月例経済報告(平成14年6月)

―景気は、依然厳しい状況にあるが、底入れしている。―

平成14年6月17日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、依然厳しい状況にあるが、底入れしている。

  • 設備投資は、減少している。失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい。
  • 個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
  • 輸出はアジア向けを中心に増加しており、生産は一部に持ち直しの動きもみられる。企業収益は、下げ止まりの兆しがみられる。

先行きについては、輸出の増加や在庫調整が概ね終了していることの影響が、今後経済全体に波及していくなかで、景気は持ち直しに向かうことが期待される一方、依然厳しい雇用・所得環境などが、今後の最終需要を下押しする懸念がある。

(政策の基本的態度)

政府は、自律的経済成長を実現するため、民間需要・雇用の拡大に力点を置いた構造改革を進める。このため、6月下旬に経済活性化戦略、税制改革、歳出改革などを内容とする「経済財政運営と構造改革の基本方針(仮称)」を取りまとめる。

また、デフレ克服に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

平成14年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間企業設備がマイナスに寄与したものの、民間最終消費支出がプラスに寄与したことなどから、前期比で1.4%増(年率5.7%増)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で1.1%増となった。

個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。

個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。所得面で弱い動きが続いていることなどから全体的な基調の改善には至らないものの、消費者マインドに改善の動きがみられることなどから一部の業種や支出項目においては増加の動きがみられる。
需要側の動向をみると、昨秋以降底固さがみられる。消費総合指数は3ヶ月前と比べ増加している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、食料が引き続き前年を上回るなど主に基礎的な支出項目に底固さがみられる。
販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、弱い動きが続いているものの、このところ減少幅を縮小してきている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、前年を下回っている。旅行は、国内旅行、海外旅行とも前年を下回っているものの、海外旅行は減少幅を大幅に縮小してきている。百貨店販売額は、昨夏以降一進一退の動きを続けており、均してみれば横ばいとなっている。新車販売台数は、小型乗用車の新型車投入効果などから前年を大きく上回っている。
消費者マインドは、依然として水準は低いものの、やや改善がみられる。

設備投資は、減少している鼻

設備投資は、生産及び企業収益の減少等を背景に平成13年に入って以降減少が続いている。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成13年1-3月期以降減少が続いている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成13年に入って以降減少が続いている。なお、ソフトウェア投資は、比較的堅調に推移している。
設備投資の今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成13年1-3月期以降減少基調で推移し平成14年4-6月期も減少の見通しとなっていること、日銀短観の平成14年度設備投資計画において製造業、非製造業ともに減少が見込まれていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

住宅建設は、弱含みとなっている。

住宅建設は、平成13年に入り、貸家は増加したものの、これまで堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、平成13年度は、前年度比3.3%減の117.3万戸と平成10年度以来3年ぶりに120万戸を下回る低い水準となった。
この背景としては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。
4月は、前月と比べ持家、貸家が増加したものの、分譲住宅が減少したことから、年率114.0万戸と引き続き低い水準となった。先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少傾向にあることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。国の平成13年度第2次補正後予算をみると、「改革推進公共投資」特別措置もあり、ほぼ前年度並みを確保している。地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。このような状況を反映して、1-3月期の公共工事請負金額は12四半期連続で、大手50社受注額も5四半期連続で前年を下回った。
平成14年度の公共事業関連予算をみると、国の当初予算においては、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比10.7%減と規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点7分野に重点化している他、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比10.0%減としつつ、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行うこととしている。
このように公共事業関連予算は、前年度を大きく下回っているが、4-6月期の公共投資については、国の平成13年度第2次補正予算の大半が今年度に繰り越されていると考えられることから、その下支え効果が発現するものと考えられる。

輸出は、アジア向けを中心に増加している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。

輸出は、世界的な生産回復などを背景に、半導体等電子部品など電気機器が増加、一般機械も横ばいとなるなど、全体として増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器、一般機械を中心に増加している。アメリカ向け輸出は、電気機器が堅調に推移しており、全体では横ばいとなっている。EU向け輸出も、電気機器を中心に下げ止まっている。先行きについては、世界の景気が回復しつつあり、これが我が国輸出を下支えする要因になるとみられる。
輸入は、IT関連を中心とした国内の在庫調整の進展によって機械機器の輸入が増加しているものの、原料品、鉱物性燃料などが減少しており、全体としては横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、機械機器の輸入が堅調に推移していることを背景に緩やかに増加している。EUからの輸入は減少している。アメリカからの輸入は、減少を続けてきた機械機器の輸入が下げ止まり、横ばいとなっている。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加している。輸入数量が横ばいで推移するなか、輸出数量が増加していることが、黒字幅の拡大に寄与している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、下げ止まっており、一部に持ち直しの動きもみられる。

鉱工業生産は、昨年初めから大幅に減少していたが、1-3月期には5期ぶりに増加に転じ、4月も増加した。輸出が増加していることや在庫調整が概ね終了していること等を背景に、生産は下げ止まっており、生産財など一部に持ち直しの動きもみられる。
ただし、設備投資の減少が続くとみられること等、懸念すべき点もあることには留意する必要がある。なお、製造工業生産予測調査によると5月は増加、6月は減少が見込まれている。
一方、第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

企業収益は、下げ止まりの兆しがみられる。また、企業の業況判断は、厳しい状態が続いているが、大企業においては下げ止まりつつある。倒産件数は、高い水準となっている。

企業収益は、「法人企業統計季報」によると、平成13年7-9月期以降、電機機械などの製造業を中心に大幅な減益となっていた。平成14年1-3月期は製造業で減益が続いているものの、非製造業で増益に転じ、全体として減益幅が縮小した。また、日銀短観によると、平成14年度については上期、下期とも増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、日銀短観をみると、厳しい状態が続いている。規模別でみると、中小企業において悪化が続いているものの、大企業においては下げ止まりつつある。先行きについても、中小企業が引き続き悪化を見込む一方で、大企業では改善を見込んでいる。また、「法人企業動向調査」で大中堅企業の業界景気の判断(前期比「上昇」-「下降」)を見ると、「下降」超幅が縮小している。
また、4月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,611件になるなど、高い水準となっている。

雇用情勢は、依然として厳しい。残業時間が増加しているものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動きが続いている。

4月の完全失業率は、前月比同水準の5.2%となった。完全失業者について求職理由別にみると、最も多い非自発的な離職による者の増加幅はほぼ横ばいとなっている。完全失業者全体に占める失業期間1年以上の者の割合は、引き続き増加している。雇用者数については、2ヶ月連続で前月比増加となり、下げ止まっている。
新規求人数は、前月比では増加に転じたものの、前年同月比では引き続き減少している。新規求職件数が同時に大幅に増加したため、新規求人倍率は前月比低下、有効求人倍率は同ほぼ横ばいとなり、労働需給の改善はみられていない。製造業の残業時間については、生産の動きを反映し、4ヶ月連続で増加している。1-3月期に「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、全体では引き続き上昇しているものの、製造業では大企業を中心に低下している。
賃金の動きをみると、定期給与は前月比では増加したものの、前年同月比では16ヶ月連続で減少、減少幅もほぼ横ばいとなっており、弱い動きが続いている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに上昇している。国内卸売物価は、横ばいとなっている。最近の動きをみると、電力疋都市ガス疋水道、電気機器は下落しているものの、原油高を背景として、石油疋石炭製品は上昇している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービス(外食など)はやや上昇しているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢をみると、株式相場は、5月中旬から下旬にかけて上昇した後、5月末以降、やや下落した。対米ドル円相場は、上昇した。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、5月から6月上旬にかけて、日本銀行による金融緩和措置を反映して、0.001~0.002%で推移した。2、3ヶ月物は、5月から6月上旬にかけて、おおむね横ばいで推移した。長期金利は、2月上旬から4月上旬にかけてやや低下した後、6月上旬にかけて、おおむね横ばいで推移した鼻
株式相場は、景気の底入れ期待などを背景に、5月中旬から下旬にかけて上昇した後、5月末以降、やや下落した。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、3月下旬に133円台まで下落した後、日米の景気の先行きに対する見方などを背景に上昇基調で推移し、6月上旬には、一時123円台まで上昇した。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、3月上旬に112円台まで上昇し、中下旬は116円台まで下落した後、114円台後半から117円台で、ほぼ横ばいで推移している。
マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(5月日銀当座預金平均残高15.7兆円)を背景に、高い伸び率となっている。(5月:前年同月比29.7%)M2+CD(月中平均残高)は、このところ、3%台半ばで推移している。(5月速報:前年同月比3.5%増)民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移して来たが、このところ横ばい圏で推移している。なお、企業の格付等に応じた資金調達条件の格差が、このところ拡大している。

4.海外経済

世界の景気は、回復しつつある。

世界の景気は、回復しつつある。
アメリカの景気は回復している。個人消費は増加している。住宅建設は増加傾向にあるが、住宅着工はこのところ反動減がみられる。設備投資の減少幅は縮小しており、非軍需資本財受注は増加している。生産は増加している。雇用は持ち直している。物価はこのところエネルギー価格が上昇しているが、安定基調にある。
アジアをみると、景気は回復している。中国では、景気の拡大テンポはやや高まっている。韓国では、景気は拡大している。台湾、シンガポール、タイ、マレイシアでは、景気は回復している。
ヨーロッパをみると、(1)ユーロ圏では、景気に持ち直しの動きがみられる。ドイツでは、景気に持ち直しの動きがみられる。フランスでは、景気は持ち直している。(2)イギリスでは、景気に持ち直しの動きがみられる。
金融情勢をみると、ドルは、5月中旬までおおむね横ばいで推移し、その後非ドル資産の魅力の高まり等を受けて下落した。アメリカの株価は、労働生産性が予想を上回る高い伸びを示したこと等から5月中旬まで上昇したが、その後新たなテロへの懸念や企業業績への懸念等から下落した。長期金利も、5月中旬まで上昇し、その後下落した。カナダ、オーストラリアでは、6月上旬に今年2度目の利上げを実施した。
国際商品市況をみると、原油価格は高止まりしていたが、5月後半以降は、OPEC非加盟国の増産に向けた動き等から下落基調で推移した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成14年3月(速報値)季節調整済3ヶ月前比1.8%増の後、4月(速報値)は同1.0%増となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、3月季節調整済前月比1.1%増の後、4月(速報値)は同2.0%増(前年同月比1.9%増)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、4月(速報値)は季節調整済前月比1.8%増(前年同月比2.0%増)となった。
経済産業省柊商業販売統計稗の小売業販売額は、4月(速報値)は季節調整済前月比0.8%減(前年同月比4.1%減)となった。また、百貨店販売額は、4月(速報値)は、前年同月比1.9%減(店舗調整後)(季節調整済前月比0.3%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、4月は、前年同月比1.2%減(店舗調整後)(季節調整済前月比0.0%(店舗調整前))となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、3月前年同月比21.2%減の後、4月は同10.1%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額の4月は、前年同月比で国内旅行が3.4%減、海外旅行が同8.5%減となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、4月前年同月比5.7%増の後、5月(速報値)は同8.8%増となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、12月前期差0.2ポイント悪化の後、3月同1.5ポイント改善となった。

<設備投資>

平成14年1-3月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比で5.2%減(前年同期比16.8%減)となっており、うち製造業では同9.3%減(同27.8%減)、非製造業では同3.1%減(同11.0%減)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で3月は5.3%増(前年同期比16.3%減)の後、4月は同9.0%減(同18.9%減)となっている。
日本銀行柊全国企業短期経済観測調査稗(3月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成14年度設備投資計画は、製造業で前年度比8.4%減、非製造業で同8.4%減となっており、全産業では同8.4%減となっている。また、中小企業では製造業で同24.8%減、非製造業で同13.4%減となっており、全産業では同16.2%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、3月は前年同月比3.9%増の後、4月は1.0%となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で3月は6.2%減(前年同月比22.0%減)の後、4月は同8.4%増(同17.9%減)となり、減少傾向にある。なお、平成14年4-6月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で0.3%減(前年同期比19.9%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で3月は5.7%減(前年同月比20.3%減)の後、4月は同8.7%増(同13.7%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.4%減、4-6月期は0.9%減、7-9月期は4.0%増、10-12月は3.4%減、平成14年1-3月期は0.0%減、4月は2.5%増となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、平成13年1-3月期は23.4%減、4-6月期は20.9%減、7-9月期は4.6%減、10-12月は16.4%減、平成14年1-3月期は25.4%減、4月は2.3%増となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、平成13年1-3月期は10.8%減、4-6月期は4.5%増、7-9月期は12.0%増、10-12月は12.3%減、平成14年1-3月期は12.1%増、4月は6.4%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成13年1-3月期は10.1%減、4-6月期は3.3%減、7-9月期は5.8%増、10-12月は3.0%減、平成14年1-3月期は3.6%減、4月は2.8%増となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約10%(平成13年実績))の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、平成12年度第2回募集(受付期間:8月7日~9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日~12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日~3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。また、平成13年度第1回募集(受付期間:4月23日~5月28日)は28,432戸、第2回募集(受付期間:7月16日~8月27日)は23,009戸、第3回募集(受付期間:9月17日~10月15日)は11,837戸、第4回募集(受付期間:11月15日~12月21日)は12,698戸、第5回募集(受付期間:1月15日~2月18日)は13,725戸、第6回募集(受付期間:3月1日~3月22日)は9,695戸となっている(平成13年度から受付回数が年4回から年6回になったため、単純に比較できない)。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114となっている。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計(2次補正後)における公共事業関係費は、前年度補正後予算と比較して13.7%減となっている。ただし、平成13年度第2次補正予算においては、産業投資特別会計社会資本勘定における「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業1.5兆円、施設費1兆円、計2.5兆円の社会資本整備のための無利子貸付を行い、事業規模で4.1兆円程度を確保することととしている。公共事業関係費に、施設費と今回の「改革推進公共投資」国費分を加えた公共投資関連予算ベースでみると、ほぼ前年度並みを確保している。なお、平成14年度予算においては、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比10.7%減と規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点7分野に重点化している。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(9月補正後)ベースでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比5.7%減、政令指定都市で同9.5%減、両者を合わせると同6.2%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベースの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。なお、平成14年度地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比10.0%減としつつ、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行うこととしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比9.8%減、政令指定都市で同12.9%減、中核市で同7.8%減、その他の県庁所在市で同12.6%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比10.1%減となっている。(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く。)
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で3月7.3%減の後、4月6.3%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で3月10.7%減の後、4月18.7%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で3月18.6%減の後、4月3.8%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で3月4.1%増の後、4月は1.6%増(前年同月比5.4%増)となった。また、前期比で10-12月期0.5%減の後、1-3月期は6.4%増(前年同期比3.0%減)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で3月8.3%減の後、4月8.8%増(前年同月比2.2%増)となった。また、前期比で10-12月期1.4%増の後、1-3月期は1.1%減(前年同期比5.6%減)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、3月は5,857億円の後、4月は6,257億円となり、通関収支差(季節調整値)は、3月10,570億円の後、4月は7,754億円となった。

<生産・出荷・在庫>

4月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、電気機械、化学等が増加したことから、前月比0.2%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で5月は電気機械や輸送機械等により5.1%増の後、6月は輸送機械や鉄鋼等により0.4%減になると見込まれている。
4月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比1.7%減となった。また、4月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は100.6となっている。
3月の第3次産業活動指数(季節調整値、速報)は、サービス業、卸売・小売,飲食店等が増加した結果、前月比1.2%増となった。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、1-3月期の経常利益は全産業で前年同期比14.6%減、製造業は42.2%減、非製造業は6.9%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、平成14年度については、上期で前年同期比9.6%、下期で同36.3%、通期で前年比22.6%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は前回と変わらず△31%ポイント、中小企業は2%ポイント悪化して△46%ポイント、全規模合計では1%ポイント悪化して△41%ポイントとなった。また、内閣府「法人企業動向調査」(3月調査)で企業の業界景気の判断(前期比「上昇」-「下降」)をみると、全産業で16%ポイント改善して△36%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、4月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,611件(前年同月比2.2%増)、負債総額は11,032億円(同12.8%増)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,641件(同0.6%増)、負債総額は12,765億円(同21.8%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、上場企業の倒産6件を含む148件(同18.4%増)となっており、主な大型倒産としては、東証1部上場の家電製品小売の第一家庭電器(負債339億円)、東証1部上場の総合住宅資材メーカーの段谷産業(同318億円)、東証1部上場の水産品・食品加工販売の宝幸水産(同287億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、4月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比同水準の5.2%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差6万人減の347万人となった。求職理由別完全失業者数(原数値)は、非自発的な離職による者は、3月153万人(前年同月差53万人増)の後、4月は161万人(同50万人増)となった。自発的離職による者は、3月114万人(同3万人減)の後、4月は104万人(同18万人減)となった。
労働力調査によると、失業期間1年以上の完全失業者数は1~3月平均で103万人、13年8月調査(労働力調査特別調査)比11万人増となった。完全失業者全体に占める失業期間1年以上の者の割合は30.4%、同4.1%ポイント上昇となった。
労働力調査によると、4月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%増の5,352万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、3月季節調整済前月比0.3%減の後、4月は同6.8%増(前年同月比1.7%減)となった。有効求人数は、3月同0.4%減の後、4月は同4.5%増(同7.9%減)となった。新規求職件数は、3月同7.3%減の後、4月は同12.1%増(同16.8%増)となった。有効求職者数は、3月同1.3%減の後、4月は同1.8%増(同10.2%増)となった。新規求人倍率(季節調整値)は3月0.94倍の後、4月0.90倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、3月0.51倍の後、4月0.52倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では3月季節調整済前月比1.9%増(前年同月比8.1%減)の後、4月は同4.3%増(同2.7%減)(速報値)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計では13年10-12月期の29%から1-3月期は31%となった。製造業では同43%から42%となった。製造業大企業(1,000人以上)では同55%から51%となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では3月季節調整済前月比0.2%減(前年同月比1.5%減)の後、4月は同0.2%増(同1.3%減)(速報値)となった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、5月は前月比2.5%の下落(前年同月比0.6%上昇)、3-5月平均の3ヶ月前比(12-2月平均対比、以下同じ)は0.1%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、5月は前月比1.9%の下落(前年同月比0.6%下落)、3-5月平均の3ヶ月前比は1.5%の上昇となった。また、国内卸売物価は、5月は、前月比保合い(前年同月比1.2%下落)、3ヶ月前比は保合いとなった。
日本銀行柊企業向けサービス価格指数稗の4月の企業向けサービス価格は前年同月比1.2%の下落(前月比0.3%下落)となった。
総務省柊消費者物価指数(全国)稗の生鮮食品を除く総合は、4月は前年同月比0.9%の下落(季節調整済前月比0.3%下落)、2-4月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。一般サービスは、4月は前年同月比0.1%の上昇、2-4月平均の前年同期比は0.2%の上昇となった。一般商品は、4月は前年同月比1.9%の下落、2-4月平均の前年同期比は2.1%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、5月は前年同月比1.1%の下落(季節調整済前月比0.1%下落)、3-5月平均の前年同期比は0.9%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、5月から6月上旬にかけて、0.001~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、5月から6月上旬にかけて、0.07~0.09%台で推移した。10年物国債流通利回りは、5月から6月上旬にかけて、1.3%台半ばから後半で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、5月末には1,120ポイントとなった。日経平均株価は、5月末には11,763円となった。
広義流動性は、5月(速報)は前年同月比1.2%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、5月(速報)は前年同月比4.7%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.6%減)となった。5月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債の発行は無かった。また、国内公募事業債の起債実績は、7,690億円(銀行起債は1,000億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、4月は前月比で短期は0.079%ポイント上昇し、長期は0.114%ポイント上昇したことから、総合では0.075%ポイント上昇し1.630%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の5月の現状判断DIは、前月を0.5ポイント下回り、46.2となった。先行き判断DIは、前月を1.4ポイント上回り、49.7となった。