昭和60年
年次世界経済報告
持続的成長への国際協調を求めて
昭和60年12月17日
経済企画庁
第3章 新たな国際分業体制の構築
最近の世界貿易の動向にみられる特徴点は,NICSの工業化が着実に進展し工業品輸出の伸びていることである。その工業化に先進国からの直接投資が果した役割は大きい。
こうした視点から,本章では,まず世界貿易の長期的な変化の動きをあとづけ(第1節),さらにアメリカ,西ドイツ及び日本の直接投資の特徴を指摘する(第2節)。また,先進国による投資は,巨大企業による生産基地の国際的分散という色彩が濃く,それを受入れようとした発展途上国の開発戦略との結びつきがあったこと(第3節),技術移転と国際分業体制の構築の意味(第4節)などが検討され,最後に新たな分業体制構築の問題点とあり方がまとめられる(第5節)。