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次代を担う人材小委員会 報告 7.11

経済審議会
平成7年11月

要 旨

目 次

I. 人材育成において考慮すべき経済社会の変化・・・・・・・・・・・・・・1
1.経済に係わる変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.家庭・地域・社会に係わる変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

II.次代を担う人材育成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
1.人材育成の方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(1) 意欲を持ち自立できる人材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(2) 変化に対応できる人材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.能力開花型社会の構築 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(1) 生涯学習機会の提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(2) 自己啓発への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(3) 人材を活用する社会のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(4) 学校、家庭・地域、職場等の連携等・・・・・・・・・・・・・・・・6

III.人材育成のための各分野の役割と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・7

1.学校教育の役割と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(1) 少子化への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(2) 自立性・創造性の涵養・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(3) 研究者・技術者等の育成・確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(4) 国際化への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(5) 情報活用能力の向上等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(6) 学校における社会人の受入れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.職業能力開発の推進と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(1) 個人を尊重する職業能力開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(2) 自発的能力開発への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(3) 産業構造の変化への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
(4) 女性・高齢者等の能力開発への支援・・・・・・・・・・・・・・・15
3.家庭・地域社会の役割と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(1) 家庭の教育力の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(2) 家庭教育のための時間の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(3) 家庭・地域社会、学校の連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
(4) 幅広い体験の場等の設定、指導者等の養成・活用・・・・・・・・・17
(5) 地方経済・社会を担う人材の育成・・・・・・・・・・・・・・・・17


I. 人材育成において考慮すべき経済社会の変化

 我が国を取り巻く内外の経済社会情勢は大きく変化している。
 バブル崩壊とそれに続く戦後2番目の長期景気後退の経験等は、日本経済に閉塞感をもたらし、目覚ましい経済成果をあげたこれまでのシステムの見直しを迫っている。また、今後の経済社会の変化を踏まえ、21世紀初頭の社会を展望すると、高度情報通信社会、少子・高齢社会、グローバル化社会といった姿が想定できる。
 現在の経済社会の諸課題を解決し、新たな社会を創造するために、様々な施策が求められているが、経済社会の発展を支える基礎となるものは人である。21世紀を迎えるにあたり、我が国のみならず、地球社会の発展に寄与する人材をいかに育成するかが重要な課題となっている。
 人材の育成は、新しい経済計画の期間(平成7年度(1995年度)から平成12年度(2000年度))だけではなく、むしろその後に成果をあげることが多いと思われる。この計画期間に何をするかが、21世紀を視野に入れた将来への準備としても極めて重要な意義を持つものである。
 人材育成について検討する場合、以下のような経済社会の変化を念頭に置く必要がある。

1.経済に係わる変化

 日本経済は、円高の進行、アジア諸国の急速な工業化等により国際競争の激化の影響を受け、産業・雇用の空洞化への懸念を顕在化させつつある。また、先端技術部門、特に基礎研究において、我が国の科学技術力の相対的な低下も懸念されている。
 こうした問題を克服するためには、企業や個人の自由なイニシアティブを生かすとともに、高度な科学技術基盤を整備し、市場経済の活力を十分に発揮し得るようなシステムを構築する必要がある。
 具体的には、既存企業が世界的な競争の中でグローバルな発展を遂げるとともに、新規事業の創出、低生産性部門の生産性向上が図られなければならない。そのためには、規制緩和による活性化と独創的な科学技術の創造が重要である。とりわけ情報通信分野等の発展に期待がもたれる。さらに、産業構造の変化や高齢化などの影響を受け、長期雇用と年功序列型賃金を特徴とする日本的雇用慣行の変化が予想されるなかで、転職の増加など労働移動の活発化が見込まれる。

2.家庭・地域・社会に係わる変化

 我が国は、出生率が低下し、人口の高齢化が急速に進展するなど、少子・高齢社会へ変わりつつある。こうした社会においては、高齢者に対して、多様な社会参加の機会が与えられる可能性がある一方、子どもたちに対して兄弟姉妹や近所の子ども同士の触れ合いの減少等により社会性を育てる機会が欠如する傾向があるといった懸念もある。
 また、学歴に依存した採用・昇進や人間の評価等学歴偏重の社会的風潮や受験競争の過熱化が指摘され、学習の成果や能力の適正な評価が必要とされる。
 我が国社会は、情報通信技術の飛躍的発展等により、情報通信の利用範囲が企業活動や行政分野のみならず、日常生活や教育等の分野に拡大し、誰もが情報化の便益を享受できる高度情報通信社会に移行すると考えられる。
 さらに、留学生の受入れ施策が総合的に推進される一方、帰国子女の数も増加している。今後、海外とのヒト、モノ、サービスなどの交流が活発になり、それらが世界を舞台に自由に移動するといったグローバル化の一層の進展が見込まれる。

II.次代を担う人材育成

1.人材育成の方向

 前節で述べた今後の経済社会の変化を踏まえ、次代を担う人材育成の方向については、以下のように考えられる。

(1) 意欲を持ち自立できる人材

 規制緩和の推進により、個人や企業にとって、各自の責任によって目標を設定・行動し、その結果を自ら受けとめることが必要になる。今後、自由度が高く、自己責任が重視される社会になると考えられる。
 また、今後予想される雇用慣行の変化の下では、ある企業に専門的な能力だけではなく、自らが新たな事業や分野に挑戦し、積極的に経済活動に参加できる自立能力や、他の企業でも通用する汎用性のある職業能力を身に付けることが重要になる。このため、これまでのように企業に頼らない自立の精神が必要となる。
 さらに、日常生活において災害等への不断の備えを怠らないことや、商品・サービス購買において賢明な選択を行うこと等、各個人においても自己責任に対する心掛けがより必要となる。
 このように、今後、意欲や目標を持ち、自立できる人材を育成するに際しては、やさしさなどの資質を身に付けられるよう配慮する必要がある。

(2) 変化に対応できる人材

1) 情報化に対応するためには、多くの人が基礎的な能力として、情報関連機器を使いこなせること、多量の情報の中から必要な情報を選択し、役立つ形に加工できること、映像を含むマルチメディアの受容と発信能力を高めることが必要である。
 また、さらに情報通信の高度化を先導する情報技術者・研究者などの先端的人材を確保する。
2) 経済社会のグローバル化の進展により、国際競争が激化しているほか、外国や外国人との交流が活発化している。
 外国人と触れ合う機会が格段に増加するため、語学力などの、外国人とのコミュニケーション能力は人々にとって一層重要なものとなる。さらに、我が国の立場にふさわしい責務を果たしていくため、高度な知識や幅広い見識、優れた国際感覚を有する人材、また、真に相互理解を深めて国際交流を進展させるために、自国や他国の文化や歴史、諸制度を理解できる人材を育成する。
3) 海外から技術やアイディアを導入するキャッチアップ型の経済成長が終わり、今後は、基礎的発想の段階からその応用・発展段階に至るまで自らフロンティアを開拓していく方向へと大きく転換することが求められており、創造性に富んだ人材の育成・確保が不可欠の要素であり、その質的・量的な充実が必要である。
 このため、科学技術創造立国日本を支える独創的な研究者・技術者や起業家精神あふれる独創的な人材、新規産業に積極的に参入していく人材など個性的・独創的な人材が必要である。
4) 高齢化の進展に伴い、高齢者の就業機会や、地域における活動機会の増加が見込まれる。このため、高齢期においても就業できる能力や、地域活動等に参加できる能力を持った人材を育成する。
5) このような、変化に対応できる人材育成に加え、哲学、歴史などの教養、道徳的資質などの育成にも配慮する。

2.能力開花型社会の構築

 人材育成を進める上では、時代の要請に応じて、学校教育や学卒後就職して職務を通じて能力開発を行うという教育訓練システムの一層の充実が必要である。これに加えて転職、退職後の再就職のための教育訓練や生涯を通じた趣味や教養を高める学習など、生涯のあらゆるステージに応じて、多様な学習機会が提供され、各自が自由に選択し、意欲を持って学ぶことが重要となる。
 各個人に学習へのインセンティブを与えるためには、全ての人に画一的な教育訓練を施すのではなく、個人の能力を発見し、個性に対応した学習機会の提供によりその能力の開発、向上を支援し、また、能力に見合った職場などの挑戦の機会を提供することによりその能力が存分に発揮され、さらに、その能力が社会において適正に評価されることが必要である。
 ここでは、このように能力が発見、開発、発揮、評価される社会を「能力開花型社会」と呼ぶこととする。こうした社会を構築するため、障害となる制度、慣行について見直しを行うとともに、多様な生涯学習機会の提供、自己啓発への支援を一層充実する。

(1) 生涯学習機会の提供

 能力開花型社会の構築のためには、人々が、生涯を通じて自由に学習機会を選択して学ぶことができる環境が必要である。
 現在、生涯学習のための学校施設の開放や、生涯学習推進センターなど生涯学習関連施設の整備が進められ、地域における公民館などの社会教育施設の活用が行われているが、生涯学習へのインセンティブを一層高めるために、内容をニーズに合った参加しやすいものにするなどの充実を図る。
 また、学習機会についての情報提供が重要であり、社会教育施設や高等教育機関などの生涯学習関連施設が連携・協力し、学習情報の提供を積極的に行っていく広域的な学習情報提供システムの充実を図る。
 さらに、現在、放送による講座など在宅学習の機会を提供する遠隔教育がなされているが、今後、高度情報通信ネットワークを利用した遠隔講座等の実施等による 在宅学習の機会を拡充することが重要である。

(2) 自己啓発への支援

 経済社会の変化、生活水準の向上、高学歴化、休日の増加等を背景に、国民生活は多様化し、国民の自己啓発意欲は増大している。
 また、今後、企業と勤労者の関係の変化も見込まれるなか、能力主義的処遇の傾向の強まりや、自発的・非自発的を問わず労働移動の可能性の高まりにより、勤労者にとっても自らの能力を高めたり、他の企業でも通用する汎用性のある能力修得の必要性が増しており、これを支援する環境を整備することが重要である。
 このため、休暇の増加等による時間の提供、費用の援助、自己啓発機会の整備等の方策を総合的に講じる必要がある。

(3) 人材を活用する社会のあり方

 能力開花型社会の構築のためには、性、年齢などにとらわれず、個人の能力にふさわしい活躍の場が与えられることと、能力が適正に評価されることが重要である。
 このため、現在の雇用慣行の下では、重要な意味を持っている新卒者の採用については、今後出身校で限定されることのないオープンな学卒労働市場の形成を促進しつつ、学校歴より学習歴を重視した人物評価の普及・定着を推進する。また、新卒者等若年者の採用のあり方について社会的な議論を深め、採用選考期間を年に複数回設けることや、未就職卒業者やいわゆる第2新卒者にも広く採用選考の門戸を広げることによって、求人側が適材を確保するとともに、若年者が広く応募機会を享受できる環境づくりを進める。さらに、中途採用枠の拡大などにより参入しやす く転出しやすい労働市場の整備を進める。
 加えて、能力の有効な発揮、適正な評価を確保するため、産業界、個々の企業等においては、現在取り組んでいる雇用管理システムの見直しについての検討を進め、多様な人材を有効に活用できるような採用・処遇の基準や方法を充実することなどが期待される。また、これらのうち能力評価システムについて客観性が確保されるなど、労働者、産業界等にわかりやすいものにしていくことを促進する。

(4) 学校、家庭・地域、職場等の連携等

 我が国の人材育成は、これまで過度に学校教育や企業内訓練に依存してきた傾向がある。また一方、学歴社会の弊害やいじめなどの問題行動の存在等の様々な問題点が指摘されている。こうした状況のなかで、次代を担う個性的で道徳的資質を備えた人材を育成するために、家庭・地域の教育力を十分に強化するとともに、学校、家庭・地域、職場等が、その役割を相互に補完・連携して課題に取り組めるよう支援する。

III.人材育成のための各分野の役割と課題

 社会の変化と人材育成の方向を踏まえ、学校、職業能力開発施設、家庭・地域社会等の人材育成の各分野別に、その役割と課題を述べる。各々は目的に合わせ、密接な連携を持って人材育成にあたる必要があるが、ここでは、重点的に担うべき事柄について整理した。

1.学校教育の役割と課題

 学校教育においては、道徳的資質、基礎的な知識・技術の修得とともに、個性と自立を重視し、創造性を持った変化に対応できる人材育成のため、教育の個性化・多様化やゆとりある教育の実現、多様な資質を持つ人材の教員への登用など、教育改革を一層推進する。
 また、公共投資基本計画の考え方を踏まえて教育関連施設の計画的整備を行うほか、教職員配置の改善や教員の資質向上のための研修機会の拡充など、ソフト面を含めた総合的な教育インフラの整備を図る。その際には、社会の変化等に応じ、これまで行ってきた施策の役割を評価、見直すとともに、資金の重点的・効率的配分に努める。

(1) 少子化への対応

1) 少子化は教育にとって、二つの側面を持つ。一つは少子化の要因のひとつと考えられる教育費負担の問題であり、もう一つは学校教育の対象としての児童・生徒・学生の減少である。
2) 「責任急増世代」(ここでは、世帯主の年齢が40~50歳代)における教育費負担感が「子育て世代」(同じく20歳代後半~30歳代)の意識に影響を与えている可能性もあり、「責任急増世代」の家計支出における教育費の過重感を軽減し、安心して子どもを産み、育てるための環境を整備することが必要である。
 近年、保護者の教育費負担を少しでも軽減するため、幼稚園就園奨励事業や私立学校への助成、育英奨学金の貸与等の経済的支援がなされているところであり、このような施策の充実等が必要である。
3) 児童等の減少により、各学校間の競争が強まると考えられ、各学校においても経営や内容面などでその対応が必要であり、個性化・多様化等の一層の推進を図る。
4) 児童・生徒・学生に対し、一人一人にきめ細かい指導を行うことは教育の基本であり、児童等の減少を一つの契機として教職員配置など教育インフラの相対的な充実を図る。

(2) 自立性・創造性の涵養

1) 学校教育においては、現行の学習指導要領は、児童・生徒が個性・創造性を発揮し、自ら考え主体的に判断し行動できる力の育成を重視する観点から改訂されており、これに基づいた教育を実施することとしている。例えば、生活科の授業においては、生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ自立への基礎を養うこととしており、今後も学校教育全体を通じて自立性・創造性の涵養に資する施策を推進する。また、個に応じた教育を展開するため、ティームティーチング等の新しい指導方法に対応した教職員配置の改善を図る。
2) 生徒がその興味・関心等に応じた学習内容を選択できるよう、業者テストの偏差値などに頼らず、一人一人の個性を重視した進路指導や、高等学校における選択中心の教育課程の編成や総合学科の設置などによる高等学校教育の多様化などに努める。
3) 各大学が個性豊かな教育を自由に展開していくことができるよう大学設置基準の大綱化等が行われたことを受け、多くの大学において、学部学科の改組を始めとした教育研究体制の見直しや、カリキュラムや教育方法の改善充実等教育研究の個性化・高度化・活性化を目指した取組が進められており、このような改革をさらに支援していく。
4) 特定の分野において特に稀有な才能を有した生徒に高等教育に触れる機会を与えるため、現在、いくつかの大学等において、高校生に大学レベルの教育を提供する教育上の例外措置がパイロット事業として実施されている。この措置の効果を見つつ、今後の進め方や十分な活用について積極的に検討する。

(3) 研究者・技術者等の育成・確保

1) 科学技術創造立国日本を支える技術者・研究者の質・量両面の充実を図るためには、大学院などの高等教育機関等の役割が大きく、高等教育機関等で基礎的な教育研究を基盤としつつ、人文・社会・自然科学の各分野において先端的な教育研究を推進することが必要である。このため、高等教育機関の充実や大学院に進学する優秀な学生の確保、若手研究者の育成を図る。
2) 大学、国立試験研究機関等の施設・設備は老朽化・狭隘化・陳腐化したものも多く、社会的要請等に対応した施設・設備の高度化・多様化等が求められており、公共投資基本計画の考え方を踏まえた計画的な整備を推進する。さらに、創造的な教育研究プログラムの実施を含め、大学院の学生や博士課程を修了した若手の研究者に対する支援など、優秀な学生の確保と若手研究者の育成を図るためには、一層の改善・充実が必要である。
 また、研究支援体制の整備、民間企業からの資金の導入とそのための条件整備、社会人の教員への採用などにより、教育研究の活性化を図る。
3) 工業高校などの専門高校や専修学校は、社会の変化に即応した実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う教育機関として、技術者・技能者の育成等に重要な役割を果たしており、今後とも専門的な技術教育の水準の向上を始め、社会の変化に対応し、充実を図る。また、専門高校で学んだ生徒に対しても、その能力や適性を生かして大学で学ぶことができるよう、大学においては、入学試験やカリキュラムなどにおいて適切な措置を講じる。
4) 研究者・技術者の職業としての魅力を向上するためには、企業、大学、国立試験研究機関等において処遇等の改善を図ることが必要である。また、能力、成果に応じた適切な評価システムを確立し、優れた成果を挙げた研究者・技術者に対するインセンティブの付与等を行っていくことが必要である。
5) 若者の理工系離れが指摘されるなかで、初等中等教育段階においては、科学を身近に感じられ、興味・関心を喚起するよう実験や見学を積極的に活用することや、実際の生産活動に即した実験・実習など実体験を重視し、技術者としての感性や創造性を育む職業教育の活性化を図ること、大学、国立試験研究機関等において児童・生徒に対し、理工系分野の魅力に触れ、実際に体験できる様々なイベントを展開することにより、将来の技術者・研究者の育成・確保に努める。
6) 独創的な技術者・研究者を育成・確保していくためには、異質な発想との接触・交換、異なる研究環境への移動などによる新たな刺激等が重要であり、国内外を含めて、教育や研究の場での人材の交流・流動化を進める。

(4) 国際化への対応

1) 国際化に対応するためには、語学力とともに、他国や自国の文化に対する理解や国際舞台で議論し行動できるコミュニケーション能力が必要である。
2) 初等中等教育においては、語学力だけでなくコミュニケーション能力を重視した学習指導要領に基づいて、外国語の授業が行われている。また、生徒がネイティブスピーカーから生きた言語を学ぶ機会を得るためJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)などの施策が実施されているが、今後もこうした機会を一層提供していく。また、その他の教科においても、他国の歴史や文化の理解などの国際理解教育を行う。そのほか、帰国子女教育の充実を図る。
3) 高等教育における留学生の交流は、我が国と諸外国双方の教育水準の向上、国際友好親善・相互理解の増進及び我が国の社会や大学等の国際化にも資する。このため、留学生への支援、大学等における教育・研究指導体制の整備や留学生宿舎の整備など、その学習環境を充実し、留学生受入の促進を図る。なお、留学生宿舎の整備に際しては、日本人学生との交流にも留意すべきである。

(5) 情報活用能力の向上等

1) 高度情報通信社会に生きる人材を育成するためには、マルチメディア時代に対応し、多くの人が基礎的な情報処理・活用能力を身に付けることができるようにするとともに、その発展を支える専門的な人材を育成していくことが重要である。
2) 初等中等教育においては、情報機器の適切な活用体験等を通じ、全ての児童生徒が、基礎的な情報処理・活用能力を身に付けることができる環境の整備が必要である。このため、おおむね平成11年度(1999年度)までに新整備計画に基づいて教育用コンピュータの設置を図るほか、教員の研修についても、平成12年度(2000年度)を目途に全ての教員がコンピュータの基礎的な操作をできるように研修を進める。また、児童・生徒が興味を持って学習に取り組めるような教育用ソフトウェアの開発を図る。
3) 高等教育段階においては、情報関係の学部・学科等の整備や情報教育関係施設・設備の整備、システムをサポートするスタッフの確保を進めるとともに、情報処理教育の質的充実のための標準カリキュラムの開発、情報処理教育研究集会、講習会の開催等の施策を講じる。
4) なお、これらの取組を進めるにあたっては、単にコンピュータ等の情報機器の操作・利用能力を向上させるだけではなく、著作権の保護や虚偽情報の発信はしないなどのコンピュータ利用上のモラル・マナーなどの倫理観を身に付けさせる。

(6) 学校における社会人の受入れ

1) 学校教育においては、社会人を受入れるにあたり、社会のニーズに柔軟に対応すること、企業を越えた交流機会の提供に資することが重要な役目と考えられる。
2) 技術革新の進展や産業構造の変化等による技術者を始めとする職業人の再教育(リフレッシュ教育)の必要性、生涯学習需要の高まり、自己実現の要求などの要因により、大学や専修学校における社会人教育の重要性が高まっている。
 しかし、大学等で学ぼうとする職業人にとって、高等学校卒業後大学に進学してくる伝統的な学生を中心に考えられている従来の大学制度のままでは、職業生活を続けながら勉学を行うことは困難である。そのため、社会人に別枠で入学試験を行う社会人特別選抜入試、社会人の生活形態に合わせた放送大学など新しい構想の大学、昼夜開講制の制度化や夜間大学院の開設などの施策が実施されている。このような制度の整備を積極的に進め、放送大学については、全国化を図り、学習機会の提供を進める。
 大学等における社会人の受入れについては、学習情報の不足が指摘されることが多く、今後も、一層の情報提供に努める。また、専修学校においても、その柔軟な学校制度の特色を生かし、社会人を対象としたカリキュラムの開発等を進め、社会人の積極的な受入れを図る。
3) 実社会で職業人として活動するにあたり、必要とする知識の大半は高等学校における学習によるとの指摘もある。総合学科の設置など、高等学校教育の多様化の動きを踏まえると、社会人にとって、高等学校で学ぶことへの需要は高まると予想される。特に、専門高校など専門教育を重点的に行う高等学校においてその需要が多いものと考えられる。科目履修生の受入れや公開講座などを活用し、高等学校における生涯学習機会の提供を進める。

2.職業能力開発の推進と課題

 今後、少子・高齢化の進展等に伴い労働力供給構造が変化していくなか、労働の 質の向上を図り、経済社会の活力を維持・向上させる上で、重要な意味を持つ職業 能力開発を一層推進する必要がある。
 このため、企業及び勤労者の自主的な職業能力開発の取組を基本として、その努 力を援助するための施策を積極的に展開し、職業生涯全期間にわたる職業能力開発 を促進するとともに、経済社会の変化に対応し得る有為な人材の育成体制の積極的 整備を図る。

(1) 個人を尊重する職業能力開発

 今後の経済社会の変化に対応した職業能力を身に付け、職業生活の安定・充実を図るためには、勤労者が受け身ではなく自主的に自らの能力開発に取り組んでいくことが有効である。また、能力主義的処遇の傾向の高まりなど伝統的な人事管理システムの変容の兆しのなかで、勤労者にとっても自らの能力を高め、その幅を広げる必要性が増している。このため、勤労者一人一人が自らの能力開発について絶えず関心を持ち、あらゆる機会をとらえて自己啓発に努めることが重要である。
 また、従来、我が国の職業に必要な能力の開発及び向上は、主にOJT(職場での業務を通じた教育訓練)、集合教育といった企業内訓練によりなされてきたといえる。しかし、今後の経済社会の変化のなかでの人材育成については、長期雇用システムを前提とするOJTを中心とした企業内人材育成だけでは対応しきれず、企業としては勤労者一人一人のキャリア・ディベロップメントに配慮しつつ、より各自の意欲を尊重した、職場を離れた様々な教育訓練の活用等を重視した柔軟な職業能力開発の展開を図る必要がある。

(2) 自発的能力開発への支援

1) 自己啓発の機会の確保及び費用の助成
 現在、企業での制度普及率が約2割となっている有給教育訓練休暇の普及を強力に進めるとともに、職業生涯の節目ごとに、ある程度長期間にわたる高度で専門的な能力開発のための長期休暇制度の導入を推進する。これと併せて、企業においても、勤労者の自主的な能力開発のため、労働時間等について勤労者側にある程度選択の機会が確保されることが期待される。
 また、公共職業能力開発施設、大学、専修学校・各種学校等で職業能力開発の機会の提供の充実を図るとともに、地方に居住する勤労者については、教育訓練の施設も限られていることから、遠隔教育訓練メディアの活用についても整備を進める。
 さらに、自己啓発に自ら取り組む勤労者の費用負担の軽減のための援助措置、情報提供を行う仕組みづくりなど、その努力を支援する方策について検討する。
2) 職業能力評価制度の充実
 職業能力評価制度は、職業能力開発の目的を明確にし、その動機付けにも役立ち、質の高い勤労者育成に大きな意味を持つものである。企業においても、新規学卒者の採用段階も含め、個人が持つ能力を適正に評価することは重要な課題である。このため、現行の職業能力評価制度について、勤労者の処遇改善に結び付けることを視野に入れ、技術革新、さらにはサービス経済化の進展にも対応できるよう制度の一層の見直しを図る。
3) 労働移動に関して非中立的な制度の見直し
 円滑な労働移動を確保するとともに、勤労者の自発的、主体的な能力開発を推進するためには、職業能力に応じた処遇が行われることが必要であるが、企業年金、退職一時金などの面で転職によって不利になるなど、労働移動の観点から中立的になっていない制度がみられる。このため、適格退職年金における年金間のポータビリティの確保、退職一時金の算定基礎・支給率の見直し、勤続年数を資格要件とする福利厚生制度の見直しなどの問題について検討する必要がある。

(3) 産業構造の変化への対応

1) 産業構造変化等に伴う労働移動への対応
 産業構造変化の進展などに伴う企業等の組織改革や人的資源の再配置の増加により、職業能力のミスマッチが増大することを回避するため、企業としては、産業界、勤労者等の教育訓練ニーズを踏まえ、社内・社外での教育訓練、人事管理等を計画的かつ柔軟に展開する必要がある。
 また、特に行政としては、できるだけ失業を経ることなく安心して円滑に労働移動することができるよう、円滑な労働移動のための訓練や必要な能力開発のための情報提供・カウンセリング等の支援の強化に努める。
 なお、このような状況の中においては、若い頃からの職業意識の確立が重要となる。このため、公共職業安定所や公共職業能力開発施設において職業情報の収集・提供及び職業体験機会の提供機能を強化するとともに、さらにこうした活動を行う拠点としての勤労体験プラザ(仮称)の新経済計画期間(平成7年度(1995年度)から平成12年度 (2000年度))中の開館を目指し、所要の作業を進める。
2) ホワイトカラー職種に従事する労働者への支援
 特に非定型業務に従事する中高年齢ホワイトカラー労働者の雇用安定のためには、職業生涯を通じ他の企業でも通用する専門能力を高め、その能力の十分な活用が図られることが重要である。このため、ホワイトカラー労働者の段階的・体系的な専門的知識の習得を支援するビジネス・キャリア制度については、現在4分野で教育訓練及び修了認定試験が実施されているが、平成10年度(1998年度)までに10分野程度に拡充する。また、ホワイトカラー労働者の能力開発に関する総合的な機能を持つ生涯能力開発センター(仮称)については、平成9年度(1997年度)からの業務開始を目指す。
 さらに、能力の診断、評価も含め、ホワイトカラー労働者の体系的・継続的なキャリア形成システムの確立に向けて検討を行う必要がある。
3) 高付加価値化や新規分野開拓を担う人材の育成
 海外直接投資や製品輸入の増加などにより、製造業の生産拠点の海外進出が進行していくなか、国内産業を振興し、雇用の安定を図ることが重要な課題となっている。このため、多様化するニーズに対応した的確な製品・サービス等の提供など、より付加価値の高い分野や従来の事業とは異なる新分野の開拓が不可欠であり、こうした分野を担う人材の育成が急務である。
i 産業界をリードしていくような技術的あるいは専門的能力は、企業等の研究者・技術者、部門管理者等の自主研究や学界、研究機関等外部との交流などにより開発される面が強い。これらの活動を支援するため、能力開発の時間の確保、外部教育機関等との交流促進などの環境整備を、官民併せて検討する必要がある。
ii 国内産業の一層の高付加価値化を図るために、各企業での人材育成の重要性が増すことが考えられる。しかし中小企業においては、自社で人材を育成する体制が十分整備されていないところが多い。このため、生涯能力開発給付金の充実や人材高度化支援事業の推進を図ることなどにより、個別企業ごとの人材育成に対する支援や、中小企業集団の人材育成の取組に対する支援の一層の充実等を図る。
iii 公共職業能力開発施設としても、多様かつ高度な技能者養成のため、職業能力開発短期大学校の整備及び訓練内容の充実や職業能力開発校における技能者養成の拡充とともに、地域産業の振興を念頭に置いた施設、科目の整備を図る。
 また、中堅・中小企業などの教育訓練を支援するため、在職者訓練などのレベルを高め、産業界の先端分野にも対応し得る訓練コースを提供していくとともに、訓練の内容を職務ごとに細分化し、個々の訓練ニーズに応えたカリキュラム編成を可能としていく。加えて、衛星通信を利用した遠隔教育訓練の展開により、職業訓練の地域間格差を是正し、実施規模の抜本的拡大を図る。
 さらに、経済社会の変化に対応した訓練科目の見直しを進めるとともに、多様なニーズに応じた訓練コースの設定を進め、これらに伴い必要とされる指導員体制の整備など、産業界、勤労者のニーズに対応した訓練体制の整備を一層積極的に行う。
iv 技術革新に伴い産業構造の高付加価値化を進めていくにあたっては、その基盤となる熟練した技能が継承されることが必要である。したがって、特に個別では対応が難しい中小企業の技能振興を図るため、優秀な技能者の登録・情報提供等活用体制の整備を進めるなど、円滑な技能の継承が可能となるよう支援の充実を図る。

(4) 女性・高齢者等の能力開発への支援

 今後、我が国経済社会の活力を維持・向上させていくためには、女性・高齢者の就業に対する積極的意欲等を踏まえ、女性や高齢者等の有効活用を促進することが重要であり、官民併せて女性や高齢者等の職業能力開発を一層促進させる必要がある。

1) 職業生涯を通じた計画的な能力開発機会の確保
 寿命の伸長による職業生涯の長期化と、技術革新、需要の多様化などによる必要とされる技術、技能などの変化のなかで、勤労者が高齢期において充実した職業生活を送れるよう、高齢期まで働き続けられる能力を若年期から段階的・体系的に身に付けることが重要である。このため、企業内訓練への支援、公共職業訓練の提供や自己啓発助成給付金、中高年齢労働者等受講奨励金の普及等による勤労者の自己啓発の促進など、必要な時期に適切な能力開発の機会が計画的に確保されるよう支援の充実を図る。
2) 高齢者が持つ技能・知識等をさらに生かす方向での職業能力開発
 今後いわゆる団塊の世代が高齢期に移行することから、高齢者を巡る雇用情勢は一層厳しくなるものと見込まれる。このため、高齢者が職業生活の中で得た知識・経験等を活用した能力開発の充実とともに、職種転換に必要な技能・知識の習得の向上を図り、再就職に結び付く訓練の充実を図る。また企業などが行う定年退職準備講座等を支援するなど、高齢者の円滑な再就職等の確保を図る。
 さらに、公共職業能力開発施設としても、訓練時間・場所等に配慮した弾力的訓練の実施、高齢者向けの訓練科目の充実等高齢者の職業能力開発の充実を図る。
3) 家庭からの再就職支援
 育児・介護のために退職を余儀なくされる環境を是正するとともに、一旦退職しその後再就職の就業形態を希望する者も多いことから、公共職業訓練において、女性の高学歴化にも配慮しつつ、多様な再就職ニーズに対応した訓練内容・方法の充実や能力開発に関する情報提供、相談サービスの充実を図る。
4) 障害者の職業能力開発支援
 障害者の職業能力の開発・向上を図り、雇用機会の確保、職業生活の安定を図るため、訓練方法・内容、施設・設備に特別な配慮を加え、障害の特性に応じた職業訓練機会の確保を図るとともに、職業安定機関、医療福祉部門等と連携を図りつつ、きめ細かな職業訓練を実施する職業リハビリテーション施設の整備を進める。

3.家庭・地域社会の役割と課題

 家庭の教育として数多くある役割のうち、特に乳幼児期に親と子の基本的な信頼関係を形成するとともに、社会生活に必要なモラル・マナーなどの基本的な生活習慣を適時・適切に身につけさせることは、家庭が果たすべき重要な責務である。家庭教育は、すべての教育の基礎ともなるものである。
 また、地域社会における子ども同士や様々な人々との触れ合いは、子どもの豊かな道徳性や社会性を育成するため、特に重要である。

(1) 家庭の教育力の向上

 家庭から子育ての先輩である高齢者がいなくなるなど近年の核家族化等により、家庭の教育力の低下が懸念される。
 家庭の教育力の向上とともに、女性の社会進出、社会的役割の変化等に対応して、女性の職業生活と家庭生活の両立を図るためにも、今後は、父親が家庭教育に積極的に参加し、夫婦が共通の意識を持ち協力して子育てに関わっていく必要がある。従来、父親は子どもの進路選択、非行等重要問題が生じたときに家庭教育に関わるとの意識が強かったが、子どもの健全な人格形成を図る上からも乳幼児期から子どもの発達段階に応じて積極的に家庭教育に参加することが重要である。
 また、家庭の教育力の向上のためには、各家庭において、学校教育に過度に依存した現状を是正し、教育面での家庭の役割の重要性についての理解を深めることが必要である。そのためには、家庭教育に関する様々な学習機会や情報の提供等が一層求められる。
 また、子育てに対する不安感や負担感を軽減し、親が安心して子どもを生み、育てる環境を整備するため、家庭教育に関する相談体制の充実等に努めるとともに、家庭生活における子育て支援を強化する必要がある。

(2) 家庭教育のための時間の確保

 父親が積極的に家庭教育に参加するためには、家族が家庭などで共に過ごす時間を増やすことが必要である。このため、月2回まで段階的に進められてきた学校週5日制についてさらに拡大することなど今後の在り方について検討するとともに、勤労世帯においては、完全週休二日制の普及促進、所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進、夏季休暇等連続休暇の普及による労働時間の短縮や長時間通勤の是正によって生ずる余暇時間の有効利用等が図られるようにする必要がある。

(3) 家庭・地域社会、学校の連携

 次代を担う人材である子どもの望ましい人間形成は、学校だけでなく家庭・地域社会も含めた子どもたちの生活全体を通して行われるという考え方に立って、家庭・地域社会、学校のそれぞれの教育機能が十分に発揮されることが必要である。また、そのため、学校教育活動への地域住民の積極的参加の推進などにより、家庭・地域社会、学校が相互に連携・支援するとともに、社会教育施設、地域子育て支援センター等地域の子育てを支援する施設の整備や家庭教育を支援するグループやサークルの育成など子どもを育てるための環境をつくる必要がある。

(4) 幅広い体験の場等の設定、指導者等の養成・活用

 子どもに多様で奥深い社会への興味や関心を持たせるためには、学校教育での取組と同時に、家庭や地域社会における様々な教育機能の充実が肝要であると考えられる。このため、子どもに自然、科学、歴史、技術、経済活動などに触れる場や情報を提供し教育内容の充実を図ることが重要であり、博物館、青少年教育施設等の充実、地域の工場や研究所の見学の促進などが必要である。
 また、子どもに多種多様な体験をさせ、生命や自然への畏敬などの情操を養い、心身の健康を育むことなどが必要である。このためには、地域の特性を生かした、農家・農村での農業体験等都市と農山漁村との交流、自然体験、ボランティア活動、コミュニティ活動、サークル活動、伝統的な遊びやスポーツ・文化活動などの場の設定、情報の提供、地域の高齢者を教育に活用する仕組みの整備、体験学習に関する指導者の一層の育成・活用などについての支援がさらに必要である。

(5) 地方経済・社会を担う人材の育成

 現在、地方圏においては、国際化の進展、地方分権・分散の推進、交通網の整備、情報通信基盤の高度化等に伴い、将来の発展の基盤が多方面において生じつつある。今後、これらの情勢変化に積極的に対応することにより、企画・研究・開発などの創造的で高度な専門性を要する業務の集積や地域に根ざした先進的農業の振興などが可能となると考えられる。この可能性を生かしていくためには技術・技能・経営感覚を持った人材はもとよりであるが、特に地域経営の意欲と能力を持って地方経済社会をリードし、中心となるべき人材が求められる。
 地域において、人材を育成し、かつ、高度な専門性や技術の向上を図っていくためには、大学、専修学校、職業能力開発施設等地方学習拠点、研究開発拠点の充実等を図るとともに、大学、研究機関との連携が重要であり、これらを支援していく体制を整備することが必要である。
 また、国民の価値観が変化し、ゆとりとうるおいのある生活に対するニーズが高まりつつあるなかで、有機的なコミュニティや職住近接等を有する地方生活が注目されてきている。この機会をとらえ、地方定住志向を定着させるためにも、コミュニティに愛着を持ち、指導力を発揮している人材の様々な活動の支援やその活動を広くPRするなどの支援を行うことが必要である。

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