月例経済報告(平成18年12月)

―景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している。―

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

平成18年12月25日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している。

  • 企業収益は改善し、設備投資は増加している。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
  • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
  • 輸出は、横ばいとなっている。生産は、緩やかに増加している。

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に基づき、構造改革を加速・深化する。12月1日、「平成19年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。また、12月19日、「平成19年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解し、12月24日、平成19年度予算政府案(概算)を閣議決定した。
政府・日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、重点強化期間内に物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、一体となった取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。この背景としては、消費者マインドがおおむね横ばいで推移する中で、所得の伸びが鈍化していることが挙げられる。需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、10月は前月に比べて増加したものの、ならしてみればおおむね横ばいとなっている。
個別の指標について10月の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月から増加した。販売側の統計をみると、小売業販売額は、前月に比べて減少した。新車販売台数は、10月減少した後、11月は増加した。旅行は、国内旅行、海外旅行ともに前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢が改善していることから、所得の伸びが改善すれば、個人消費は増加していくものと期待される。

設備投資は、増加している。

設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、2006年7-9月期に製造業は減少したものの、非製造業は増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、おおむね横ばいとなっている。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの需要側統計、供給側統計を合成した設備投資総合指数は、緩やかに増加している。
「日銀短観」によれば、2006年度設備投資計画は4年連続で増加が見込まれており、製造業は3年連続の二桁増加、非製造業は4年連続の増加が見込まれている。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は改善傾向にある。先行指標をみると、機械受注は、このところやや弱い動きとなっている。建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、このところ増加している。

住宅建設は、このところ増加している。貸家の着工はおおむね横ばいとなっているが、持家、分譲住宅の着工は増加している。総戸数は、10月は前月比0.8%増の年率130.9万戸となった。総床面積は、前月比1.1%減となったが、これは1戸当たり床面積が狭い貸家が増加した影響による。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資の関連予算をみると、平成18年度予算では、公共投資関係費について、前年度比4.8%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。また、平成18年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.2%減(規模是正後は、19.2%減)としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2006年10-12月期の公共投資については、10月、11月の公共工事請負金額などは前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

輸出は横ばいとなっている。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、鉄鋼等が増加しているものの電気機器が減少し、全体として横ばいとなっている。アメリカ向け輸出は、横ばいとなっている。EU向け輸出は、一般機械等が減少し、全体として緩やかに減少している。先行きについては、アメリカ経済の今後の動向等に留意する必要がある。
輸入は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器が増加しており、全体としても増加している。EUからの輸入は、横ばいとなっている。
国際収支をみると、輸出数量、輸入数量ともに横ばいとなっており、貿易収支の黒字幅は横ばいとなっている。また、サービス収支の赤字幅は横ばいとなっている。そのため、貿易・サービス収支の黒字は横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、緩やかに増加している。

鉱工業生産は、設備投資の増加などに支えられて、緩やかに増加している。
先行きについては、設備投資の増加などにより生産の緩やかな増加は続くものと見込まれる。なお、情報化関連生産財の今後の在庫動向には留意する必要がある。製造工業生産予測調査においては、11月、12月ともに増加が見込まれている。
また、第3次産業活動は、横ばいとなっている。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2006年7-9月期の経常利益は、売上高が増加したこと等により前年同期比15.5%増となり、17四半期連続で増益となった。業種別にみると、鉄鋼業、情報通信業等で減益となったものの、一般機械、卸売・小売業等で増益となり、製造業が18.2%、非製造業が13.5%の増益となっている。「日銀短観」によると、2006年度の売上高は4年連続の増収、経常利益は5年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、緩やかに改善している。鉄鋼、電気機械等で悪化したものの、化学、自動車等で改善し、大企業製造業の業況判断は3四半期連続、大企業非製造業は2四半期ぶりの改善となった。
また、企業倒産は、おおむね横ばいとなっている。11月の倒産件数は1,100件程度と低水準で推移している。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
完全失業率は、10月は前月比0.1%ポイント低下し4.1%となった。雇用情勢の改善を受けた労働市場への参入がみられるなか、就業者は増加し、完全失業者は減少した。15~24歳層の完全失業率は低下傾向にあるものの、高水準で推移している。
新規求人数は横ばい圏内となっている。有効求人倍率は横ばい圏内となっている。雇用者数は増加している。製造業の残業時間は緩やかに増加している。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は低下している。企業の雇用判断は、全規模・全産業で12月は2%ポイント低下し、不足感が拡大している。
賃金の動きをみると、定期給与は横ばい圏内で推移している。現金給与総額はならしてみると緩やかに増加している。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。消費者物価は、横ばいとなっている。

国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、これまでのニッケル等の非鉄金属市況の上昇を反映して、鉄鋼(ステンレス関連)が上昇している一方、原油市況や銅市況の軟化を反映して、石油製品、非鉄金属が下落している。輸入物価(円ベース)は、原油市況の軟化を反映して、このところ下落している。
企業向けサービス価格は、基調として前年比で小幅な下落が続いている。
消費者物価は横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、石油製品が前月比で下落していることにより、上昇幅が縮小している。一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいとなっている。
なお、消費者物価の前年比は上昇しているものの、石油製品、その他特殊要因を除くとゼロ近傍で推移している。
ただし、海外経済の動向などが今後の物価動向に与える影響については注視していく必要がある。

株価は、15,700円(日経平均株価)台から16,700円台まで上昇している。為替レートは、対米ドル円レートで116円台から114円台まで円高方向で推移した後、118円台まで円安方向で推移している。

株価は、国内外の景気先行きに対する観測等を背景に、15,700円(日経平均株価)台から16,700円台まで上昇している。対米ドル円レートは、116円台から114円台まで円高方向で推移した後、118円台まで円安方向で推移している。
短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.25%付近で推移している。ユーロ円金利(3ヶ月物)は、0.4%台後半から0.5%台で推移している。長期金利は、おおむね1.6%台で推移している。企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられず、民間債と国債との流通利回りスプレッドは総じて低水準で推移している。
マネタリーベースは、日銀当座預金残高が前年比で減少したことから、前年比マイナス22%程度の伸びとなっている。M2+CDは、前年比0.7%の伸びとなっている。

4.海外経済

世界の景気は回復している。

アメリカでは、景気は拡大テンポが緩やかになっている。

消費は緩やかに増加し、設備投資は増加している。住宅建設は減少している。生産はおおむね横ばいとなっている。雇用面では、労働市場のひっ迫は続いているものの雇用者数の増加は緩やかになっている。物価面では、コア物価上昇率は緩やかに上昇している。
12月12日に開催されたFOMCでは、政策金利は据え置きとされた。

アジアでは、中国等で景気は拡大が続いている。

中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資は、このところやや伸びが鈍化しているものの、高い伸びが続いている。台湾、シンガポールでは、外需を中心に景気は拡大している。マレーシアでは、内需を中心に景気は拡大している。タイでは、景気の拡大は緩やかになっている。韓国では、景気は緩やかに拡大している。

ユーロ圏及び英国では、景気は回復している。

ユーロ圏では景気は回復している。ドイツでは、輸出や生産が増加するなど、企業部門を中心に回復している。フランスでは、消費が増加するなど、回復している。欧州中央銀行(ECB)は、12月7日の理事会で、政策金利(短期買いオペの最低応札金利)を0.25%ポイント引き上げ、3.50%とすることを決定した。
英国では、景気は回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は上昇した。主要国の長期金利は、アメリカではほぼ横ばいで推移する一方、ヨーロッパでは上昇した。ドルは名目実効為替レートで横ばいで推移した。原油価格は概ね60ドル台前半で推移している

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、9月季節調整済前月比0.1%減の後、10月は同0.9%増となった。なお、消費総合指数は「四半期別GDP速報」(QE)の推計方法の変更に伴い、2005年2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
「家計調査」の実質消費支出は、9月季節調整済前月比2.0%減の後、10月は同4.1%増(前年同月比2.4%減)となった。
「家計調査」の実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、10月は季節調整済前月比0.9%増(前年同月比2.3%減)となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、10月は実質前年同月比3.3%減となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、9月季節調整済前月比1.5%減の後、10月は同0.2%減(前年同月比0.1%増)となった。また、百貨店販売額は、10月は前年同月比2.0%減(既存店)(季節調整済前月比2.0%減(全店))となった。スーパー販売額は、10月は前年同月比1.4%減(既存店)(季節調整済前月比3.7%減(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、10月前年同月比0.6%減(既存店)、同2.0%増(全店)となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、10月季節調整済前月比2.5%減の後、11月(速報値)は同0.4%増となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は9月前年同月比3.9%減の後、10月は同1.2%増となった。海外旅行は9月前年同月比0.4%減の後、10月は同1.9%増となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、9月前年同月比4.6%増(全店)の後、10月は同2.3%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差2.0ポイント悪化の後、9月は同0.6ポイント悪化となった。消費者態度指数(原数値)は、10月前月差1.9ポイント改善の後、11月は同0.5ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、9月(確報値)季節調整済前月比2.2%減の後、10月(速報値)は同3.2%増となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2006年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比0.1%増(前年同期比11.9%増)となっており、うち製造業では同1.0%減(同8.3%増)、非製造業では同0.7%増(同14.0%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比16.4%増、非製造業で同5.7%増となっており、全産業では同9.3%増となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、9月(確報値)は季節調整済前月比6.0%減(前年同月比7.4%増)の後、10月(確報値)は同8.9%増(同9.4%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比16.5%増、非製造業で同10.1%増となっており、全産業では同12.4%増となっている。また、中小企業では製造業で同14.0%増、非製造業で同1.9%増となっており、全産業では同5.1%増となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、9月(確報値)は前年同月比2.4%減の後、10月(確報値)は同5.9%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、9月は季節調整済前月比7.4%減(前年同月比1.5%減)の後、10月は同2.8%増(同1.2%減)となっている。なお、2006年10-12月期(見通し、9月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比5.7%増(前年同期比2.2%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事費予定額をみると、9月は季節調整済前月比6.1%減(前年同月比10.7%増)の後、10月は同10.2%増(同0.2%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、2006年4-6月期は2.6%増、7-9月期は2.5%減、8月は7.2%増、9月は0.2%増、10月は0.8%増となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、2006年4-6月期は0.9%増、7-9月期は4.5%増、8月は11.9%増、9月は4.6%減、10月は2.2%減となり、貸家の着工(同)は、2006年4-6月期は4.1%減、7-9月期は1.7%増、8月は4.6%減、9月は0.5%減、10月は7.8%増となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、2006年4-6月期は21.6%増、7-9月期は16.9%減、8月は47.1%増、9月は6.1%増、10月は9.4%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、2006年4-6月期は3.7%増、7-9月期は1.2%減、8月は10.7%増、9月は1.0%減、10月は1.1%減となった。

<公共投資>

国の平成18年度一般会計予算(当初予算)をみると、公共投資関係費は、前年度比4.8%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野に重点化している。
地方の予算をみると、平成18年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.2%減(規模是正後は、19.2%減)と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」等に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(「建設工事受注動態統計調査」)は、前年同月比で9月は9.7%減の後、10月は16.7%減となった。大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で9月は29.0%減の後、10月は30.2%減となった。公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)は、前年同月比で10月は2.0%減の後、11月は5.6%減となった。公共工事出来高(「建設総合統計」)は、前年同月比で9月は16.2%減の後、10月は13.4%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で9月は0.9%増の後、10月は1.7%増となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2006年9月4.0%減の後、10月2.0%減(前年同月比1.6%増)となった。また、前期比で4-6月期は0.4%減の後、7-9月期は1.5%増(前年同期比8.4%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2006年9月0.4%減の後、10月0.3%減(前年同月比7.9%増)となった。また、前期比で4-6月期は0.9%増の後、7-9月期は0.1%減(前年同期比2.9%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2006年9月は2,286億円の後、10月は7,299億円、通関収支差(季節調整値)は、2006年9月は3,946億円の後、10月は6,519億円となった。

<生産・出荷・在庫>

10月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、化学、食料品・たばこ等の減少があったものの、輸送機械、一般機械等の増加により、前月比1.6%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、11月は電子部品・デバイスや輸送機械等が増加することにより2.7%増の後、12月は一般機械や輸送機械等の増加により0.1%増になると見込まれている。
10月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比1.1%増となった。また、10月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は99.4となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、10月(速報)前月比2.1%増となった。また、8-10月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同5-7月平均対比)をみると0.2%減となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2006年7-9月期の経常利益は、全産業で前年同期比15.5%増、製造業は18.2%増、非製造業は13.5%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、2006年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比12.8%の増益、下期は2.2%の減益、通期では前年比4.7%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は1%ポイント改善して23%ポイント、中小企業は3%ポイント改善して0%ポイント、全規模合計では2%ポイント改善して8%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、11月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,091件(前年同月比2.0%減)、負債総額4,416億円(同45.3%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、58件(同9.4%増)となっており、髙山物産㈱(パチンコ店経営、総合レジャー施設運営、負債718億円)、日新開発㈱(不動産売買、負債471億円)、(学)京都科学技術学園(専門学校経営、負債351億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、10月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.1%ポイント低下し4.1%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は8.1%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差5万人減の276万人となった。
「労働力調査」により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、10月の非自発的な離職による者は、前月差2万人増の88万人、自発的な離職による者は、前月差7万人減の104万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、9月季節調整済前月比3.3%減の後、10月は同3.7%減(前年同月比1.7%増)となった。有効求人数は、9月同0.3%減の後、10月は同2.8%減(同4.3%増)となった。新規職件数は、9月同0.2%減の後、10月は同3.9%減(同2.0%減)となった。有効求職者数は、9月同0.1%増の後、10月は同0.9%減(同4.2%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は9月1.55倍の後、10月1.55倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、9月1.08倍の後、10月1.06倍となった。
「労働力調査」によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で9月は前月比0.3%増の後、10月は同0.1%増の5,491万人となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用指数(労働者計)は、事業所規模5人以上では9月は季節調整済前月比0.2%増(前年同月比1.4%増)の後、10月は同0.1%増(同1.4%増)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では9月は季節調整済前月比0.3%増(前年同月比5.7%増)の後、10月は同0.7%減(同4.3%増)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計で4-6月期の12%から7-9月期は11%となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全規模全産業で12月調査はマイナス10%ポイントと9月調査から2%ポイント低下した。
「毎月勤労統計調査」によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では9月季節調整済前月比0.2%増(前年同月比0.0%)の後、10月は同0.2%増(同0.1%増)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では9月季節調整済前月比2.3%増(前年同月比0.1%増)の後、10月は同0.2%減(同0.0%)となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、2006年11月(速報値)は前月比1.0%の下落(前年同月比2.6%の上昇)、3ヶ月前比は0.4%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、11月(速報値)は前月比2.2%の下落(前年同月比7.7%の上昇)、3ヶ月前比は2.7%の下落となった。また、国内企業物価は、11月(速報値)は前月比0.1%の下落(前年同月比2.7%の上昇)、3ヶ月前比は0.2%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の10月(速報値)の企業向けサービス価格は前年同月比0.1%の上昇(前月比0.2%の上昇)となった。
総務省「消費者物価指数」(全国)の生鮮食品を除く総合は、10月は前年同月比0.1%の上昇(季節調整済前月比0.1%の下落)、8-10月平均の前年同期比は0.2%の上昇となった。一般サービスは、10月は前年同月比0.2%の下落、8-10月平均の前年同期比は0.2%の下落となった。一般商品は、10月は前年同月比0.2%の上昇、8-10月平均の前年同期比は0.3%の上昇となった。公共料金は、10月は前年同月比0.5%の上昇、8-10月平均の前年同期比は0.5%の上昇となった。また、「消費者物価指数」(東京都区部、中旬速報値)の生鮮食品を除く総合は、2006年11月は前年同月比0.2%(季節調整済前月比0.0%)、9-11月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、11月月中は、0.243%~0.282%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、11月は0.44~0.50%台で推移した。新発10年国債流通利回りは、11月は、1.6%~1.7%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、11月末は1,603ポイントとなった。日経平均株価は、11月末は16,274円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、11月末は116.40円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、11月末は153.13円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、11月は前年同月比22.3%減となった。11月の日銀当座預金平均残高は7.9兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比0.7%増となった(11月速報)。広義流動性は、11月(速報)は前年同月比1.9%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、11月(速報)は前年同月比1.2%増(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.2%増)となった。11月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、8,035億円(銀行起債の普通社債は1,700億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、10月は前月比で短期は0.098%ポイント上昇し、長期は0.198%ポイント上昇したことから、総合では0.139%ポイント上昇し1.638%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の11月の現状判断DIは、前月を1.9ポイント下回り、48.9となった。先行き判断DIは、前月を2.8ポイント下回り、49.7となった。