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月例経済報告

―景気は、おおむね横ばいとなっているが、このところ一部に弱い動きがみられる。―

先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、海外経済の先行きを巡る不透明感や、今後の株価・長期金利の動向に留意する必要がある。

平成15年7月11日

内閣府


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月例経済報告
平成15年7月

総論
(我が国経済の基調判断)
景気は、おおむね横ばいとなっているが、このところ一部に弱い動きがみられる。

 先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、海外経済の先行きを巡る不透明感や、今後の株価・長期金利の動向に留意する必要がある。

(政策の基本的態度)
 政府は、持続的な経済成長を実現するため、6月27日、経済活性化、国民の安心の確保、将来世代に責任が持てる財政の確立を目指し、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」を閣議決定した。今後、その早期具体化により、構造改革の更なる強化を図る。
  政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。



各論
1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、おおむね横ばいで推移している。
 個人消費は、おおむね横ばいで推移している。この背景としては、所得がおおむね横ばいとなっていることに加え、低水準ではあるものの、消費者マインドの悪化傾向に歯止めがかかっていることが挙げられる。需要側統計(家計調査)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、5月は前月に比べて小幅増加している。 
 個別の指標をみると、家計調査では、実質消費支出が前月に比べて減少した。一方、販売側の統計をみると、小売業販売額は、自動車小売業が増加したことなどから、前月に比べて増加した。チェーンストア販売額は、引き続き前年を下回った。百貨店販売額は、前月から減少幅は縮小したものの、台風等の天候不順の影響もあって、低調な動きが続いている。新車販売台数は、自動車税のグリーン化などの見直しに伴う駆け込み需要の反動などもあって4-6月を均してみると減少している。家電販売金額は、主力商品であるパソコンが前年を大幅に下回って推移していることから引き続き前年を下回っている。旅行は、国内旅行は引き続き前年を下回った。海外旅行は重症急性呼吸器症候群(SARS)による手控えなどから5月は大幅に減少した。なお、WHOは7月5日に、SARSの感染地域として唯一残っていた台湾の地域指定を解除した。
 個人消費の先行きについては、当面、現状のような推移が続くと見込まれるが、依然として雇用情勢が厳しいことなどから、引き続き留意が必要である。

設備投資は、緩やかな持ち直しが続いている。
 設備投資は、企業収益の回復や資本ストック調整の進展等を受けて、緩やかに持ち直している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、季節調整済前期比で平成14年10-12月期に持ち直しに転じ、平成15年1-3月期はやや減少となったものの、緩やかな持ち直し基調にある。なお、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷の5月までの動きをみると、やや弱含んでいる。ソフトウェア投資は、おおむね横ばいとなっている。
 先行指標や年度計画をみると、日銀短観によれば製造業の15年度設備投資は3年ぶりに前年度比増加に転じる計画となっており、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感も改善の動きが続いている。また、機械設備投資の先行指標である機械受注は持ち直しており、建設投資の先行指標である建築着工床面積をみるとおおむね横ばいとなっている。先行きについては当面緩慢なものにとどまると見込まれるが、外需をはじめとする最終需要の先行き不透明感が払拭されれば、再び持ち直しの動きを強めるものと見込まれる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
 平成14年度の住宅建設は、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、2年連続で120万戸を下回る低い水準となった。総戸数は、平成15年2月、3月と2ヶ月連続で減少したが、4月は年率116.0万戸、5月は年率116.6万戸と2ヶ月連続で増加した。一方、総床面積を見ると、4月までは総戸数と同様の動きをしていたが、5月は減少に転じた。これは、1戸当たり床面積が貸家に比べて広い分譲住宅が減少し、貸家が増加した影響によると考えられる。
 先行きについては、引き続き消費者の住宅取得マインドが低下しており、このことが住宅着工の下押し要因になるものと見込まれる。

公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、国、地方の予算状況を反映して、総じて低調に推移している。
 国の平成14年度補正予算では、構造改革推進型の公共投資を計上するなどの予算措置を講じたが、補正後の公共投資は、「改革推進公共投資」特別措置を実施した前年度を大きく下回った。また、平成14年度における地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画では、前年度比10.0%減となっている。平成15年度の国の公共投資関係費においては、前年度比3.7%減と規模を縮減しつつ、「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」など重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。また、平成15年度における地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減としつつ、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。
 このような状況を反映して、平成14年度においては、平成13年度から繰り越された平成13年度第2次補正予算の下支え効果がみられたものの、公共工事請負金額、公共工事受注額は、平成14年4-6月期以降平成15年1-3月期まで、前年を下回った。
 平成15年度に入って、4-6月期の公共投資については、4月、5月の公共工事請負金額なども前年を下回っており、国、地方の予算状況などを踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

輸出入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。
 輸出は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、このところ減少している。アメリカ向け輸出は、自動車輸出の増加により足元で増加したものの、全体としては横ばいとなっている。EU向け輸出は、新型車の投入にともなう年初来の自動車輸出の増加が一服したことから、このところ減少している。先行きについては、世界経済が現状のままであるとすると、輸出は当面横ばいで推移する可能性が高いが、アメリカ経済の回復が持続すれば、緩やかに持ち直すものと考えられる。
 輸入は、生産が弱含んでいること等から、全体として横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、NIEs、ASEANからの輸入が横ばいとなっているものの、中国からの輸入が増加していることから、全体としては緩やかに増加している。アメリカからの輸入は、航空機の輸入等の影響により単月の振れが大きくなっているが、基調としては減少している。EUからの輸入は機械機器を中心に減少している。
 国際収支をみると、輸出入数量がともに横ばいとなっていることに加え、原油価格が低下していること、海外旅行客の減少等に伴いサービス収支の赤字幅が縮小していることから、貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。


2.企業活動と雇用情勢
生産は、弱含んでいる。
 鉱工業生産は、国内最終需要に力強さがみられず、輸出が横ばいとなっていることを背景に、弱含んでいる。在庫は低水準にあるものの、外需をはじめとする最終需要の先行きが不透明であること等を背景に、企業は在庫積み増しに慎重になっており、生産の増加にはつながっていない。
 先行きについては、在庫面からの生産下押し圧力は少ないと考えられるものの、国内最終需要は当面低調に推移することが見込まれるほか、アメリカ経済等に関する先行き不透明感を背景に輸出による牽引力もそれ程大きなものとはならないと考えられることから、生産の持ち直しに向けた力は当面弱いものにとどまると見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、6月は増加、7月は減少が見込まれている。
  また、第3次産業活動は、横ばいとなっている。

企業収益は、緩やかな改善が続いている。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、緩やかに減少している。
 企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、人件費削減を中心とする企業のリストラ努力等を背景に、平成15年1-3月期においても前年比で増益が続いているが、季節調整済前期比では減益に転じ、改善のテンポは緩やかになっている。「日銀短観」によると、平成14年度は前年比二桁の大幅な増益となり、15年度も引き続き増益が見込まれている。業種別にみると、製造業では電気機械や鉄鋼を中心に収益が改善し、14年度下期では前年比5割の大幅増益となり、15年度も二桁の増益見込みである。一方、非製造業は15年度上期に減益に落ち込むものの、下期には前年比二桁の増益に転じる見込みである。規模別でみると、大企業・中小企業とも14年度に引き続き15年度も増益が見込まれている。
 企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、非製造業では改善に足踏みがみられるものの、製造業では緩やかながら引き続き改善がみられる。先行きについては、全規模全産業でみるとわずかながら改善が見込まれている。
 また、企業倒産は、セーフティーネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、緩やかに減少している。

雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業の人件費抑制姿勢などの労働力需要面の要因や、雇用のミスマッチなどの構造的要因から、完全失業率が高水準で推移するなど、厳しい雇用情勢が続いている。
 完全失業率は、5月は、前月と同水準の5.4%となった。また、雇用者数は、横ばいで推移している。
 新規求人数は、昨年前半から増加傾向にあったが、このところ、横ばいとなっており、有効求人倍率もおおむね横ばいとなっている。製造業の残業時間についても、横ばいとなっている。企業の雇用過剰感はやや高まった。
 賃金の動きをみると、5月の定期給与は前年同月比、前月比とも増加し、基調としては、横ばいとなっている。


3.物価と金融情勢
国内企業物価は、弱含んでいる。消費者物価は、横ばいとなっている。
 国内企業物価は、弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、鉄鋼などが上昇しているほか、5月の発泡酒に係る酒税増税の影響により加工食品が上昇しているが、他方で電気機器が引き続き下落しているほか、市況の軟化にともなって石油・石炭製品、化学製品などが下落している。また、輸入物価(円ベース)は、5月は原油価格や為替の影響により、下落している。
 企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいたが、このところ一部に物価を下支えする動きもあり、前月比で横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、石油製品が5月は下落に転じており、全体として前年比下落幅はおおむね横ばいで推移している。他方、一般サービスは、全体として横ばいで推移するなかで、個人サービスが下落しているが、この間、企業の低価格戦略には一部変化の兆しもあり、7月には外食の一部が上昇しているとみられる。また、公共料金は、前年比で上昇しており、7月にはたばこ税増税の影響もあるとみられる。
 なお、消費者物価は現在横ばいとなっているが、物価を下支えする要因が一時的なものにとどまるとみられることから、物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

株式相場は、上昇基調で推移している。長期金利は、上昇した。
 株式相場は、米国株高や企業の業況改善などを背景に上昇基調にあり、年初来高値を更新した。対米ドル円相場は、6月以降、117円台から119円台で推移している。
 短期金利は落ち着いている。長期金利は低下傾向で推移してきたが、世界的な金利低下傾向が一巡したとの市場の見方などから上昇し、1.0%台となった。企業の資金繰り状況は改善し、民間債と国債との流通利回りスプレッドはこのところ縮小している。
 マネタリーベースは、日本銀行の潤沢な資金供給などを背景に高い伸び(日本郵政公社当座預金を除く伸び率は16.3%)が続いている。M2+CDは、昨年末以降伸び率は鈍化している。


4.海外経済
アジアの一部で景気は拡大しているものの、弱い景気回復が続いている。
アメリカでは、弱い景気回復が続いている。
 消費者マインドは緩やかな改善傾向を示している。これを背景に、個人消費は緩やかに増加している。またIT関連部門を中心に生産は下げ止まりつつある。
 しかしながら、設備投資は1-3月期に減少に転じており、資本財受注も減少している。雇用は減少しており、失業率は1994年以来の高水準に上昇した。企業部門の弱さから、弱い景気回復が続いている。
 インフレ率は低下傾向にあり、6月25日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、昨年11月以来7ヶ月ぶりにフェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準が0.25%ポイント引き下げられた。
 先行きについては、企業収益の回復などから設備投資の持ち直しが見込まれることや、減税パッケージが消費や投資を喚起する効果が期待されることなどから、本年後半に成長率が高まる可能性が十分考えられる。一方、投資や雇用の回復の遅れについて懸念も残っている。
 このような景気回復期待等から、企業マインドは改善が続いており、株価も、IT関連を中心に6月以降もおおむね上昇基調が続いている。長期金利は、6月上旬まではインフレ率が低下するとの見方等から低下が続いていたが、その後は景気回復観測等から上昇している。

アジアでは、中国、タイ等で景気は拡大が続いているが、韓国、台湾等で減速している。
 中国では、投資、輸出の堅調な増加から景気は拡大しているが、このところ重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響で消費、生産の伸びが鈍化した。タイでは、消費、投資を中心に景気は拡大している。マレーシアでは、消費、輸出の伸びの鈍化から景気の拡大は緩やかとなっている。台湾では、投資が鈍化し、SARSの影響もあり消費、生産の伸びが鈍化するなど景気は減速している。韓国では、消費、投資の伸びの鈍化に加えて生産も鈍化しており、景気は減速している。シンガポールでは、消費や生産の伸びの鈍化から景気は減速している。一方、各国・地域ともアメリカ向け輸出は持ち直している。
 なお、SARSについては、このところ新規感染者の発生はなく、流行は終息した。

ユーロ圏の景気は弱い状態となっており、イギリスでは、景気は減速している。
 ユーロ圏では、昨年秋以降のユーロ高の影響などから、輸出の減少が続いている。企業マインドの悪化が続く中、生産は横ばいで推移しており、景気は弱い状態となっている。一方で、6月初めの欧州中央銀行(ECB)の利下げなどを背景に、このところ株価は上昇がみられる。ドイツでは、生産や消費の減少が続くなかで、インフレ率が低い水準で推移しており、景気後退の懸念がある。フランスでは、内需が緩やかに増加していることから、景気は横ばいとなっている。
 イギリスでは、住宅投資を中心に内需が減少しており、景気は減速している。

国際金融情勢等
 金融情勢をみると、アメリカで株価の上昇基調が続いていることを背景に、アジアやヨーロッパでも主要株価は上昇基調にある。また、長期金利も6月下旬以降、景気回復観測の高まり等から世界的に上昇がみられる。ドルは、6月上旬以降おおむね横ばいで推移している。
 原油価格は、6月上旬に上昇したが、OPEC総会で生産枠据置が決定した後は下落基調で推移した。




注)

<個人消費>
 消費総合指数(内閣府試算値)は、4月(速報値)季節調整済前月比0.3%減の後、5月(速報値)は同0.1%増となった。なお、ここに掲げた消費総合指数は先月より改定値を採用している。作成方法については近日中に公表予定。
 家計調査の全世帯実質消費支出は、4月季節調整済前月比1.9%増の後、5月(速報値)は同1.6%減(前年同月比0.8%減)となった。
 家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、5月(速報値)は季節調整済前月比1.6%減(前年同月比1.0%減)となった。
 経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、4月季調済前月比2.7%減の後、5月(速報値)は同1.3%増(前年同月比2.4%減)となった。また、百貨店販売額は、5月(速報値)は、前年同月比3.0%減(店舗調整後)(季節調整済前月比0.2%減(店舗調整前))となった。
 チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、4月前年同月比2.6%減(店舗調整後)の後、5月は同4.2%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.0%減(店舗調整前))となった。
 乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、5月前年同月比0.8%減の後、6月(速報値)は同3.4%減となった。
 家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、4月前年同月比3.0%減の後、5月は同4.7%減となった。
 大手旅行業者13社取扱金額は、4月国内旅行が前年同月比11.1%減、海外旅行が同47.4%減の後、5月国内旅行が同1.9%減、海外旅行が同59.3%減となった。
 内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、12月前期差1.3ポイント悪化の後、3月同2.0ポイント悪化となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、5月前月差1.3ポイント改善の後、6月同1.2ポイント悪化した。

<設備投資>
 平成15年1-3月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比2.0%減(前年同期比3.0%減)となっており、うち製造業では同1.2%減(同5.5%減)、非製造業では同2.4%減(同1.9%減)となっている。
 平成15年1-3月期の大中堅企業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(実績見込)でみると、季節調整済前期比で1.1%減(前年同期比1.9%減)となっており、うち製造業では同2.4%減(同6.7%減)、非製造業では同3.4%減(同%0.1増)となっている。
 経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、4月は季節調整済前月比7.3%減(前年同月比0.7%減)の後、5月は同6.3%増(同3.8%減)となっている。
 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成15年度設備投資計画は、製造業で前年度比11.5%増、非製造業で同1.0%増となっており、全産業では同4.9%増となっている。また、中小企業では製造業で同13.0%減、非製造業で同12.9%減となっており、全産業では同13.0%減となっている。
 経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、3月は前年同月比3.4%減の後、4月は同1.2%減となっている。
 機械受注(船舶・電力除く民需)は、4月は季節調整済前月比1.8減(前年同月比4.3%増)の後、5月は同6.5%増(同12.2%増)となっている。なお、平成15年4-6月期(見通し、3月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比10.5%減(前年同期比5.7%減)と見込まれている。
 国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物の着工床面積をみると、4月は季節調整済前月比5.2%増の後、5月は同0.8%増となっている。

<住宅建設>
 国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年4-6月期は0.4%増、7-9月期は3.3%減、10-12月期は1.0%減、平成15年1-3月期は1.8%増、4月は5.6%増、5月は0.6%増となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年4-6月期は8.9%減、7-9月期は10.2%減、10-12月期は0.0%増、平成15年1-3月期は2.3%増、4月は27.5%増、5月は18.3%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年4-6月期は0.2%減、7-9月期は3.2%減、10-12月期は1.1%減、平成15年1-3月期は1.1%減、4月は5.8%増、5月は0.7%減となった。
 消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115、12月111、平成15年は、2月110、4月108となった。

<公共投資>
 平成14年度の国の一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、「改革推進公共投資」特別措置を含めた公共投資関連予算ベースでは15.9%減となっている。なお、平成15年度予算においては、公共投資関係費について、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
 地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比10.1%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比11.1%減、10.6%減となっている。なお、平成15年度地方財政対策においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比6.1%減、政令指定都市で同5.8%減、中核市で同8.9%減、その他の県庁所在市で同12.8%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比6.4%減となっている(骨格予算、暫定予算を編成した地方公共団体を除く)。
 公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で3月14.8%減の後、4月は6.1%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で4月8.0%増の後、5月は42.6%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で4月13.0%減の後、5月は16.4%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で3月10.3%減の後、4月は11.2%減(暫定値)となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で3月3.8%減の後、4月は3.0%増(暫定値)となった。

<輸出・輸入・国際収支>
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月は1.3%減の後、5月0.2%減(前年同月比2.8%増)となった。また、前期比で平成14年10-12月期は2.0%増の後、1-3月期は1.1%増(前年同期比8.7%増)となっている。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月は0.8%減の後、5月は2.9%増(前年同月比3.3%増)となった。また、前期比で平成14年10-12月期は0.7%増の後、1-3月期も0.7%増(前年同期比6.2%増)となっている。
 貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成15年3月は6,425億円の後、4月は6,303億円、通関収支差(季節調整値)は、平成15年4月は8,016億円の後、5月は7,589億円となった。

<生産・出荷・在庫>
 5月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電子部品・デバイスや輸送機械等が増加したことから、前月比2.5%増となった。
 製造工業生産予測調査によると、前月比で、6月は一般機械や情報通信機械等の増加により1.2%増の後、7月は情報通信機械や電子部品・デバイス等の減少により0.7%減になると見込まれている。
 5月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.3%増となった。また、5月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は96.7となっている。
 第3次産業活動指数(季節調整値)は、4月(速報)前月比0.3%増となった。また、2-4月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同11-1月平均対比)をみると0.6%増となっている。

<企業>
 財務省「法人企業統計季報」によると、1-3月期の経常利益は全産業で前年同期比10.0%増、製造業は36.6%増、非製造業は1.2%減となった。
 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比7.0%の増益、下期は同24.7%の増益、通期では前年比16.4%の増益、平成15年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比4.6%の増益、下期は同13.2%の増益、通期では前年比9.5%の増益を見込んでいる。
 一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント改善して△9%ポイント、中小企業は1%ポイント改善して△32%ポイント、全規模合計では前回と変わらず△26%ポイントとなった。

<倒産>
 企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、5月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,452件(前年同月比16.0%減)、負債総額は7,889億円(同40.9%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,482件(同12.6%減)、負債総額は8,008億円(同26.2%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、82件(同25.4%減)となっており、主な大型倒産としては、貸金業のアール・エス・ティー(負債2,124億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>
 総務省「労働力調査」によると、5月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比同水準の5.4%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差1万人減の361万人となった。
 労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差15万人増の151万人、自発的な離職による者は、同3万人減の119万人となった。
 労働力調査によると、5月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で4月前月比0.1%減の後、5月は同0.1%減の5,338万人となった。
 厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、4月季節調整済前月比0.8%増の後、5月は同0.6%増(前年同月比8.2%増)となった。有効求人数は、4月同0.3%増の後、5月は同0.8%増(同9.6%増)となった。新規求職件数は、4月同3.9%増の後、5月は同4.2%増(同1.4%減)となった。有効求職者数は、4月同0.5%減の後、5月は同0.2%減(同5.9%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は4月1.03倍の後、5月0.99倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、4月0.60倍の後、5月0.61倍となった。
 毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では4月季節調整済前月比同水準(前年同月比10.4%増)の後、5月は同2.5%増(同10.3%増)(速報値)となった。
 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では、3月調査の13%ポイントから、6月調査では15%ポイントとなった。製造業では、3月調査の19%ポイントから、6月調査では18%ポイントとなった。非製造業では、3月調査の10%ポイントから、6月調査では12%ポイントとなった。
 毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では4月季節調整済前月比0.5%減(前年同月比0.4%減)の後、5月は同0.6%増(同0.5%増)(速報値)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では5月前年同月比0.5%増(速報値)となった。

<物価>
 日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成15年5月(速報値)は前月比0.8%の下落(前年同月比3.1%の下落)、3ヶ月前比は0.4%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、5月(速報値)は前月比3.0%の下落(前年同月比2.5%下落)、3ヶ月前比は3.3%の下落となった。また、国内企業物価は、5月(速報値)は前月比0.3%の下落(前年同月比1.0%下落)、3ヶ月前比は0.4%の下落となった。
 日本銀行「企業向けサービス価格指数」の5月の企業向けサービス価格は前年同月比0.8%の下落(前月比0.3%の下落)となった。
 総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、5月は前年同月比0.4%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、3-5月平均の前年同期比は0.5%の下落となった。一般サービスは、5月は前年同月比保合い、3-5月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、5月は前年同月比1.2%の下落、3-5月平均の前年同期比は1.1%の下落となった。公共料金は、5月は前年同月比0.8%の上昇、3-5月平均の前年同期比は0.4%の上昇となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、6月は前年同月比0.4%の下落(季節調整済前月比保合い)、4-6月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。

<金融>
 無担保コールオーバーナイトレートは、6月は、-0.004~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、6月は、0.07%~0.08%台で推移した。10年物国債流通利回りは、6月は、0.4%台~0.7%台で推移した。
 東証株価指数(TOPIX)は、6月末は903ポイントとなった。日経平均株価は、6月末は9,083円となった。
 対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、6月末は119.85円となった。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、6月末は137.25円となった。
 マネタリーベース(月中平均残高)は、6月(速報)は前年同月比20.3%増となった。6月の日銀当座預金平均残高は28.9兆円となった。M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.8%増となった(6月速報)。広義流動性は、6月(速報)は前年同月比0.2%増(簡易保険福祉事業団保有金融資産の日本郵政公社への承継による影響を除くと2.4%増)となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、6月(速報)は前年同月比4.8%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.4%減)となった。6月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債型新株予約権付社債の発行はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、14,903億円(銀行起債の普通社債は800億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、5月は前月比で短期は0.049%ポイント低下し、長期は0.336%ポイント低下したことから、総合では0.164%ポイント低下し1.526%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、資金繰り判断および金融機関の貸出態度は改善している。

<景気ウォッチャー調査>
 内閣府「景気ウォッチャー調査」の6月の現状判断DIは、前月を3.7ポイント上回り、42.1となった。先行き判断DIは、前月を2.8ポイント上回り、45.4となった。