マルチステークホルダー・プロセスの定義と特徴

マルチステークホルダー・プロセスとは?

 マルチステークホルダー・プロセスとは、3者以上のステークホルダーが、対等な立場で参加・議論できる会議を通し、単体もしくは2者間では解決の難しい課題解決のために、合意形成などの意思疎通を図るプロセスです。

 ※「安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する研究会」報告書では、「平等代表性を有する3主体以上のステークホルダー間における、意思決定、合意形成、もしくはそれに準ずる意思疎通のプロセス」と定義されています。

マルチステークホルダー・プロセスの特徴

1.信頼関係の醸成
 利害の食い違う関係でも、先ずは、対等な立場での対話を持ち、お互いを理解していくことから信頼関係を深めていくことができます。

2.社会的な正当性
 多様なステークホルダーが参加することで、多様な意見を反映させることができ、社会的な正当性が得られ、市民からの理解も得やすくなります。

3.全体最適の追求
 単独の取組、もしくは2者間での対話では解決が難しい課題において、課題に関係する全てのステークホルダーで行動することで解決の可能が見出されることがあります。

 また、社会には、ある主体の最適解が全体における最適解にならないことが多くあります。参加者全員が、全体のヴィジョンや課題を共有していくことで、各主体の役割分担が明確になり、全体最適を追い求めていくことが可能になります。


利害のある主体間においては、ある課題解決に対し「他者がやらないから自分もできない」といって、誰も行動できなくなる硬直状態が起きてしまうことがあります。そこで、その課題に関する全てのステークホルダーが、「他者もやると信じて、自分も行動する」と考え、一歩ずつ踏み出すことで課題解決できるようになります。



4.主体的行動の促進
 共通の課題を解決するために参加主体が自らできることを考えていくことで、各参加主体の主体的行動が促されます。

5.学習する会議
 社会課題が変化・複雑化していくなか、そうした課題に対応できるためには、各主体が他のステークホルダーの考え方や社会全体の構造を理解し、社会全体の視野を持って、解決策を考えていくことが必要になってきます。マルチステークホルダー・プロセスでは、参加主体が、そうした他のステークホルダーの考え方など社会全体の視野を学んでいくことによって、社会問題解決能力を高め、会議自体が進化していくことが期待されます。