月例経済報告(平成15年12月)

―景気は、持ち直している。―

先行きについては、アメリカ経済等が回復する中で、景気の上向きの動きが続くものと見込まれる。一方、今後の株価・為替レートなどの動向には留意する必要がある。

平成15年12月18日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、持ち直している。

  • 設備投資は増加している。企業収益は改善が続いている。
  • 輸出は緩やかに増加しており、生産は持ち直している。
  • 個人消費は、おおむね横ばいで推移しているが、底固さがみられる。
  • 雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。

先行きについては、アメリカ経済等が回復する中で、景気の上向きの動きが続くものと見込まれる。一方、今後の株価・為替レートなどの動向には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」の早期具体化により、構造改革の一層の強化を図る。また、12月5日、「改革断行予算」を継続するとの方針を示した「平成16年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。

政府は、12月1日、金融危機を未然に防ぐため、足利銀行の特別危機管理を開始するとともに、同行が業務を行っている地域の金融及び経済の安定に万全を期すこととした。また、同行に対し、日本銀行は、業務継続に必要な資金を供給する方針を決定した。

政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、おおむね横ばいで推移しているが、底固さがみられる。

個人消費は、おおむね横ばいで推移しているが、底固さがみられる。この背景としては、所得がおおむね横ばいとなっていることに加え、消費者マインドが持ち直していることが挙げられる。需要側統計(家計調査)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、10月は前月に比べて増加している。
個別の指標について10月の動きをみると、家計調査では、実質消費支出が前月に比べて減少した。一方、販売側の統計をみると、小売業販売額は、秋冬物衣料や乗用車の販売が好調であったことから、前月から増加した。チェーンストア販売額は、2002年6月以来16ヶ月ぶりに前年を上回った。百貨店販売額は、前年を上回った。新車販売台数は、10月は7ヶ月ぶりに前年を上回ったが、11月は大きく減少した。家電販売金額は、DVDやデジタルカメラなどの売れ行きが好調であることなどから、引き続き前年を上回った。旅行は、国内旅行は前年を上回った。海外旅行は引き続き前年を下回ったが、減少幅は縮小している。
先行きについては、当面、現状のような推移が続くと見込まれるが、家計の所得環境が改善していけば、個人消費にも徐々に持ち直しの動きが出てくるものと期待される。

設備投資は、増加している。

設備投資は、企業収益の回復や資本ストック調整の進展等を受けて、増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、季節調整済前期比で平成14年10-12月期に持ち直しに転じ、増加基調にある。また、ソフトウェア投資は、おおむね横ばいとなっている。
日銀短観によれば15年度設備投資計画は3年ぶりに全規模全産業で増加に転じ、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感も改善の動きが続いている。また、先行指標をみると、機械受注は基調としては緩やかに増加しており、建築工事予定額はおおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続くものと見込まれること等から、当面増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、平成15年度に入って、一時的な増加と反落があったものの、おおむね横ばいで推移している。総戸数は、10月は、持家は減少したものの、貸家、分譲住宅が増加したことから、前月比6.8%増の年率120.4万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。先行きについては、雇用・所得環境が持ち直すなど、消費者の住宅取得マインドが改善に向えば、住宅着工は底堅く推移していくことも期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、国、地方の予算状況を反映して、総じて低調に推移している。
平成15年度の公共投資の関連予算をみると、国の公共投資関係費においては、前年度比3.7%減と規模を縮減しつつ、「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」など重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。また、平成15年度における地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減としつつ、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。
このような状況を反映して、公共工事受注額、公共工事請負金額及び大手50社受注額は、平成15年7-9月期も、前期に引き続き、前年を下回った。
10-12月期の公共投資については、10月、11月の公共工事請負金額なども前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

輸出は、緩やかに増加している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、緩やかに増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、中国向けの電気機器を中心として緩やかな増加基調にある。アメリカ向け輸出は、輸送用機器が足元で減少しているものの、全体としては横ばいとなっている。EU向け輸出は、機械機器を中心にこのところ増加している。先行きについては、世界の景気は着実に回復していることに伴って、緩やかに増加していくものと考えられるものの、為替レートの動向には引き続き留意する必要がある。
輸入は、事務用機器等の機械機器が増加基調にあるものの、鉱物性燃料が減少していることから、全体としては横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、鉱物性燃料や繊維製品が減少しているものの、全体としては横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器を中心に、減少している。EUからの輸入は、月々の振れが大きくなっているが、基調としては減少している。
国際収支をみると、海外旅行客の回復に伴いサービス収支の赤字幅が拡大している一方、輸出数量は持ち直しており、輸入数量が横ばいになっていることから、貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、持ち直している。

鉱工業生産は、輸出の持ち直しや設備投資の増加などをうけて、情報化関連生産財や資本財の増加等から持ち直している。在庫は低水準で横ばいとなっており、企業は在庫積み増しに慎重になっている。在庫率は低下している。
先行きについては、世界の景気が着実に回復していることに伴って、輸出を通じた生産の持ち直しは続くものと見込まれるほか、在庫率の低下も今後の生産増加につながることが期待される。なお、製造工業生産予測調査においては、11月は増加、12月は減少が見込まれている。
また、第3次産業活動は、横ばいとなっている。

企業収益は、改善が続いている。また、企業の業況判断は、改善がみられる。倒産件数は、減少している。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、人件費削減を中心とする企業のリストラ努力や売上高の増加等を背景に、平成15年7-9月期においても前年比で増益が続いており、季節調整済前期比でみても増益が続いている。「日銀短観」によると、15年度は引き続き増益が見込まれている。業種別にみると、製造業で前年比二桁の増益見込みであり、非製造業でも増益が見込まれている。規模別でみると、大企業・中小企業とも増益が見込まれている。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、製造業では引き続き改善がみられるほか、非製造業でも改善がみられる。先行きについては、全産業でやや悪化が見込まれている。
また、企業倒産は、セーフティーネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、減少している。

雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移し、雇用者数がこのところ弱含むなど、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。

企業の人件費抑制姿勢などの労働力需要面の要因や、雇用のミスマッチなどの構造的要因から、完全失業率が高水準で推移するなど、厳しい雇用情勢が続いている。
完全失業率は、10月は、前月比0.1%ポイント上昇し5.2%となった。就業者数が減少し、非労働力人口が増加したほか、完全失業者数も微増となった。
新規求人数は、増加傾向となっており、有効求人倍率も緩やかに上昇している。一方、雇用者数はこのところ弱含んでいる。製造業の残業時間については、増加傾向となっている。7-9月期に「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、低下した。また、企業の雇用過剰感は低下傾向にある。
賃金の動きをみると、10月の定期給与は前年同月比、前月比とも減少したものの、基調としては、横ばいとなっている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価、消費者物価は、ともに横ばいとなっている。

国内企業物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、電気機器などが引き続き下落しているが、堅調な市況を反映して鉄鋼、非鉄金属などが上昇しているほか、冷夏による米不作の影響により、農林水産物が上昇している。また、輸入物価(円ベース)は、為替の影響により、緩やかに下落している。
企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいたが、このところ一部に物価を下支えする動きもあり、前月比で横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、米類の上昇により、前年比下落幅が縮小している。他方、一般サービスは、おおむね横ばいで推移しているが、このところ企業の低価格戦略には一部変化の兆しもあり、外食が前年比で上昇している。また、公共料金は、前年比で上昇している。
なお、国内企業物価・消費者物価は現在横ばいとなっているが、物価を下支えする要因が一時的なものにとどまる可能性があることから、物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

株価は、おおむね1万円台で推移している。為替レートは、おおむね横ばいで推移している。

株価は、11月中旬に9,000円台後半(日経平均株価)まで下落したが、その後はおおむね1万円台で推移している。対米ドル円レートは、10月以降おおむね108円台から109円台で推移しているが、一時円高が進み107円台となった。ユーロレートは対円、対米ドルともに上昇し、対米ドルではユーロ創設以来の高値となっている。
短期金利は落ち着いている。長期金利は横ばいで推移し、このところ1.3%前後となっている。企業の資金繰り状況は改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは低水準で推移している。
マネタリーベースは、日本銀行の潤沢な資金供給などを背景に高い伸び(日本郵政公社当座預金を除く伸び率は14.1%)が続いている。M2+CDは、このところ伸びが低下している。

4.海外経済

世界の景気は着実に回復している。

アメリカでは、景気は力強く回復している。

7-9月期の成長率は前期比年率8.2%と19年振りの高成長となった。これは、消費、設備投資が高い伸びを示したことによる。労働生産性上昇率は20年振りの高い伸びとなり、企業収益は大幅に増加している。
また、生産が増加し、企業の雇用意欲も改善しており、雇用は持ち直している。これにより、消費者マインドは改善し、消費は基調として増加傾向にある。
今後も、消費、設備投資が増加することが期待され、4%前後の高成長が見込まれている。
12月上旬に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)では、望ましくないディスインフレの起こる可能性はこのところ低下し、インフレ率が高まる可能性と同程度と判断したが、現行の金融緩和政策については、相当程度の期間にわたって維持する方針が引き続き示された。

アジアでは、中国、タイ等で景気は拡大が続いており、その他では景気回復の動きがみられる。

中国では、消費の堅調な増加や輸出の高い伸びから生産が増加するなど、景気は拡大が続いている。タイでは、消費や投資を中心に景気は拡大している。マレーシアでは、消費や輸出が増加するなど、景気は緩やかに拡大している。台湾では、消費が緩やかに増加し、輸出や生産も増加するなど、景気は回復している。シンガポールでは、輸出や生産の伸びが高まるなど、景気は持ち直している。韓国では、消費が増加に転じ、輸出や生産も増加するなど、景気に持ち直しの動きがみられる。

ユーロ圏では、景気は持ち直しており、イギリスの景気は回復している。

ユーロ圏では、外需主導により成長率が3四半期ぶりにプラスに転じるなど、景気は持ち直している。ドイツでは、受注の持ち直しから生産が下げ止まりつつあり、さらに企業マインドの持続的な改善がみられるなど、景気は下げ止まっている。フランスでは、外需がプラスに転じ、消費、設備投資ともに緩やかに増加しており、景気は持ち直している。
イギリスでは、消費の増加が続いており、住宅着工が増加傾向にあるなど、景気は回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、アメリカの株価は、景気が回復していることなどからおおむね上昇基調で推移し、ヨーロッパでも株価は上昇している。アジアの株価はおおむね横ばいとなっている。主要国の長期金利は、11月上旬以降おおむね横ばいで推移している。ドルは、貿易収支赤字が拡大したことなどから減価している。
原油価格は、冬場の需給ひっ迫懸念などから上昇基調で推移した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、9月(速報値)季節調整済前月比0.9%増の後、10月(速報値)は同0.3%増となった。消費総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
家計調査の全世帯実質消費支出は、9月季節調整済前月比0.2%増の後、10月(速報値)は同1.2%減(前年同月比0.8%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、10月(速報値)は季節調整済前月比2.0%減(前年同月比0.4%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、9月季調済前月比0.4%増の後、10月(速報値)は同0.8%増(前年同月比0.2%増)となった。また、百貨店販売額は、10月(速報値)は、前年同月比0.6%増(店舗調整後)(季節調整済前月比0.0%(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、9月前年同月比4.6%減(店舗調整後)の後、10月は同0.6%増(店舗調整後)(季節調整済前月比4.1%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、10月前年同月比3.0%増の後、11月(速報値)は同6.7%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、9月前年同月比6.3%増の後、10月は同3.0%増となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、9月国内旅行が前年同月比0.2%減、海外旅行が同19.6%減の後、10月国内旅行が同2.2%増、海外旅行が同11.9%減となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差1.2ポイント改善の後、9月同2.7ポイント改善となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、10月前月差1.8ポイント改善の後、11月同0.1ポイント悪化した。

<設備投資>

平成15年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比3.8%減(前年同期比0.4%増)となっており、うち製造業では同1.6%増(同7.7%増)、非製造業では同6.2%減(同3.1%減)となっている。
平成15年7-9月期の大中堅企業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(実績見込)でみると、季節調整済前期比で3.4%増(前年同期比7.5%増)となっており、うち製造業では同16.1%増(同11.1%増)、非製造業では同1.5%減(同5.8%増)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、9月(確報値)は季節調整済前月比3.5%増(前年同月比2.0%増)の後、10月(確報値)は同5.3%増(同8.4%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成15年度設備投資計画は、製造業で前年度比11.1%増、非製造業で同1.6%増となっており、全産業では同5.2%増となっている。また、中小企業では製造業で同1.7%減、非製造業で同1.2%増となっており、全産業では同0.5%増となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、9月(確報値)は前年同月比3.0%減の後、10月(速報値)は同1.9%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、9月は季節調整済前月比1.6%減(前年同月比0.6%増)の後、10月は同17.4%増(同23.1%増)となっている。なお、平成15年10-12月期(見通し、9月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比12.0%増(前年同期比18.7%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、9月は季節調整済前月比3.2%減(前年同月比2.7%増)の後、10月は同5.2%増(同10.2%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年10-12月期は1.0%減、平成15年1-3月期は1.8%増、4-6月期は4.8%増、7-9月期は5.9%減、10月は6.8%増となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年10-12月期は0.0%増、平成15年1-3月期は2.3%増、4-6月期は0.4%増、7-9月期は3.3%減、10月は28.4%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年10-12月期は1.1%減、平成15年1-3月期は1.1%減、4-6月期は5.9%増、7-9月期は3.3%減、10月は3.2%増となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115、12月111、平成15年は、2月110、4月108、6月120、8月113、10月111となった。

<公共投資>

平成15年度の国の一般会計予算(当初予算)をみると、公共投資関係費は、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。なお、12月5日に閣議決定した「平成16年度予算編成の基本方針」では、公共投資関係費について、前年度比で3%以上削減しつつ、重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野への重点配分を行い、公共事業の国庫補助負担金については、「三位一体の改革」も踏まえ、その内容を見直すとともに、公共投資関係費全体の削減を上回る縮減を行うとしている。
地方の予算をみると、平成15年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比6.1%減、政令指定都市で同5.8%減、中核市で同8.9%減、その他の県庁所在市で同12.8%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比6.4%減となっている(骨格予算、暫定予算を編成した地方公共団体を除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で8月10.2%減の後、9月は22.6%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で9月15.7%減の後、10月は12.3%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で10月14.4%減の後、11月は23.0%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で8月14.8%減の後、9月は16.5%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で8月0.3%増の後、9月は1.4%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で9月3.5%増の後、10月1.4%増(前年同月比7.5%増)となった。また、前期比で4-6月期は0.9%増の後、7-9月期は1.1%増(前年同期比2.9%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で9月6.9%増の後、10月1.9%減(前年同月比8.9%増)となった。また、前期比で4-6月期は4.5%増の後、7-9月期は1.3%増(前年同期比5.0%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成15年9月は7,376億円の後、10月は8,489億円、通関収支差(季節調整値)は、平成15年9月は9,842億円の後、10月は10,374億円となった。

<生産・出荷・在庫>

10月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、輸送機械、電気機械等が増加したことから、前月比1.0%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、11月は一般機械や電子部品・デバイス等の増加により3.1%増の後、12月は一般機械やその他等の減少により0.9%減になると見込まれている。
10月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比0.3%減となった。また、10月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は93.7となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、9月(速報)前月比2.2%増となった。また、7-9月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同4-6月平均対比)をみると0.2%減となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、7-9月期の経常利益は全産業で前年同期比9.4%増、製造業は16.3%増、非製造業は5.0%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、平成15年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比13.5%の増益、下期は同7.4%の増益、通期では前年比10.0%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は7%ポイント改善して1%ポイント、中小企業は6%ポイント改善して△22%ポイント、全規模合計では6%ポイント改善して△15%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、11月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,114件(前年同月比22.3%減)、負債総額は9,749億円(同70.9%増)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,136件(同20.7%減)、負債総額は1兆88億円(同75.2%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、73件(同8.7%減)となっており、主な大型倒産としては、都築紡績(紡績業、負債2,418億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、10月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.1%ポイント上昇し5.2%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差2万人増の345万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差3万人減の148万人、自発的な離職による者は、同5万人増の117万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、9月季節調整済前月比10.4%増の後、10月は同0.4%減(前年同月比15.9%増)となった。有効求人数は、9月同4.5%増の後、10月は同2.9%増(同15.4%増)となった。新規求職件数は、9月同8.7%増の後、10月は同10.0%減(同5.5%減)となった。有効求職者数は、9月同0.6%減の後、10月は同2.7%減(同7.7%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は9月1.09倍の後、10月1.21倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、9月0.66倍の後、10月0.70倍となった。
労働力調査によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で9月前月比0.4%減の後、10月は同0.2%減の5,307万人となった。
労働力調査によると、失業期間1年以上の完全失業者数は7-9月平均116万人となった。完全失業者全体に占める失業期間1年以上の者の割合は7-9月平均34.3%となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では9月季節調整済前月比1.4%減(前年同月比6.4%増)の後、10月は同2.3%増(同8.9%増)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計では4-6月期の22%から7-9月期は19%となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では、9月調査の12%ポイントから、12月調査では9%ポイントとなった。製造業では、9月調査の14%ポイントから、12月調査では12%ポイントとなった。非製造業では、9月調査の9%ポイントから、10月調査では7%ポイントとなった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では9月季節調整済前月比0.3%増(前年同月比0.3%増)の後、10月は同0.4%減(同0.5%減)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では10月前年同月比0.2%減となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成15年11月(速報値)は前月比0.1%の下落(前年同月比5.9%の下落)、3ヶ月前比は5.2%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、11月(速報値)は前月比0.7%の上昇(前年同月比4.7%の下落)、3ヶ月前比は4.4%の下落となった。また、国内企業物価は、11月(速報値)は前月比0.1%の上昇(前年同月比0.5%の下落)、3ヶ月前比は0.1%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の10月の企業向けサービス価格は前年同月比1.0%の下落(前月比0.1%の下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、10月は前年同月比0.1%の上昇(季節調整済前月比0.1%の上昇)、8-10月平均の前年同期比は0.1%の下落となった。一般サービスは、10月は前年同月比0.1%の上昇、8-10月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般商品は、10月は前年同月比0.7%の下落、8-10月平均の前年同期比は0.9%の下落となった。公共料金は、10月は前年同月比1.2%の上昇、8-10月平均の前年同期比は1.3%の上昇となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、11月は前年同月比0.2%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、9-11月平均の前年同期比は0.2%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、11月は、-0.001~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、11月は、0.08%台で推移した。10年物国債流通利回りは、11月は、1.3%台~1.5%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、11月末は999ポイントとなった。日経平均株価は、11月末は10,100円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、11月末は109.50円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、11月末は130.43円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、11月(速報)は前年同月比16.7%増となった。11月の日銀当座預金平均残高は30.0兆円となった。M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.6%増となった(11月速報)。広義流動性は、11月(速報)は前年同月比1.1%増(簡易保険福祉事業団保有金融資産の日本郵政公社への承継による影響を除くと3.2%増)となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、11月(速報)は前年同月比5.0%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.9%減)となった。11月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債型新株予約権付社債の発行はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、5,350億円(銀行起債の普通社債は1,200億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、10月は前月比で短期は0.070%ポイント上昇し、長期は0.056%ポイント上昇したことから、総合では0.059%ポイント上昇し1.688%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断、金融機関の貸出態度はともに改善している。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の11月の現状判断DIは、前月を2.5ポイント下回り、48.3となった。先行き判断DIは、前月を2.6ポイント下回り、48.5となった。