月例経済報告(平成14年2月)

―景気は、悪化を続けている。―

平成14年2月13日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、悪化を続けている。

  • 個人消費は、弱含んでいる。
  • 失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、雇用情勢は厳しさを増している。
  • 輸出に下げ止まりの兆しがみられ、生産は減少テンポが緩やかになったものの、設備投資は減少している。

先行きについては、厳しい雇用・所得環境や資本市場の動向などが、今後の民間需要を下押しする懸念がある一方、アメリカやアジアの一部に景気底入れの動きがみられるなど、対外経済環境の改善が期待される。

(政策の基本的態度)

政府は、構造改革を断行する一方で、デフレスパイラルに陥ることを回避するために細心の注意を払い、日本銀行と一致協力して、デフレ阻止に向けて強い決意で臨む。

1月25日には、日本が目指す経済社会の姿と、それを実現するための構造改革を中心とした中期的な経済財政運営について明確な将来展望を示した「構造改革と経済財政の中期展望」を閣議決定した。また、同日、「平成14年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議決定し、平成14年度一般会計予算案を国会に提出した。

政府としては、平成13年度補正予算等の着実な実施を図るとともに、平成14年度予算の早期成立に努めることとしている。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、弱含んでいる。

個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、弱含んでいる。一部の業種や支出項目については、このところ増加の動きがみられていたが、それらも再び減少に転じるものが多く、昨年央以降の弱い動きから改善する兆しはまだみられない。この背景としては、所得面で弱い動きが続いていることに加えて消費者マインドも低水準にあることが考えられる。
需要側については、支出項目ごとの動向を家計調査でみると、実質消費支出は、自動車や住居関連費用を含め全体的に減少しており、平成13年12月は前月を大きく下回っている。消費総合指数は、3ヶ月前と比べやや増加している。
販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額とチェーンストア販売額は、弱い動きが続いている。百貨店販売額は、前月に冬物衣料や歳暮ギフトの需要が前倒しで現れたことの反動もあって前年を下回っている。新車販売台数は、小型乗用車、軽乗用車が新型車投入効果などにより前年を上回っていることなどから、前年を上回っている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、前年を下回っている。旅行は、国内旅行は前年をやや上回っており、海外旅行では米国における同時多発テロ事件等の影響から大幅に下回っている。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与(所定内及び所定外給与の合計)は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。現金給与総額は引き続き前年を下回っている。また、この冬のボーナスの支給動向について特別給与の動きでみると、前年を大きく下回っている。
消費者マインドは、大きく悪化した後も改善がみられず厳しい状態にある。

設備投資は、減少している鼻

設備投資は、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に平成13年に入って以降減少が続いている。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、4-6月期及び7-9月期の設備投資は、減少している。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成13年に入って以降減少が続いている。なお、ソフトウェア投資は、増加基調を続けている。
設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成13年度設備投資計画において製造業、非製造業ともに減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成13年1-3月期以降減少基調で推移し平成14年1-3月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、平成13年に入り、貸家は増加したものの、これまで堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、年間を通じておおむね年率115~120万戸で推移した。この結果、平成13年の住宅建設は、前年比4.6%減の117.4万戸と平成10年以来3年ぶりに120万戸を下回る低い水準となった。
この背景としては、雇用・所得環境が厳しさを増していること、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。
先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少傾向にあることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。国の平成13年度第2次補正後予算をみると、公共事業関係費では前年度を大きく下回った。ただし、「国債発行額30兆円以下」の方針の下、安易な国債増発によることなく、政府の保有資金を最大限活用した「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業1.5兆円、施設費1兆円の計2.5兆円の社会資本整備のための無利子貸付けを行うこととしており、この特別措置のほか、施設費を加えた公共投資関連予算ベースでみると、ほぼ前年度並みを確保している。地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
このような状況を反映して、10-12月期の公共工事請負金額は11四半期連続で、大手50社受注額も4四半期連続で前年を下回った。7-9月期までは順次マイナス幅が縮小する傾向にあったが、10-12月期はいずれも再び拡大している。
1-3月期の公共投資については、地方の投資的経費の減少傾向が続いていることなどを踏まえると、引き続き前年を下回ると考えられる。

輸出は、下げ止まりの兆しがみられる。輸入は、減少傾向が弱まっている。貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。

輸出は、世界的なIT関連の在庫調整の進展などによって電気機器や一般機械などの減少幅が縮小しており、下げ止まりの兆しがみられる。地域別にみると、アメリカ向け輸出、アジア向け輸出はおおむね横ばいとなっている。なお、アメリカ向け輸出における自動車の増加は、ゼロ金利キャンペーンの影響によるものでもあり、一時的と考えられる。EU向け輸出は減少が続いている。先行きについては、ヨーロッパの景気減速が続いているものの、為替レートの円安傾向やアメリカ及びアジアの一部での景気底入れの動きが我が国輸出を下支えする要因になるとみられる。
輸入は、内需の弱さや為替レートの円安傾向にもかかわらず、これまでの減少傾向が弱まっている。この背景には、IT関連を中心とした国内の在庫調整の進展により、機械機器の輸入に下げ止まりの兆しがみられること、中国からの食料品や繊維製品の輸入が増加していることなどが挙げられる。ただし、中国からの輸入増加については、一時的な要因も含まれている可能性がある。地域別にみると、EUからの輸入は増加している。アジアからの輸入は、中国からの輸入が増加しているものの、全体としてはおおむね横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器を中心に減少している。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。輸出数量に下げ止まりの兆しがみられることや、原油輸入価格の低下が輸入金額を下押ししていることに加え、海外旅行客の減少に伴うサービス収支赤字の減少が、黒字幅の拡大に寄与している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、減少テンポが緩やかになったものの、在庫率は高水準にある。

鉱工業生産は、昨年初めから大幅に減少していたが、10-12月期は前期比2.3%減となり、減少幅が小さくなっている。これまでIT関連品目が生産の減少に大きく寄与してきたが、このところ、IT関連品目において、生産財を中心として下げ止まりの兆しがみられ、生産の減少に占める寄与は縮小している。
生産の先行きについては、輸出に下げ止まりの兆しがみられ、在庫が減少しているなど、生産が下げ止まる可能性はあるものの、在庫率は依然として高い水準にあることや設備投資の減少が続くとみられること等、懸念すべき点がみられる。なお、製造工業生産予測調査によると1月、2月は増加が見込まれている。
一方、第3次産業活動の動向をみると、このところ減少している。

企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。倒産件数は、高い水準となっている。

企業収益は平成11年以降改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、平成13年に入って以降、人件費の削減ペースが鈍化してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっていた。平成13年7-9月期には売上高も減収に転じ、電気機械などの製造業を中心に大幅な減益となった。また日銀短観によると、平成13年度下期も、上期に続き製造業を中心に大幅な減益を見込んでいる。
企業の業況判断について日銀短観をみると、一層厳しさが増している。特に製造業では鉄鋼や電気機械、非製造業では建設や卸売などで業況判断の厳しさが目立っている。先行きについても、中小企業を中心にさらなる悪化を見込んでいる。
また、倒産件数は、東京商工リサーチ調べによると、12月は1,532件、10-12月期では5,188件となるなど、高い水準となっている。

雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。

平成13年12月の完全失業率は、前月比0.1%ポイント上昇し、5.6%とこれまでにない水準となった。完全失業者については、平成13年11月から非自発的な離職による者が自発的な離職による者を上回っており、かつその増加幅も拡大している。
新規求人数は、前月比、前年同月比ともに減少しており、弱い動きが続いている。製造業の残業時間については、前月比で若干増加したものの、基調としては弱い動きが続いている。
賃金の動きをみると、現金給与総額、定期給与は前年を下回っており、弱い動きが続いている。ボーナスを含む特別給与についても、前年を下回っている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価は、下落している。消費者物価は、弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベースでは下落しているものの、円ベースでは円安を背景に上昇している。国内卸売物価は、下落している。最近の動きをみると、非鉄金属などは上昇しているものの、技術革新や需要の減少等を背景とした電気機器の趨勢的な値下がりに加え、原油価格低下の影響を受けて石油・石炭製品や化学製品が下落していることから、全体としては下落している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体として下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢については、株式相場は下落し、長期金利はやや上昇した。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、1月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、0.001%~0.002%で推移した。2、3ヶ月物は、昨年4月以降、低位での推移が続いているが、3月決算期末を控え、このところやや上昇している。長期金利は、昨年8月中旬以降ほぼ横ばいで推移した後、1月は、3月決算期末を控え、金融機関の持高調整により長期国債が売られるとの市場の見方などもあって、やや上昇した。
株式相場は、10月以降、ほぼ横ばいで推移した後、1月は、東証株価指数(TOPIX)で1,000ポイント、日経平均株価で1万円以下まで下落した。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、11月上旬の120円台から、1月下旬には134円台まで下落し、その後ほぼ横ばいで推移した。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、昨年11月中旬の107円台から、1月上旬に118円台まで下落し、月末には114円台まで上昇した。
M2+CD(月中平均残高)は、このところ、流動性預金の伸び率が上昇したことなどから、若干伸びを高めている。(12月速報:前年同月比3.4%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移して来たが、このところ横ばい圏で推移している。なお、企業の格付等に応じた資金調達条件の格差が、このところ拡大している。

4.海外経済

ヨーロッパでは減速が続いているが、アメリカ及びアジアの一部に底入れの動きがみられる。

世界経済をみると、ヨーロッパでは減速が続いているが、アメリカ及びアジアの一部に底入れの動きがみられる。
アメリカは、景気に底入れの動きがみられる。個人消費は持ち直しの動きがみられる。住宅投資は減少している。設備投資は引き続き大幅に減少しているが、非軍需資本財受注や企業の景況感に改善の動きがみられる。IT関連部門では在庫調整の進展から生産が増加するなど、生産は下げ止まりつつある。雇用は減少しているものの、サービス部門では増加に転じた。また、失業率は低下した。物価は、このところエネルギー価格の下落を受けて弱含んでいる。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は後退している。フランス及びイギリスでは、景気は減速している。
アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は下落傾向にある。韓国では、景気は底入れしている。
金融情勢をみると、ドルは、アメリカ経済の早期回復期待が強まったことなどから、増価基調で推移した。アメリカの株価は、企業業績に対する先行き懸念などから、軟調に推移した。アメリカのフェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準は、昨年1月から11回連続で合計4.75%ポイント引き下げられてきたが、1月29、30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で据え置かれた。
国際商品市況をみると、原油価格は、需要減退から在庫が増加する中、北米の暖冬が重なり、弱含みで推移した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成13年11月(速報値)季節調整済3ヶ月前比0.9%増の後、12月(速報値)は同0.2%増となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、11月季節調整済前月比0.2%減の後、12月(速報値)は同6.0%減(前年同月比6.6%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、12月(速報値)は季節調整済前月比4.9%減(前年同月比4.4%減)となった。
経済産業省柊商業販売統計稗の小売業販売額は、12月(速報値)は季節調整済前月比3.1%減(前年同月比5.7%減)となった。また、百貨店販売額は、12月(速報値)は、前年同月比1.2%減(店舗調整後)(季節調整済前月比7.6%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、12月は、前年同月比5.0%減(店舗調整後)(季節調整済前月比3.2%減(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、12月は前年同月比0.4%増の後、平成14年1月(速報値)は同5.2%増となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、11月前年同月比7.9%減の後、12月は同9.2%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額の12月は、前年同月比で国内旅行が3.3%増、海外旅行が同45.8%減となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、11月前年同月比1.3%減の後、12月(速報値)は3.7%減(事業所規模30人以上では同2.4%減)となり、うちきまって支給する給与は、12月(速報値)同0.8%減(事業所規模30人以上では同0.1%増)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、11月前年同月比0.2%減の後、12月(速報値)は同2.3%減(事業所規模30人以上では同1.0%減)となった。また、特別に支払われた給与は、事業所規模5人以上では、12月(速報値)前年同月比5.8%減(事業所規模30人以上では同4.0%減)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、9月前期差4.0ポイント低下(悪化)の後、12月同横ばいとなった。

<設備投資>

平成13年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、季節調整済前期比で1.6%減(前年同期比0.5%増)となっており、うち製造業では同6.3%減(同2.7%減)、非製造業では同1.3%減(同2.4%増)となっている。
法人企業統計季報で捕捉できない金融・保険業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」でみると、7-9月期(実績見込)は季節調整済前期比23.1%増(前年同期比37.9%増)となっている。
経済産業省「経済産業統計」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で11月は0.2%減(前年同期比19.0%減)の後、12月は同5.6%増(同20.0%減)となっている。
日本銀行柊企業短期経済観測調査稗(13年12月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成13年度設備投資計画は、製造業で前年度比4.4%減、非製造業で同7.9%減となっており、全産業では同6.5%減となった。また、中小企業では製造業で同16.3%減、非製造業で同5.5%減となっており、全産業では同8.4%減となった。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、11月は前年同月比9.3%増の後、12月は12.5%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で10月は10.1%減(前年同月比26.6%減)の後、11月は同14.9%増(同13.6%減)となり、減少傾向にある。なお、10-12月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で0.5%減(前年同期比12.1%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で11月は6.8%減(前年同月比11.1%減)の後、12月は同8.1%減(同14.0%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.4%減、4-6月期は0.9%減、7-9月期は4.0%増、10-12月は3.4%減となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、1-3月期は23.4%減、4-6月期は20.9%減、7-9月期は4.6%減、10-12月は16.4%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、1-3月期は10.8%減、4-6月期は4.5%増、7-9月期は12.0%増、10-12月は12.3%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、1-3月期は10.1%減、4-6月期は3.3%減、7-9月期は5.8%増、10-12月は3.0%減となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、平成12年度第2回募集(受付期間:8月7日~9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日~12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日~3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。また、平成13年度第1回募集(受付期間:4月23日~5月28日)は28,432戸、第2回募集(受付期間:7月16日~8月27日)は23,009戸、第3回募集(受付期間:9月17日~10月15日)は11,837戸、第4回募集(受付期間:11月15日~12月21日)は12,698戸となっている(平成13年度から受付回数が年4回から年6回になったため、単純に比較できない)。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104となっている。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計(2次補正後)における公共事業関係費は、前年度補正後予算と比較して13.7%減となっている。ただし、平成13年度第2次補正予算においては、産業投資特別会計社会資本勘定における「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業1.5兆円、施設費1兆円、計2.5兆円の社会資本整備のための無利子貸付を行い、事業規模で4.1兆円程度を確保することととしている。公共事業関係費に、施設費と今回の「改革推進公共投資」国費分を加えた公共投資関連予算ベースでみると、ほぼ前年度並みを確保している。なお、平成14年度予算案においては、公共投資について、規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点分野に重点化し、対前年度比10.7%減としている。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(9月補正後)ベースでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比5.7%減、政令指定都市で同9.5%減、両者を合わせると同6.2%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベースの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。なお、平成14年度地方財政対策においては、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行い、投資的経費のうち地方単独事業費について対前年度比10.0%減としている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で10月4.5%減の後、11月は18.0%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で11月26.4%減の後、12月は9.2%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で11月5.8%増の後、12月は11.6%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で平成13年10月2.4%増、11月1.0%増の後、12月は6.3%減(前年同月比14.9%減)となった。また、前期比で7-9月期2.8%減の後、10-12月期は0.2%減(前年同期比12.0%減)となっている。日本自動車工業会「自動車輸出概況」によると、アメリカ向け乗用車輸出台数は、前年同月比で10月21.8%増、11月は9.7%増の後、12月は9.8%減となった。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で10月12.0%増、11月3.4%減の後、12月は2.2%減(前年同月比9.2%減)となった。また、前期比で7-9月期4.0%減の後、10-12月期は3.4%増(前年同期比5.5%減)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、11月は5,520億円、通関収支差(季節調整値)は、11月5,691億円の後、12月は4,756億円となった。

<生産・出荷・在庫>

平成13年12月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電気機械や輸送機械等が増加したことから、前月比2.1%増となった。また、10-12月期では前期比2.3%減となり、4-6月期(前期比4.1%減)や7-9月期(同4.3%減)に比べて減少幅が小さくなっている。
製造工業生産予測調査によると、前月比で1月は電気機械やその他工業等により1.4%増の後、2月は一般機械や輸送機械等により0.6%増になると見込まれている。
12月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比1.0%減となった。また、12月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は114.7となっている。
11月の第3次産業活動指数(季節調整値・速報)は、サービス業、運輸・通信業等が増加した結果、前月比1.7%増となった。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、7-9月期の経常利益は全産業で前年同期比32.5%減、製造業は53.4%減、非製造業は15.0%減となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、平成13年度の経常利益は、全規模・全産業で上期は同17.6%の減益の後、下期には同19.6%の減益が見込まれており、通期でも同18.7%の減益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、全規模で製造業は4%ポイント悪化して△47%ポイント、非製造業は3%ポイント悪化して△34%ポイント、全産業では4%ポイント悪化して△40%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、12月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,532件(前年同月比2.6%増)、負債総額は15,201億円(同95.0%増)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,505件(同2.9%減)、負債総額は15,640億円(同88.0%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は119件(同17.8%増)となっており、主な大型倒産としては、東証1部上場の中堅ゼネコンの青木建設(負債3,721億円)、大証1部上場の総合スーパーの壽屋(同2,126億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、12月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0.1%ポイント上昇し5.6%となった。完全失業者数(季節調整値)は、前月差6万人増の376万人となった。求職理由別完全失業者数(原数値)は、非自発的な離職による者は、11月123万人(前年同月差29万人増)の後、12月は125万人(同31万人増)となった。自発的離職による者は、11月112万人(同6万人増)の後、12月は101万人(同4万人増)となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、季節調整済前月比で11月0.9%増の後、12月は5.7%減となった(12月前年同月比14.0%減)。新規求人倍率(季節調整値)は11月0.92倍の後、12月0.92倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、11月0.53倍の後、12月0.51倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では11月季節調整済前月比3.0%減(前年同月比18.2%減)の後、12月は同0.1%増(同17.5%減)(速報値)となった。
毎月勤労統計調査によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、11月前年同月比1.3%減の後、12月(速報値)は3.7%減(事業所規模30人以上では同2.4%減)となり、うちきまって支給する給与は、12月(速報値)同0.8%減(事業所規模30人以上では同0.1%増)となった。特別に支払われた給与は、事業所規模5人以上では、12月(速報値)同5.8%減(事業所規模30人以上では同4.0%減)となった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、14年1月は前月比2.8%の上昇(前年同月比3.7%上昇)、13年11-1月平均の3ヶ月前比(8-10月平均対比、以下同じ)は2.5%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、1月は前月比2.4%の上昇(前年同月比0.5%上昇)、11-1月平均の3ヶ月前比は0.1%の上昇となった。また、国内卸売物価は、1月は、前月比0.2%の下落(前年同月比1.4%下落)、3ヶ月前比は0.4%の下落となった。
日本銀行柊企業向けサービス価格指数稗の12月の企業向けサービス価格は前年同月比1.4%の下落(前月比0.1%下落)となった。
総務省柊消費者物価指数(全国)稗の生鮮食品を除く総合は、12月は前年同月比0.9%の下落(季節調整済前月比0.1%下落)、10-12月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。一般サービスは、12月は前年同月比0.1%の上昇、10-12月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、12月は前年同月比2.2%の下落、10-12月平均の前年同期比は2.0%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、14年1月は前年同月比1.2%の下落(季節調整済前月比0.2%下落)、11-1月平均の前年同期比は1.0%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、1月は、0.001%~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、1月は、0.10%台で推移した。10年物国債流通利回りは、1月は、1.3%台から1.4%台へ上昇した。
東証株価指数(TOPIX)は、1月末には971ポイントとなった。日経平均株価は、1月末には9,997円となった。
広義流動性は、12月(速報)は前年同月比2.9%増となった。マネタリーベースは、日銀による潤沢な資金供給の継続を受けて、1月は前年同月比23.4%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、12月(速報)は前年同月比4.3%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.1%減)となった。12月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が250億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、5,072億円(銀行起債は無し)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、12月は前月比で短期は0.074%ポイント低下し、長期は0.118%ポイント上昇したことから、総合では0.009%ポイント低下し1.619%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府の景気ウォッチャー調査の平成13年12月の現状判断DIは、前月を2.0ポイント上回り、31.6となった。先行き判断DIは、前月を0.4ポイント下回り、33.2となった。