平成5年
年次世界経済報告
構造変革に挑戦する世界経済
平成5年12月10日
経済企画庁
第1章 世界経済の現況とその特徴
93年の世界経済は,全体としては力強い成長の兆しをまだ示していない。先進国経済は,80年代央以降の好景気の後の調整が総じて長引いている。とりわけイギリス以外の西欧諸国の景気は昨年後半以降停滞色を一層深めた。アメリカでは景気は回復基調を定着させたものの,緩やかな成長にとどまっている。
一方,発展途上国をみると,東アジア地域の経済は総じて堅調さを持続しており,中南米諸国等でも経済の好転がみられている。市場経済移行国では,一部諸国に明るい動きがみられるものの,依然厳しい経済状態にある。また,各国・各地域の景気局面の違いもあり,経常収支不均衡が再び拡大している。
本章においては,第1節でこのような世界経済の現況を概観した後,第2~4節でアメリカ,西欧諸国,東アジア地域について,それぞれの景気の現況と特徴を分析する。そして第5節で最近の国際収支・国際金融の動向をみる。