昭和61年

年次世界経済報告

定着するディスインフレと世界経済の新たな課題

経済企画庁


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昭和61年度年次世界経済報告(世界経済白書)の公表に当たって

1986年末の時点で世界経済を展望しますと,アメリカでは,84年央までの著しい成長のあと,景気拡大速度の鈍化が続いております。西ヨーロッパでは,景気は穏やかに拡大しているものの,雇用情勢は依然厳しいものとなっております。他方,各国ともに,物価は一段と鎮静化が進んでおります。

一方,発展途上国では,NICsの一部で経済が目覚しい拡大を遂げていることが注目されます。しかし,これら以外の国々では,原油や一次産品価格の低下による悪影響もみられます。

このように,世界経済は,総じて,穏やかながらも息の長い景気拡大傾向になるといえます。また,いままで世界経済の制約要因となっていたドル高,原油高もかなり修正されてきておりますし。しかし,国際収支不均衡の問題,累積債務問題等世界経済が抱えている問題が数多くあるのも事実であります。我が国としても,こうした問題の解決のために,国際協調の下でリーダーシップをとっていくことが必要であると考えられます。

第24回目の世界経済報告に当たる本報告は,最近の物価安定傾向をディスインフレと呼び,その下でのドル高修正,原油高修正の世界経済に及ぼす影響を分析するとともに,国際収支不均衡の問題を長期的な観点から検討しております。

本報告が世界と日本の経済の進路を考えていく上で,参考となることができれば幸いです。

昭和61年12月12日

近藤 鉄雄

経済企画庁長官


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