昭和61年

年次世界経済報告

定着するディスインフレと世界経済の新たな課題

経済企画庁


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第3章 ドル高修正,原油高修正の影響

1973年以降の世界経済の基本的制約条件となっていた高原油価格,及び80年代前半の世界経済及び国際金融市場の基調をなしてきたドル相場の上昇は,いずれもその流れを逆転させてきており,特に86年に入ってからの世界経済の動向は,ドル高修正,原油高修正によって特徴づけられているといっても過言ではない。

このようなドル高修正と原油高修正は,マクロ的あるいは長期的には,いままでの世界経済の基本的問題をおおむね解消させる方向に作用するものと期待される。しかし,視点を短期的またはミクロ的側面に転ずると,その条件変化の原因とも関連して,新しい環境に対応するための様々な問題の発生も予想される。

本章では,まず,ドル高修正,原油高修正の世界経済に及ぼすマクロ的影響を概括的に分析(第1節)した上で,それらの影響が実際にどのようながたちでどの程度発生しているのか,西ヨーロッパ経済及びアメリカ経済についてそれぞれ分析する(第2節,第3節)。また,ミクロ的視点から,ドル高修正,原油高修正が各国において具体的にどのような産業調整上の問題を引き起こしているのかを検討する(第4節)。

最後に,ドル高修正,及び第2章で分析したディスインフレの進行とあいまって,各国の金融政策の制約要因であった世界的な高金利も是正に向かっているが,こうした金利低下は世界経済にどの程度影響を及ぼしてきたのがを簡単に分析する(第5節)。


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