月例経済報告(平成19年2月)

―景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している。―

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

平成19年2月19日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している。

  • 企業収益は改善し、設備投資は増加している。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
  • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
  • 輸出は、横ばいとなっている。生産は、緩やかに増加している。

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、1月25日、日本が目指すべき経済社会の姿と、それを実現するための経済財政運営の中期的な方針を示した「日本経済の進路と戦略」を閣議決定した。また、同日、「平成19年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議決定し、平成19年度予算を国会に提出した。政府は、「新成長経済」の実現に向けた改革への取組を加速・深化する。
政府・日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、重点強化期間内に物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、一体となった取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

2006年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間最終消費支出、民間企業設備、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がプラスに寄与したことなどから、前期比で1.2%増(年率4.8%増)となった(8四半期連続のプラス)。また、名目GDP成長率は前期比で1.2%となった(2四半期ぶりのプラス)。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。この背景としては、消費者マインドはおおむね横ばいで推移するなかで、所得の伸びが鈍化していることが挙げられる。需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、12月は減少したものの、ならしてみれば横ばいとなっている。
個別の指標について12月の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月から減少した。販売側の統計をみると、小売業販売額は、前月に比べて減少した。新車販売台数は、12月減少した後、1月も減少した。旅行は、国内旅行が前年を下回り、海外旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢が改善していることから、所得の伸びが改善すれば、個人消費は増加していくものと期待される。

設備投資は、増加している。

設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、2006年7-9月期に製造業は減少したものの、非製造業は増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、おおむね横ばいとなっている。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの需要側統計、供給側統計を合成した設備投資総合指数は、緩やかに増加している。
「日銀短観」によれば、2006年度設備投資計画は4年連続で増加が見込まれている。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は改善傾向にある。先行指標をみると、機械受注は、おおむね横ばいとなっている。建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、このところ増加している。

住宅建設は、このところ増加している。持家の着工はおおむね横ばいとなっているが、貸家、分譲住宅の着工は増加している。総戸数は、12月は前月比2.2%減の年率130.0万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。なお、2006年の住宅建設は、持家、貸家、分譲住宅が増加したことから、前年比4.4%増の129.0万戸となり、4年連続の増加となった。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資の関連予算をみると、平成19年2月6日に成立した国の平成18年度補正予算において、約0.9兆円の災害対策費等の予算措置を講じることとしたが、補正後の公共投資関係費は前年度を下回った。また、平成18年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.2%減(かい離是正後は、19.2%減)としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2006年10-12月期の公共投資については、公共工事受注額、大手50社受注額及び公共工事請負金額は前年を下回った。
2007年1-3月期の公共投資については、1月の公共工事請負金額が前年を下回るなど、基調としては減少傾向にあると考えられる。

輸出は、横ばいとなっている。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。

輸出は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、鉄鋼等が増加しているものの一般機械が減少し、全体として横ばいとなっている。アメリカ向け輸出は、横ばいとなっている。EU向け輸出は、電気機器等が減少し、全体として緩やかに減少している。先行きについては、アメリカ経済の今後の動向等に留意する必要がある。
輸入は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器が減少し、全体として横ばいとなっている。EUからの輸入は、横ばいとなっている。
国際収支をみると、輸出金額が増加、輸入金額が減少し、貿易収支の黒字幅は増加している。また、サービス収支の赤字幅は横ばいとなっている。そのため、貿易・サービス収支の黒字は増加している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、緩やかに増加している。

鉱工業生産は、設備投資の増加などに支えられて、緩やかに増加している。
先行きについては、設備投資の増加などにより生産の緩やかな増加は続くものと見込まれる。なお、情報化関連生産財の今後の在庫動向には留意する必要がある。製造工業生産予測調査においては、1月は減少、2月は増加が見込まれている。
また、第3次産業活動は、横ばいとなっている。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2006年7-9月期の経常利益は、売上高が増加したこと等により前年同期比15.5%増となり、17四半期連続で増益となった。業種別にみると、製造業が18.2%、非製造業が13.5%の増益となっている。「日銀短観」によると、2006年度の売上高は4年連続の増収、経常利益は5年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、緩やかに改善している。鉄鋼、電気機械等で悪化したものの、化学、自動車等で改善し、大企業製造業の業況判断は3四半期連続、大企業非製造業は2四半期ぶりの改善となった。
また、企業倒産は、おおむね横ばいとなっている。1月の倒産件数は1,100件程度と低水準で推移している。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
完全失業率は、12月は前月比0.1%ポイント上昇し4.1%となった。自発的離職者の増加により完全失業者が増加した。15~24歳層の完全失業率は高水準ながら低下傾向で推移するなか、前年比でみてこのところ大きく低下している。
新規求人数は横ばい圏内となっている。有効求人倍率は横ばい圏内で推移していたが、12月は上昇した。雇用者数は横ばい圏内で推移している。製造業の残業時間は横ばいで推移している。
賃金の動きをみると、定期給与は横ばい圏内で推移している。現金給与総額はならしてみると緩やかに増加している。なお、11-12月計でみたボーナスを含む特別給与は前年比0.1%ポイント(速報試算値)上回っている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価、消費者物価は、ともに横ばいとなっている。

国内企業物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、これまでのニッケル等の非鉄金属市況の上昇を反映して、鉄鋼(ステンレス関連)が上昇している一方、銅市況や原油市況の軟化を反映して、非鉄金属、石油製品が下落している。輸入物価(円ベース)は、横ばいとなっている。
企業向けサービス価格は、基調として前年比で横ばいで推移している。
消費者物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、石油製品が前月比で下落していることにより、下落に転じている。一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいとなっている。
なお、消費者物価の前年比は上昇しているものの、石油製品、その他特殊要因を除くとゼロ近傍で推移している。
ただし、海外経済の動向などが今後の物価動向に与える影響については注視していく必要がある。

株価は、17,800円(日経平均株価)台まで上昇している。長期金利は、1.6%台半ばから1.7%台前半まで上昇している。

株価は、アメリカ株価の上昇や好調な企業業績等を背景に、17,800円(日経平均株価)台まで上昇している。対米ドル円レートは、120円台前半から121円台後半で推移している。
短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.25%付近で推移している。ユーロ円金利(3ヶ月物)は、0.5%台で推移している。長期金利は、1.6%台半ばから1.7%台前半まで上昇している。企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられず、民間債と国債との流通利回りスプレッドは総じて低水準で推移している。
マネタリーベースは、日銀当座預金残高が前年比で減少したことから、前年比マイナス21%程度の伸びとなっている。M2+CDは、前年比1.0%の伸びとなっている。

4.海外経済

世界の景気は回復している。

アメリカでは、景気は緩やかに拡大している。

2006年10-12月期では、GDP成長率は前期比年率3.5%増となった。
消費は増加している。設備投資はこのところ弱い動きがみられる。住宅投資は減少しているものの、先行指標となる住宅着工には下げ止まりの兆しがみられる。
生産はおおむね横ばいとなっている。雇用面では、雇用者数は増加している。物価面では、コア物価は緩やかに上昇している。
1月30・31日に開催されたFOMCでは、政策金利は据え置きとされた。

アジアでは、中国等で景気は拡大が続いている。

中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資は、06年後半以降やや伸びが鈍化しているものの、高い伸びが続いている。台湾では、外需を中心に景気は拡大している。シンガポール、マレーシアでは、内需を中心に景気は拡大している。タイでは、景気の拡大は緩やかになっている。韓国では、景気は緩やかに拡大している。

ユーロ圏及び英国では、景気は回復している。

ユーロ圏では景気は回復している。ドイツでは、輸出や生産が増加するなど、企業部門を中心に回復している。フランスでは、消費が増加するなど、回復している。
英国では、景気は回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は上昇した。主要国の長期金利は横ばいで推移した。ドルは名目実効為替レートで減価した。アメリカにおいて寒冷な気候が続いたことによる石油関連製品の需給ひっ迫懸念などから、原油価格は上昇した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、11月季節調整済前月比0.4%増の後、12月は同1.0%減となった。なお、消費総合指数は「四半期別GDP速報」(QE)の推計方法の変更に伴い、2005年2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
「家計調査」の実質消費支出は、11月季節調整済前月比0.5%増の後、12月は同1.2%減(前年同月比1.9%減)となった。
「家計調査」の実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、12月は季節調整済前月比2.2%減(前年同月比2.2%減)となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、12月は実質前年同月比0.8%減となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、11月季節調整済前月比0.0%の後、12月は同0.1%減(前年同月比0.2%減)となった。また、百貨店販売額は、12月は前年同月比2.2%減(既存店)(季節調整済前月比5.3%減(全店))となった。スーパー販売額は、12月は前年同月比2.6%減(既存店)(季節調整済前月比0.6%減(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、12月前年同月比0.2%減(既存店)、同2.2%増(全店)となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、12月季節調整済前月比0.8%減の後、1月(速報値)は同1.2%減となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は11月前年同月比1.1%増の後、12月は同4.5%減となった。海外旅行は11月前年同月比7.0%増の後、12月は同1.1%増となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、11月前年同月比1.9%増(全店)の後、12月は同2.9%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、9月前期差0.6ポイント悪化の後、12月は同1.7ポイント改善となった。消費者態度指数(原数値)は、12月前月差2.8ポイント悪化の後、1月は同2.2ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、11月(速報値)季節調整済前月比1.0%減の後、12月(速報値)は同0.5%増となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2006年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比0.1%増(前年同期比11.9%増)となっており、うち製造業では同1.0%減(同8.3%増)、非製造業では同0.7%増(同14.0%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比14.8%増、非製造業で同6.9%増となっており、全産業では同9.5%増となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、11月(確報値)は季節調整済前月比1.7%減(前年同月比4.7%増)の後、12月(確報値)は同1.6%減(同2.8%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比16.5%増、非製造業で同10.1%増となっており、全産業では同12.4%増となっている。また、中小企業では製造業で同14.0%増、非製造業で同1.9%増となっており、全産業では同5.1%増となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、11月(確報値)は前年同月比8.1%増の後、12月(速報値)は同7.4%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、11月は季節調整済前月比3.8%増(前年同月比0.7%増)の後、12月は同0.7%減(同3.8%減)となっている。なお、2007年1-3月期(見通し、12月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比2.2%増(前年同期比0.1%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事費予定額をみると、11月は季節調整済前月比6.0%増(前年同月比19.5%増)の後、12月は同3.4%減(同9.6%増)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、2006年7-9月期は3.1%減、10-12月期は5.2%増、10月は1.7%増、11月は1.6%増、12月は2.2%減となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、2006年7-9月期は1.7%増、10-12月期は2.1%減、10月は1.1%減、11月は2.7%減、12月は2.2%増となり、貸家の着工(同)は、2006年7-9月期は1.2%減、10-12月期は3.5%増、10月は4.6%増、11月は1.2%減、12月は3.6%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、2006年7-9月期は14.8%減、10-12月期は13.4%増、10月は1.1%減、11月は14.6%増、12月は0.6%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、2006年7-9月期は1.6%減、10-12月期は4.3%増、10月は0.7%増、11月は2.3%増、12月は1.1%減となった。

<公共投資>

国の平成18年度一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、公共投資関係費は、前年度比2.9%減となっている。なお、平成19年度一般会計予算案では、公共事業関係費について、前年度比3.5%減としつつ、地域の自立・活性化、成長力強化などへの重点化をしている。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比5.3%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比10.0%減、1.7%減となっている。なお、平成19年度地方財政対策では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.0%程度減(かい離是正後は、14.9%程度減)と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(「建設工事受注動態統計調査」)は、前年同月比で11月は1.3%減の後、12月は16.8%減となった。大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で11月は5.3%増の後、12月は23.1%減となった。公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)は、前年同月比で12月は1.7%減の後、1月は0.9%減となった。公共工事出来高(「建設総合統計」)は、前年同月比で10月は13.4%減の後、11月は10.7%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で10月は1.7%増の後、11月は2.0%増となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2006年11月2.6%増の後、12月0.6%増(前年同月比4.2%増)となった。また、前期比で7-9月期は1.5%増の後、10-12月期は2.1%減(前年同期比3.3%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2006年11月2.8%減の後、12月5.0%増(前年同月比4.4%増)となった。また、前期比で7-9月期は0.1%減の後、10-12月期は0.1%減(前年同期比4.9%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2006年11月は10,956億円の後、12月は6,890億円、通関収支差(季節調整値)は、2006年11月は9,604億円の後、12月は6,233億円となった。

<生産・出荷・在庫>

12月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、情報通信機械、電子部品・デバイス等の減少があったものの、輸送機械、一般機械等の増加により、前月比0.9%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、1月は輸送機械や電子部品・デバイス等が減少することにより2.8%減の後、2月は情報通信機械や輸送機械等の増加により0.1%増になると見込まれている。
12月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比1.2%増となった。また、12月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は101.2となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、11月(速報)前月比0.3%減となった。また、9-11月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同6-8月平均対比)をみると0.3%増となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2006年7-9月期の経常利益は、全産業で前年同期比15.5%増、製造業は18.2%増、非製造業は13.5%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、2006年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比12.8%の増益、下期は2.2%の減益、通期では前年比4.7%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は1%ポイント改善して23%ポイント、中小企業は3%ポイント改善して0%ポイント、全規模合計では2%ポイント改善して8%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、1月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,091件(前年同月比4.0%増)、負債総額5,736億円(同5.0%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、54件(同31.6%減)となっており、(株)エフ・アール・イー(不動産業、負債2,285億円)、(株)アイ・エックス・アイ(ソフトウェア開発ほか、負債222億円)、(株)松栄興業(ゴルフ会員権管理、保険代理業、負債210億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、12月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.1%ポイント上昇し4.1%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は6.1%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差5万人増の272万人となった。
「労働力調査」により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、12月の非自発的な離職による者は、前月差5万人減の81万人、自発的な離職による者は、前月差6万人増の111万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、11月季節調整済前月比5.2%増の後、12月は同1.6%減(前年同月比3.4%増)となった。有効求人数は、11月同0.1%減の後、12月は同1.6%増(同2.7%増)となった。新規求職者数は、11月同0.7%増の後、12月は同0.3%増(同1.3%増)となった。有効求職者数は、11月同0.3%減の後、12月は同0.5%減(同3.5%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は11月1.62倍の後、12月1.59倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、11月1.06倍の後、12月1.08倍となった。
「労働力調査」によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で11月は前月比0.1%減の後、12月は同0.5%減の5,458万人となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用指数(労働者計)は、事業所規模5人以上では11月は季節調整済前月比0.1%減(前年同月比1.3%増)の後、12月は同0.0%(同1.3%増)(速報値)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では11月は季節調整済前月比0.8%増(前年同月比4.8%増)の後、12月は同1.2%減(同2.4%増)(速報値)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では11月季節調整済前月比0.6%減(前年同月比0.5%減)の後、12月は同0.0%(同0.6%減)(速報値)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では11月季節調整済前月比1.5%増(前年同月比0.2%増)の後、12月は同1.2%減(同0.6%減)(速報値)となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、2007年1月(速報値)は、前月比1.4%の上昇(前年同月比6.3%の上昇)、3ヶ月前比は0.6%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、1月(速報値)は前月比2.8%の上昇(前年同月比12.2%の上昇)、3ヶ月前比は0.7%の上昇となった。また、国内企業物価は、1月(速報値)は前月比0.2%の下落(前年同月比2.2%の上昇)、3ヶ月前比は0.3%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の2006年12月(速報値)の企業向けサービス価格は前年同月比0.2%の上昇(前月比0.0%)となった。
総務省「消費者物価指数」(全国)の生鮮食品を除く総合は、2006年12月は前年同月比0.1%の上昇(季節調整済前月比0.1%の下落)、10-12月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般サービスは、12月は前年同月比0.2%の上昇、10-12月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般商品は、12月は前年同月比0.1%の下落、10-12月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。公共料金は、12月は前年同月比0.4%の上昇、10-12月平均の前年同期比は0.5%の上昇となった。また、「消費者物価指数」(東京都区部、中旬速報値)の生鮮食品を除く総合は、2007年1月は前年同月比0.2%の上昇(季節調整済前月比0.2%の上昇)、11-1月平均の前年同期比は0.2%の上昇となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、1月月中は、0.226%~0.343%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、1月は0.53~0.56%台で推移した。新発10年国債流通利回りは、1月は、1.6%~1.7%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、1月末は1,721ポイントとなった。日経平均株価は、1月末は17,383円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、1月末は121.68円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、1月末は157.16円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、1月は前年同月比21.1%減となった。1月の日銀当座預金平均残高は9.0兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.0%増となった(1月速報)。広義流動性は、1月(速報)は前年同月比2.6%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、1月(速報)は前年同月比1.8%増(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.8%増)となった。1月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、4,050億円(銀行起債の普通社債は1,500億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、12月は前月比で短期は0.149%ポイント上昇し、長期は0.090%ポイント低下したことから、総合では0.039%ポイント上昇し1.602%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の1月の現状判断DIは、前月を1.7ポイント下回り、47.2となった。先行き判断DIは、前月を2.0ポイント上回り、50.9となった。