイント上昇し1.553%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は改善している。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の1月の現状判断DIは、前月を0.8ポイント上回り、45.0となった。先行き判断DIは、前月を4.3ポイント上回り、48.3となった。