月例経済報告(平成15年5月)

―景気は、おおむね横ばいとなっているが、引き続き不透明感がみられる。―

先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、アメリカ経済の先行き、株価の動向、重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響等を巡る不透明感により、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

平成15年5月20日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、おおむね横ばいとなっているが、引き続き不透明感がみられる。

  • 企業収益は改善しており、設備投資は持ち直している。
  • 雇用情勢は、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
  • 個人消費は、おおむね横ばいで推移している。
  • 輸出は緩やかに増加している一方、生産は弱含んでいる。

先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、アメリカ経済の先行き、株価の動向、重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響等を巡る不透明感により、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

(政策の基本的態度)

政府は、金融・経済情勢等を注視しつつ、引き続き金融、税制、歳出及び規制の四本柱の構造改革を推進することにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指す。さらに、「証券市場の構造改革と活性化に関する対応について」に基づいて、可能なものから早急に対応を行うこととした。
政府は、5月17日、金融危機対応会議を開催し、金融危機を未然に防ぐため、りそな銀行に対する資本増強の必要性を認定した。また、同日、同行に対し、日本銀行は、必要が生じた場合ただちに所要資金を供給する方針を決定した。日本銀行は、さらに、4月30日に続き5月20日に金融市場調節方針を変更し、日本銀行当座預金残高目標を引き上げ、27~30兆円程度とすることを決定した。政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

平成15年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間企業設備、民間最終消費支出がプラスに寄与した一方、公的固定資本形成、民間在庫品増加、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がマイナスに寄与したことなどから、前期比で0.0%(年率0.0%)となった。また、名目GDPの成長率は、前期比で0.6%減となった。

個人消費は、おおむね横ばいで推移している。

個人消費は、収入面での弱い動きが続くなど家計を取り巻く環境が厳しいなか、おおむね横ばいで推移している。この背景としては、消費者マインドは3月にイラク戦争の影響で低下したものの、こうした要因を除けば、低水準ながら悪化傾向に歯止めがかかりつつあることが挙げられる。
需要側の動向をみると、昨年末に落ち込んだ後、このところ落ち込みにやや歯止めがかかりつつある。消費総合指数は、前月比で2ヶ月連続増加となった後、3月は減少した。3ヵ月前比でも減少している。また、家計調査をみると、実質消費支出は前月に比べて増加している。
販売側の動向をみると、このところ下げ止まりの兆しがみられる。小売業販売額は、3月は減少幅が若干拡大したが、基調としてみれば、このところ減少幅が縮小している。チェーンストア販売額は、引き続き前年を下回った。百貨店販売額は、気温が低めとなったこともあり春物衣料の売れ行きが悪かった影響で、減少幅が拡大した。新車販売台数は、自動車税のグリーン化などの見直しに伴う駆け込み需要の反動から前年を下回った。家電販売金額は、主力商品であるパソコンが前年を下回って推移していることから引き続き前年を下回っている。旅行は、国内旅行は引き続き前年を下回った。海外旅行はイラク戦争や重症急性呼吸器症候群(SARS)による手控えから減少している。
先行きに関しては、SARS問題や株価の低迷等が消費者マインドに悪影響を与え、消費を下押しする懸念が存在する。

設備投資は、持ち直している。

設備投資は、平成13年に入って以降減少が続いてきたが、企業収益の改善等を受けて持ち直している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成13年1-3月期以降減少が続いてきたが、平成14年10-12月期に持ち直しに転じている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、やや持ち直している。ソフトウェア投資は、弱含んでいる。
先行指標や年度計画をみると、日銀短観によれば製造業の15年度設備投資は3年ぶりに前年度比増加に転じる計画となり、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感も改善の動きが続いている。しかし、機械設備投資の先行指標である機械受注は持ち直しの動きを続けているものの、建設投資の先行指標である建設工事受注額は概ね横這いとなっている。先行きについては、外需をはじめとする最終需要の先行きが依然不透明なこと等から、製造業の設備投資の持ち直しも緩やかなものにとどまると見込まれ、非製造業においても首都圏における大規模再開発工事が一段落に向かいつつあること等から、設備投資全体の持ち直しの動きは当面緩慢なものにとどまると見込まれる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

平成14年度の住宅建設は、貸家は増加したものの、持家、分譲住宅が減少したことから、前年度比2.4%減の114.6万戸となり、2年連続で120万戸を下回る低い水準となった。これは、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることが要因であると考えられる。平成15年に入り、1月は年率119.5万戸に増加し、2月は年率115.4万戸に減少、3月は年率109.8万戸に減少した。また、総床面積も同様の動きとなっている。持家は減少幅を縮小し、分譲住宅はおおむね横ばいで推移する中、これまで減少していた貸家の着工が増加したことから、全体としてはおおむね横ばいとなっている。
先行きについては、引き続き消費者の住宅取得マインドが低下しており、このことが住宅着工の下押し要因になるものと見込まれる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、国、地方の予算状況を反映して、総じて低調に推移している。
国の平成14年度補正予算では、構造改革推進型の公共投資を計上するなどの予算措置を講じたが、補正後の公共投資は、「改革推進公共投資」特別措置を実施した前年度を大きく下回った。また、平成14年度における地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画で、前年度比10.0%減となっている。
このような状況を反映して、平成14年度においては、平成13年度から繰り越された平成13年度第2次補正予算の下支え効果がみられたものの、公共工事請負金額、公共工事受注額は、平成14年4-6月期以降平成15年1-3月期まで、前年を下回った。なお、大手50社受注額は、平成14年10-12月期のみ前年を上回った。
平成15年度の公共投資の関連予算をみると、国の公共投資関係費においては、前年度比3.7%減と規模を縮減しつつ、「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」など重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。また、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減としつつ、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。

輸出は、緩やかに増加している。輸入は、緩やかに増加している。貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。

輸出は、昨年初来のIT関連品目を中心とする在庫積み増しの動きが一服したことから昨年半ばまでの増勢は失われているものの、機械機器が比較的底堅く推移していること等から、全体として緩やかに増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、中国向けを中心に春節の影響等から足元減少しているものの、基調としては増加している。アメリカ向け輸出は、在庫補充の一服や販売台数の減少の影響による自動車輸出の減少がこのところ下げ止まりつつあり、輸出の減少幅は縮小している。EU向け輸出は、自動車等機械機器を中心として緩やかに増加している。先行きについては、アメリカの景気回復力が弱まっていることに加え、SARSによるアジア経済への影響等も考えられるなど、当面の輸出の回復力は弱いものと見込まれる。
輸入は、生産が弱含んでいるものの、鉱物性燃料が引き続き増加しているほか、中国からの輸入が趨勢的に増加していること等から、緩やかに増加している。地域別にみると、アジアからの輸入は、NIEsからの輸入が減少しているものの、ASEANからの輸入は横ばい、中国からの輸入は、機械機器を中心に増加していることから、全体としては緩やかに増加している。アメリカからの輸入は、航空機、事務用機器等の機械機器が減少しており、全体としては弱含んでいる。EUからの輸入は機械機器を中心に減少している。
国際収支をみると、輸出入数量がともに緩やかに増加していることを反映し、貿易収支はおおむね横ばいとなっているが、海外旅行客の減少等に伴いサービス収支の赤字幅が縮小していることから、貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、弱含んでいる。

鉱工業生産は、国内最終需要に力強さがみられず、輸出の増加も緩やかなものに留まっていることを背景に、弱含んでいる。在庫は低水準にあるものの、外需をはじめとする最終需要の先行きが不透明であること等を背景に、企業は在庫積み増しに慎重になっており、生産の増加にはつながっていない。
先行きについては、在庫面からの生産下押し圧力は少ないと考えられるものの、国内最終需要は当面低調に推移することが見込まれるほか、アメリカ経済等に関する先行き不透明感を背景に輸出による牽引力もそれ程大きなものとはならないと考えられることから、生産の持ち直しに向けた力は当面弱いものにとどまると見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、4月は減少、5月は増加となることが見込まれている。
また、第3次産業活動は、サービス業などを中心に緩やかに減少している。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、おおむね横ばいで推移している。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、人件費削減を中心とする企業のリストラ努力等を背景に、平成14年10-12月期においても前年比で増益が続いている。「日銀短観」によると、平成14年度下期から15年度にかけて、前年比二桁の大幅な増益が見込まれている。業種別にみると、製造業では電気機械や鉄鋼を中心に収益が改善し、14年度下期では前年比4割の大幅増益となり、15年度も二桁の増益見込みである。一方、非製造業では14年度下期はわずかな増益幅にとどまるが、15年度には二桁の大幅増益となる見込みである。規模別でみても、大企業・中小企業共に15年度にかけて増益が見込まれている。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、中小企業製造業を中心に緩やかながら引き続き改善がみられるものの、自動車をはじめとする大企業製造業では改善に足踏みがみられる。先行きについては、若干の悪化を見込んでおり、慎重な見方も続いている。
また、企業倒産は、セーフティーネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、おおむね横ばいで推移している。

雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。

企業の人件費抑制姿勢などの労働力需要面の要因や、雇用のミスマッチなどの構造的要因から、完全失業率が高水準で推移するなど、厳しい雇用情勢が続いている。
完全失業率は、3月は、前月比0.2%ポイント上昇し5.4%となった。男女別にみると、女性の失業率が低下する一方で男性の失業率が上昇している。男性は雇用者数が横ばいとなったものの、失業者数が増加した。また、全体の雇用者数は、横ばいで推移しているが、3月は増加した。
新規求人数は、昨年前半から増加傾向にあったが、年明け以降、そのテンポが緩やかになっており、有効求人倍率もおおむね横ばいとなっている。製造業の残業時間については、緩やかな増加傾向が続いている。
賃金の動きをみると、3月の定期給与は前年同月比で増加、前月比で横ばいとなったものの、現金給与総額は前年を下回っており、弱い動きが続いている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価、消費者物価は、ともに横ばいとなっている。

輸入物価(円ベース)は、平成14年末以降上昇傾向が弱まっていたが、イラク情勢の緊迫化にともなって上昇した原油価格の影響等もあり、上昇している。国内企業物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、原油価格の影響により石油・石炭製品が上昇していたが、4月は下落に転じている。また、電気機器などが下落しているが、化学製品が上昇しているほか、アジア向け輸出の堅調により鉄鋼などが上昇している。
企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいたが、原油価格の影響等により、前月比で横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、耐久消費財などが下落しているが、原油価格の影響を受けた石油製品の上昇もあり、「その他工業製品」が上昇に転じている。他方、一般サービスは横ばいとなっている。この間、企業の低価格戦略には一部変化の兆しも見られる。さらに、4月には、医療保険自己負担割合引き上げ等の公共料金への影響が見られている。
なお、物価は、現在横ばいとなっているが、原油価格の影響等が一時的なものにとどまる可能性があることから、物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

株式相場は、需給懸念などにより一時89年以降の最安値を更新した。為替レートは、このところ対米ドルで円高方向に動いている。

株式相場は、需給懸念などを受けて一時89年以降の最安値を更新した後、このところ8,000円(日経平均株価)近傍で推移している。対米ドル円相場は年度入り以降4月下旬まで120円近傍で推移した後、円高傾向で推移している。
短期金利は落ち着いており、長期金利は投資家の旺盛な需要などに支えられ低下傾向で推移している。企業の資金繰り状況に概ね変化はみられず、民間債と国債との流通利回りスプレッドはこのところ縮小している。
マネタリーベースは、日本銀行の潤沢な資金供給などを背景に10%台の高い伸び(日本郵政公社当座預金を除く伸び率は4%台)が続いているが、伸び率は鈍化している。M2+CD(月中平均残高)は、昨年末以降伸び率は鈍化している。

4.海外経済

アジアでは景気の拡大が緩やかとなっており、アメリカでは景気回復が続く中でその力が弱まっている。

アメリカでは、景気回復が続いているが、回復力は弱まっている。

個人消費は、持ち直しの動きがみられる。非耐久財やサービスの消費は弱含んでいるが、耐久財消費は持ち直しており、小売売上げは増加に転じている。持ち直しの背景としては、イラク戦争が短期に終結に向かったことに伴う消費者マインドの好転に加え、ガソリン価格が低下していること等が挙げられる。
一方、製造業を中心に企業部門は弱い動きとなっている。生産は減少、稼働率は低下しており、また製造業で企業マインドは悪化している。このため、資本財受注は増加傾向にあるものの、設備投資は再び減少に転じ、雇用は減少が続いている。
5月6日に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)では、物価動向の先行きに関して、インフレ率がさらに低下するリスクに留意するとの認識が示された。

アジアでは、景気の拡大は緩やかとなっている。

中国では、内外需の堅調な増加から景気は拡大している。韓国、台湾では、消費等内需の鈍化から景気の拡大は緩やかとなっている。タイでは、内需を中心に景気は拡大している。アメリカ向けを中心とする輸出の伸び鈍化から、マレーシアでは景気の拡大は緩やかとなっており、シンガポールでは景気は減速している。
SARSの流行が中国、香港、シンガポール等で経済に悪影響を及ぼしており、台湾では中国向け輸出が鈍化している。またこれらの国・地域では生産や消費に鈍化傾向がみられ、成長率見通しが下方修正されている。

ユーロ圏及びイギリスでは、景気は減速している。

ユーロ圏では、成長率が低下する中で企業マインドの悪化が続き、失業率は上昇している。特にドイツでは、景気は弱い状態が続いており、失業率は大幅に上昇している。さらに、生産・投資の先行きを示す製造業受注にも減少がみられる。フランスでは、消費がほぼ横ばいとなるなど、景気の減速が続いている。また、昨年秋以降のユーロ高の影響やアメリカ経済の回復力の弱まりなどから、ユーロ圏の輸出は伸びが鈍化している。
イギリスでも、生産が減少傾向にある中で、消費はほぼ横ばいとなっており、景気の減速が続いている。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、アメリカの株価は、企業の好決算が発表されたことから4月に入って上昇基調で推移した。ドルは、アメリカ経済の先行きへの慎重な見方等から、4月上旬以降弱含んだ。特に対ユーロでは大幅に減価した。アメリカの長期金利は、景気回復力の弱さを受けて4月下旬以降低下した。
原油価格は、OPEC総会で大幅な減産が行われるとの見通しから4月中旬に一時強含んだが、減産幅が予想を下回ったこと等から下落した。5月に入ってOPECの減産観測が再浮上したこと等から上昇基調で推移した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値)は、季節調整済前月比で、2月(速報値)0.4%増の後、3月(速報値)は0.6%減となった。また、3ヶ月前比(後方3ヶ月移動平均、季節調整済)では、2月(速報値)1.9%減の後、3月(速報値)は同0.8%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、2月季節調整済前月比2.4%減の後、3月(速報値)は同0.4%増(前年同月比2.4%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、3月(速報値)は季節調整済前月比0.8%増(前年同月比0.6%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、2月季調済前月比1.7%増の後、3月(速報値)は同1.2%減(前年同月比1.0%減)となった。また、百貨店販売額は、3月(速報値)は、前年同月比3.5%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.2%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、2月前年同月比1.4%減(店舗調整後)の後、3月は同2.0%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.2%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、3月前年同月比10.2%増の後、4月(速報値)は同7.0%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、2月前年同月比0.8%減の後、3月は同3.5%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、2月国内旅行が前年同月比10.6%減、海外旅行が同15.3%増の後、3月国内旅行が同4.6%減、海外旅行が同9.9%減となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、12月前期差1.3ポイント悪化の後、3月同2.0ポイント悪化となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、3月前月差1.5ポイント悪化の後、4月同1.7ポイント改善した。

<設備投資>

平成14年10-12月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比3.9%増(前年同期比1.8%減)となっており、うち製造業では同2.9%増(同10.8%減)、非製造業では同4.4%増(同2.4%増)となっている。
平成15年1-3月期の大中堅企業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(実績見込)でみると、季節調整済前期比で1.1%減(前年同期比1.9%減)となっており、うち製造業では同2.4%減(同6.7%減)、非製造業では同3.4%減(同%0.1増)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、2月は季節調整済前月比3.2%減(前年同月比1.2%増)の後、3月は同0.5%増(同0.3%減)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成15年度設備投資計画は、製造業で前年度比2.9%増、非製造業で同3.1%減となっており、全産業では同0.8%減となっている。また、中小企業では製造業で同11.2%減、非製造業で同15.4%減となっており、全産業では同14.4%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、1月は前年同月比7.6%減の後、2月は同9.0%減となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、2月は季節調整済前月比6.8%減(前年同月比1.4%増)の後、3月は同3.8%増(同11.7%増)となっている。なお、平成15年4-6月期(見通し、3月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比10.5%減(前年同期比5.7%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、2月は季節調整済前月比6.8%減(前年同月比6.8%減)の後、3月は同4.0%増(同2.1%増)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年4-6月期は0.4%増、7-9月期は3.3%減、10-12月期は1.0%減、平成15年1月は6.8%増、2月は3.5%減、3月は4.8%減となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年4-6月期は8.9%減、7-9月期は10.2%減、10-12月期は0.0%増、平成15年1月は9.5%増、2月は9.7%減、3月は9.0%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年4-6月期は0.2%減、7-9月期は3.2%減、10-12月期は1.1%減、平成15年1月は3.3%増、2月は2.5%減、3月は4.5%減となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115、12月111、平成15年は、2月110となった。

<公共投資>

平成14年度の国の一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、「改革推進公共投資」特別措置を含めた公共投資関連予算ベースでは15.9%減となっている。なお、平成15年度予算においては、公共投資関係費について、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比10.1%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比11.1%減、10.6%減となっている。なお、平成15年度地方財政対策においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比6.1%減、政令指定都市で同5.8%減、中核市で同8.9%減、その他の県庁所在市で同12.8%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比6.4%減となっている(骨格予算、暫定予算を編成した地方公共団体を除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で2月18.4%減の後、3月は14.8%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で2月20.8%減の後、3月は13.2%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で3月15.6%減の後、4月は13.0%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で1月9.2%減の後、2月は10.2%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で1月0.4%増の後、2月は2.9%増となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2月2.0%増の後、3月も0.2%増(前年同月比6.2%増)となった。また、前期比で平成14年10-12月期は2.0%増の後、1-3月期は1.1%増(前年同期比8.7%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2月は3.1%減の後、3月は2.5%増(前年同月比7.2%増)となった。また、前期比で平成14年10-12月期は0.7%増の後、1-3月期も0.7%増(前年同期比6.2%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成15年2月は6,973億円の後、3月は6,425億円、通関収支差(季節調整値)は、平成15年2月は8,255億円の後、3月は6,463億円となった。

<生産・出荷・在庫>

3月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、一般機械や化学工業等が増加したことから、前月比0.1%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、4月は電子部品・デバイスや一般機械等の減少により0.9%減の後、5月は輸送機械や情報通信機械等の増加により2.1%増になると見込まれている。
3月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比0.5%減となった。また、3月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は99.9となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、2月(速報)前月比0.8%減となった。また、12-2月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同9-11月平均対比)をみると0.6%減となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、10-12月期の経常利益は全産業で前年同期比22.7%増、製造業は72.7%増、非製造業は1.7%減となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比7.2%の増益、下期は同14.8%の増益、通期では前年比11.3%の増益、平成15年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比11.8%の増益、下期は同14.9%の増益、通期では前年比13.5%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は△1%ポイント悪化して△12%ポイント、中小企業は2%ポイント改善して△33%ポイント、全規模合計では2%ポイント改善して△26%ポイントとなった。
また、内閣府「法人企業動向調査」(3月調査)で企業の業界景気の判断(前期比「上昇」-「下降」:季節調整値)を見ると、1-3月期は全産業で前期と変わらず△24%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、4月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,495件(前年同月比7.2%減)、負債総額は9,349億円(同15.2%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,514件(同7.7%減)、負債総額は9,030億円(同29.3%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、110件(同25.6%減)となっており、主な大型倒産としては、遊園地経営のレオマ(負債1,394億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、3月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%ポイント上昇し、5.4%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差10万人増の359万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差0万人増の145万人、自発的な離職による者は、同20万人増の124万人となった。
労働力調査によると、3月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で2月前月比0.0%減の後、3月は同0.6%増の5,347万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、2月季節調整済前月比1.1%減の後、3月は同0.9%減(前年同月比8.5%増)となった。有効求人数は、2月同0.7%増の後、3月は同0.7%減(同10.2%増)となった。新規求職件数は、2月同2.6%増の後、3月は同7.7%減(同0.6%減)となった。有効求職者数は、2月同0.4%増の後、3月は同0.6%増(同4.3%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は2月0.99倍の後、3月1.06倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、2月0.61倍の後、3月0.60倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では2月季節調整済前月比1.8%減(前年同月比15.8%増)の後、3月は同0.3%増(同14.4%増)となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では2月季節調整済前月比0.1%増(前年同月比横ばい)の後、3月は同横ばい(同0.1%増)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では3月前年同月比1.1%減となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成15年4月(速報値)は前月比1.0%の上昇(前年同月比4.8%の下落)、3ヶ月前比は1.4%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、4月(速報値)は前月比0.7%の下落(前年同月比1.1%下落)、3ヶ月前比は2.0%の上昇となった。また、国内企業物価は、4月(速報値)は前月比0.2%の下落(前年同月比0.8%下落)、3ヶ月前比は0.1%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の3月の企業向けサービス価格は前年同月比0.5%の下落(前月比0.6%の上昇)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、3月は前年同月比0.6%の下落(季節調整済前月比0.1%の上昇)、1-3月平均の前年同期比は0.7%の下落となった。一般サービスは、3月は前年同月比保合い、1-3月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、3月は前年同月比1.0%の下落、1-3月平均の前年同期比は1.2%の下落となった。公共料金は、3月は前年同月比0.6%の下落、1-3月平均の前年同期比は0.7%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、4月は前年同月比0.4%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、2-4月平均の前年同期比は0.6%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、4月は、0.001~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、4月は、0.07%台で推移した。10年物国債流通利回りは、4月は、0.6%台~0.7%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、4月末は796ポイントとなった。日経平均株価は、4月末は7,831円となった。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、4月末は119.60円となった。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、4月末は132.88円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、4月(速報)は前年同月比11.5%増となった。4月の日銀当座預金平均残高は27.4兆円となった。M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.4%増となった(4月速報)。広義流動性は、4月(速報)は前年同月比1.2%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、4月(速報)は前年同月比4.6%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.1%減)となった。4月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債型新株予約権付社債の発行は100億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、5,763億円(銀行起債の普通社債は900億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、2月は前月比で短期は0.087%ポイント低下し、長期は0.192%ポイント低下したことから、総合では0.127%ポイント低下し1.565%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は若干改善している。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の4月の現状判断DIは、前月を2.6ポイント下回り、38.7となった。先行き判断DIは、前月を3.3ポイント上回り、41.9となった。