月例経済報告(平成15年2月)

―景気は、引き続き一部に持ち直しの動きがみられるものの、このところ弱含んでいる。―

先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、世界経済の先行き懸念や我が国における消費者マインドが弱含んでいることなどにより、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

平成15年2月19日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、引き続き一部に持ち直しの動きがみられるものの、このところ弱含んでいる。

  • 企業収益は改善しており、設備投資は下げ止まっている。
  • 雇用情勢は、求人が増加傾向にあるものの、失業率がこれまでの最高水準となるなど、依然として厳しい。
  • 個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。
  • 輸出は横ばいとなっている一方、生産は弱含んでいる。

先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、世界経済の先行き懸念や我が国における消費者マインドが弱含んでいることなどにより、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

(政策の基本的態度)

政府は、1月24日に、「平成15年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議決定し、平成15年度予算を国会に提出した。平成15年度予算においては、経済活性化や将来の発展につながる分野に重点配分を行うとともに、平成15年度税制改正において、国・地方合わせて1.8兆円程度の減税を先行させるなど、平成14年度補正予算の着実な実施と併せ、両年度を通じた切れ目ない対応を図ることとしている。また、同日、「改革と展望-2002年度改定」を閣議決定した。
デフレ克服を目指し、できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

平成14年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間住宅、公的固定資本形成がマイナスに寄与したものの、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)、民間企業設備がプラスに寄与したことなどから、前期比で0.5%増(年率2.0%増)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で0.1%減となった。

個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。

個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。この背景としては、収入面での弱い動きが続くなど家計を取り巻く環境が厳しいことに加え、消費者マインドがこのところ弱含みとなっていることが考えられる。
需要側の動向をみると、これまで底固い動きが続いていたが、足元弱い動きがみられる。消費総合指数は3ヶ月前比で、11月までは増加していたが、12月は減少している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、前月に比べて大幅に減少した。また、食料が前月に引き続き前年を下回るなど、基礎的な支出項目の増加基調が緩やかになっている。
販売側の動向をみると、全体的に弱含んでいる。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、引き続き前年を下回った。百貨店販売額は、主力商品である衣料品が前年比減少幅を大きく拡大したことや、歳末商戦が11月に一部前倒しされたことの反動などから、全体では前年を大幅に下回った。新車販売台数は、小型乗用車が引き続き大幅に増加したことから前年を上回っている。家電販売金額は、テレビ等が引き続き増加したものの、パソコンが前年を下回って推移していることから、全体でも前年を下回った。旅行は、国内旅行は前年を下回ったものの、海外旅行は米国における同時多発テロ事件の影響もあって前年大きく減少した反動から、大きく上回った。
消費者マインドは、このところ弱含みとなっている。

設備投資は、下げ止まっている。

設備投資は、平成13年に入って以降減少が続いてきたが、企業収益の改善等を受けて下げ止まっている。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成13年1-3月期以降減少が続いてきたが、このところ次第に減少幅が縮小してきている。「法人企業動向調査」(資本金1億円以上)で平成14年10-12月期(実績見込)の設備投資でみても、ほぼ下げ止まっている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、横ばい基調が続いている。ソフトウェア投資は、弱含んでいる。
今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注は平成14年前半において底入れしたものの、その後は横ばい基調で推移しており回復力は弱い。また、このところ生産が弱含んでいることや日銀短観の平成14年度計画において設備投資の減少が見込まれていること等を考慮すれば、設備投資は下げ止まった後も低調に推移するものと見込まれる。

住宅建設は、緩やかに減少している。

平成14年の住宅建設は、貸家は増加したものの、持家、分譲住宅が減少したことから、前年比1.9%減の115.1万戸となり、2年連続で120万戸を下回る低い水準となった。平成14年度に入って、マンションの着工が減少したこと等から、4-6月期は年率117.5万戸、7-9月期は年率113.6万戸、10-12月期は年率112.5万戸となり、このところ緩やかに減少している。
12月は、持家、貸家は減少したものの、分譲住宅が増加し、年率111.9万戸となった。先行きについては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、こうしたことが引き続き住宅着工を減少させる要因になるものと見込まれる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

国の平成14年度補正後予算では、構造改革推進型の公共投資等に災害対策費を含め、国費ベースで2.0兆円程度(事業規模で3.4兆円程度)の公共投資を計上するなどの予算措置を講じたが、補正後の公共投資は、「改革推進公共投資」特別措置を実施した前年度を大きく下回った。地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画では、前年度比10.0%減となっている。
このような状況を反映して、公共投資は、総じて低調に推移している。平成14年度に入って、今年度に繰り越された平成13年度第2次補正予算の下支え効果がみられたものの、4-6月期では引き続き前年を下回り、公共工事請負金額は7-9月期、10-12月期ともに前年を下回った。
1-3月期の公共投資については、1月の公共工事請負金額も前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

輸出は、横ばいとなっている。輸入は、伸びが鈍化している。貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

輸出は、昨年年初来の在庫積み増しの動きに一服感が見られたことなどにより弱含んでいたが、このところ輸送機械をはじめとする機械機器が比較的堅調に推移していることから、全体として横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、全体としておおむね横ばいとなっている。アメリカ向け輸出は、港湾封鎖解除の影響によって増加した11月の反動として、12月は減少したが、全体としては横ばいとなっている。EU向け輸出は、ユーロ圏において景気が減速していることを背景に、全体として減少している。先行きについては、世界の景気回復に底堅い動きが見られるが、ユーロ圏の景気が減速していることに加えて、中東を巡るリスクが存在することに留意する必要がある。
輸入は、鉱物性燃料が引き続き増加しているものの、生産が弱含んでいることを背景に、全体として伸びが鈍化している。地域別にみると、アジアからの輸入は、IT関連等の機械機器を中心に伸びが鈍化している。EUからの輸入は横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器を中心に減少している。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸出数量が横ばいとなる一方、輸入数量の伸びが鈍化していることから、おおむね横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、弱含んでいる。

鉱工業生産は、輸出の増加や在庫調整の進展・一巡を背景に、昨年に入ってから増加してきたが、輸出が横ばいとなったほか、国内最終需要が弱く、また企業が在庫積み増しに慎重であることから、弱含んでいる。
今後については、製造工業生産予測調査によると平成15年1月は増加、2月は減少が見込まれているが、国内最終需要の動向やアメリカをはじめとする世界経済の動向には引き続き留意する必要がある。
また、第3次産業活動は、弱含んでいる。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、減少している。

「法人企業統計季報」によると、平成13年7-9月期以降、電機機械等の製造業を中心に大幅な減益となっていた企業収益は、平成14年7-9月期には、売上高は引き続き減収となったものの、企業のリストラ努力等により増益に転じた。また、日銀短観によると、下期については大幅な増益を見込んでいる。「法人企業動向調査」によると、平成14年10-12月期における大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」-「減少」)は、「減少」超幅が縮小している。
企業の業況判断について、日銀短観をみると、中小企業では低い水準にあり、依然厳しさがみられるものの、製造業を中心に緩やかながら、引き続き改善がみられる。先行きについては、若干の悪化を見込んでおり、慎重な見方が出てきている。日銀短観に先行する傾向の見られる「法人企業動向調査」によっても、大中堅企業の業界景気の判断(前期比「上昇」-「下降」)は、「下降」超幅がやや拡大している。
また、1月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,444件となるなど、減少している。

雇用情勢は、依然として厳しい。求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでの最高水準となり、賃金も弱い動きが続いている。

12月の完全失業率は、前月比0.2%ポイント上昇し5.5%と、過去最高に並んだ。男女とも非労働力人口が減少する一方で、女性では失業者数が増加し、男性では雇用者数が増加している。完全失業者については、最も多い非自発的な離職による者が微増となり、自発的な離職による者も増加した。雇用者については、ここ2ヶ月連続で微増しているものの、基調としては弱含んでいる。
新規求人数は、引き続き増加傾向にある。有効求人倍率については、引き続き緩やかに上昇している。製造業の残業時間については、前月比横ばいとなるなど、増加傾向が弱まっている。
賃金の動きをみると、定期給与は前月比微減、前年同月比でも減少が続いており、ボーナスを含む特別給与についても前年を下回るなど、弱い動きが続いている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。

輸入物価は、このところ契約通貨ベース、円ベースともに上昇しているが、足元では、為替の影響により、円ベースでは下落している。国内企業物価は、弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、石油・石炭製品が上昇しているほか、在庫調整の一巡により鉄鋼が上昇しているものの、電気機器、輸送用機器、農林水産物などが下落している。
企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、耐久消費財やその他工業製品の下落などにより一般商品が下落しているほか、公共料金が下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢をみると、株式相場は、8,000円台(日経平均株価)半ばで推移している。長期金利は、低下傾向が続いている。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、日本銀行による金融緩和措置を反映して、0.001~0.002%で推移した。2、3ヶ月物は、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、投資家の旺盛な需要などに支えられ低下傾向が続いており、1月下旬には一時0.7%台半ばとなった。
株式相場は、1月中旬は大手銀行の増資報道等を受けやや上昇した後、1月下旬にかけて下落したが、総じて見れば、昨年12月下旬以降8,000円台(日経平均株価)半ばで推移している。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、昨年12月上旬から1月中旬にかけて125円台から118円台まで上昇し、その後1月下旬までほぼ横ばいで推移した後、2月に入りやや下落している。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、昨年12月は122円台から125円台で推移した後、1月上旬から2月上旬にかけて、124円台から130円台まで下落した。対ユーロドル相場(17時時点)は、2月上旬に3年11ヶ月ぶりの安値水準へと下落した。
マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(1月日銀当座預金平均残高20.1兆円)を背景に、高い伸びが続いているが、伸び率は鈍化している(1月:前年同月比13.4%)。M2+CD(月中平均残高)は、2002年後半を通じて3%台前半で推移してきたが、昨年12月以降は2%台前半となっている(1月速報:前年同月比2.0%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。企業の資金繰りの状況は横ばいとなっており、民間債と国債との流通利回りスプレッドはほぼ横ばいで推移している。

4.海外経済

世界の景気は、ユーロ圏で減速しているものの、回復に底堅い動きがみられる。

世界の景気は、ユーロ圏で減速しているものの、回復に底堅い動きがみられる。
アメリカでは、引き続き景気の回復力に底堅さがみられる。個人消費は持ち直しつつある。住宅建設は高い水準にある。設備投資は機械設備等を中心に持ち直しているが、非軍需資本財受注は減少している。生産は横ばいとなっている。雇用は改善の動きがみられる。物価は安定している。
アジアをみると、一部で緩やかさがみられるが、景気回復が続いている。中国では、景気の拡大テンポは高まっている。韓国、タイでは、景気は拡大している。台湾、シンガポール、マレイシアでは、景気は緩やかに回復している。
ヨーロッパをみると、(1)ユーロ圏では、景気は減速している。ドイツでは景気は弱い状態となっている。フランスでは景気は減速している。(2)イギリスでは、景気は回復の動きが弱まっている。
金融情勢をみると、アメリカの株価は、1月前半は上昇したが、その後はイラク情勢の緊迫や企業業績への懸念等から下落基調で推移した。アメリカの長期金利は、1月上旬は強含んで推移したが、その後は低下基調で推移した。ドルは、対ユーロを中心に1月中旬以降減価基調で推移した。イギリスでは、イングランド銀行が、2月6日に政策金利(レポ金利)を0.25%ポイント引き下げ、3.75%とした。
原油価格は、イラク情勢の緊迫等から上昇基調で推移し、2000年秋以来の水準となった。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成14年11月(速報値)季節調整済3ヶ月前比1.6%増の後、12月(速報値)は同0.9%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、11月季節調整済前月比2.2%減の後、12月(速報値)は同4.2%減(前年同月比0.8%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、12月(速報値)は季節調整済前月比4.3%減(前年同月比0.3%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、11月季調済前月比2.4%増の後、12月(速報値)は同3.9%減(前年同月比3.4%減)となった。また、百貨店販売額は、12月(速報値)は、前年同月比4.7%減(店舗調整後)(季節調整済前月比9.1%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、11月前年同月比0.8%減(店舗調整後)の後、12月は同4.2%減(店舗調整後)(季節調整済前月比6.4%減(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、12月前年同月比0.3%増の後、1月(速報値)は同4.6%増となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、11月前年同月比2.9%減の後、12月は同6.5%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、11月国内旅行が前年同月比8.1%減、海外旅行が同110.2%増の後、12月国内旅行が同3.4%減、海外旅行が同85.2%増となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、9月前期差0.3ポイント改善の後、12月同1.5ポイント悪化となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、12月前月差2.1ポイント悪化の後、1月同0.1ポイント改善した。

<設備投資>

平成14年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比で2.0%減(前年同期比13.9%減)となっており、うち製造業では同4.8%減(同23.1%減)、非製造業では同0.8%減(同8.8%減)となっている。
平成14年10-12月期の大中堅企業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(実績見込)でみると、季節調整済前期比で0.7%減(前年同期比2.9%減)となっており、うち製造業では同4.4%減(同15.6%減)、非製造業では同1.6%増(同2.9%増)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で11月は0.4%減(前年同期比3.1%減)の後、12月は同0.8%増(同2.9%減)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成14年度設備投資計画は、製造業で前年度比10.7%減、非製造業で同4.3%減となっており、全産業では同6.8%減となっている。また、中小企業では製造業で同6.6%減、非製造業で同3.2%減となっており、全産業では同4.1%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、11月は前年同月比6.5%減の後、12月は同1.4%減となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で11月は0.2%減(同7.2%減)の後、12月は同5.2%増(同0.3%減)となっている。なお、平成15年1-3月期(見通し、12月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で3.5%減(前年同期比2.2%増)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で11月は26.7%減(同17.6%減)の後、12月は同5.1%増(同5.9%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年4-6月期は0.4%増、7-9月期は3.3%減、10-12月期は1.0%減、10月は6.8%増、11月は6.4%減、12月は0.5%増となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年4-6月期は8.9%減、7-9月期は10.2%減、10-12月期は0.0%増、10月は29.1%増、11月は18.0%減、12月は0.3%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年4-6月期は0.2%減、7-9月期は3.2%減、10-12月期は1.1%減、10月は6.7%増、11月は6.0%減、12月は0.4%増となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115、12月111となった。

<公共投資>

平成14年度の国の一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、「改革推進公共投資」特別措置を含めた公共投資関連予算は15.9%減となっている。なお、平成15年度予算案においては、公共投資関係費について、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比10.1%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比11.1%減、10.6%減となっている。なお、平成15年度地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月で11月1.0%増の後、12月は7.2%増となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で11月7.6%増の後、12月は4.2%増となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で12月3.2%減の後、1月は5.5%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で11月5.7%減の後、12月は7.5%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で11月1.3%減の後、12月は2.5%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で11月4.9%増の後、12月は8.0%減(前年同月比13.7%増)となった。また、前期比で7-9月期は1.5%減の後、10-12月期は2.0%増(前年同期比14.7%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で11月0.4%増の後、12月1.9%増(前年同月比9.4%増)となった。また、前期比で7-9月期5.4%増の後、10-12月期は1.1%減(前年同期比5.3%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、11月は5,341億円の後、12月は3,812億円、通関収支差(季節調整値)は、11月は10,505億円の後、12月は6,579億円となった。

<生産・出荷・在庫>

12月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、一般機械や輸送機械等が減少したことから、前月比0.4%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で平成15年1月は電気機械や一般機械等の増加により2.1%増の後、2月は電気機械や輸送機械等の減少により1.1%減になると見込まれている。
12月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比1.2%増となった。また、12月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は101.3となっている。
11月の第3次産業活動指数(季節調整値、速報)は、サービス業、不動産業が減少した結果、前月比0.7%減となった。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、7-9月期の経常利益は全産業で前年同期比20.5%増、製造業は48.8%増、非製造業は7.5%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比5.7%の増益、下期は同16.8%の増益、通期では前年比11.6%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は2%ポイント改善して△11%ポイント、中小企業は3%ポイント改善して△35%ポイント、全規模合計では2%ポイント改善して△28%ポイントとなった。
また、内閣府「法人企業動向調査」(12月調査)で企業の業界景気の判断(前期比「上昇」-「下降」)を見ると、10-12月期は全産業で前期から1%ポイント悪化して△23%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、1月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,444件(前年同月比6.4%減)、負債総額は1兆2,192億円(同16.8%増)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,436件(同11.4%減)、負債総額は1兆2,189億円(同14.2%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、109件(同8.4%減)となっており、主な大型倒産としては、不動産業の松栄不動産(負債1,488億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、12月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%ポイント上昇し、5.5%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差8万人増の364万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差2万人増の164万人となった。自発的離職による者は、前月差8万人増の119万人となった。
労働力調査によると、12月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で11月前月比0.2%増の後、12月は同0.2%増の5,327万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、11月季節調整済前月比4.0%減の後、12月は同4.3%増(前年同月比12.6%増)となった。有効求人数は、11月同0.1%減の後、12月は同2.3%増(同11.0%増)となった。新規求職件数は、11月同2.9%減の後、12月は同2.2%減(同1.7%減)となった。有効求職者数は、11月同1.2%減の後、12月は同0.9%減(同3.2%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は11月0.97倍の後、12月1.04倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、11月0.57倍の後、12月0.58倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では11月季節調整済前月比1.6%増(前年同月比18.9%増)の後、12月は同同水準(同19.6%増)となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では11月季節調整済前月比同水準(前年同月比0.6%減)の後、12月は同0.2%減(同0.6%減)となった。特別に支払われた給与は、事業所規模5人以上では12月前年同月比4.3%減となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成15年1月(速報値)は前月比1.6%の下落(前年同月比6.9%の下落)、11-1月平均(速報値)の3ヶ月前比(8-10月平均対比、以下同じ)は0.1%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、1月(速報値)は前月比0.3%の下落(前年同月比1.6%下落)、11-1月平均(速報値)の3ヶ月前比は0.9%の上昇となった。また、国内企業物価は、1月(速報値)は前月比0.1%の下落(前年同月比1.0%下落)、3ヶ月前比は0.2%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の12月の企業向けサービス価格は前年同月比0.6%の下落(前月比0.1%の上昇)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、12月は前年同月比0.7%の下落(季節調整済前月比保合い)、10-12月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。一般サービスは、12月は前年同月比保合い、10-12月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、12月は前年同月比1.3%の下落、10-12月平均の前年同期比は1.5%の下落となった。公共料金は、12月は前年同月比0.7%の下落、10-12月平均の前年同期比は0.7%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、1月は前年同月比0.6%の下落(季節調整済前月比保合い)、11-1月平均の前年同期比は0.7%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、1月は、0.001~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、1月は、0.09%台で推移した。10年物国債流通利回りは、1月は、0.7%台~0.9%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、1月末には821ポイントとなった。日経平均株価は、1月末には8,339円となった。
広義流動性は、1月(速報)は前年同月比1.2%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、1月(速報)は前年同月比4.7%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.3%減)となった。1月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債の発行はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、5,540億円(銀行起債の普通社債は2,200億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、12月は前月比で短期は0.081%ポイント上昇し、長期は0.077%ポイント上昇したことから、総合では0.078%ポイント上昇し1.615%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は若干悪化している。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の1月の現状判断DIは、前月を1.1ポイント下回り、35.5となった。先行き判断DIは、前月を3.3ポイント上回り、40.0となった。