月例経済報告(平成19年10月)

―景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、回復している。―

先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、アメリカ経済や原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

平成19年10月22日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、回復している。

  • 企業収益は、改善している。設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、着実に改善している。
  • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
  • 輸出は、緩やかに増加している。生産は、持ち直している。

先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、アメリカ経済や原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政改革の基本方針2007」に基づき、改革への取組を加速・深化する。
民間需要主導の持続的な成長を図るとともに、これと両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。消費者マインドは弱含みで推移し、所得はおおむね横ばいで推移している。需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、8月は前月に比べ増加したものの、おおむね横ばいとなっている。
個別の指標について、8月の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月から増加した。販売側の統計をみると、小売業販売額は前月に比べて増加した。新車販売台数は、8月増加した後、9月は減少した。旅行は、海外旅行は前年を下回ったものの、国内旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢が改善していることから、所得の伸びが改善すれば、個人消費は増加していくものと期待される。

設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。

設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、2007年4-6月期は製造業は増加したものの、非製造業は減少している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、緩やかに増加している。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。
「日銀短観」によれば、2007年度設備投資計画は全規模全産業で5年連続の増加が見込まれており、大企業製造業では4年連続の二桁増加、大企業非製造業では3年連続の増加が見込まれている。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は横ばいとなっている。先行指標をみると、機械受注は、このところ持ち直しの動きがみられる。建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、このところ減少している。

住宅建設は、このところ減少している。持家、貸家、分譲住宅の着工は、ともに減少している。総戸数は、改正建築基準法施行の影響もあって、8月は前月比23.0%減の年率72.9万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。先行きについては、改正建築基準法施行の影響が当面続くものの、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資の関連予算をみると、平成19年度予算では、公共事業関係費について、前年度比3.5%減としつつ、地域の自立・活性化、成長力強化などへ重点化している。また、平成19年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.0%減(かい離是正後は、14.9%減)としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2007年7-9月期の公共投資については、公共工事請負金額は前年を下回った。

輸出は、緩やかに増加している。輸入は、緩やかに減少している。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、緩やかに増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器が増加し、全体として増加している。アメリカ向け輸出は、輸送用機器が増加し、全体として持ち直しの動きがみられる。EU向け輸出は、一般機械が横ばいとなり、全体として横ばいとなっている。先行きについては、アメリカ経済の今後の動向等に留意する必要がある。
輸入は、緩やかに減少している。地域別にみると、アジアからの輸入は、緩やかに減少している。アメリカからの輸入は、機械機器が減少し、全体として緩やかに減少している。EUからの輸入は、緩やかに増加している。
国際収支をみると、輸出金額が増加、輸入金額も増加しており、貿易収支の黒字幅は横ばいとなっている。また、サービス収支の赤字幅は横ばいとなっている。そのため、貿易・サービス収支の黒字は横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、持ち直している。

鉱工業生産は、情報化関連生産財の在庫調整の進捗などを受けて、持ち直している。
先行きについては、設備投資の増加などにより生産は緩やかに増加していくものと見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、9月は減少、10月は増加が見込まれている。
また、第3次産業活動は、緩やかに増加している。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、大企業製造業では横ばいとなっているものの、全体としては慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2007年4-6月期の経常利益は、売上高が増加したこと等により前年同期比12.0%増となり、20四半期連続で増益となった。業種別にみると、不動産業、情報通信業等で減益となったものの、輸送用機械、卸売・小売業等で増益となり、製造業が17.3%、非製造業が8.0%の増益となっている。「日銀短観」によると、2007年度の売上高は5年連続の増収、経常利益は6年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、大企業製造業では横ばいとなっているものの、全体としては慎重さがみられる。大企業製造業の業況判断は2四半期連続の横ばい、大企業非製造業の業況判断は19四半期ぶりの悪化となった。中小企業製造業の業況判断は3四半期連続、中小企業非製造業の業況判断は2四半期連続の悪化となった。
また、企業倒産は、緩やかな増加傾向にある。倒産件数は、8月1,203件の後、9月は1,047件となった。負債総額は、8月8,704億円の後、9月は4,606億円となった。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、着実に改善している。

完全失業率は低下傾向で推移し、3%台後半となるなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、着実に改善している。
完全失業率は、8月は前月比0.2%ポイント上昇し3.8%となった。女性の完全失業者の増加により、完全失業者数は増加した。15~24歳層の完全失業率は高水準ながら低下傾向で推移している。
新規求人数はやや減少している。有効求人倍率は横ばい圏内となっている。雇用者数は増加している。製造業の残業時間は減少している。企業の雇用人員判断は、9月は不足感が高まっている。
賃金の動きをみると、定期給与は横ばい圏内で推移している。現金給与総額は弱含みで推移している。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。

国内企業物価は、上昇している。最近の動きを類別にみると、加工食品、繊維製品などが上昇している一方、8月の原油市況の軟化を反映して、これまで上昇していた石油製品が下落したほか、非鉄金属が下落している。輸入物価は、原油市況が基調として上昇していることを反映して契約通貨ベースで上昇しているものの、為替の影響により円ベースでは下落している。
企業向けサービス価格は、基調として前年比で小幅な上昇が続いている。
消費者物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品、一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいとなっている。
なお、石油製品、その他特殊要因を除く消費者物価の前年比は、ゼロ近傍で推移している。
ただし、海外経済の動向などが今後の物価動向に与える影響については注視していく必要がある。

株価は、15,800円(日経平均株価)台から17,400円台まで上昇した後、17,100円台で推移している。長期金利は、1.5%台前半から1.7%台前半まで上昇した後、1.6%台前半まで低下している。

株価は、アメリカ株価の動向等を背景に、15,800円(日経平均株価)台から17,400円台まで上昇した後、17,100円台で推移している。対米ドル円レートは、114円台から117円台まで円安方向で推移した後、116円台まで円高方向で推移している。
短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.5%付近で推移している。ユーロ円金利(3ヶ月物)は、0.8%台で推移している。長期金利は、アメリカの長期金利の動き等を背景に、1.5%台前半から1.7%台前半まで上昇した後、1.6%台前半まで低下している。企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられず、民間債と国債との流通利回りスプレッドは総じて横ばいとなっている。
マネタリーベースは、前年比1%程度の伸びとなっている。M2+CDは、前年比1.7%の伸びとなっている。

4.海外経済

世界の景気は回復している。

アメリカでは、住宅建設の減少等により、引き続き景気回復は緩やかなものとなっている。先行きについては、金融資本市場の変動等により不透明感がみられる。

2007年4-6月期は、住宅建設が減少するなど国内民間需要の伸びは緩やかになっているものの外需の増加などからGDP成長率は前期比年率3.8%増となった。
消費は緩やかに増加している。設備投資は、構築物投資の増加等により、増加しているものの、一部には弱い動きが続いている。住宅建設は減少している。
生産は底堅く推移している。雇用面では、雇用者数の増加は緩やかになっている。物価面では、エネルギー価格等が上昇しているものの、コア物価は落ち着きがみられる。
9月18日に開催されたFOMCでは、金融市場の混乱により生じうる経済全般への悪影響の一部を阻止し、経済が長期的に緩やかに成長するのを促すことを目的として、フェデラル・ファンド・レート(FF金利)の誘導目標水準を0.5%引き下げ、4.75%とすることが決定された。

アジアでは、中国等で景気は拡大が続いている。

中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資は高い伸びが続いている。シンガポール、マレーシアでは、景気は拡大している。韓国、台湾では、景気は緩やかに拡大している。タイでは、内需の停滞により景気は弱い動きとなっている。

ユーロ圏及び英国では、景気は回復している。

ユーロ圏では景気は回復している。ドイツでは、設備投資が増加するなど、企業部門を中心に回復している。フランスでは、消費が増加するなど、回復している。
英国では、景気は回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は上昇した。主要国の長期金利は9月下旬にかけ上昇し、その後おおむね横ばいで推移した。ドルは、名目実効レートで減価した。原油価格は、おおむね80ドル台前半の過去最高水準で推移した後、10月中旬にさらに上昇した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、7月季節調整済前月比0.4%減の後、8月は同0.9%増となった。なお、消費総合指数は「四半期別GDP速報」(QE)の推計方法の変更に伴い、2005年2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
「家計調査」の実質消費支出は、7月季節調整済前月比1.2%減の後、8月は同0.4%増(前年同月比1.6%増)となった。
「家計調査」の実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、8月は季節調整済前月比1.3%増(前年同月比2.0%増)となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、8月は実質前年同月比0.2%増となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、7月季節調整済前月比2.5%減の後、8月は同3.9%増(前年同月比0.5%増)となった。また、百貨店販売額は、8月は前年同月比1.1%増(既存店)(季節調整済前月比3.5%増(全店))となった。スーパー販売額は、8月は前年同月比0.8%減(既存店)(季節調整済前月比3.9%増(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、8月前年同月比0.2%減(既存店)、同2.1%増(全店)となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、8月季節調整済前月比9.6%増の後、9月(速報値)は同3.8%減となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は7月前年同月比1.2%減の後、8月は同5.7%増となった。海外旅行は7月前年同月比4.1%減の後、8月は同3.5%減となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、7月前年同月比1.0%増(全店)の後、8月は同5.1%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差2.4ポイント悪化の後、9月は同0.4ポイント悪化となった。消費者態度指数(原数値)は、8月前月差0.4ポイント悪化の後、9月は0.1ポイント改善となった。

<設備投資>

2007年4-6月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比10.2%減(前年同期比5.7%減)となっており、うち製造業では同1.1%増(同10.7%増)、非製造業では同16.4%減(同14.0%減)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2007年度設備投資計画は、製造業で前年度比5.6%増、非製造業で同5.0%減となっており、全産業では同1.0%減となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、7月(確報値)は季節調整済前月比5.4%増(前年同月比3.7%増)の後、8月(確報値)は同1.3%増(同6.0%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2007年度設備投資計画は、製造業で前年度比12.1%増、非製造業で同6.7%増となっており、全産業では同8.7%増となっている。また、中小企業では製造業で同13.6%減、非製造業で同8.9%減となっており、全産業では同10.5%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、7月(確報値)は前年同月比4.3%増の後、8月(確報値)は同3.1%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、7月は季節調整済前月比17.0%増(前年同月比8.0%増)の後、8月は同7.7%減(同2.6%減)となっている。なお、2007年7-9月期(見通し、6月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比3.7%増(前年同期比0.6%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事費予定額をみると、7月は季節調整済前月比40.1%減(前年同月比15.5%減)の後、8月は同26.7%減(同39.0%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、2007年1-3月期は6.1%減、4-6月期は2.0%増、6月は17.3%増、7月は30.1%減、8月は23.0%減となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、2007年1-3月期は4.9%減、4-6月期は3.6%減、6月は2.6%増、7月は22.6%減、8月は1.1%増となり、貸家の着工(同)は、2007年1-3月期は7.1%減、4-6月期は5.7%増、6月は20.3%増、7月は32.8%減、8月は30.4%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、2007年1-3月期は5.1%減、4-6月期は7.4%増、6月は50.3%増、7月は54.3%減、8月は31.7%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、2007年1-3月期は6.0%減、4-6月期は0.1%減、6月は16.0%増、7月は29.8%減、8月は17.0%減となった。

<公共投資>

国の平成19年度一般会計予算(当初予算)をみると、公共事業関係費について、前年度比3.5%減としつつ、地域の自立・活性化、成長力強化などへの重点化をしている。
地方の予算をみると、平成19年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.0%減(かい離是正後は、14.9%減)と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(「建設工事受注動態統計調査」)は、前年同月比で7月は2.8%減の後、8月は9.1%減となった。大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で7月は2.6%減の後、8月は20.1%減となった。公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)は、前年同月比で8月は5.1%減の後、9月は12.1%減となった。公共工事出来高(「建設総合統計」)は、前年同月比で7月は0.7%減の後、8月は2.0%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で7月は2.7%減の後、8月は0.7%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2007年7月2.4%減の後、8月5.6%増(前年同月比8.2%増)となった。また、前期比で2007年1-3月期は2.1%増の後、4-6月期は1.9%増(前年同期比4.1%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2007年7月0.3%減の後、8月1.5%減(前年同月比5.6%減)となった。また、前期比で2007年1-3月期は3.4%減の後、4-6月期は0.4%減(前年同期比3.6%減)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2007年7月は6,063億円、8月は12,118億円、通関収支差(季節調整値)は、2007年7月は7,983億円、8月は11,945億円となった。

<生産・出荷・在庫>

8月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、鉄鋼や繊維等の減少があったものの、輸送機械や電子部品・デバイス等の増加により、前月比3.5%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、9月は輸送機械や情報通信機械等が減少することにより0.8%減の後、10月は電子部品・デバイスや輸送機械等の増加により4.1%増になると見込まれている。
8月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比0.2%増となった。また、8月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は98.2となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、8月(速報)前月比1.3%増となった。また、6-8月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同3-5月平均対比)をみると0.7%増となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2007年4-6月期の経常利益は、全産業で前年同期比12.0%増、製造業は17.3%増、非製造業は8.0%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)によると、2007年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比0.9%の減益、下期は1.9%の増益、通期では前年比0.5%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は1%ポイント悪化して21%ポイント、中小企業は3%ポイント悪化してマイナス5%ポイント、全規模合計では3%ポイント悪化して4%ポイントとなった。
企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は8月1,203件(前年同月比2.9%増)の後、9月は1,047件(同1.6%増)となった。負債総額は8月8,704億円(同113.6%増)の後、9月は4,606億円(同57.3%増)となった。また、9月の大型倒産(負債額10億円以上)は、62件(同47.6%増)となっており、㈱クレディア(金融業、負債757億円)、みらい建設工業㈱(土木・建築工事、負債422億円)、伊豫商事㈱(紙・紙製品卸、負債380億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、8月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%ポイント上昇し3.8%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は7.9%となった。
「労働力調査」によると、完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差16万人増の252万人となった。また、求職理由別完全失業者のうち、8月の非自発的離職者数(季節調整値)は前月差4万人増の77万人、自発的離職者数(季節調整値)は、前月差4万人増の96万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、7月季節調整済前月比1.1%減の後、8月は同0.3%減(前年同月比6.7%減)となった。有効求人数は、7月同0.6%減の後、8月は同0.7%減(同5.4%減)となった。新規求職者数は、7月同2.1%減の後、8月は同2.1%減(同5.0%減)となった。有効求職者数は、7月同0.4%減の後、8月は同0.3%減(同3.4%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は7月1.55倍の後、8月1.58倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、7月1.07倍の後、8月1.06倍となった。
「労働力調査」によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で7月は前月差18万人減の後、8月は同15万人増の5,529万人となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用指数(労働者計)は、事業所規模5人以上では7月は季節調整済前月比0.1%増(前年同月比1.7%増)の後、8月は同0.0%(同1.6%増)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では7月は季節調整済前月比0.0%(前年同月比1.1%減)の後、8月は同1.0%減(同1.8%減)となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全規模全産業で9月調査はマイナス9%ポイントと6月調査から1%ポイント低下した。
「毎月勤労統計調査」によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では7月季節調整済前月比0.2%増(前年同月比0.0%)の後、8月は同0.0%(同0.0%)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では7月季節調整済前月比1.5%減(前年同月比1.7%減)の後、8月は同1.0%増(同0.6%増)となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、2007年9月(速報値)は、前月比1.0%の下落(前年同月比0.7%の下落)、3ヶ月前比は4.8%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、9月(速報値)は前月比1.1%の下落(前年同月比2.1%の上昇)、3ヶ月前比は3.8%の下落となった。また、国内企業物価は、9月(速報値)は前月比0.1%の下落(前年同月比1.7%の上昇)、3ヶ月前比は0.6%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の2007年8月(速報値)の企業向けサービス価格は前年同月比1.0%の上昇(前月比0.5%の下落)となった。
総務省「消費者物価指数」(全国)の生鮮食品を除く総合は、2007年8月は前年同月比0.1%の下落(季節調整済前月比0.1%の上昇、連鎖基準の前年同月比0.1%の下落)、6-8月平均の前年同期比は0.1%の下落(連鎖基準の前年同期比0.2%の下落)となった。一般サービスは、8月は前年同月比0.1%の上昇、6-8月平均の前年同期比は0.0%となった。一般商品は、8月は前年同月比0.4%の下落、6-8月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。公共料金は、8月は前年同月比0.6%の上昇、6-8月平均の前年同期比は0.6%の上昇となった。また、「消費者物価指数」(東京都区部、中旬速報値)の生鮮食品を除く総合は、2007年9月は前年同月比0.1%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、7-9月平均の前年同期比は0.1%の下落となった。
(特に断りがない場合は、ラスパイレス固定基準による値。)

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、9月月中は、0.473%~0.675%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、9月月中は0.83~0.84%台で推移した。新発10年国債流通利回りは、9月は、1.5%~1.7%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、9月末は1,616ポイントとなった。日経平均株価は、9月末は16,785円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、9月末は115.05円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、9月末は163.33円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、9月は前年同月比0.7%増となった。9月の日銀当座預金平均残高は8.3兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.7%増となった(9月速報)。広義流動性は、9月(速報)は前年同月比4.1%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、9月(速報)は前年同月比0.6%増(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.4%増)となった。9月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、9月の国内公募事業債の起債実績は、13,053億円(銀行起債の普通社債は393億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、8月は前月比で短期は0.151%ポイント低下し、長期は0.114%ポイント低下したことから、総合では0.133%ポイント低下し1.693%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の9月の現状判断DIは、前月を1.2ポイント下回り、42.9となった。先行き判断DIは、前月を0.5ポイント下回り、46.0となった。