昭和43年
年次世界経済報告
再編成に直面する世界経済
昭和43年12月20日
経済企画庁
第2章 主要国の経済的地位の変化
この1年間の国際経済情勢は一面では,アメリカ経済の過熱と,それに支えられた世界的な景気拡大の波のなかに推移してきたが,半面ではアメリカ,イギリスの国際収支の悪化,フランス経済の不安定などを背景として,国際通貨,金融情勢に戦後初めてともいうべき大きな動揺が起った年でもあった。
しかもこうした動揺は,単に部分的なものではなく,現行国際通貨体制そのものの動揺につながる性質のものということができるが,これは,基本的には,西ドイツをはじめとするEEC諸国や日本などがその経済力を著しく高めてきたために,基軸通貨国であるアメリカ,イギリスの経済力が相対的に低下したところに原因があるとみることができる。そこで以下においてはやや長期的な観点から各国経済力の相対的変化と,その貿易構造に及ぼした影響などを検討してみたいと思う。