昭和56年
年次世界経済報告
世界経済の再活性化と拡大均衡を求めて
昭和56年12月15日
経済企画庁
第4章 世界貿易と動態的国際分業の課題
戦後の世界貿易はGATT・IMF体制の下で拡大をつづけ,成長のエンジンとして世界経済の発展に大きく寄与してきた。
しかし70年代に入ると,世界経済は二度にわたる石油危機に見舞われ,多くの先進国がスタグフレーションに陥り,非産油途上国は累積債務が増大し,世界貿易の伸びも鈍化した。こうした中で多くの先進諸国で保護主義的動きが強まっている。
そこで本章では,世界貿易が戦後各国の経済成長に及ぼした貢献を振り返った後,70年代の不安定な経済環境の中で,工業製品中心の輸出主導により成長を維持した中進国とその他の国とに非産油途上国が分化した過程を分析し,ついで保護主義の強まりについて,その実態,原因,及びコストを明らかにし,以上を踏まえて世界経済を再び拡大均衡へ導くための課題を考える。