月例経済報告(平成17年9月)

―景気は、企業部門と家計部門がともに改善し、緩やかに回復している。―

先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

平成17年9月22日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、企業部門と家計部門がともに改善し、緩やかに回復している。

  • 企業収益は改善し、設備投資は増加している。
  • 個人消費は、緩やかに増加している。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
  • 輸出は持ち直し、生産は横ばいとなっている。

先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」に基づき、構造改革を加速・拡大する。平成18年度予算編成に当たっても、“改革の総仕上げ予算”と位置づけ、基礎的財政収支の改善に向けた歳出削減の徹底、公債発行の抑制、経済活力と財政健全化の両立といった課題に取り組む。
政府は、日本銀行と一体となって、重点強化期間におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政策努力の更なる強化・拡充を図る。

各論

1.消費・投資などの需要動向

2005年4-6月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間在庫品増加がマイナスに寄与したものの、民間企業設備、民間最終消費支出、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がプラスに寄与したことなどから、前期比で0.8%増(年率3.3%増)となった(3四半期連続のプラス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.4%増となった(3四半期連続のプラス)。

個人消費は、緩やかに増加している。

個人消費は、緩やかに増加している。この背景としては、消費者マインドが改善し、所得が緩やかに増加していることが挙げられる。需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、7月は減少したものの、基調としては緩やかに増加している。
個別の指標について7月の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月から減少した。自動車等購入の支出が、販売側統計の結果以上に減少した影響が大きい。販売側の統計をみると、小売業販売額は、雨が多く気温も低めで推移した地域もあり、飲食料品などが減少したことから、前月に比べて減少した。一方で、百貨店では前月に引き続きクールビズ導入を受けて紳士衣料などが好調だった。家電販売金額は、昨年の猛暑の反動でエアコンが減少し、前年を下回ったものの、薄型テレビの販売は引き続き好調である。新車販売台数は、7月に前月比で減少した後、8月は増加した。旅行は、海外は中国・韓国への旅行客の減少が続いていることも影響し、前年を下回った。一方で、国内旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢の改善が家計の所得改善につながっていることから、個人消費の増加が続くことが期待される。

設備投資は、増加している。

設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、2005年4-6月期に非製造業は減少したものの、製造業は4四半期連続で増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、おおむね横ばいとなっている。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの需要側統計、供給側統計を合成した設備投資総合指数は、7月は前月比で減少したが、均してみると増加している。
「日銀短観」によれば、2005年度設備投資計画は3年連続で増加している。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は改善傾向にある。先行指標をみると、機械受注は緩やかに増加している。建築工事予定額は、基調としては増加している。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、このところ増加している。

住宅建設は、このところ増加している。これは、持家の着工が弱含みとなっているが、貸家、分譲住宅の着工が増加していることによる。総戸数は、7月は、 前月比9.2%増の年率133.5万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加 え、家計の所得環境などの回復が続いていけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資の関連予算をみると、国の平成17年度予算では、公共投資関係費について、前年度比4.0%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化したほか、各事業の目的・成果に踏み込んできめ細かく重点化している。また、平成17年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.0%減(規模是正後は、8.2%減)としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2005年4-6月期は、平成16年度補正予算等の影響から災害復旧関連工事の増加も一部にみられたが、公共工事受注額及び公共工事請負金額は、前期に引き続き、前年を下回った。
2005年7-9月期の公共投資については、7月、8月の公共工事請負金額は前年を下回るなど、基調としては減少傾向にあると考えられる。

輸出は持ち直している。輸入は緩やかに増加している。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

輸出は、持ち直している。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器が横ばいで推移しているが、一般機械が持ち直し、全体として持ち直している。アメリカ向け輸出は、輸送用機器が増加基調で推移し、緩やかに増加している。EU向け輸出は、電気機器が底堅く推移し、横ばいとなっている。先行きについては、世界の景気は着実に回復していることに伴って、増加していくものと考えられる。
輸入は、鉱物性燃料などを中心に緩やかに増加している。地域別にみると、アジアからの輸入は、化学製品などが増加したものの機械機器などが減少し横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器などが増加したものの食料品などが減少し横ばいとなっている。EUからの輸入は、鉱物性燃料などが増加したものの化学製品などが減少し横ばいとなっている。
国際収支をみると、輸出数量は持ち直しているものの、輸入数量は緩やかに増加し、原油価格の高騰などにより輸入価格が上昇傾向にあることから、貿易収支の黒字幅は縮小している。一方、サービス収支の赤字幅はおおむね横ばいとなっていることから、貿易・サービス収支の黒字は減少している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、横ばいとなっている。

鉱工業生産は、横ばいとなっている。情報化関連生産財は、均してみれば、ほぼ横ばいの動きとなっているが、在庫調整は着実に進捗している。在庫は、全体としては低水準で推移しているが、鉄鋼等の一部の分野で増加がみられる。
先行きについては、世界の景気が着実に回復していることから、情報化関連生産財の生産増加が予測される中、持ち直していくことが見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、8月、9月ともに増加が見込まれている。
また、第3次産業活動は、緩やかに増加している。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに持ち直している。倒産件数は、これまで減少が続いていたが、このところ横ばいとなっている。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2005年4-6月期の経常利益は、鉄鋼、石油・石炭等、幅広い業種で売上高が増加したこと等により前年同期比12.9%となり、12四半期連続で増益となった。業種別にみると、製造業が14.2%、非製造業が11.9%の増益となっている。季節調整済前期比でも4.7%となり、2四半期連続で増益となった。「日銀短観」によると、製造業、非製造業ともに、2005年度の売上高は3年連続の増収、経常利益は4年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、緩やかに持ち直している。情報化関連財の在庫調整の進捗、設備投資や個人消費の増加により、電気機械、一般機械、小売や対個人サービス等の幅広い業種で改善がみられ、大企業製造業、大企業非製造業の業況判断は3四半期ぶりに改善した。
また、企業倒産は、これまで減少が続いてきたが、このところ横ばいとなっている。倒産件数は1,100件台半ばとなっており、8月は前年同月比で2ヶ月ぶりに増加したが、低水準で推移している。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
完全失業率は、7月は前月比0.2%ポイント上昇し4.4%となった。自発的離職者等の増加により完全失業者が増加した。一方、15~24歳層の完全失業率は、低下しているものの高水準で推移している。
新規求人数は増加傾向となっている。有効求人倍率は上昇している。また、雇用者数は増加傾向で推移しているが、7月は減少した。製造業の残業時間は横ばいとなっている。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は低下傾向で推移していた中で、4-6月期については前期と同水準となった。
賃金の動きをみると、定期給与は労働需給の改善に伴いフルタイム労働者が増加していることから緩やかな増加傾向で推移しているが、7月は減少した。なお、6-7月計でみたボーナスを含む特別給与は前年を上回っている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。

国内企業物価は、上昇している。最近の動きを類別にみると、素材価格の上昇により、石油製品、非鉄金属、化学製品が上昇している。輸入物価(円ベース)は、原油など国際商品市況の上昇を反映して、上昇している。
企業向けサービス価格は、前年比で小幅な下落が続いている。
消費者物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、おおむね横ばいとなっている中で、原油価格の上昇を反映して、石油製品が上昇している。一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいとなっている。
なお、消費者物価は前年比で小幅な下落基調が続いているなど、物価の動向を総合してみると、物価は緩やかなデフレ状況にある。

株価は、13000円(日経平均株価)付近まで大幅に上昇している。対米ドル円レートは、このところ110円付近で一進一退となっている。

株価は、国内景気回復期待の強まり等から外国人投資家の買いが膨らみ、4年3ヶ月ぶりの高値となり、13,000円(日経平均株価)付近まで大幅に上昇している。対米ドル円レートは、株価上昇やハリケーン「カトリーナ」の影響によるアメリカの景気減速懸念等から円高方向に動いた場面もあったが、このところ110円付近で一進一退となっている。
短期金利は落ち着いている。長期金利は、株価上昇等から1.4%台後半まで上昇した後、アメリカの長期金利の低下等を背景に、このところ1.3%台前半まで低下している。企業金融については、企業の資金繰り状況は改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは低水準で推移している。
マネタリーベースの伸びは、低下している。M2+CDの伸びは、横ばいとなっている。

4.海外経済

世界の景気は着実に回復している。

アメリカでは、景気は拡大している。

消費が増加するなど景気は拡大している。8月9日に開催されたFOMCではフェデラル・ファンド・レート(FF金利)の誘導目標水準を0.25%引き上げ、3.50%とすることが決定された。前回までのFOMC声明に続き、基本的なインフレ率は抑制されていると見通されることから、金融緩和政策の取りやめは慎重に行われるとされた。
ただし、8月29日にメキシコ湾岸に上陸したハリケーン「カトリーナ」の影響により、景気は一時的に減速することが見込まれる。

アジアでは、中国等で景気は拡大が続いている。

中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資の伸びは、依然として拡大が続いている。台湾、シンガポールでは、景気は拡大している。タイ、マレーシアでは、景気の拡大は緩やかになっている。韓国では、景気は緩やかに回復している。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しており、英国の景気は回復している。

ユーロ圏では、投資が持ち直すなど、景気は緩やかに回復している。ドイツでは、設備投資は緩やかに増加しているものの、消費が減少するなど、景気の回復に足踏みがみられる。フランスでは、消費が弱い動きになるなど、景気回復のテンポは緩やかになっている。
英国では、消費の伸びが緩やかになる中で、景気は回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は8月下旬にかけて下落し、その後回復した。主要国の長期金利は低下した。ドルは名目実効為替レートで横ばいで推移した。原油価格はアメリカに上陸したハリケーン「カトリーナ」の被害による影響や需給ひっ迫等懸念により、8月下旬に過去最高水準を更新した。その後、IEA加盟国による石油備蓄の協調放出等の影響により下落したものの、依然として高水準で推移している。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、6月季節調整済前月比0.7%増の後、7月は同0.3%減となった。なお、消費総合指数は「四半期別GDP速報」(QE)の推計方法の変更に伴い、2005年2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
「家計調査」の実質消費支出は、6月季節調整済前月比1.2%減の後、7月は同4.2%減(前年同月比3.7%減)となった。
「家計調査」の実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、7月は季節調整済前月比3.3%減(前年同月比1.9%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、6月季節調整済前月比0.0%増の後、7月は同2.2%減(前年同月比0.6%増)となった。また、百貨店販売額は、7月は前年同月比0.6%増(既存店)(季節調整済前月比1.6%減(全店))となった。スーパー販売額は、7月前年同月比3.4%減(既存店)(季節調整済前月比2.8%減(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、7月前年同月比4.9%減(既存店)、同1.1%減(全店)となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、7月季節調整済前月比6.0%減の後、8月(速報値)は同2.5%増となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、6月前年同月比1.8%増の後、7月は同0.3%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は6月前年同月比3.4%増の後、7月は同2.7%増となった。海外旅行は6月前年同月比6.0%増の後、7月は同2.2%減となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、6月前年同月比1.3%増(全店)の後、7月は同1.3%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、3月前期差0.1ポイント改善の後、6月は同0.2ポイント悪化となった。消費者態度指数(原数値)は、7月前月差1.5ポイント改善の後、8月は前月差0.3ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、6月(確報値)季節調整済前月比2.2%増の後、7月(速報値)は同1.3%減となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2005年4-6月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比1.7%増(前年同期比6.7%増)となっており、うち製造業では同6.4%増(同19.7%増)、非製造業では同0.7%減(同0.9%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2005年度設備投資計画は、製造業で前年度比9.3%増、非製造業で同0.2%減となっており、全産業では同3.2%増となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、6月(確報値)は季節調整済前月比0.5%減(前年同月比0.2%増)の後、7月(確報値)は同1.7%増(同1.2%減)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2005年度設備投資計画は、製造業で前年度比16.2%増、非製造業で同6.1%増となっており、全産業では同9.4%増となっている。また、中小企業では製造業で同12.5%減、非製造業で同6.4%減となっており、全産業では同8.0%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、6月(確報値)は前年同月比0.1%減の後、7月(確報値)は同3.1%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、6月は季節調整済前月比11.1%増(前年同月比5.4%増)の後、7月は同4.3%減(同10.0%増)となっている。なお、2005年7-9月期(見通し、6月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比0.9%増(前年同期比8.2%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、6月は季節調整済前月比0.1%増(前年同月比16.6%増)の後、7月は同9.1%減(同6.2%増)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、2005年1-3月期は3.3%増、4-6月期は4.2%減、5月は5.9%増、6月は1.4%増、7月は9.2%増となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、2005年1-3月期は0.4%増、4-6月期は3.6%減、5月は3.6%増、6月は0.3%減、7月は0.7%減となり、貸家の着工(同)は、2005年1-3月期は7.9%増、4-6月期は7.8%減、5月は0.5%減、6月は8.0%増、7月は6.8%増となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、2005年1-3月期は8.4%増、4-6月期は1.5%増、5月は25.8%増、6月は5.0%減、7月は20.2%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、2005年1-3月期は2.8%増、4-6月期は4.1%減、5月は8.9%増、6月は0.8%減、7月は7.1%増となった。

<公共投資>

国の平成17年度一般会計予算(当初予算)をみると、公共投資関係費は、前年度比4.0%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、平成17年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.0%減(規模是正後は、8.2%減)と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」等に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(「建設工事受注動態統計調査」)は、前年同月比で6月は4.1%減の後、7月は0.1%増となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で6月は6.8%減の後、7月は11.5%増となった。公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)は、前年同月比で7月は12.7%減の後、8月は0.2%減となった。公共工事出来高(「建設総合統計」)は、前年同月比で6月は2.7%減の後、7月は1.6%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で6月は1.7%増の後、7月は0.2%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2005年6月2.4%増の後、7月2.2%減(前年同月比0.8%減)となった。また、前期比で1-3月期は1.0%減の後、4-6月期は2.1%増(前年同期比1.0%減)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2005年6月2.8%増の後、7月1.1%減(前年同月比0.6%減)となった。また、前期比で1-3月期は0.5%増の後、4-6月期は1.2%増(前年同期比3.2%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2005年6月は6,584億円の後、7月は4,126億円、通関収支差(季節調整値)は、2005年6月は7,731億円の後、7月は5,174億円となった。

<生産・出荷・在庫>

7月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、情報通信機械等の増加があったものの、輸送機械、一般機械等の減少により、前月比1.2%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、8月は電子部品・デバイスや一般機械等が増加することにより2.3%増の後、9月は電子部品・デバイスや輸送機械等の増加により2.3%増になると見込まれている。
7月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比0.5%増となった。また、7月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は103.1となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、6月(速報)前月比1.0%増となった。また、4-6月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同1-3月平均対比)をみると横ばいとなっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2005年4-6月期の経常利益は、全産業で前年同期比12.9%増、製造業は14.2%増、非製造業は11.9%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、2005年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比6.7%の減益、下期は11.4%の増益、通期では前年比2.7%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント改善して16%ポイント、中小企業は2%ポイント改善してマイナス7%ポイント、全規模合計では3%ポイント改善して1%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、8月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,152件(前年同月比5.0%増)、負債総額3,251億円(同34.4%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、56件(同8.1減%)となっており、四谷管理(株)(抵当証券業、負債525億円)、(株)サンクリエート(不動産売買・仲介、金融業、負債200億円)、(株)マルカワ(カジュアル商品等販売、負 債84億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、7月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%上昇し4.4%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は8.3%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差16万人増の294万人となった。
「労働力調査」により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、7月の非自発的な離職による者は、前月差1万人増の99万人、自発的な離職による者は、前月差11万人増の114万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、6月季節調整済前月比10.4%増の後、7月は同9.6%減(前年同月比6.0%増)となった。有効求人数は、6月同1.9%増の後、7月は同1.0%減(同10.8%増)となった。新規求職件数は、6月同3.4%増の後、7月は同6.6%減(同8.3%減)となった。有効求職者数は、6月同0.5%減の後、7月は同2.0%減(同3.9%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は6月1.54倍の後、7月1.49倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、6月0.96倍の後、7月0.97倍となった。
「労働力調査」によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で6月は前月比0.7%減の後、7月は同0.4%減の5,370万人となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用指数(労働者計)は、事業所規模5人以上では6月は季節調整済前月比0.1%増(前年同月比0.6%増)の後、7月は同0.0%(同0.5%増)となった。
「毎月勤労統計調査」によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では6月は季節調整済前月比3.3%増(前年同月比0.7%減)の後、7月は同0.9%減(同0.0%)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計で1-3月期の14%から4-6月期は14%となった。
「毎月勤労統計調査」によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では6月季節調整済前月比0.2%増(前年同月比0.5%増)の後、7月は同0.3%減(同0.2%増)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では7月前年同月比1.3%増となった。特別に支払われた給与は、事業所規模5人以上では7月前年同月比3.6%増、6月と7月の合計は前年同期比3.2%増となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、2005年8月(速報値)は前月比0.4%の下落(前年同月比0.5%の上昇)、3ヶ月前比は1.9%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、8月(速報値)は前月比0.2%の上昇(前年同月比13.2%の上昇)、3ヶ月前比は4.5%の上昇となった。また、国内企業物価は、8月(速報値)は前月比0.2%の上昇(前年同月比1.7%の上昇)、3ヶ月前比は0.7%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の7月の企業向けサービス価格は前年同月比0.7%の下落(前月比0.1%の下落)となった。
総務省「消費者物価指数」(全国)の生鮮食品を除く総合は、7月は前年同月比0.2%の下落(季節調整済前月比保合い)、5-7月平均の前年同期比は0.1%の下落となった。一般サービスは、7月は前年同月比保合い、5-7月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、7月は前年同月比0.1%の上昇、5-7月平均の前年同期比は0.2%の上昇となった。公共料金は、7月は前年同月比1.3%の下落、5-7月平均の前年同期比は1.2%の下落となった。また、「消費者物価指数」(東京都区部、中旬速報値)の生鮮食品を除く総合は、8月は前年同月比0.3%の下落(季節調整済前月比0.1%の上昇)、6-8月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、8月月中は、0.001%台で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、8月は0.08%台で推移した。10年物国債流通利回り(公社債店頭売買参考統計値)は、8月は、1.2%~1.4%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、8月末は1,271ポイントとなった。日経平均株価は、8月末は12,413円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、8月末は111.30円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、8月末は136.05円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、8月は前年同月比1.1%増となった。8月の日銀当座預金平均残高は32.1兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.7%増となった(8月速報)。広義流動性は、8月(速報)は前年同月比2.5%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、8月(速報)は前年同月比2.2%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後0.2%増)となった。8月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、7,460億円(銀行起債の普通社債は1,150億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、7月は前月比で短期は0.094%ポイント上昇し、長期は0.104%ポイント低下したことから、総合では0.009%ポイント上昇し1.404%となった。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の8月の現状判断DIは、前月を0.1ポイント上回り、50.5となった。先行き判断DIは、前月を0.1ポイント下回り、51.9となった。