平成16年度

年次経済財政報告

(経済財政政策担当大臣報告)

−改革なくして成長なしIV−

平成16年7月

内閣府


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第2章のポイント

第1節 景気回復にみられる地域差
●生産面で地域間のばらつきが大きくなっているが、これは、地域の輸出依存度の違いや、地域間の需要増加の波及しやすさの違いを反映
●地域の雇用動向をみると、製造業・建設業の減少が大きい一方、第3次産業で増加しており、円滑な産業間の労働移動を支援することが重要

第2節 地域間の経済格差とその要因
●地域間の所得格差は傾向的に縮小しつつあるが、最も所得の高い地域と低い地域の間には2倍の格差が存在
●地域間の所得格差を要因分解すると、生産性格差の寄与度が最も大きいが、労働力率も一定の寄与
●生産性格差は地域の産業特化の状況や人的資本に依存
●かつては、失業率の高い地域から低い地域に労働移動が生じ、失業率格差の縮小に貢献していたが、最近では地域間労働移動が大きく縮小

第3節 地域における構造改革
●全国市区の個別データを使った財政状況の回帰分析によると、i)職員数の増加、地方税収の減少、公債比率の上昇、高齢化の進展と財政硬直化が同時にみられる、ii)投資的経費の削減だけでは財政の硬直化を防ぐのに十分でない
●上と同じデータ・ベースを用いて構造改革特区の認定を受けた市区の特徴を調べると、i)財政状況に比較的余裕のある団体が多い、ii)行政の透明度、利便度、効率性向上の取組に関し、特定の指標でみた場合の評価が高い団体が多い。ただし、第4回認定分(2004年3月)については、改革に慎重だった団体の特区認定も増加
●我が国を訪れる旅行客数は年間500万人超で、人数は世界的には第33位と少ない。モデルを使って日本を訪れる旅行客数推計値(理論値)を計測すると、我が国や周辺国の経済規模や人口に比して、実際の訪日旅行客数は少ない可能性が示唆される

第2章 地域経済再生への展望

 2002年初からの景気回復は3年目に入っているが、こうした景気回復の継続にもかかわらず、「景気回復の実感がない」という指摘も依然存在している。今回の回復局面におけるこうした景況感のばらつきは、第1章でみたように、企業部門の改善の動きが雇用、賃金面の改善に十分つながっていないことに大きく影響されているが、これに加えて、地域経済の回復状況にばらつきがあることも反映していると考えられる。90年代においては、こうした地域経済の回復の遅れに対し、公共事業の積極的な活用が図られてきたが、国・地方ともに財政状況が悪化するなか、財政支出の規模の拡大による所得政策にはもはや限界がきている。また、官に頼った地域経済振興は、地域経済の独自性を失わせ、長期でみたときに、必ずしも地域経済の発展につながるとは限らない。
 こうしたことを背景に、政府は、地域再生本部や構造改革特区等の取組を通じて、「国から地方へ」、「官から民へ」という構造改革の流れをより強化し、持続可能な地域再生の実現を目指している。同時に、地域においても、積極的に行財政改革に取り組む先進的な地方公共団体があるほか、構造改革特区等を生かし、地域におけるビジネス・チャンスの拡大を図る動きも出てきている。
 本章では、地域の経済動向に影響を与える諸要因を概観した上で、現在行われている地域経済再生の取組が、どのような形で地域の持続的発展に資するのかを論じる。具体的には、第1節では、地域経済の回復のばらつきは、主に生産面で輸出関連財やIT関連財等に特化した地域の回復が先行する形で生じていること、地域間の移出入依存度の違いによって他地域の需要拡大の動きが波及しにくい地域があることを示す。第2節では、一人当たり所得でみた地域間の経済格差は縮小傾向にあるものの、依然として最大2倍程度の格差が存在していること、格差自体は地域の産業構成、人的資本の蓄積程度等構造的要因に起因していることを示す。その上で、地域ごとに格差が生じる根本的原因は異なるため、地域再生は全国一律の政策によるのではなく、地域の発意に基づいて行われる必要があることを述べる。第3節では、地方公共団体による行財政改革は進みつつあるが、依然として財政的には厳しい状況にあることを示す。その上で、構造改革特区は地方の意欲を更に高め、最近では、一部の先進的な地方公共団体だけでなく、より幅広い団体にも特区を利用する動きが出てきていることを示す。さらに、今後の地域再生を進める上では、地域に固有の資源や人のつながりを活かし、観光、知的技術革新・産業集積(クラスター)、対内直接投資を促進することが重要であることを述べる。


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