月例経済報告(平成11年12月)

平成11年12月10日

経済企画庁調査局

概観

我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、秋口に比べ若干の改善がみられるが、収入が低迷していることから、足踏み状態を脱していない。住宅建設は、マンションは堅調だが、持家及び貸家が減少したため、直近はやや水準を下げている。設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。公共投資は、事業の実施は前年並みに進んでいるが、着工は低調に推移している。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。

在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産は、持ち直しの動きがみられる。

雇用情勢は、残業時間などの増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。

企業収益は、持ち直してきた。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。

以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していないが、各種の政策効果に加え、アジア経済の回復などの影響で、緩やかな改善が続いている。

政府は、将来の公需の鈍化等が景気減速をもたらしかねないとの懸念を払拭しつつ、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、先般決定した経済新生対策を強力に推進する。


我が国経済:需要面をみると、個人消費は、秋口に比べ若干の改善がみられるが、収入が低迷していることから、足踏み状態を脱していない。住宅建設は、マンションは堅調だが、持家及び貸家が減少したため、直近はやや水準を下げている。設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。公共投資は、事業の実施は前年並みに進んでいるが、着工は低調に推移している。

11年7~9月期(速報)の実質国内総生産は、前期比1.0%減(年率3.8%減)となり、うち内需寄与度はマイナス1.3%となった。

産業面をみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、鉱工業生産は、持ち直しの動きがみられる。企業収益は、持ち直してきた。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。企業倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

雇用情勢は、残業時間などの増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。

輸出は、アジア向けを中心に、増加している。輸入は、アジアからの輸入が増加基調にあり、緩やかに増加している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、11月は104円台から106円台で推移した後、月末には102円台に上昇した。

物価の動向をみると、国内卸売物価は、下げ止まっている。また、消費者物価は、安定している。

最近の金融情勢をみると、短期金利は、11月は上昇した。長期金利は、11月は横ばいで推移した。株式相場は、11月は上昇した。マネーサプライ(M+CD)は、10月は前年同月比3.5%増となった。また、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。

海外経済:主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、99年4~6月期前期比年率1.9%増の後、7~9月期は同5.5%増(速報値)となった。個人消費、設備投資は増加している。住宅投資は減少した。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。物価は総じて安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、依然として高水準である。連邦準備制度は、11月16日に、公定歩合を0.25%引き上げ5.00%、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.25%引き上げ5.50%とし、金融政策姿勢を「引締め」から「中立」へ変更した。11月の長期金利(30年物国債)は、月前半は低下したものの後半は上昇し、月初と月末を比較するとやや上昇した。株価(ダウ平均)は、中旬に上昇したが、下旬はやや下落した。

西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに改善してきている。フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気は改善している。鉱工業生産は、ドイツではほぼ横ばいで推移している。フランス、イギリスでは増加している。失業率は、ドイツではほぼ横ばいで推移している。フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは低水準で推移している。物価は、安定している。

東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は下落している。輸出は大幅に増加している。韓国では、景気は拡大している。失業率は低下している。

国際金融市場の11月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや増価基調で推移した。

国際商品市況の11月の動きをみると、CRB商品先物指数は、中旬にかけ207ポイント目前の水準まで上昇したものの、その後は203ポイント前後のレンジ内で上下した。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から上昇基調で推移し、下旬にかけては湾岸危機以来となる26ドル台を記録した。

1.国内需要:足踏み状態を脱していない個人消費

実質国内総生産(平成2年基準、速報)の動向をみると、11年4~6月期前期比1.0%増(年率3.9%増)の後、11年7~9月期は同1.0%減(同3.8%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度はマイナス1.3%となり、財貨・サービスの純輸出の寄与度はプラス0.4%となった。需要項目別にみると、民間最終消費支出は前期比0.3%減、民間企業設備投資は同2.1%減、民間住宅は同3.2%減となった。また、財貨・サービスの輸出は前期比4.7%増、財貨・サービスの輸入は同2.4%増となった。

個人消費は、秋口に比べ若干の改善がみられるが、収入が低迷していることから、足踏み状態を脱していない。

家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で9月2.9%減の後、10月(速報値)は2.3%減(季節調整済前月比0.7%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比2.4%減、勤労者以外の世帯では同2.3%減となった。形態別にみると、 耐久財等は減少、非耐久財等は増加となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比2.3%減、勤労者世帯では同3.0%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で9月0.8%増となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で9月1.8%減の後、10月(速報値)は0.2%減(季節調整済前月比1.6%増)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で9月5.0%減の後、10月(速報値)1.3%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で9月1.4%減の後、10月0.3%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で11月(速報値)は3.1%減となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で10月は9.6%増となった。レジャー面を大手旅行業者13社取扱金額でみると、10月は前年同月比で国内旅行が1.8%減、海外旅行は8.7%増となった。

賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では前年同月比で9月0.6%増の後、10月(速報)は0.1%減(事業所規模30人以上では同0.6%増)となり、うち所定外給与は、10月(速報)は同2.6%増(事業所規模30人以上では同1.6%増)となった。実質賃金は、前年同月比で9月0.9%増の後、10月(速報)は0.6%増(事業所規模30人以上では同1.4%増)となった。

住宅建設は、マンションは堅調だが、持家及び貸家が減少したため、直近はやや水準を下げている。

新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で9月1.3%減(前年同月比10.5%増)となった後、10月は9.6%減(前年同月比0.6%減)の9万5千戸(年率114万戸)となった。10月の着工床面積(季節調整値)は、前月比12.1%減(前年同月比1.9%増)となった。10月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比17.0%減(前年同月比4.9%減)、貸家は同7.9%減(同11.4%減)、分譲住宅は同1.6%減(同30.0%増)となっている。

設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。

当庁「法人企業動向調査」(11年9月調査)により設備投資の動向をみると、全産業の設備投資は、季節調整済前期比で11年4~6月期(実績)7.5%増(うち製造業5.3%増、非製造業7.3%増)の後、11年7~9月期(実績見込み)は6.0%減(同10.0%減、同3.3%減)となっている。年度計画では、前年比で10年度(実績)5.3%減(うち製造業6.3%減、非製造業4.8%減)の後、11年度(計画)は9.4%減(同11.3%減、同8.3%減)となっている。

なお、11年4~6月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると前年同期比で13.4%減(うち製造業24.6%減、非製造業6.6%減)となった。

先行指標の動きをみると、当庁「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で8月は2.7%増(前年同期比4.1%減)の後、9月は4.6%増(同6.7%減)となり、基調としては、製造業を中心とした底固めへの動きが見られ、今後の受注動向を注視していく必要がある。

なお、10~12月期(見通し)の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前期比で2.8%減(前年同期比4.7%減)と見込まれている。

民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、前年を下回る水準が続いており、10月は季節調整済前月比19.1%減(前年同月比15.5%減)となった。内訳をみると、製造業は季節調整済前月比27.2%減(前年同月比20.6%減)、非製造業は同16.3%減(同14.5%減)となった。

公的需要関連指標をみると、公共投資は、事業の実施は前年並みに進んでいるが、着工は低調に推移している。

公共工事着工総工事費は、前年同月比で8月7.4%減の後、9月は10.8%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で9月15.3%減の後、10月は18.4%減となった。官公庁からの建設工事受注額(50社)は、前年同月比で9月15.3%減の後、10月は34.8%減となった。実質公的固定資本形成は、11年4~6月期に季節調整済前期比2.8%増の後、11年7~9月期は同8.5%減となった。また、実質政府最終消費支出は、11年4~6月期に季節調整済前期比1.3%減の後、11年7~9月期は同0.9%増となった。

2.生産雇用:持ち直しの動きがみられる生産

鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産・出荷は、持ち直しの動きがみられる。

鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で9月0.6%減の後、10月(速報)は、化学、石油・石炭製品等が増加したものの、輸送機械、金属製品等が減少したことから、2.3%減となった。また、製造工業生産予測指数(季節調整値)は、前月比で11月は電気機械、輸送機械等により5.0%増の後、12月は輸送機械、化学等により1.1%減となっている。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で9月0.1%増の後、10月(速報)は、資本財、生産財等が減少したことから、2.3%減となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で9月0.2%減の後、10月(速報)は、石油・石炭製品、化学等が増加したものの、輸送機械、電気機械等が減少したことから、1.4%減となった。また、10月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値)は100.6と前月を0.5ポイント上回った。

主な業種について最近の動きをみると、輸送機械では、生産は10月は減少し、在庫は10月は減少した。電気機械では、生産は2か月連続で減少し、在庫は3か月連続で減少した。化学では、生産は10月は増加し、在庫は10月は増加した。

第3次産業の動向を通商産業省「第3次産業活動指数」(9月調査、季節調整値)でみると、8月1.3%増の後、9月(速報)は、運輸・通信業、電気・ガス・熱供給・水道業等が増加したものの、サービス業、卸売・小売業,飲食店等が減少した結果、前月比0.9%減となった。

雇用情勢は、残業時間などの増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。

労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、9月0.47倍の後、10月0.48倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、9月0.88倍の後、10月0.91倍となった。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、9月は前年同月比0.1%増(前年同月差8万人増)の後、10月は0.1%減(同7万人減)となった。常用雇用(事業所規模5人以上)は、9月前年同月比0.1%減(季節調整済前月比0.0%)の後、10月(速報)は同0.2%減(同0.1%減)となり(事業所規模30人以上では前年同月比1.5%減)、産業別には製造業では同2.1%減となった。10月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差2万人減の313万人、完全失業率(同)は、9月4.6%の後、10月4.6%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では9月前年同月比7.7%増(季節調整済前月比2.0%増)の後、10月(速報)は同5.7%増(同0.7%減) となっている(事業所規模30人以上では前年同月比4.3%増)。

また、労働省「労働経済動向調査」(11月調査)によると、「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、引き続き高い水準となっているものの、7~9月期はやや低下した。

企業の動向をみると、企業収益は、持ち直してきた。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。

大企業の動向を前記「法人企業動向調査」(9月調査、季節調整値)でみると、11年7~9月期の売上高、経常利益の判断(ともに「増加」-「減少」)は、「減少」超幅が縮小した。また、11年7~9月期の企業経営者の景気判断(業界景気の判断、「上昇」-「下降」)は「下降」超幅が縮小した。

また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(9月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」-「減少」)は、11年7~9月期は「減少」超幅が縮小し、純益率D.I.(「上昇」-「低下」)は、「低下」超幅が縮小した。業況判断D.I.(「好転」-「悪化」)は、11年7~9月期は「悪化」超幅が縮小した。

企業倒産の状況をみると、おおむね横ばいとなっている。

銀行取引停止処分者件数は、10月は953件で前年同月比18.5%減となった。業種別に件数の前年同月比をみると、小売業で25.9%、製造業で20.4%の減少となった。

3.国際収支:輸出は、アジア向けを中心に、増加

輸出は、アジア向けを中心に、増加している。

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で9月3.5%増の後、10月は0.9%減(前年同月比6.1%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、輸送用機器等が増加した。同じく地域別にみると、アジア等が増加した。

輸入は、アジアからの輸入が増加基調にあり、緩やかに増加している。

通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で9月2.1%減の後、10月4.5%減(前年同月比8.5%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、鉱物性燃料等が増加した。同じく地域別にみると、中東、アメリカ等が増加した。

通関収支差(季節調整値)は、9月に1兆1,560億円の黒字の後、10月は1兆1,424億円の黒字となった。

国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

9月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、6,366億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、貿易・サービス収支の黒字幅が拡大したものの、所得収支の黒字幅が縮小し、経常移転収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、8,117億円となった。投資収支(原数値)は、6,671億円の黒字となり、資本収支(原数値)は、1,966億円の黒字となった。

11月末の外貨準備高は、前月比8億ドル減少して2,720億ドルとなった。

外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、11月は104円台から106円台で推移した後、月末には102円台に上昇した。一方、対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、11月は108円台から110円台で推移した後、月末には103円台に上昇した。

4.物価:国内卸売物価は、下げ止まり

国内卸売物価は、下げ止まっている。

11月の国内卸売物価は、電気機器(ルームエアコン)等が下落したものの、石油・石炭製品(C重油)等が上昇したことから、前月比保合い(前年同月比0.6%の下落)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比0.7%の下落(前年同月比8.0%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比0.2%の下落(前年同月比2.8%の下落)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比0.1%の下落(前年同月比1.7%の下落)となった。

企業向けサービス価格は、10月は前年同月比0.9%の下落(前月比保合い)となった。

商品市況(月末対比)は紙・板紙等は上昇したものの、繊維等の下落により11月は下落した。11月の動きを品目別にみると、上質紙等は上昇したものの、毛糸等が下落した。

消費者物価は、安定している。

全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で9月保合いの後、10月は一般食料工業製品が上昇から保合いとなったこと等により0.1%の下落(前月比0.1%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で9月0.2%の下落の後、10月は昨年の生鮮食品の上昇の影響等により0.7%の下落(前月比0.2%の上昇)となった。

東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で10月0.2%の下落の後、11月(中旬速報値)は、繊維製品の下落幅の拡大等により0.3%の下落(前月比0.1%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で10月0.9%の下落の後、11月(中旬速報値)は昨年の生鮮食品の上昇の影響等により1.3%の下落(前月比0.5%の下落)となった。

5.金融財政:株式相場は、上昇

最近の金融情勢をみると、短期金利は、11月は上昇した。長期金利は、11月は横ばいで推移した。株式相場は、11月は上昇した。M+CDは、10月は前年同月比3.5%増となった。

短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、11月は横ばいで推移した。2、3か月物は、11月は上昇した。

公社債市場をみると、国債利回りは、11月は横ばいで推移した。

国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、10月は短期は0.058%ポイント上昇し、長期は0.034%ポイント上昇したことから、総合では前月比で0.041%ポイント上昇し1.811%となった。

マネーサプライをみると、M+CD(月中平均残高)は、10月(速報)は前年同月比3.5%増となった。また、広義流動性は、10月(速報)は同3.3%増となった。

企業金融の動向をみると、金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、11月(速報)は前年同月比5.7%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.1%減)となった。11月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債がゼロとなった。また、国内公募事業債の起債実績は7,220億円(うち銀行起債分1,100億円)となった。

企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。

株式市場をみると、日経平均株価は、11月は上昇した。

6.海外経済:原油価格、湾岸危機以来の高値

主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、99年4~6月期前期比年率1.9%増の後、7~9月期は同5.5%増(速報値)となった。個人消費、設備投資は増加している。住宅投資は減少した。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は10月前月差26.3万人増の後、11月は同23.4万人増となった。失業率は11月4.1%となった。物価は総じて安定している。10月の消費者物価は前年同月比2.6%の上昇、10月の生産者物価(完成財総合)は同2.7%の上昇となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、依然として高水準である。連邦準備制度は、11月16日に、公定歩合を0.25%引き上げ5.00%、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.25%引き上げ5.50%とし、金融政策姿勢を「引締め」から「中立」へ変更した。11月の長期金利(30年物国債)は、月前半は低下したものの後半は上昇し、月初と月末を比較するとやや上昇した。株価(ダウ平均)は、中旬に上昇したが、下旬はやや下落した。

西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに改善してきている。フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気は改善している。実質GDPは、ドイツ4~6月期前期比年率0.2%増、フランス7~9月期同4.2%増(速報値)、イギリス7~9月期同3.6%増(改訂値)となった。鉱工業生産は、ドイツではほぼ横ばいで推移している。フランス、イギリスでは増加している(鉱工業生産は、ドイツ9月前月比1.0%減、フランス9月同0.1%減、イギリス9月同0.2%増)。失業率は、ドイツではほぼ横ばいで推移している。フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは低水準で推移している(失業率は、ドイツ10月10.5%、フランス10月11.0%、イギリス10月4.2%)。物価は、安定している(消費者物価上昇率は、ドイツ11月前年同月比1.0%、フランス10月同0.8%、イギリス10月同1.2%)。

東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は下落している。輸出は大幅に増加している。韓国では、景気は拡大している。失業率は低下している。

国際金融市場の11月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや増価基調で推移した。モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(1990年=100)をみると、11月30日現在106.5、10月末比1.0%の減価となっている。内訳をみると、11月30日現在、対円では10月末比1.9%減価、対ユーロでは同4.5%増価した。

国際商品市況の11月の動きをみると、CRB商品先物指数は、中旬にかけ207ポイント目前の水準まで上昇したものの、その後は203ポイント前後のレンジ内で上下した。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から上昇基調で推移し、下旬にかけては湾岸危機以来となる26ドル台を記録した。