平成2年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1989~90年の主要国経済

第5章 フランス:増勢やや鈍化ながら景気は堅調

7. 経済見通し

フランス政府経済見通し(90年9月発表)によれば,91年の実質GDPは,90年の2.8%からは若干伸びが低下し,2.7%となるとしている(第5-7表)。個人消費は,90年の3.3%からやや鈍化し,2.6%の伸びを見込んでいる。設備投資も,91年は90年の5.7%からは若干低下するものの,5.0%増と比較的高い伸びが続くとしている。貿易面では,輸出が5.9%増と90年に比べ上昇する一方,輸入は5.6%増と90年に比べやや鈍化するとしている。この結果貿易収支は,90年400億フランの赤字から,91年は500億フランの赤字へと赤字幅が大幅に拡大するとしている。消費者物価上昇率は,90年3.2%の後,91年は2.8%へ落ち着くとしている。

ECの見通し(12月発表)によれば,91年の実質GNPは2.5%と政府見通しを下回っている。設備投資は3.1%と伸びが鈍化し,個人消費は2.7%とやや伸びが鈍化する。この結果,貿易面では,輸入が4.4%増,輸出が4.1%増とともに鈍化するとしている。消費者物価上昇率は,3.9%とやや高まり,失業率は8.7%と若干の改善を見込んでいる。

OECDの見通し(12月発表)では,91年の実質GNPは2.3%と90年の2.5%からさらに伸び率が低下するとしている。主因は個人消費,設備投資の伸びの鈍化で,2.4%,2.5%とともに2%台前半の低めの伸びを予想している。しかし,貿易面では,輸入は5.7%増とほぼ前年並,輸出は5.7%増と伸びが高まるとしている。消費者物価上昇率は,EC見通し同様3.9%と高まるが,失業率は9.0%と若干の悪化を見込んでいる。

IMFの見通し(10月発表)では,91年のGDPは3.0%と政府に比べやや高めを予測している。個人消費は90年同様の伸びとし,総固定資本形成は今年よりやや伸びを弱め,4.8%となるとしている。貿易面では,輸出入とも91年はやや鈍化し,輸出は6.8%増,輸入は6.6%増となるとしている。消費者物価上昇率は,3.0%と落ち着いたものとなるが,失業率は,8.8%とやや改善するものの依然高水準が続くとしている。


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