第5章 困難深まる共産圏経済と東西経済関係の諸問題

西側経済がスタグフレーションに悩まされている時,東側経済も大きな経済的困難に陥っている。

一方緊張緩和の下で東西両側のニーズの合致からおおむね順調に拡大して来た東西経済関係は,70年代末の東西関係の不安定化を背景にさまざまな問題に直面している。

そこで本章では,ソ連・東欧(ここでいう東欧とは,ユーゴスラビア,アルバニアを除く東欧コメコン諸国)の経済的困難の実態と原因を探り,とくにその集約的ケースとして政治経済危機にさらされているポーランドの場合をやや長期の観点から分析し,ついで経済調整の強化を図っている中国の背景を見,最後に東西経済関係進展の実態と背景及びその諸問題を明らかにする。