平成元年

年次世界経済報告 本編

自由な経済・貿易が開く長期拡大の道

経済企画庁


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第1章 軟着陸をめざす世界経済

世界経済は88年から89年にかけて全休として好パフォーマンスを示している。88年は,先進工業国で旺盛な設備投資,途上国では活発な輸出と内需に牽引され,予想を上回る力強い成長を示した。その結果,88年後半から89年初にかけて稼働率の高まり,労働需給の引き締まり等を背景に,物価上昇傾向がみられた。しかし,その後各国の適切な政策対応,経済構造の変化による物価上昇圧力の吸収,石油・一次産品価格の落ち着き等を主因として,物価上昇傾向が次第に和らぎ,多くの国で,経済は軟着陸一すなわち物価上昇率が低下するなかで成長が減速し,急激な経済変動なく潜在成長率水準へ収束することーに向かっている。本章では,88年,89年の世界経済の動向と軟着陸への可能性(第1節),一時期加速した物価上昇率とその抑制(第2節),経常収支不均衡の縮小と国際資金フローの拡大(第3節),軟着陸を成功させる重要なカギである財政・金融政策(第4節)について検討する。


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