第2章 ソ連の再編成と東欧の経済改革

昨年度の本報告では,ソ連・東欧の経済改革あるいはペレストロイカの動きをやや過去にさかのぼって捉えてみた。その後1年が経過したが,ソ連においては,誰もが予想しなかった急変が91年8月に生じた。この「8月革命」は,ソ連の政治・経済構造を根本的に変えつつあるという意味において,1917年のロシア革命に匹敵する変革であるとみる人が多い。その後の情勢は極めて流動的であり,ソ連が今後どのような方向に向かうのか予測が難しい状況にある。

一方,東欧においては,どの国においても程度の差はあれ,改革が進展しつつあるが,その過程では困難も続いている。

本章においては,ソ連経済の現況と悪化の背景をみるとともに,連邦の再編成への動きについて述べる。併せて,東欧の経済改革の進展状況を説明した上で,最後の節で西側の対ソ・対東欧支援のあり方について検討する。