昭和43年

年次経済報告

国際化のなかの日本経済

昭和43年7月23日

経済企画庁


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10. 労  働

昭和42年度の雇用,労働市場,賃金

昭和42年度の生産年令人口の増加は122万人で,41年度の141万人,40年度の157万人を大きく下まわつた。これは37年度以降もつとも小さい増加数であつた。労働力人口の増加は73万人で,30年代後半における増加数よりは大きかつたが,41年度の92万人,40年度の90万人をほぼ20万人下まわるものであつた。また農林業就業者の減少は40年度42万人,41年度44万人であつたのが,42年度には13万人の減少にとどまり,一方,非農林業就業者の増加は40年度の127万,41年度の136万人を大きく下まわる89万人であつた( 第10-1表 )。非農林業雇用者の増加数にいたつては62万人で,40年度の126万人,41年度の106万人を大きく下まわつたばかりかここ10年間でもつとも小さい増加であつた。

このなかで製造業雇用の増加は42万人となつたが,これは41年度の3万人増,40年度の29万人増を上まわり,35~37年度につぐ大幅な増加であつた。毎月勤労統計による製造業常用雇用の42年度の伸び率も2.5%と,41年度の0.5%,40年度の1.5%を上まわつた。

第10-1表 労働力人口の増加

職業安定業務統計による新規求人の伸び率も42年度は14.2%と前年度につづいて大幅に伸びており,労働力供給の減少のなかで,労働力需要がたかまつた結果,42年度の労働力需給は,これまで以上にひつ迫したものとなつた。

また賃金は名目賃金が12.7%増と,41年度の11.2%増を上まわり29年度以降最高の伸び率を示した。

以下,42年度における労働需給のひつ迫,雇用と賃金の増加とその特徴についてみてみよう。

1. 労働力不足の進行

(1) 求職超過から求人超過ヘ

42年度の労働市場は,求人の著しい増加と求職者の減少基調のなかでひつ迫の度合をいつそうつよめた。

まづ42年3月に学校を卒業した者の就職状況をみると,高卒は84万人で前年より2万人多く,大学,短大卒は17万人で2万人多かつたが,中学卒の供給は卒業生の減少と進学率の上昇のため前年より7万人少ない45万人という30年代最低の水準で,学卒就職者全体としては前年より3万人少ない146万人であつた。前年3月の学卒者については採用決定が40年不況のさ中に行なわれ大企業が採用を抑えたために中小企業や第三次産業でも充足が比較的容易であつたのが,42年3月学卒者については供給量が全体として少なかつたうえ,大企業の採用態度が積極化したため,中小企業での求人充足率の低下はいちじるしかつた( 第10-2表 )。42年度には学卒の採用がこのようにいちじるしく困難になつたことと,生産がひきつづき増加したために,学卒以外の労働者に対する需要がいつそうたかまつた( 第10-1図 )。

学卒以外の一般求職者を対象とする新規求人数は41年の後半にはすでに過去の最高水準をこえていたが,42年度の前半には前年比20%以上の伸び率で増加をつづけ,引締めが始つた9月には月間55万人の水準に達した。

第10-2表 新規学卒求人の充足状況

「42年日本経済の回顧」労働の項でみたように,4~9月の求人の増加を高度成長期の36年とくらべると,36年の求人増加は前年同期比8.2%であつたが,増加寄与率は製造業が8割ちかく占め,そのなかでは機械関連業種と繊維関係業種の求人のウエイトが大きく,卸売小売業とサービス業はマイナスであつたが,42年には求人増加率が22.2%と大きく伸びる一方,機械や繊維だけでなく軽工業や非製造業(求人増加の4割)の求人もいつせいに伸びており,労働需要が産業界全般にわたつてたかまつていたことがわかる。

第10-1図 労働力需給の動き

また新規求人の増加を規模別にみると大企業ほど求人の伸び率が大きく,42年4~6月には規模1,000人以上の事業所の求人は前年比8割以上,500~999人では6割以上という大きな伸び率がみられた。中小企業の求人の伸び率は大企業にくらべれば小さかつたが全求人中に占める割合が大きいうえに求人数増加に対する寄与率も小さくはなかつた( 第10-3表 )。

これに対して求職者は30年代の後半から長期的に減少傾向にあつたが,41年後半からは減少の度合がややつよまり,42年4~9月には新規求職は前年同期にくらべ7%の減少となつた( 第10-1図 参照)。

求人の増加が大きかつたことにくわえて求職の減少が大きかつたため,42年度前半における労働市場は従来以上に緊迫したものとなつた。月々の新規求人に繰越求人(未充足求人)をくわえた有効求人数は42年7~9月にはじめて有効求職者数をうわまわつた( 第10-1図 参照)。また,求人倍率の動きを年令別にみると 第10-4表 のように,42年には50歳以下の労働者についてはすべて求人超過となつている。このように学卒以外の一般労働者についても求人超過となつたことは,労働力の過剰から不足への基調変化のなかでの一つの大きなできごとであつたといえよう。

第10-3表 新規求人の規模別,雇用形態別構成比,対前年増加率,増加寄与率

(2) 製造業雇用の増加

生産と求人の増加にともなつて雇用は前年,前々年を上まわる勢いで伸びた。常用雇用の伸び率は41年10~12月の前期比0.5%(季節調整値),42年1~3月の0.8%から,4~6月,7~9月には1.0%へたかまつた。この増加は建設業雇用の急激な増加と製造業雇用の堅調な増加によつてもたらされた( 第10-2図 )。

第10-4表 求人倍率の推移

第10-5表 製造業中分類別常用雇用の推移

第10-2図 雇用指数の推移

製造業のなかでは輸送機械,電機を中心とした重工業部門の伸びが大きかつた反面,軽工業部門の繊維や木材など一部の業種では雇用の減少がみられた( 第10-5表 )。この間の生産と雇用の関係をみると 第10-3図 のように生産の伸びが大きかつた業種ほど雇用の伸びも大きかつた。

規模別には,前年度に雇用の伸びがいちじるしく小さかつた大企業の雇用が42年度には大きく伸びている。しかし,40年10月の谷からの景気上昇局面における大企業の雇用の伸びが,過去の好況期にくらべてあまり大きくなかつたことは本報告 第82表 にみるとおりである( 第10-6表 )。

第10-3図 雇用の伸び率と生産の伸び率

一方,40年後半の景気の谷から雇用に先だつて伸びてきた製造業の所定外労働時間は,41年後半には頭打ち気配をみせていたが,その後労働力不足の進行とともにじりじりと増加をつづけ,引締め前にはほぼ前回景気上昇期の最高水準に達した( 第10-4図 )。

第10-4図 雇用と所定外労働時間の動き

第10-6表 従業員規模別非農林業雇用者の動向

(3) 労働力不足の進行とその影響

新規労働力の増加が小さかつたことや農林業からの労働力の流出が少なかつたことにくわえて,42年度には製造業や大企業での雇用需要が大きかつたために労働力需給は従来以上にひつ迫したものとなり,中小企業などの充足難は深刻なものとなつたとみられるが,42年から43年にかけていろいろな機関によつてなされた調査はいずれも企業の人手不足感が非常なたかまりをみせたことを明らかにしている。

第10-7表 製造業規模別労働力の過不足状況

たとえば,中小企業短期経済観測(日本銀行)では中小企業の経営上のあい路としては「人手不足」と「人件費上昇」が中心となつているが,このうち人手不足をあげる企業の割合は41年11月の57%,42年2,5月の62%から8月には64%,11月72%,43年2月には70%にたかまつており,また中小企業動向調査(中小企業金融公庫)でも経営上の問題点として「求人難」を第1位にあげる企業の割合は42年4~6月32%,7~9月39%,10~12月41%,43年1~3月38%となつている。

大企業でも技能工や一般労務者については不足とするところがかなりある。労働経済動向調査(労働省)でみると,43年2月に1,000人以上の事業所では技能工を不足とするところが18%,やや不足とするところが36%で,一般労務者についてもそれぞれ21%,33%と約半数が不足を感じている( 第10-7表 )。もつとも大企業では労働者数が適当であるとする割合が多く,やや過剰とするところもある(技能工について2%,一般労務者について5%)が,規模の小さいところでは適当であるとする割合よりも不足とする割合の方がはるかに多い。

第10-8表 労働力不足の影響(製造業)

また,42年6月の技能労働力需給状況調査(労働省によると,技能工の不足数は157万人で前年より28万人多く,在籍技能工に対する不足技能工の割合(不足率)は18%で前年より1.4ポイント上昇している。規模別には1,000人以上の4.3%に対して5~29人では31.1%と不足率は小規模ほど高い。

ところで,労働力不足ははたして生産に影響を及ぼしたのか,あるいは企業意識の上での漠然とした不安感だけであつたのか,どうかについては意見のわかれるところであるが,43年2月の労働経済動向調査(規模100人以上の製造業1,763事業所について調査)では,生産の実績が計画にくらべかなり下回つたとする事業所が全事業所の4分の1,41年7月以降労働力が不足したと回答した事業所の3分の1という結果がでている( 第10-8表 )。(42年5月におこなわれた日本経済研究センターのアンケート調査では117社のうち3分の1が人手不足によつて生産活動に支障があつたとしている。また同じく5月の東洋経済新報社による調査でもほぼ同様の結果がでている。)もちろん生産計画が達成されなかつたことにはさまざまな要因が複雑にからみあつており,労働力不足だけが一面的にその原因であつたとするのは疑問があるが,それにしても労働力不足が生産活動の阻害要因として企業意識の上に非常に大きなウエイトを占めるようになつてきたことは無視できない。

第10-5図 自営業主,家族従業者,農林業就業者の動き

労働力不足が企業に与えた影響のうちもつとも大きいものは,残業の恒常化であつた。それは全事業所の3分の1,労働力不足事業所の半数に及んでいる( 第10-8表 )。企業の拡張計画や進出計画が繰延べられたり,あるいは遊休設備が生じたり操業度が低下するということは少なかつたが,こんどの労働力不足下にみられた特微的なうごきの一つは,企業が下請,関連会社への発注量を増加したことである。これは労働力不足事業所の3分の1に及んでいる。すでに41年9月の同調査では労働力不足対策として外注利用をあげた事業所の割合は5割にのぼつており,機械設備の合理化,採用の増加についで第3位を占め,また前出日経センターの調査では賃金上昇対策のなかで外注増加は作業の合理化,労働節約投資についで第3位になつている。労働力不足,賃金上昇下における企業のこのようなビヘビアは一面では下請関連中小企業の求人難を激化させ,そのことが下請関連からの製品納期の遅れをもたらし生産活動に影響を及ぼすという悪循環にもなつている。

第10-6図 景気調整と雇用

このような動きのなかで注目されるのは,非農林業の自営業主や家族従業者が最近増加していることで,前者は41年度,42年度にそれぞれ19万人増加,後者は41年度8万人,42年度は10万人増加している( 第10-5図 )。これは中学卒や農林業からの労働供給が少なくなつているなかで労働需要が全般的にたかまつたため,中小企業がまとまつた量の労働力を確保することがますます困難になり,大企業からの外注需要はふえているのに自らは生産拡大ができず,家内工業や小まわりのきく零細企業に下請けさせるという動きがでてきたことによるとみられる。業主,家族従業者がふえているのは繊維,出版印刷,金属製品,機械等比較的労働集約的な産業である。合理化が困難な労働集約的作業の下請外注需要に対して,零細個人業主は家族労働と長時間労働によつて低生産性をカバーしながら収益としては高いものをあげていると考えられる。

労働力不足の影響は景気調整下の労働関係指標の動きにもあらわれている。常用雇用の伸び率は引締め前6ヵ月の1.9%から引締め後6ヵ月には1.4%ヘ若干鈍化した。しかし製造業の常用雇用は,引締め前の伸び率1.4%に対して引締め後の伸び率は1.5%と増勢はかわらず,輸送機械や電気機器,一般機械など従来の景気調整期に増勢鈍化がいちじるしかつた業種で根づよい増勢がつづいているのがみられる( 第10-6図 )。

製造業の所定外労働時間も,過去の調整期には引締めとともに減少に転ずるという敏感な動きを示したが,今回は引締め後なお微増ないし横ばいという動きをしており,引締め後6ヵ月で1.1%の増加となつている( 第10-5図 参照)。

43年1~3月の所定外労働時間と臨時日雇雇用の動きを製造業の業種別にみると,輸送機械のように月平均所定外労働時間が35時間に達する業種で臨時日雇労働者が大幅にふえ,また食料品や窯業のように臨時日雇労働者が大幅にへつた業種で所定外労働時間がふえているという補完的な関係もみられるが,ほとんどの業種では所定外労働時間と臨時日雇雇用がともにふえている( 第10-7図 )。

労働市場では,新規求人の伸び率が42年7~9月の21%増から10~12月の9%,43年1~3月の5%ヘ鈍化した。しかし引締め後の新規求人の伸び率を規模別にみると,1,000人以上の大企業の伸び率は42年10~12月の12.9%増から43年1~3月の12.5%増ヘ増勢が維持されているのに対して,30~99人では6.8%増から3.3%増へ,29人以下は3.4%増から0.9%減へと中小零細企業の伸び率鈍化がいちじるしい( 第10-3表 参照)。景気調整の労働需給への影響は中小零細企業求人のうえにあらわれてはいるが,常用雇用の動きにもみられるように輸送機械,電気機器などの大企業の労働需要はなお衰えていない。求人倍率は43年1月の1.18から若干低下したものの,求人は3月においてもなお求職をうわまつており,中小企業の労働需要は鈍つたといつてもなお未充足の労働需要が累積されているので,求人倍率の低下はそのまま労働需給の急速な緩和にはつながらない。2月現在での労働経済動向調査では,4~6月に雇用増加を見込む事業所の割合は前年同月調査による割合より多かつた( 第10-8図 )。また雇用増加を見込む理由は前年に多かつた「季節的理由以外による生産の増加」は少なくなつているが,「未充足の補充」ははるかに多くなつている。また,43年3月学卒者の労働需給についてみると,3月現在で中卒求人は前年にくらべ12.9%増,高卒求人は40.3%増となつており,求人倍率は中学4.5倍,高校4.4倍と空前の倍率を示しており,採用難はいつそう深刻化している。

第10-7図 製造業業種別にみた所定外労働時間と臨時日雇労働者

引締め後6ヵ月の賃金の動きは,全産業現金給与が引締め前の6.4%増に対して6.3%増とほとんどがかわらなかつた。製造業の賃金についてみると,現金給与が7.3%増,定期給与が6.7%増で,引締め前のそれぞれ6.2%増,6.6%増を上まわつている。製造業の定期給与について過去の引締め6ヵ月前後の動きをみると,28年には2.9ポイント,32年には0.4ポイント,36年には1.0ポイント,前回には0.2ポインとその幅はしだいに小さくなつているものの伸び率の低下がみられた。これには所定外労働時間の低下にともなう超過勤務給の減少が影響しているとみられるが,今回の引締めでは半年たつても所定外労働時間の減少がみられないこともあつて,定期給与の伸び率は引締め前より0.1ポイントの上昇となつている。

第10-8図 雇用についての企業意識(43年1月と前年2月の比較)

(4) 中高年労働者の過剰意識

若年労働者,技能労働者の人手不足が深刻化している反面では,最近事務管理部門を中心とした中高年労働者の過剰意識が大企業を中心にたかまつていることが注目される。たとえば前記43年2月の労働経済動向調査では事務管理労働者について過剰ないしやや過剰とする事業所の割合は1,000人以上では5分の1,500~999人では6分の1である。42年3月の労働問題実態調査(通産省)では35才以上の中高年事務管理職員について過剰とする企業は300~999人規模では9.6%,1,000人以上では実に24.4%となつている。42年3月の労働力の活用に関する実態調査(日本経済調査協議会)では,配置人員が適正であるとする企業35%,全般的に不足とする企業23%に対して,全般的に過剰とする企業は4%,過剰の層と不足の層があるとする企業は39%となっているが,過剰労働者を職種別にみると管理者層と定型的事務が多い。

第10-4表 のように労働市場では42年には一般労働者についてもかなり高年令層まで求人が求職を上まわつたが,50才以上の労働者については求人倍率が0.2というように改善はあまりみられない。企業における労働力の需要予測調査(東京商工会議所)でみると56才以上の高年令者を雇つたことがないとする企業が6割もあり,中卒から高卒ヘ,あるいは学卒から主婦労働力へという企業の人手不足への対応はすすんでいるものの,中高年労働者の活用はまだおくれている。

2. 賃金の大幅上昇とその特微

42年度の企業現金給与の伸び率は12.7%で,41年度の11.2%を上まわり29年度以降最高の伸び率を示した。実質賃金も消費者物価の騰勢が比較的落ちついていたことから8.2%増と,前年度の6.2%増を上まわる大きな伸びをみせた。

製造業の賃金についてみると,現金給与が14.0%も伸び,定期給与も12.8%増と最高の伸びを示している(国民生活の項 第11-3表 参照)。

42年度の賃金の大幅な上昇は,労働市場の一層のひつ迫と企業収益の改善,春闘による大幅賃上げ等の要因によつてもたらされたものである。

42年には前述のような労働力需給のひつ迫のなかで初任給や中途採用者の賃金が前年の停滞から脱して再び増勢をつよめた。42年3月学卒者の初任給は中学卒男子,高校卒男子とも10.0%増(前年中学6.9%,高校6.8%)といずれも前年を上まわる上昇率を示した。中途採用者の賃金も42年4月の製造業男子労務者の定期給与で10.9%増と前年の8.3%を上まわつた。

第10-9表 製造業規模別賃金上昇率

42年の春闘は平穏裡に終つたが,賃上げ額は主要民間企業4,214円,中小企業3,521円とこれまでの妥結額の最高を示し,賃上げ率は主要企業12.1%,中小企業13.1%と39年につぐ高率であつた。

また,所定内給与の上昇にくわえて超過勤務給も所定外労働時間が前年度にくらべて7.2%も増加したことから増加をつづげた。

特別給与は42年夏季(6~8月)には12.9%で前年の16.1%増にくらべてやや低かつたが年末(12~1月)には15.2%増と38年以降ではもつとも高かつた。

第10-9図 規模別賃金格差の推移

こうしたなかで規模別賃金格差は前年にひきつづき拡大した。製造業の賃金の上昇率を規模別にみると, 第10-9表 のように40年までは小規模事業所の伸び率が大きかつたものが41年にはいると大規模事業所ほど大きくなり,42年もこれがつづき規模別賃金格差は拡大している。労働力需給ひつ迫下で賃金がこのような動きを示した要因は,景気上昇下における所定外労働時間の増加が大規模ほど大きいという動きが42年にもつづいたこと,労働力不足の進行とともに中小企業では女子中高年令層などに依存する動きがでてきたことが平均賃金を引き下げる働きをしたことである。また,新規学卒者の初任給や若年層賃金について小規模事業所の賃金が大規模事業所の賃金を上まわるという逆格差が解消される動きがでてきているが,これには大企業の若年労働者を確保するという動きがつよまつていることが考えられる。規模500人以上の中クラスの事業所の定期給与を100とした賃金格差は100~499人規模の中から上クラスを除いてはいずれも41,42年には拡大している( 第10-9図 )。


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