昭和49年
年次世界経済報告
世界経済の新しい秩序を求めて
経済企画庁
第3章 供給制約に対応する世界経済
資源を中心とする供給制約は,世界経済にとって新しい経験である。73年にはエネルギー,原材料等についての供給不足が強まり,再生産の不可能な資源及び食料の有限性が今後の世界経済の成長を制約するのではないかとの議論もあらわれてきた。
もし,このような供給制約が事実深刻なものとすれば世界経済の先行きにとっても大きな意味を持つ。成長率の大幅低下は,発展途上国はもちろん,先進国においてもなお解消していない貧困問題をいっそう難しくするばかりか,インフレ問題,分配問題の解決もより容易でなくなろう。
本章では,「供給制約」がいかなる性格のものかについて検討するとともに,これに対して経済が価格メカニズムを通じ,あるいは政策によりいかに対応するか,また,過渡期において経済発展水準,資源保有の異なる諸国の経済をいかに変化させ,これに対していかなる政策が必要となるかをみよう。