月例経済報告(平成10年3月)

平成10年3月6日

経済企画庁調査局

概観

我が国経済:需要面をみると、個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって、低調な動きとなっている。住宅建設は、このところおおむね横ばいで推移しているものの、依然その水準は低い。設備投資は、全体として伸びが鈍化している。

産業面をみると、最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、鉱工業生産は、弱含んでいる。企業収益は、中小企業では減益が見込まれるなど全体として伸びが低下している。また、企業の業況判断は、厳しさが増している。

雇用情勢をみると、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど依然として厳しい状況にある。

輸出は、強含みに推移している。輸入は、おおむね横ばいで推移している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、2月は、月初の 126円台から一時 123円台まで上昇したが、その後下落し 127円台から 128円台で推移した。

物価の動向をみると、国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、やや弱含みで推移している。また、消費者物価は、安定している。

最近の金融情勢をみると、短期金利は、2月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、2月はやや低下した。株式相場は、2月はおおむね横ばいで推移した。マネーサプライ(M2+CD)は、1月は前年同月比 4.3%増となった。

海外経済:主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、97年7~9月期前期比年率 3.1%増の後、10~12月期は同 3.9%増(速報値)となった。個人消費、住宅投資は増加している。設備投資はこのところ伸びに鈍化がみられる。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。物価は安定している。12月の財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、前月から拡大した。2月の長期金利(30年物国債)は、やや上下したが、総じて上昇した。2月の株価(ダウ平均)は、総じて上昇し、月末には最高値を更新した。

西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は回復しており、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポはこのところ緩やかになってきている。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは回復しているが、イギリスではこのところ鈍化してきている。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している。物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスではこのところ安定してきている。

東アジアをみると、中国では、景気は拡大している。物価上昇率は、低下している。貿易収支は、大幅な黒字となった。韓国では、景気は後退している。失業率は、上昇している。物価上昇率は、高まっている。貿易収支は、大幅に改善している。

国際金融市場の2月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや弱含みながら、ほぼ横ばいで推移した。

国際商品市況の2月の動きをみると、全体では初旬強含みで推移した後、中旬から下旬にかけては弱含みで推移した。2月の原油スポット価格(北海ブレント)は、イラク情勢懸念の弱まりなどから、全体では弱含みでの推移となり、中旬から下旬にかけては13ドル台に下落した。


我が国経済の最近の動向をみると、純輸出は増加傾向にあるが、設備投資は、全体として伸びが鈍化している。個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって、低調な動きとなっている。住宅建設は、このところおおむね横ばいで推移しているものの、依然その水準は低い。このように最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、生産は弱含んでいる。雇用情勢をみると、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど依然として厳しい状況にある。また、民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。最近の株価の動き等金融市場の動向にみられるように、市場心理には一部好転の兆しもみられるものの、家計や企業の景況感の厳しさが個人消費や設備投資に影響を及ぼしており、景気は引き続き停滞している。

政府としては、家計や企業の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済を民間需要中心の自律的な安定成長軌道に乗せていくため、平成9年11月18日に決定した「21世紀を切りひらく緊急経済対策」を確実に実行に移すとともに、2兆円規模の所得税、個人住民税の特別減税を行うこととし、さらに法人課税、有価証券取引税等の金融・証券関係税制、地価税・土地譲渡益課税等の土地税制等の見直しを行うこととした。また、我が国の金融システムの安定性確保と預金者保護のための諸施策を講じることとした。

1.国内需要:設備投資は、全体として伸びが鈍化

個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって、低調な動きとなっている。

家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で11月2.1%減の後、12月は4.9%減(前月比3.2%減)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比4.6%減、勤労者以外の世帯では同5.5%減となった。形態別にみると、商品、サービスともに減少となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比4.8%減、勤労者世帯では同4.5%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で11月3.2%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で12月4.5%減の後、1月は2.6%減(前月比3.7%増)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で12月4.1%減の後、1月2.2%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で12月7.0%減の後、1月4.6%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を除く)新車新規登録台数は、前年同月比で2月は23.2%減となった。また、家電小売金額は、前年同月比で1月は2.6%減となった。レジャー面を大手旅行業者13社取扱金額でみると、1月は前年同月比で国内旅行が0.8%減、海外旅行は12.0%減となった。

賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では前年同月比で12月0.7%増の後、1月(速報)は1.1%減(事業所規模30人以上では同1.1%減)となり、うち所定外給与は、1月(速報)は同1.9%減(事業所規模30人以上では同2.0%減)となった。実質賃金は、前年同月比で12月1.1%減の後、1月(速報)は3.0%減(事業所規模30人以上では同3.1%減)となった。なお、11~1月合算の特別給与(速報)は、前年同期比0.9%減(前年は同3.0%増)となった。

住宅建設は、このところおおむね横ばいで推移しているものの、依然その水準は低い。

新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で12月1.3%増(前年同月比18.6%減)となった後、1月は1.1%増(前年同月比16.3%減)の10万9千戸(年率131万戸)となった。1月の着工床面積(季節調整値)は、前月比3.0%増(前年同月比19.6%減)となった。1月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比5.0%増(前年同月比28.3%減)、貸家は同7.0%減(同16.4%減)、分譲住宅は同7.7%増(同5.2%増)となっている。

設備投資は、全体として伸びが鈍化している。

当庁「法人企業動向調査」(9年12月調査)により設備投資の動向をみると、全産業の設備投資は、前期比で9年7~9月期(実績)1.4%増(うち製造業0.7%増、非製造業1.5%増)の後、9年10~12月期(実績見込み)は3.9%減(同1.9%増、同6.6%減)となっている。また、10年1~3月期(修正計画)は、前期比で2.2%減(うち製造業1.6%減、非製造業2.0%減)、10年4~6月期(計画)は3.7%減(同1.0%減、同4.9%減)と見込まれている。なお、年度計画では、前年度比で8年度(実績)7.8%増(うち製造業10.8%増、非製造業6.4%増)の後、9年度(計画)は2.7%増(同7.8%増、同0.2%増)となっている。先行指標の動きをみると、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で11月は11.4%減(前年同月比16.6%減)の後、12月は1.7%減(同8.9%減)となり、全体として弱含みで推移している。なお、当庁「機械受注調査(見通し)」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、1~3月期(見通し)は前期比で3.9%増(前年同期比1.6%減)と見込まれている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、前月比で12月6.1%減の後、1月は0.0%増(前年同月比6.2%減)となった。内訳をみると、製造業は前月比16.7%増(前年同月比12.8%増)、非製造業は同3.3%減(同12.1%減)となった。

公的需要関連指標をみると、公共投資については、着工総工事費は、前年同月比で11月0.5%減の後、12月は4.8%増となった。公共工事請負金額は、前年同月比で12月5.1%増の後、1月は0.1%増となった。官公庁からの建設工事受注額(50社)は、前年同月比で12月8.4%減の後、1月は29.8%減となった。

2.生産雇用:雇用情勢は、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど依然として厳しい状況

鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は高水準にあり、生産・出荷は、弱含んでいる。

鉱工業生産は、前月比で12月1.1%増の後、1月(速報)は、金属製品、石油・石炭製品が減少したものの、電気機械、一般機械等が増加したことから、2.9%増となった。また製造工業生産予測指数は、前月比で2月は機械、化学等により2.5%減の後、3月は機械、軽工業等により0.2%増となっている。鉱工業出荷は、前月比で12月1.4%増の後、1月(速報)は建設財が減少したものの、資本財、耐久消費財等が増加したことから、3.1%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で12月0.4%増の後、1月(速報)は、鉄鋼、パルプ・紙・紙加工品等が増加したものの、石油・石炭製品、金属製品等が減少したことから、0.2%減となった。また、1月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数は120.9と前月を1.7ポイント下回った。主な業種について最近の動きをみると、電気機械では、生産は2か月連続で増加し、在庫は1月は増加した。一般機械では、生産は1月は増加し、在庫は減少した。化学では、生産は1月は増加し、在庫は6か月連続で増加した。

第3次産業活動の動向をみると、10~12月期は前期比0.4%減となり、低調に推移している。

雇用情勢をみると、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど依然として厳しい状況にある。

労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、12月0.67倍の後、1月0.64倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、12月1.12倍の後、1月1.06倍となった。雇用者数は、伸びが鈍化している。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、1月は前年同月比0.3%増(前年同月差15万人増)となった。常用雇用(事業所規模5人以上)は、12月前年同月比0.7%増(季節調整済前月比0.1%減)の後、1月(速報)は同0.7%増(同0.0%)となり(事業所規模30人以上では前年同月比0.1%増)、産業別には製造業では同0.5%減となった。1月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差3万人増の238万人、完全失業率(同)は、12月3.5%の後、1月3.5%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では12月前年同月比2.7%減(季節調整済前月比1.7%減)の後、1月(速報)は同6.4%減(同0.3%減)となっている(事業所規模30人以上では前年同月比5.6%減)。また、労働省「労働経済動向調査」(2月調査)によると、「残業規制」等の雇用調整を実施する事業所割合は、10~12月期はやや上昇した。

企業の動向をみると、企業収益は、中小企業では減益が見込まれるなど全体として伸びが低下している。また、企業の業況判断は、厳しさが増している。

大企業の動向を前記「法人企業動向調査」(12月調査、季節調整値)でみると、売上高、経常利益の見通し(ともに「増加」-「減少」)は、10年1~3月期は「減少」超に転じた。また、企業経営者の景気見通し(業界景気の見通し、「上昇」-「下降」)は10年1~3月期は「下降」超幅が拡大した。また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(12月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」-「減少」)は、9年10~12月期は「減少」超幅が拡大し、純益率D.I.(「上昇」-「低下」)は、「低下」超幅が拡大した。業況判断D.I.(「好転」-「悪化」)は、9年10~12月期は「悪化」超幅が拡大した。

企業倒産の状況をみると、件数は、このところ前年の水準を大きく上回る傾向にある。

銀行取引停止処分者件数は、1月は1,004件で前年同月比16.2%増となった。業種別に件数の前年同月比をみると、運輸・通信業で10.5%の減少となる一方、小売業で30.4%、製造業で17.9%の増加となった。

3.国際収支:貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向

輸出は、強含みに推移している。

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で12月0.0%増の後、1月は3.1%増(前年同月比3.0%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、電気機器、精密機器等が増加した。同じく地域別にみると、アメリカ、EU等が増加した。ただし、アジアは減少した。

輸入は、おおむね横ばいで推移している。

通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で12月8.0%増の後、1月は4.6%増(前年同月比0.2%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、原料品等は減少したが、製品類(繊維製品)等は増加した。同じく地域別にみると、アジア等が減少したが、アメリカ、EU等は増加した。通関収支差(季節調整値)は、12月に7,985億円の黒字の後、1月は1兆798億円の黒字となった。

国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。

12月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小し、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、4,842億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、所得収支の黒字幅が拡大したものの、貿易・サービス収支の黒字幅が縮小し、経常移転収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、1兆621億円となった。投資収支(原数値)は、3兆3,393億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、3兆3,597億円の赤字となった。

2月末の外貨準備高は、前月比16.1億ドル拡大して2,231.4億ドルとなった。

外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、2月は、月初の126円台から一時123円台まで上昇したが、その後下落し127円台から128円台で推移した。一方、対マルク相場(インターバンク17時時点)は、2月は、月初の69円台から一時67円台まで上昇したが、その後下落しおおむね70円台から71円台で推移した。

4.物価:国内卸売物価は、やや弱含みで推移

国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、やや弱含みで推移している。

1月の国内卸売物価は、石油・石炭製品(燃料油)等が上昇したものの、食料用農畜水産物(鶏卵)等が下落したことから、前月比0.2%の下落(前年同月比0.7%の上昇)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで下落したことから、円ベースでは前月比0.3%の下落(前年同月比3.3%の上昇)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで下落したことから、円ベースでは前月比1.5%の下落(前年同月比1.2%の下落)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比0.4%の下落(前年同月比0.8%の上昇)となった。2月上中旬の動きを前旬比でみると、国内卸売物価は上旬が保合い、中旬が0.1%の下落、輸出物価は上旬が0.7%の下落、中旬が0.2%の上昇、輸入物価は上旬が2.4%の下落、中旬が0.1%の下落、総合卸売物価は上旬が0.4%の下落、中旬が保合いとなっている。

企業向けサービス価格は、1月は前年同月比1.7%の上昇(前月比0.2%の下落)となった。

商品市況(月末対比)は「その他」等は上昇したものの、木材等の下落により2月は下落した。2月の動きを品目別にみると、牛原皮等は上昇したものの、ヒノキ正角等が下落した。

消費者物価は、安定している。

全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で12月2.2%の上昇の後、1月は外食の上昇幅の縮小等により2.0%の上昇(前月比0.6%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で12月1.8%の上昇の後、1月は1.8%の上昇(前月比0.1%の下落)となった。東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で1月1.9%の上昇の後、2月(中旬速報値)は公共料金(広義)の上昇幅の縮小等により1.7%の上昇(前月比0.2%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で1月2.0%の上昇の後、2月(中旬速報値)は2.1%の上昇(前月比保合い)となった。

5.金融財政:長期金利は、やや低下

最近の金融情勢をみると、短期金利は、2月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、2月はやや低下した。株式相場は、2月はおおむね横ばいで推移した。マネーサプライ(M2+CD)は、1月は前年同月比4.3%増となった。

短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、2月はおおむね横ばいで推移した。2、3か月物は、2月は月初にやや上昇した後、おおむね横ばいで推移した。なお、日銀は市場安定のため、潤沢な資金供給を行った。

公社債市場をみると、国債流通利回りは、2月はやや低下した。

国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、12月は短期は0.123%上昇し、長期は0.019%低下したことから、総合では前月比で0.093%上昇し1.912%となった。マネーサプライ(M2+CD)の月中平均残高を前年同月比でみると、1月(速報)は4.3%増となった。また、広義流動性でみると、1月(速報)は3.2%増となった。企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残(全国銀行)は、1月(速報)は前年同月比0.2%減となった。2月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債がゼロとなった。また、国内公募事業債の起債実績は1兆3,780億円となった。民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。

株式市場をみると、日経平均株価は、2月はおおむね横ばいで推移した。

6.海外経済:欧米主要国株価、おおむね最高値更新

主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、97年7~9月期前期比年率3.1%増の後、10~12月期は同3.9%増(速報値)となった。個人消費、住宅投資は増加している。設備投資はこのところ伸びに鈍化がみられる。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は12月前月差35.5万人増の後、1月は同35.8万人増となった。失業率は1月4.7%となった。物価は安定している。1月の消費者物価は前月比横ばい、1月の生産者物価(完成財総合)は同0.7%の下落となった。12月の財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、前月から拡大した。2月の長期金利(30年物国債)は、やや上下したが、総じて上昇した。2月の株価(ダウ平均)は、総じて上昇し、月末には最高値を更新した。

西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は回復しており、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポはこのところ緩やかになってきている。10~12月期の実質GDPは、ドイツ前期比年率1.1%増、フランス同3.1%増(速報値)、イギリス同1.8%増となった。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは回復しているが、イギリスではこのところ鈍化してきている(12月の鉱工業生産は、ドイツ前月比0.1%増、フランス同2.2%増、イギリス同0.2%減)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している(1月の失業率は、ドイツ11.6%、フランス12.1%、イギリス5.0%)。物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスではこのところ安定してきている(1月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比1.3%、フランス同0.5%、イギリス同3.3%)。

東アジアをみると、中国では、景気は拡大している。物価上昇率は、低下している。貿易収支は、大幅な黒字となった。韓国では、景気は後退している。失業率は、上昇している。物価上昇率は、高まっている。貿易収支は、大幅に改善している。国際金融市場の2月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや弱含みながら、ほぼ横ばいで推移した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(1990年=100)2月27日109.1、1月末比1.2%の減価)。内訳をみると、2月27日現在、対円では1月末比0.7%減価、対マルクでは同0.8%減価した。

国際商品市況の2月の動きをみると、全体では初旬強含みで推移した後、中旬から下旬にかけては弱含みで推移した。2月の原油スポット価格(北海ブレント)は、イラク情勢懸念の弱まりなどから、全体では弱含みでの推移となり、中旬から下旬にかけては13ドル台に下落した。