月例経済報告(平成18年4月)

―景気は、回復している。―

先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

平成18年4月14日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、回復している。

  • 企業収益は改善し、設備投資は増加している。
  • 個人消費は、緩やかに増加している。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
  • 輸出は増加し、生産は緩やかに増加している。

先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」に基づき、構造改革を加速・拡大する。また、平成18年度予算、税制改正法案等の成立を受け、これらを着実に執行・実施する。
重点強化期間内におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政府・日本銀行は一体となった取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、緩やかに増加している。

個人消費は、緩やかに増加している。この背景としては、消費者マインドが改善し、所得が緩やかに増加していることが挙げられる。需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、2月は減少したものの、基調としては緩やかに増加している。
個別の指標について2月の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月から増加した。販売側の統計をみると、小売業販売額は、気温が低めに推移した前月の反動もあって衣料品等が伸び悩み、前月に比べて減少した。新車販売台数は、2月減少した後、3月は増加した。旅行は、国内旅行は前年を下回ったものの、海外旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢の改善が家計の所得改善につながっていることから、個人消費の増加が続くことが期待される。

設備投資は、増加している。

設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、2005年10-12月期に非製造業は減少したものの、製造業は6四半期連続で増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、緩やかに増加している。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの需要側統計、供給側統計を合成した設備投資総合指数は、増加している。
「日銀短観」によれば、製造業の2006年度設備投資計画は4年連続で増加している。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は改善傾向にある。先行指標をみると、機械受注は増加基調にある。建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。貸家の着工は増加しているが、持家、分譲住宅の着工はおおむね横ばいとなっている。総戸数は、2月は前月比6.0%増の年率133.4万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資の関連予算をみると、平成18年2月3日に成立した国の平成17年度補正予算において、災害復旧等事業費を含め、約0.6兆円の災害対策費等の予算措置を講じることとしたが、補正後の平成17年度公共投資関係予算は前年度を下回った。平成18年度予算では、公共投資関係費について、前年度比4.8%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。また、平成18年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.2%減(規模是正後は、19.2%減)としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2005年10-12月期は、公共工事受注額、公共工事請負金額及び大手50社受注額では、前年を下回った。
2006年1-3月期の公共投資については、1月、2月の公共工事請負金額などは前年を下回るなど、引き続き前年を下回るものと考えられる。

輸出は増加している。輸入は緩やかに増加している。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器や化学製品が増加し、全体として緩やかに増加している。アメリカ向け輸出は、輸送用機器や電気機器が増加し、全体として増加している。EU向け輸出は、横ばいとなっている。先行きについては、世界の景気は着実に回復していることに伴って、増加していくものと考えられる。
輸入は、機械機器を中心に緩やかに増加している。地域別にみると、アジアからの輸入は機械機器を中心に緩やかに増加している。アメリカからの輸入は機械機器を中心に緩やかに増加している。EUからの輸入は、横ばいとなっている。
国際収支をみると、輸出数量は増加し、輸入数量は緩やかに増加し、原油価格の高騰などにより輸入価格が上昇傾向にあることから、貿易収支の黒字幅は横ばいとなっている一方、サービス収支の赤字幅は横ばいとなっている。そのため、貿易・サービス収支の黒字は横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、緩やかに増加している。

鉱工業生産は、一部の分野で在庫調整の動きもみられるものの、全体としては輸出や設備投資の増加に支えられて、緩やかに増加している。
先行きについては、設備投資の増加や、世界の景気が着実に回復していることから、生産の緩やかな増加は続くものと見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、3月、4月ともに増加が見込まれている。
また、第3次産業活動は、緩やかに増加している。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、一部に慎重さがみられるものの、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2005年10-12月期の経常利益は、輸送用機械、電気機械、卸売・小売業等、幅広い業種で売上高が増加したこと等により前年同期比11.1%となり、14四半期連続で増益となった。業種別にみると、製造業が17.7%、非製造業が6.1%の増益となっている。「日銀短観」によると、2006年度の売上高は4年連続の増収、経常利益は5年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、一部に慎重さがみられるものの、緩やかに改善している。電気機械、自動車等で改善したものの、鉄鋼、紙・パルプ等で悪化し、大企業製造業の業況判断は4四半期ぶりの悪化となった。大企業非製造業の業況判断は2四半期連続の改善となった。
また、企業倒産は、おおむね横ばいとなっている。2月の倒産件数は1,000件程度となっており、前年同月比で増加したが、低水準で推移している。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
完全失業率は、2月は前月比0.4%ポイント低下し4.1%となった。完全失業者は非自発的離職者等の減少により減少し、就業者は増加した。15~24歳層の完全失業率は低下傾向にあるものの、高水準で推移している。
新規求人数は増加している。有効求人倍率は上昇している。また、雇用者数は増加している。製造業の残業時間は増加傾向となっている。企業の雇用判断は、全規模・全産業で3月は3%ポイント低下し、不足感が拡大している。賃金の動きをみると、定期給与は緩やかな増加傾向で推移している。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。

国内企業物価は、上昇している。最近の動きを類別にみると、素材価格の上昇により、非鉄金属、石油製品、化学製品が上昇している。輸入物価(円ベース)は、国際商品市況の上昇を反映して、上昇している。
企業向けサービス価格は、前年比で小幅な下落が続いている。
消費者物価は横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、石油製品等の上昇により、上昇している。一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいとなっている。
なお、昨年11月以降、消費者物価の前年比は上昇しているものの、石油製品等が押上げ要因として働いていることなどを踏まえ、物価の動向を総合してみると、改善がみられるものの物価は緩やかなデフレ状況にある。

株価は、16,000円台(日経平均株価)から17,500円台まで上昇した後、17,100円台まで下落している。長期金利は、1.7%付近で推移した後、1.8%台後半まで上昇している。

株価は、景気回復の継続や企業収益の拡大等を背景に16,000円台(日経平均株価)から17,500円台まで上昇した後、17,100円台まで下落している。対米ドル円レートは、116円台から118円台で推移している。
短期金利は落ち着いている。長期金利は、1.7%付近で推移した後、欧米の金利上昇や国内の株価上昇等を背景に、1.8%台後半まで上昇している。企業金融については、企業の資金繰り状況は改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは低水準で推移している。
マネタリーベースは、日銀当座預金残高が前年比で減少したことから、前年比マイナス1%程度の伸びとなっている。M2+CDは、前年比1%台半ばの伸びとなっている。

4.海外経済

世界の景気は着実に回復している。

アメリカでは、景気は拡大している。

2月の消費は増加しており、雇用は3月の非農業雇用者数が21.1万人増となるなど、景気は拡大している。住宅価格等に鈍化の兆しがあるものの、2月の住宅建設は着工が年率212.0万件と高い水準にある。物価面ではコア物価上昇率は安定している。
3月27、28日に開催されたFOMCでは、フェデラル・ファンド・レート(FF金利)の誘導目標水準を0.25%引き上げ、4.75%とするとともに、ある程度の更なる金融引締めが必要な可能性もあるとし、従来の金融政策スタンスを継続する姿勢を示した。

アジアでは、中国等で景気は拡大が続いている。

中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資は、高い伸びが続いている。台湾、シンガポールでは、外需を中心に景気は拡大している。マレーシアでは、内需を中心に景気は拡大している。タイでは、景気の拡大は緩やかになっている。韓国では、景気は回復している。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しており、英国の景気は回復している。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。ドイツでは、輸出や生産が増加するなど、企業部門を中心に緩やかに回復している。フランスでは、消費や輸出が増加するなど、緩やかに回復している。
英国では、景気は回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は横ばいで推移した。主要国の長期金利は上昇した。ドルは名目実効為替レートで横ばいで推移した。原油価格は需給ひっ迫懸念等から上昇した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、1月季節調整済前月比0.6%減の後、2月は同0.4%減となった。なお、消費総合指数は「四半期別GDP速報」(QE)の推計方法の変更に伴い、2005年2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
「家計調査」の実質消費支出は、1月季節調整済前月比1.6%減の後、2月は同0.2%増(前年同月比1.5%減)となった。
「家計調査」の実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、2月は季節調整済前月比3.9%増(前年同月比0.4%減)となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、1月は実質前年同月比2.4%減となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、1月季節調整済前月比2.4%増の後、2月は同1.5%減(前年同月比1.0%増)となった。また、百貨店販売額は、2月は前年同月比0.3%増(既存店)(季節調整済前月比4.3%減(全店))となった。スーパー販売額は、2月は前年同月比3.4%減(既存店)(季節調整済前月比1.9%増(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、2月前年同月比2.4%減(既存店)、同1.2%増(全店)となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、2月季節調整済前月比1.0%減の後、3月(速報値)は同0.2%増となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は1月前年同月比2.9%減の後、2月は同3.0%減となった。海外旅行は1月前年同月比2.6%減の後、2月は同1.2%増となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、1月前年同月比0.0%(全店)の後、2月は同2.4%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、9月前期差0.6ポイント悪化の後、12月は同3.4ポイント改善となった。消費者態度指数(原数値)は、1月前月差3.0ポイント改善の後、2月は前月差0.3ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、1月(速報値)季節調整済前月比0.1%減の後、2月(速報値)は同1.5%増となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2005年10-12月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比0.4%減(前年同期比8.8%増)となっており、うち製造業では同0.7%増(同16.1%増)、非製造業では同1.0%減(同5.1%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比9.4%減、非製造業で同13.7%減となっており、全産業では同12.2%減となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、1月(確報値)は季節調整済前月比2.3%減(前年同月比1.3%減)の後、2月(速報値)は同5.7%減(同6.7%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2006年度設備投資計画は、製造業で前年度比4.8%増、非製造業で同1.6%増となっており、全産業では同2.7%増となっている。また、中小企業では製造業で同14.8%減、非製造業で同16.6%減となっており、全産業では同16.1%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、1月(確報値)は前年同月比0.1%増の後、2月(速報値)は同1.1%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、1月は季節調整済前月比6.2%減(前年同月比9.8%増)の後、2月は同3.4%増(同8.2%増)となっている。なお、2006年1-3月期(見通し、12月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比1.3%増(前年同期比9.0%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事費予定額をみると、1月は季節調整済前月比0.1%増(前年同月比7.9%減)の後、2月は同3.6%増(同18.3%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、2005年7-9月期は6.7%増、10-12月期は0.8%減、12月は10.3%減、2006年1月は7.7%増、2月は6.0%増となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、2005年7-9月期は3.9%増、10-12月期は0.5%増、12月は0.3%減、2006年1月は0.1%増、2月は0.8%増となり、貸家の着工(同)は、2005年7-9月期は9.1%増、10-12月期は0.6%増、12月は7.9%減、2006年1月は11.6%増、2月は3.2%増となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、2005年7-9月期は16.4%増、10-12月期は12.6%減、12月は11.5%減、2006年1月は6.6%減、2月は33.7%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、2005年7-9月期は6.0%増、10-12月期は1.7%減、12月は10.3%減、2006年1月は6.2%増、2月は4.6%増となった。

<公共投資>

国の平成17年度一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、公共投資関係費は、前年度比9.0%減となっている。なお、平成18年度一般会計予算では、公共投資関係費については、前年度比4.8%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野に重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比6.9%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比10.l%減、6.2%減となっている。なお、平成18年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.2%減(規模是正後は、19.2%減)と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」等に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(「建設工事受注動態統計調査」)は、前年同月比で1月は7.5%減の後、2月は17.5%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で1月は36.4%減の後、2月は12.5%減となった。公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)は、前年同月比で1月は6.8%減の後、2月は8.3%減となった。公共工事出来高(「建設総合統計」)は、前年同月比で12月は4.2%減の後、1月は2.1%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で12月は1.1%減の後、1月は0.0%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2006年1月2.1%増の後、2月3.4%増(前年同月比14.6%増)となった。また、前期比で7-9月期は0.7%増の後、10-12月期は3.1%増(前年同期比5.1%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2006年1月5.2%増の後、2月3.6%減(前年同月比5.4%増)となった。また、前期比で7-9月期は0.9%増の後、10-12月期は1.7%減(前年同期比0.7%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2006年1月は4,729億円の後、2月は6,744億円、通関収支差(季節調整値)は、2006年1月は4,921億円の後、2月は7,614億円となった。

<生産・出荷・在庫>

2月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、情報通信機械等の増加があったものの、化学、一般機械等の減少により、前月比1.7%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、3月は電子部品・デバイスや情報通信機械等が増加することにより0.3%増の後、4月は一般機械や輸送機械等の増加により3.1%増になると見込まれている。
2月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.3%増となった。また、2月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は101.5となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、1月(速報)前月比2.2%増となった。また、11-1月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同8-10月平均対比)をみると1.1%増となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2005年10-12月期の経常利益は、全産業で前年同期比11.1%増、製造業は17.7%増、非製造業は6.1%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、2006年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比1.5%の増益、下期は7.1%の増益、通期では前年比4.4%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は1%ポイント改善して20%ポイント、中小企業は1%ポイント悪化してマイナス3%ポイント、全規模合計では横ばいの5%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、2月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,044件(前年同月比2.9%増)、負債総額2,884億円(同61.2%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、53件(同20.8%減)となっており、タービレー(株)(不動産開発、美術館経営、負債251億円)、丸玉観光(株)(ホテル・旅館経営、負債130億円)、エビハラスポーツマン(株)(ゴルフ場経営、負債125億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、2月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.4%ポイント低下し4.1%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は7.9%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差21万人減の276万人となった。
「労働力調査」により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、2月の非自発的な離職による者は、前月差11万人減の89万人、自発的な離職による者は、前月差4万人減の110万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、1月季節調整済前月比1.0%増の後、2月は同1.0%増(前年同月比10.7%増)となった。有効求人数は、1月同0.9%減の後、2月は同1.9%増(同10.0%増)となった。新規求職件数は、1月同0.8%増の後、2月は同2.6%増(同3.3%増)となった。有効求職者数は、1月同1.2%減の後、2月は同0.7%増(同4.2%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は1月1.56倍の後、2月1.53倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、1月1.03倍の後、2月1.04倍となった。
「労働力調査」によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で1月は前月比0.8%増の後、2月は同0.7%増の5,486万人となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用指数(労働者計)は、事業所規模5人以上では1月は季節調整済前月比0.0%(前年同月比0.4%増)の後、2月は同0.1%増(同0.5%増)(速報値)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では1月は季節調整済前月比2.3%増(前年同月比4.2%増)の後、2月は同0.2%減(同5.0%増)(速報値)となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全規模全産業で3月調査はマイナス7%ポイントと12月調査から3%ポイント低下した。
「毎月勤労統計調査」によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では1月季節調整済前月比0.4%減(前年同月比0.1%減)の後、2月は同0.1%増(同0.2%増)(速報値)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では2月前年同月比0.4%増(速報値)となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、2006年2月(速報値)は前月比1.4%の上昇(前年同月比5.2%の上昇)、3ヶ月前比は0.7%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、2月(速報値)は前月比4.3%の上昇(前年同月比25.0%の上昇)、3ヶ月前比は3.0%の上昇となった。また、国内企業物価は、2月(速報値)は前月比0.4%の上昇(前年同月比2.9%の上昇)、3ヶ月前比は0.7%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の2006年2月(速報値)の企業向けサービス価格は前年同月比0.1%の下落(前月比0.4%の上昇)となった。
総務省「消費者物価指数」(全国)の生鮮食品を除く総合は、2月は前年同月比0.5%の上昇(季節調整済前月比0.0%)、12-2月平均の前年同期比は0.4%の上昇となった。一般サービスは、2月は前年同月比0.3%の上昇、12-2月平均の前年同期比は0.3%の上昇となった。一般商品は、2月は前年同月比0.8%の上昇、12-2月平均の前年同期比は0.5%の上昇となった。公共料金は、2月は前年同月比0.6%の上昇、12-2月平均の前年同期比は0.3%の上昇となった。また、「消費者物価指数」(東京都区部、中旬速報値)の生鮮食品を除く総合は、2006年3月は前年同月比0.2%の上昇(季節調整済前月比0.1%の上昇)、1-3月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、3月月中は、0.001%~0.004%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、3月は0.11~0.12%台で推移した。10年物国債流通利回り(公社債店頭売買参考統計値)は、3月は、1.5%~1.7%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、3月末は1,728ポイントとなった。日経平均株価は、3月末は17,059円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、3月末は117.40円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、3月末は142.54円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、3月は前年同月比1.0%減となった。3月の日銀当座預金平均残高は30.4兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.5%増となった(3月速報)。広義流動性は、3月(速報)は前年同月比2.1%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、3月(速報)は前年同月比0.3%増(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.5%増)となった。3月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)は280億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、1兆662億円(銀行起債の普通社債は1,980億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、2月は前月比で短期は0.048%ポイント低下し、長期は0.089%ポイント低下したことから、総合では0.054%ポイント低下し1.374%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の3月の現状判断DIは、前月を3.8ポイント上回り、57.3となった。先行き判断DIは、前月を0.4ポイント下回り、56.2となった。