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付注1−2 GDPギャップの推計方法について

1. 推計方法
  GDPギャップの定義は、(現実のGDP−潜在GDP)/潜在GDP。その算出には、潜在GDPの推計が必要となる。潜在GDPの推計は、生産関数を想定し、
(1) 現実の成長率から資本と労働の寄与以外の部分(ソロー残差)を算出し、全要素生産性を推計。
(2) 潜在的な資本・労働の寄与に(1)で推計した全要素生産性を加え潜在GDPを計測する方法で行った。

具体的には、
推計式(コブ・ダグラス型生産関数)

Y=A(KS)a(LH)(1-a)

ただし、Y :生産量(実質GDP)
KS:稼動資本量(K:資本ストック、S:稼働率)
LH:稼動労働量(L:就業者数、H:労働時間)
A :TFP(全要素生産性)
a :資本分配率

を想定。両辺をLHで割り、対数変換した下記の式のaに0.33を代入して1nAを求め、HP(Hodrick‐Prescott)フィルタにより平滑化した値を全要素生産性として使用した。

1n(Y/LH)=1nA+a1n(KS/LH)

なお、資本分配率(0.33)は、「1−雇用者所得/(固定資本減耗+営業余剰+雇用者所得−家計の営業余剰)」の80年以降の平均値とした。

2. 具体的変数について
(1) 資本投入量
現実投入量:民間製造業資本ストック(取付ベース前期末値)に製造工業稼働率を乗じたものと、民間非製造業資本ストック(同)に非製造業の稼働率を乗じたものの合計。民間非製造業の稼働率には、「第3次産業活動指数/非製造業資本ストック」からトレンドを除去したものを試算し使用。
なお、民間企業資本ストックは、実質化手法に連鎖方式が導入されて いないため、94年以降の資本ストック系列を次の方法で新たに作成した。まず、94年第1四半期の民間企業資本ストックをベンチマークに連鎖方式QEの民間企業設備投資を積み上げ、次式で算出。

民間企業資本ストック(94年第2四半期以降、試算値)(新)
        = (94年第1四半期のK(旧)+投資の累積(新))×乖離率

※Kは民間企業資本ストック、(新)は連鎖方式、(旧)は固定基準年方式。
※乖離率は、各期の民間企業資本ストック(旧)を、94年第1四半期の民間企業資本ストック(旧)をベンチマークに固定基準年方式QEの民間企業設備投資(旧)を積み上げたもので割ったもの。

また、資本ストックの93年以前は、68SNAベースの系列と接続。
NTT・JRの民営化、新幹線の民間売却については断層を調整。
潜在投入量:製造業・非製造業の稼働率を被説明変数として、おのおの「日銀短観」の「生産・営業用設備判断DI」で回帰し、景気要因を除去したものを潜在稼働率とし、潜在投入量を求めた。

(2) 労働時間
現実投入量:総実労働時間=所定内労働時間+所定外労働時間の合計(30人以上の事業所データ)
潜在投入量:総実労働時間にHPフィルタをかけたものを潜在労働時間とした。

(3) 就業者数
現実投入量:就業者数。
潜在投入量:「(15歳以上人口×トレンド労働力率)×(1−構造失業率)」。
なお、トレンド労働力率は、労働力率にHPフィルタをかけたもの。構造失業率は、失業率と欠員率の関係から推計。

3. 推計結果
  潜在成長率の計算結果については、計算方法や何を潜在投入とするかによって異なることなどに注意する必要があるが、推計された潜在成長率は以下の図のように推移している。TFP(全要素生産性)の貢献分は、97年を底に増加傾向にある。

潜在成長率

 なお、潜在GDP成長率の推計に際し、連鎖方式の系列を利用したが、連鎖方式に基づく資本ストック系列が存在しないため、暫定的に簡便法を用いて推計を行っている。そのため、今後公表され得る新系列による資本ストック系列を用いた推計結果とは異なる可能性があることに留意する必要がある。

4. データの出典
実質GDP:内閣府「国民経済計算」
資本ストック:内閣府「民間企業資本ストック」
稼働率:経済産業省「生産・出荷・在庫指数」「第3次産業活動指数」、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
就業者数:総務省「労働力調査」
労働時間:厚生労働省「毎月勤労統計調査」


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