昭和49年

年次世界経済報告

世界経済の新しい秩序を求めて

経済企画庁


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昭和49年度年次世界経済報告の刊行に当たって

今日,世界の各国において,広範に進行している景気停滞,激しい物価高騰および貿易収支の逆調という三重苦の中で,各国はこれを克服するための困難な闘いを進めております。

また,昨年からの石油や食料などの基礎的な資源の制約に端的にみられたように,低廉豊富な資源を無制限に消費することのできる時代は既に過去のものとなりました。

同時に,産油国をはじめとする資源保有国の諸経済活動は,資源供給を不安定なものとする恐れがあり,国際社会に大きな変革をもたらそうとしております。

このような中にあって,わが国は新たな国際環境に対応しつつ,インフレの収束に全力をつくすべきものと思います。また,資源の消費節約を進め,さらに自由貿易の推進,オイルマネー還流機構の整備,石油輸入発展途上国に対する協力の強化等,国際協調の推進に格段の努力をすべきであります。

今般,新たに政府部内に設置された「経済対策閣僚会議」において,わが国の経済運営について新たな角度から全般的再検討を行なっておりますが,その前提として,この白書で指摘した諸問題に,とくと留意してまいりたいと考えております。

昭和49年12月20日

福田 赳夫

経済企画庁長官


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