昭和60年

年次世界経済報告

持続的成長への国際協調を求めて

昭和60年12月17日

経済企画庁


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第2章 経済の成長過程と産業構造の変化

第1章でみてきたように,アメリカの景気拡大速度の鈍化とともに,それを軸として回復してきた世界経済の先行きにも懸念がもたれるようになってきた。そのような状況の中で「空洞化」論のように,アメリカ経済の基礎的な成長力に疑念を持つ見解も見られるようになってきた。一方,世界各国は,国際的な連携を深めながらも,今後はアメリカにリードされるのではなく,むしろ自己の力によって持続的成長を果たしていくことがますます求められてこよう。

本章の課題は,このような状況の中で,各国経済が今後持続的成長を維持していく基礎的諸条件を備えているかどうかの検討にある。まず,自由世界3大国(アメリカ,西ドイツ,日本)がいかなる形の経済成長をしてきたかを概観(第1節)した後,成長の核となる産業の変遷とそのような産業ヘシフトする調整能力をみる(第2節1)。次に,近年進行が著しいサービス経済化が成長の力に及ぼす影響をみる(第2節2)。さらに,最近の焦点となっているアメリカ経済の「空洞化」問題につき検討(第2節3)した後,今後の持続的成長のために各国が果たさねばならない課題(第2節4)を考察する。


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