月例経済報告(平成17年3月)

―景気は、一部に弱い動きが続いており、回復が緩やかになっている。―

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、 情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

平成17年3月16日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、一部に弱い動きが続いており、回復が緩やかになっている。

  • 企業収益は改善し、設備投資は緩やかに増加している。
  • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
  • 輸出は弱含み、生産は横ばいとなっている。

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の早期具体化により、構造改革の取組を加速・拡大する。構造改革を推進する中で、平成17年度予算及び関連法案の早期成立に努める。
政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行うとともに、集中調整期間終了後におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政策努力を更に強化する。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。

個人消費は、おおむね横ばいとなっている。所得面については底堅く推移し、また消費者マインドは改善が続いている。需要側統計(家計調査)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、冬物関連支出の増加もあって1月は増加したが、これは12月まで気温が高めで推移した影響の反動等によるものであり、おおむね横ばいの動きとなっている。
個別の指標について1月の動きをみると、気温が平年並みとなり、季節衣料などが回復したことから、家計調査では実質消費支出は前月に比べて大幅に増加し た。一方で、販売側の統計をみると、小売業販売額は、百貨店で初売りやセールが好調だったことなどから、前月に比べて大幅に増加した。家電販売金額は、DVDレコーダーや薄型テレビなどの売れ行きが引き続き好調なことから、前年を上回った。新車販売台数は、1月に増加した後、2月は前月を下回った。旅行は、国内旅行は前年を下回ったものの、海外旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢の改善が家計の所得改善につながれば、個人消費は増加していくものと期待される。

設備投資は、緩やかに増加している。

設備投資は、企業収益の改善を受けて、緩やかに増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、非製造業は2004年10-12月期では不動産やサービスを中心に減少しているものの、製造業は2四半期連続で増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、増加している。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの需要側統計、供給側統計を合成した設備投資総合指数は、緩やかに増加している。
日銀短観によれば、2004年度設備投資計画は2年連続で増加している。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は横ばいとなっている。先行指標をみると、機械受注は持ち直しているが、1月は製造業を中心に減少した。建築工事予定額はおおむね横ばいとなっている。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、このところ増加している。

住宅建設は、このところ増加している。これは、持家の着工が弱含みとなっているが、分譲住宅が底堅く推移していることに加え、貸家が増加していることによる。総戸数は、1月は、前月比9.9%増の年率130.2万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などが回復していけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。ただし、年度末に向けて補正予算等による影響も見込まれる。
平成16年度の公共投資の関連予算をみると、国の当初予算では、公共投資関係費を前年度比3.3%減としていたところ、平成17年2月1日に成立した平成16年度補正予算において、災害復旧等事業費を含め、計1.2兆円の公共事業等を追加するなどの予算措置を講じることとしたため、補正後の平成16年度公共投資関係費は、前年度比8.2%増となった。また、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比9.5%減としつつ、重点的な配分を行うとしている。
平成16年10-12月期は、公共工事受注額、公共工事請負金額及び大手50社受注額は、前期に引き続き、前年を下回った。
平成17年1-3月期の公共投資については、1月の公共工事請負金額などは前年を下回るなど、基調としては減少傾向にあると考えられるが、年度末に向けて補正予算等による影響で一時的な増加も見込まれる。

輸出は、弱含みとなっている。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、弱含みとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、一般機械に持ち直しの兆しがみられるが、電気機器が横ばいとなり、全体としても横ばいとなっている。アメリカ向け輸出は、電気機器が弱含むものの、輸送用機器や一般機械が底堅く推移し、全体として横ばいとなっている。EU向け輸出は、弱含みとなっている。先行きについては、世界の景気は着実に回復していることに伴って、緩やかに増加していくものと考えられるものの、為替レートの動向には引き続き留意する必要がある。
輸入は、金属製品などが増加したものの鉱物性燃料などが減少し、全体としては横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、機械機器、金属製品を中心にやや増加している。アメリカからの輸入は、食料品、原料品を中心にやや増加している。EUからの輸入は、金属製品などが増加したものの機械機器などが減少し全体としてはおおむね横ばいとなっている。
国際収支をみると、輸出数量は弱含み、輸入数量は横ばいとなっており、貿易収支の黒字幅はおおむね横ばいとなっている。一方、サービス収支の赤字幅はおおむね横ばいとなっていることから、貿易・サービス収支の黒字は横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、横ばいとなっている。

鉱工業生産は、資本財の持ち直しや、情報化関連生産財における生産調整の進捗を受けて、横ばいとなっている。在庫は、全体としては低水準で推移している。
先行きについては、世界の景気が着実に回復していることから、情報化関連生産財の生産調整の進捗に伴って、持ち直していくことが見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、2月、3月ともに減少が見込まれている。
また、第3次産業活動は、緩やかに増加している。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、改善に一服感がみられる。倒産件数は、減少している。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2004年10-12月期の経常利益は、売上高の増加等により前年同期比17.6%と、IT関連財の生産調整を受け、前期と比較し伸びは鈍化したものの、10四半期連続で増益となった。業種別にみると、製造業が25.3%、非製造業が12.4%の増益となっている。「日銀短観」によると、2004年度は、製造業、非製造業ともに3年連続の増益計画になっている。上期は、上方修正されたが、下期は、下方修正された。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、改善に一服感がみられる。大企業製造業の業況判断は、7四半期ぶりに前回を下回ったものの、高水準にある。
また、企業倒産は、減少している。倒産件数は1,100件を下回り、これは2月としては1992年以来の低い水準となっている。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
完全失業率は、1月は前月と同水準の4.5%となった。完全失業者が増加したものの、就業者が増加した。一方、15~24歳層の完全失業率が高水準となっているなど、厳しい状況もみられる。
新規求人数は増加傾向となっている。有効求人倍率は上昇傾向となっている。また、雇用者数は、このところ伸び悩んでいるが、1月は増加した。製造業の残業時間は横ばいとなっている。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は低水準で横ばいとなっている。
賃金の動きをみると、定期給与は横ばいとなっている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、このところ小幅下落している。

国内企業物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、電気機器が下落している一方、年初からの原油価格の上昇を反映して、石油製品、化学製品が上昇している。輸入物価(円ベース)は、原油など国際商品市況の上昇を反映して、上昇している。
企業向けサービス価格は、外航タンカーの下落などにより、前年比で下落幅が拡大している。
消費者物価は、公共料金引下げの影響などにより、このところ小幅下落している。最近の動きを類別にみると、一般商品、一般サービスは、おおむね横ばいで推移している。公共料金は、固定電話通信料や電気代の引下げにより、下落幅が拡大している。
なお、消費者物価は前年比で小幅な下落基調が続いているなど、物価の動向を総合してみると、物価は緩やかなデフレ状況にある。

株価は、11,900円(日経平均株価)程度まで上昇している。長期金利は、1.4%台前半で推移した後、このところ1.5%付近まで上昇している。

株価は、米国株価の上昇や国内の景気回復期待の高まり等を背景に、11,900円(日経平均株価)程度まで上昇している。対米ドル円レートは、米国の金利先高観が根強い一方、原油等の商品市況の高騰を背景としたドル売りや市場予想を上回る日本の経済指標の発表等もあり、103円台から105円台で一進一退となっている。
短期金利は落ち着いている。長期金利は、1.4%台前半で推移した後、株価上昇等からこのところ1.5%付近まで上昇している。企業金融については、企業の資金繰り状況はおおむね改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは低水準で推移している。
マネタリーベースの伸びは、昨年1月の日銀当座預金残高の目標値引上げによる上昇要因の剥落等から低下している。M2+CDの伸びは、昨年9月以降、横ばいとなっている。

4.海外経済

世界の景気は着実に回復している。

アメリカでは、景気は拡大している。

2004年10-12月期は、個人消費が前期比年率4.2%、設備投資が同14.0%の伸びとなったことなどにより、GDP成長率は同3.8%となっ た。
2月の失業率は5.4%となったが、非農業雇用者数は2004年の月平均18万人を上回る約26万人の増加となり、消費者の雇用に対するマインドも改善 している。

アジアでは、中国、タイ等で景気は拡大が続いている。

中国では、固定資産投資は伸びに低下の動きがみられるものの拡大が続き、景気は拡大が続いている。タイでは、消費や投資を中心に景気は拡大している。マレーシア、シンガポールでは、消費が増加するなど、景気は拡大している。台湾では、景気は拡大している。韓国では、輸出の伸びが低下しているものの、景気は回復を続けている。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しており、英国の景気は堅調に回復している。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。ドイツでは、消費は弱い動きが続くなど、内需の回復が遅れる中で、景気の回復は緩やかになっている。フランスでは、消費、投資が増加するなど、景気は回復している。
英国では、消費が緩やかに増加し、輸出が増加するなど、景気は堅調に回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価はおおむね上昇基調で推移している。主要国の長期金利は上昇基調で推移している。ドルは主要通貨に対して横ばいで推移している。
原油価格は、需給ひっ迫懸念等から、2月下旬に50ドルを超え、その後50ドル台前半で推移している。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、12月季節調整済前月比0.2%減の後、1月(速報値)は同1.6%増となった。なお、消費総合指数は四半期別GDP速報(QE)の推計方法の変更に伴い、2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
家計調査の全世帯実質消費支出は、12月季節調整済前月比1.6%減の後、1月(速報値)は同4.3%増(前年同月比0.5%増)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、1月(速報値)は季節調整済前月比4.3%増(前年同月比0.5%増)となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、1月は実質前年同月比0.5%減となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、12月季節調整済前月比0.2%増の後、1月は同4.6%増(前年同月比2.4%増)となった。また、百貨店販売額は、1月は前年同月比0.7%増(既存店)(季節調整済前月比4.2%増(全店))となった。スーパー販売額は、1月前年同月比2.6%減(既存店)(季節調整済前月比3.9%増(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、1月前年同月比1.9%減(既存店)、同1.3%増(全店)となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、12月前年同月比0.3%減の後、1月は同1.3%増となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、1月季節調整済前月比1.2%増の後、2月(速報値)は同4.2%減となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は12月前年同月比4.4%減の後、1月は同1.0%減となった。海外旅行は12月前年同月比4.6%減の後、1月は同16.2%増となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、12月前年同月比0.7%増(全店)の後、1月は同3.9%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、9月前期差2.3ポイント改善の後、12月は同0.2ポイント悪化となった。消費者態度指数(原数値)は、1月前月差3.4ポイント改善の後、2月は前月差0.2ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、12月(確報値)季節調整済前月比1.9%増の後、1月(速報値)は同0.3%増となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2004年10-12月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比2.8%減(前年同期比3.0%増)となっており、うち製造業では同1.5%増(同8.6%増)、非製造業では同4.8%減(同0.3%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2004年度設備投資計画は、製造業で前年度比15.9%増、非製造業で同0.8%減となっており、全産業では同4.4%増となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、12月(確報値)は季節調整済前月比11.3%増(前年同月比23.2%増)の後、1月(確報値)は同7.2%増(同23.6%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2004年度設備投資計画は、製造業で前年度比23.4%増、非製造業で同1.1%増となっており、全産業では同7.7%増となっている。また、中小企業では製造業で同18.0%増、非製造業で同5.4%減となっており、全産業では同0.3%増となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、12月(確報値)は前年同月比3.3%増の後、1月(速報値)は同0.0%となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、12月は季節調整済前月比8.8%減(前年同月比0.9%減)の後、1月は同2.2%減(同4.8%増)となっている。なお、2005年1-3月期(見通し、12月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比9.9%増(前年同期比17.5%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、12月は季節調整済前月比2.7%増(前年同月比6.3%減)の後、1月は同33.9%増(同13.8%増)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成16年7-9月期は7.0%増、10-12月期は3.7%減、11月は2.9%減、12月は2.9%増、平成17年1月は9.9%増となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、平成16年7-9月期は10.3%増、10-12月期は11.6%減、11月は3.8%減、12月は2.5%増、平成17年1月は3.3%増となり、貸家の着工(同)は、平成16年7-9月期は7.0%増、10-12月期は0.7%増、11月は1.8%減、12月は4.9%増、平成17年1月は10.6%増となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、平成16年7-9月期は9.1%増、10-12月期は9.6%減、11月は7.3%減、12月は2.1%増、平成17年1月は19.9%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成16年7-9月期は9.9%増、10-12月期は8.3%減、11月は4.1%減、12月は2.1%増、平成17年1月は11.7%増となった。

<公共投資>

平成16年度の国の一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、公共投資関係費は、前年度比8.2%増となっている。なお、平成17年度一般会計予算案では、公共投資関係費について、前年度比4.0%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比6.9%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比7.8%減、6.8%減となっている。なお、平成17年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比8.2%減と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」等に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で12月は17.0%減の後、1月は19.9%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で12月は18.2%減の後、1月は26.5%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で12月は14.6%減の後、1月は12.6%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で11月は11.2%減の後、12月は11.1%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で11月は1.4%増の後、12月は0.4%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2004年12月1.3%減の後、2005年1月1.7%減(前年同月比3.1%減)となった。また、前期比で7-9月期は2.4%減の後、10-12月期は0.3%減(前年同期比4.4%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2004年12月5.0%減の後、2005年1月4.4%増(前年同月比2.5%増)となった。また、前期比で7-9月期は0.5%減の後、10-12月期は1.3%増(前年同期比5.8%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2004年12月は8,562億円の後、2005年1月は8,120億円、通関収支差(季節調整値)は、2004年12月は8,922億円の後、2005年1月は8,873億円となった。

<生産・出荷・在庫>

1月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、化学、輸送機械等が増加したことから、前月比2.5%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、2月は電子部品・デバイスや金属製品等の減少により0.5%減の後、3月は一般機械や鉄鋼等の減少により1.0%減になると見込まれている。
1月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比1.8%増となった。また、1月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は95.4となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、12月(速報)前月比0.0%となった。また、10-12月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同7-9月平均対比)をみると0.6%増となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2004年10-12月期の経常利益は、全産業で前年同期比17.6%増、製造業は25.3%増、非製造業は12.4%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、2004年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比32.2%の増益、下期は2.8%の増益、通期では前年比15.3%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント悪化して16%ポイント、中小企業は2%ポイント改善してマイナス7%ポイント、全規模合計では1%ポイント悪化して1%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、2月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,014件(前年同月比12.5%減)、負債総額7,441億円(同30.7%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,056件(同12.6%減)、負債総額は8,082億円(同25.8%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、67件(同27.1%減)となっており、(株)シンコー(ゴルフ場経営、負債2,020億円)、(株)オリエンタルゴルフコーポレーション(ゴルフ場経営、負債300億円)、(株)ティーエイチケー(不動産賃貸、負債299億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、1月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月と同水準の4.5%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は7.9%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差7万人増の302万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、1月の非自発的な離職による者は、前月差9万人減の97万人、自発的な離職による者は、前月差9万人増の115万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、12月季節調整済前月比5.4%減の後、1月は同0.7%減(前年同月比8.8%増)となった。有効求人数は、12月同1.2%減の後、1月は同1.0%増(同14.0%増)となった。新規求職件数は、12月同2.0%減の後、1月は同3.0%減(同8.0%減)となった。有効求職者数は、12月同0.1%減の後、1月は同0.4%増(同5.6%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は12月1.38倍の後、1月1.41倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、12月0.90倍の後、1月0.91倍となった。
労働力調査によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で12月は前月比0.1%減の後、1月は前月比0.3%増の5,352万人となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では12月季節調整済前月比1.4%減(前年同月比0.4%増)の後、1月は同1.1%増(同0.0%)(速報値)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計で7-9月期の15%から10-12月期は15%となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では12月季節調整済前月比0.1%増(前年同月比0.5%減)の後、1月は同0.9%増(同0.0%)(速報値)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では1月前年同月比0.4%増(速報値)となった。特別に支払われた給与は、事業所規模5人以上では1月前年同月比11.9%増(速報値)となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、2005年2月(速報値)は前月比1.5%の上昇(前年同月比1.0%の上昇)、3ヶ月前比は0.2%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、2月(速報値)は前月比2.8%の上昇(前年同月比7.6%の上昇)、3ヶ月前比は0.5%の上昇となった。また、国内企業物価は、2月(速報値)は前月比0.2%の上昇(前年同月比1.3%の上昇)、3ヶ月前比は0.2%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の1月の企業向けサービス価格は前年同月比0.5%の下落(前月比0.9%の下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、1月は前年同月比0.3%の下落(季節調整済前月比0.2%の下落)、11-1月平均の前年同期比は0.2%の下落となった。一般サービスは、1月は前年同月比0.1%の上昇、11-1月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般商品は、1月は前年同月比0.1%の下落、11-1月平均の前年同期比は保合いとなった。公共料金は、1月は前年同月比1.7%の下落、11-1月平均の前年同期比は1.5%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、2月は前年同月比0.5%の下落(季節調整済前月比0.1%の上昇)、12-2月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、2月月中は、0.001%~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、2月は、0.09%台で推移した。10年物国債流通利回り(公社債店頭売買参考統計値)は、2月は、1.2%台~1.4 %台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、2月末は1,177ポイントとなった。日経平均株価は、2月末は11,740円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、2月末は104.73円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、2月末は138.58円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、2月は前年同月比1.2%増となった。2月の日銀当座預金平均残高は32.7兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.9%増となった(2月速報)。広義流動性は、2月(速報)は前年同月比3.8%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、2月(速報)は前年同月比3.0%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後0.9%減)となった。2月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、8,985億円(銀行起債の普通社債は950億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、1月は前月比で短期は0.041%ポイント上昇し、長期は0.053%ポイント減少したことから、総合では0.002%ポイント減少し1.551%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は改善している。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の2月の現状判断DIは、前月を0.6ポイント上回り、45.6となった。先行き判断DIは、前月を1.6ポイント上回 り、49.9となった。