平成3年
年次世界経済白書 本編
再編進む世界経済,高まる資金需要
経済企画庁
第4章 市場経済の拡大と再編
世界の主要地域で,市場機能の一層の活用を図るため,各国の経済構造と各国間の経済関係の再編が進んでいる。西太平洋地域では,直接投資を媒介にして日本,アジアNIEs,アセアンの貿易関係が一層深まるとともにそれぞれの経済構造の調整が進んでいる。また,華南経済圏のような局地経済圏が生まれ,西太平洋地域の経済関係に厚みをもたらしている。中国では,中央主導の部分的な改革の限界が現れてきている。
北米大陸では,米墨加自由貿易協定の締結により,三国間の経済関係の一層の緊密化が目指されている。中南米でも,国営企業の民営化,外国資本導入,地域的な自由貿易の推進等,市場志向の経済改革の流れが力を増している。
ECでは,市場統合を制度的に進めるとともに,国家補助金の削減,民営化,M&A規制等により,競争環境の整備を図りつつある。ただし,ECや米墨加自由貿易圏では域外国との間での競争を制限する動きもあり,注意が必要である。
本章では,以上のような地域別の経済の再編状況をみた後,世界で進展している地域的な結びつきの合理性と問題点について述べ,GATT(貿易及び関税に関する一般協定)強化の必要性を論じる。